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地域だより[2000年7月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


地域だより
[2000年7月]
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第5回国際食品素材/添加物展・会議(ifia JAPAN 2000)の開催

 5月16日(火)〜18日(木)までの3日間、東京ビックサイト国際展示場において第5回国際食品素材添加物展・会議(ifia JAPAN 2000)が開催された(主催 食品化学新聞社)。
 このイベントは、「明日の食を創造する技術者の祭典」をテーマに、世界中のサプライヤーが商品やサービス、新商品を開発するための素材、技術などを出展し、互いに技術の交流を図るビジネス直結型の食品素材・添加物展である。
 ifia JAPAN 2000 では会場での展示に加え、健康と食品の関係、行政の動向と業界の対応などについての講演、国際シンポジウム、技術開発セミナーなどが行われた。
 従来の展示会が最終製品の紹介が主であったのに対し、ifia JAPAN 2000 は食品を製造するうえで重要な要素である食品素材、添加物に目を向けた展示となっており、21世紀に向け、より多様な食と味を世界に供給するための情報や技術が結集されている。
 出展内容は、各種機能性素材、調味料、香料、スパイス、甘味料、乳化安定剤など多彩で、展示物の全般的傾向は、健康志向の流れからダイエット、低カロリー、ノンファット、ノンコレステロール等の機能素材が多かった。
 甘味料としては、甘味の代表である砂糖の展示は少なく、エリスリトールやキシリトールなどの糖アルコール類やオリゴ糖類の展示が数多く見受けられた。
 精製糖メーカーの中で、注目されていた展示物は、
(1)塩水港精糖:ビフィズス菌を活性化させ、他のオリゴ糖に比べ腸を整える働きに優れた糖源であり、各種オリゴ糖の中でも砂糖に近い味質を持っている乳果オリゴ糖
(2)台糖:血糖値を上がりにくくする作用があり、血糖値の高めの人や食生活の改善に効果があるL-アラビノース入り顆粒糖
(3)大日本明治製糖:アメリカ産オーガニックシュガーやコクベース酵母エキス HYシリーズ、ゼラチン&小麦グルテン酵母分解調味料エンザップ等のペプチドを追求した調味料
(4)東洋精糖:PET ボトルの光による色素の退色防止や香料の劣化防止に効果がある、αG ルチン
(5)三井製糖:非う蝕性、血糖値・インスリンの上昇が少なく、緩下作用がないなどの機能特性を持つパラチノース
などであった
 今回の ifia JAPAN 2000 は、国内外250社が出展し、3日間で約2万2千人の来場者があり、内容・規模ともに、これまでの集大成ともいえる展示会となった。

ifia JAPAN 2000 における甘味料の出展物
(株)アクティブ21キシリトール上野製薬
上野製薬(株)糖アルコール類、加糖調整品
塩水港精糖(株)乳果オリゴ糖、サイクロデキストリン
甘草工業懇話会甘草
キリンビール(株)オリゴ糖
K.Iテックインターナショナル(株)オーガニック・ブラウンシュガー
合同酒精(株)L-アラビノース
台糖(株)L-アラビノース
三栄源エフ・エフ・アイ(株)スクラロース
参松工業(株)糖アルコール類、マルトオリゴ類
三和澱粉工業(株)マルトース、オリゴ糖
ステビア工業会ステビア乾燥葉、ステビア苗木鉢、ステビア使用飲料水
セレクタージャパン(株)エリスリトール、キシリトール、マルチトール
仙波糖化工業(株)カラメル
大日本明治製糖(株)オーガニックシュガー(アメリカ産)
ダニスコカルタージャパン(株)キシリトール、フラクトース、ラクチトース
長安商事(株)羅漢果濃縮エキス
東洋精糖(株)酸素処理ステビア、酸素処理ルチン
東和化成工業(株)糖アルコール類
日研化学(株)エリスリトール、キシリトール、ラクチトール他
日本食品化工(株)オリゴ糖
(株)林原商事トレハロース、オリゴ糖類
三井製糖(株)還元パラチノース、キシリトール、エリスリトール
三菱化学フーズ(株)エリスリトール
明治製菓(株)新素材事業部オリゴ糖
森永乳業(株)オリゴ糖

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名古屋事務所



名古屋港の菓子輸出数量は全国の3分の1

全日本菓子協会が通関統計をもとに1999年(暦年)の菓子輸出数量をまとめたので、品目別の動向および名古屋地区の特徴を紹介する。
 1998年及び1999年の菓子輸出数量は別表のとおりで、1999年の輸出数量は1万5,575トンで前年に比べ1%の増加(金額では118億3,942万円で2%の増加)を示した。品目別には、あられ・せんべいなどの米菓が4,936トンで最も多く、次いでキャンディー類3,475トン、チョコレート菓子(詰物をしたもの、詰物をしていないもの、液状、ペースト状の合計、以下合計という)1,830トン、チューインガム1,751トン、その他の砂糖菓子(キャラメルから羊羹まで範囲は広く、ココアを含有しない砂糖菓子で、ホワイトチョコレートを含んでいる)1,740トン、スィートビスケット1,644トンの順となっている。仕向地では台湾、香港、アメリカ向けが数量で61%を占めている(金額では68%)。
 参考までに同協会が推計を行った全国の1999年菓子推定生産数量は198万6,316トンで前年に比べ1%強減少し、こちらは3年連続して落込みを示しているという。また、菓子の輸入数量は4万4,070トン(金額では269億1,270万円)と輸出数量の3倍近くあり、主な品目はチョコレート菓子が最も多く、次いでスィートビスケット、キャンディー類の順になっている。前年度に比べると1%強の減少(金額では9%弱の減少)になっている。
 1999年に名古屋港から輸出された菓子の主なものは、数量の多い順に、チューインガム1,457トン、キャンディー類1,318トン、その他の砂糖菓子1,051トン、チョコレート菓子(合計)615トン、スィートビスケット413トンとなっており、名古屋港の全国に対する割合は、チューインガムは83.2%に達し、キャンディー類は37.9%、その他の砂糖菓子は60.4%、チョコレート菓子(合計)は33.6%であるが、チョコレート菓子のうち特に液状・ペースト状のものは67.4%で、菓子全体ではちょうど3分の1を名古屋港が占めている。このように名古屋地区は菓子の輸出において主要な位置を占めているが、その理由として、昭和32年に輸出組合が設立され早い時期に輸出を手掛けたこと、東南アジアに影響力のある香港側の窓口となっている企業と親密な交流があること、東京、大阪に比べると製品の価格を低く押えられたことなどが挙げられるという。
 名古屋港からの菓子輸出数量を仕向地別に見ると、数量の多い順にチューインガムではカナダ、シンガポール(シンガポールはチューインガムの輸入・製造・販売を禁止しており、中継のみと考えられる。)、サウジアラビア、韓国、アラブ首長国連邦、キャンディー類では台湾、香港、アメリカ、シンガポール、韓国、その他の砂糖菓子では香港、台湾、アメリカ、シンガポール、韓国となっている。アメリカ向けは、日系人向けの輸出がはじまりという。
 全日本菓子輸出工業協同組合連合会は、日本菓子の販売拡大を目指し毎年「海外日本菓子展示会」を開催しているが、昨年から今年にかけての取り組みを紹介する。
 昨年10月には、中国広東省汕頭市で世界の16ヵ国・地域の企業と中国国内211社が参加して開催された 『99汕頭経済特区国際食品博覧会』 に日本からは39社(うち名古屋からは4社)が参加した。11月には台湾の台北市で台湾国際優良食品設備展にジョイントした形で 『99台北日本菓子展示会』 を開催し、日本からは29社(うち名古屋からは7社)が参加した。いずれも日本のお菓子への評価は上々で成果を挙げているという。本年度は、11月に中国福建省福州市の福州国際会展センターで 『2000福州日本菓子展示会』 の名称で開催することを決定しており、菓子輸出の増加につながるよう期待されている。

菓子類品目別輸出通関実績(暦年)
(単位:kg、千円)
菓子類品目別輸出通関実績(暦年)

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家庭で手軽に楽しめるさわやかな果実の味〜梅シロップ講習会〜

 5月30日(火)大阪市北区梅田にある毎日新聞ビル内の毎日文化センターで、毎日新聞社主催、全日本氷砂糖工業会他協賛の「梅シロップ講習会」が開催された。
 この講習会は、氷砂糖の需要拡大を目的に10年以上前から行われているもので、毎年青梅の出荷時期である5月〜6月に全国の主要都市で開催されている。元々は梅酒の講習会としてスタートしたが、昨年からは、より幅広い年齢層の消費者に飲んでもらえるものをということで、梅シロップについての講習を行っている。また、秋(10月〜11月)には「かりん」を材料とした講習会も実施されている。
 講習への参加費は1,500円で、参加者は会場で作った貯蔵びん入りの梅シロップを持ち帰ることができる。
 今回の講習は、午後1時からと2時半からの2回行われ、それぞれ約50名が参加した。毎年大阪地区では人気は高く、今回も500名近い応募があったという。
 講師が、材料の確認、梅シロップの作り方、氷砂糖が果実シロップ・果実酒の製造に適している理由などについて説明する間、梅、レモン、かりん、3種類の果実シロップが参加者に配られ、試飲された。砂糖の甘味と果実の酸味が微妙に絡み合って作り出すさわやかな飲み口は、なかなか好評であった。
 一通り説明が終わって、いよいよ実際のシロップ作りにとりかかった。
 材料は青梅1キログラム、氷砂糖1キログラム、ホワイトリカー(35度)150〜200cc、それに4リットル入りの貯蔵びんである。
 まず爪楊枝で梅の「へた」を取り、貯蔵びんに下から氷砂糖―梅―氷砂糖―梅―氷砂糖という順番にサンドイッチ状に入れていく。最後にカビを防ぐためのホワイトリカーを入れて出来上がりである。この間わずか15分程度。梅と貯蔵びんがあらかじめ洗浄されてあったこともあるが、この程度の手間であれば、家庭で手軽に作ることができる。
 2〜3日後には、氷砂糖の浸透圧により次第に梅の果汁が染み出してきて、梅が液に浸るくらいになり、2〜3週間で飲み頃になるという。
 各参加者は、思い思いに梅と氷砂糖を貯蔵びんに詰めて、シロップ作りに取り組んでいた。中には「妻が急に都合が悪くなり、代わりに参加した。我が家でつくられる梅酒などに関しては、今までは飲む方の専門だったが、これからは作る方も担当させられるかもしれない。」と苦笑する男性もおり、それぞれ手作りの楽しさを味わっていた。
 講習会の関係者によれば、「この講習会は、おかげさまで皆様から毎年好評をいただいている。梅酒作りはある程度定着している感があるので、果実シロップ等新しい用途を消費者に紹介して需要の拡大を目指したい。特に今年は、和歌山県産の梅が昨年に比べ豊作予想なので、青梅が豊富に市場に出回り、家庭で梅酒・梅シロップを漬け込む量が増えてくれることを期待している。」とのことであった。
 この講習会を機会に、果実酒・果実シロップに親しむ家庭が増えることを期待したい。
 なお、この講習会は大阪の他広島(5月26日)、北九州(5月29日)、名古屋(5月31日)、東京(6月1日)、仙台(6月14日)の各都市でも開催された。

梅シロップの作り方を説明する様子
梅シロップの作り方を説明する様子
梅シロップ作りに取り組む参加者たち
梅シロップ作りに取り組む参加者たち

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伝統文化とともに生きる和菓子処・松江における菓子工業組合の多彩な活動

 島根県の県庁所在地である城下町松江市は、茶処として全国的に知られているが、茶人として有名な第7代松江藩の殿様・不昧 ふ まい公こと松平治郷(1751年〜1818年、不昧流という流派を確立)の影響から、古くからの抹茶が普及するとともに、和菓子作りも発達し、現在では、京都、金沢に並ぶ三大和菓子処となっている。不昧公ゆかりの銘菓「若草」や日本三大銘菓の1つ「山川」をはじめとした和菓子作りの伝統と技が老舗によって現在に受け継がれ、繊細で優美、しかも上品な味わいのある和菓子が数多く作られている。
 松江では平成元年に市制百周年を記念して、第21回全国菓子大博覧会が行政(松江市)と業界(菓子工業組合)の協力体制のもとで開催され、予想以上の75万人の来場者(当時の松江市の人口は14万人)を数え大成功を収めた。これは和菓子が城下町松江によくマッチし、暮らしの中にお茶と和菓子がすっかり定着しているからに他ならない。ここの人々は、1日1度は、和菓子とともに抹茶を気軽に楽しんでいるとのことで、和菓子は生活の中に溶け込んでいる姿がうかがえる。
 この和菓子処・松江に島根県菓子工業組合がある。同組合は昭和38年に設立され、組合員は松江市を含む県東部の菓子製造業者で現在181名が加入している。平成3年10月に現在の「松江市生涯学習センター」のあるスティックビルに事務局を移転、これまでに菓子に関する消費拡大事業、情報・研修関係事業及び製菓技術の継承・普及事業等を行ってきている。最近においても多彩な活動を行っているので紹介することにしたい。
 
ユニークなセミナーを開催
 今年の2月9日、同組合主催による研修事業の一環としてユニークなセミナーを生涯学習センター内ホールで開催、関係業界の話題を呼び、多くの市民の注目を浴びている。講師は、昨秋から今春に NHK の全国ネットで放映され人気を博した朝の連続ドラマ「あすか」(究極の和菓子を目指すヒロインあすかの夢と希望に満ちた半生記。)の著者であり、脚本家である鈴木聡氏が、「あすかを書いた。和菓子を考えた。」と題した講演会が行われた。
 入場は無料、時節柄、土地柄にうまくマッチしたタイムリーな企画であったことから、業界関係者のみならず一般消費者も多数参加、定員を超え立見の人もでるほどの200余名の聴衆が集まり盛況裡に行われた。講演内容は、ご自身の近況から始まり、和菓子との接点は、作者が元々お茶を習いに行ったことが発端となり、情緒や情感を時代遅れと切り捨ててきた戦後のドライな風潮に問題意識を持ったことから「あすか」というドラマが誕生することにつながっていったこと。脚本作りの取材中の話として、老舗の中には婿は選べるが世襲はよき後継者を選べないとして、いい婿、間違いのない婿を取って次世代につないでいく、いわば野球の永遠の中継ぎ投手をもって暖簾を守っていく老舗があることなどが紹介された。また同氏はドラマの和菓子のネーミングも含めて、和菓子は伝統的な世界の中にあるが故に、難しく考えていたが、至ってシンプルで、かつ、クリエイティブであるという感想を持つようになり、今回の「あすか」というドラマが何らかの意味でお役に立ち、和菓子に興味を持ってこの世界に入ってくる若い職人さんや、和菓子を味わう若い人が一人でも多く増えることになれば幸いであると結ばれた。
 全体を通じてウイットに富み楽しいセミナーとなり、和菓子の消費拡大、後継者対策、業界の活性化にも貢献する貴重なイベントであった。
 
西日本唯一の菓子技術専門校の運営
 この島根県菓子工業組合は、製菓技術の継承・普及事業として平成9年4月より「島根県菓子技術専門校」を設立し順調な運営を行ってきている。同校は、体系的、組織的な職業訓練を行い、菓子製造技術者の育成、技術の向上を図るための県の認定を受けた認定職業訓練校である。島根県の菓子産業が伝統産業であるにもかかわらず、近年の技能離れや職人達の高齢化等により、和菓子を中心とする菓子製造技術を継承する後継者の不足することから組合員数がかっての3分の1に減少する事態となり、これを打開し、伝統ある菓子作りの火を絶やさぬよう後継者の育成を目的として設立された。訓練場所は、前述の生涯学習センター4階の菓子づくりホール及び研修室とし、午前9時から午後5時まで1日7時間で年間20日間にわたり、座学指導と実技指導を行い、菓子技術者としての基礎知識と実技を身につけることとしている。
セミナー主催団体の挨拶
セミナー主催団体の挨拶
セミナーに参集した人々
セミナーに参集した人々
 設立目的が後継者の育成であるので、受講対象者は、同組合に加入している店の後継者や従業員であるが一般からも募集している。定員は毎年20名としているものの、12年度は熱心な入学希望者が多く、25名(男性16名、女性9名)の入校を許可している。訓練内容は、基礎コース(菓子製造の基礎となる製菓材料、製餡等の習得を38.5時間)、専門コース(食品の安全、衛生面の習得を24.5時間)及び実技コース(菓子技術者としての菓子製造技法と伝統技法の習得を77時間)からなっており、受講生は1年間の訓練目標として製菓衛生師の免許取得と2級技能士の取得を目指す。
 同校の施設や備品は松江市によって整備され、菓子作り独自の工夫が随所になされている。例えば、実技指導の際使用する調理指導台は普通の調理台と異なり、上部は大きな鏡が取り付けられ菓子製作における微妙な手元の動きがよく見えるようになっている。また、訓練を担当する指導員は、学科ごとに専門の講師を迎えるとともに、実技の指導員は老舗を定年で退職した OB の方々の全面的な協力が得られているのは、同校の大きな強みとなっている。
実技指導が行われる菓子づくりホール内
実技指導が行われる菓子づくりホール内
 これまで、計3期生、58名(男性35名、女性23名)が卒業し、年齢層は17歳から60歳と非常に幅広い。卒業生の中には、県内の山間部の町で後継者不足で菓子店舗がなくなると冠婚葬祭時に困ることとなり、町の商工会がスポンサーとなって一度離れた若者を呼び寄せて同校で学ばせ、現在、その町で菓子店舗を開業している例もあり、着実に成果を上げつつある。地域的にも島根県だけでなく、同校の評判を聞き鳥取県から親子で通ってくるお菓子屋さんや、遠く熊本県からの受講生もあり、12年度の第4期生にはある役所の50歳になる課長さんが生きがいを求めて退職し、現在は菓子作りに没頭しているという。
 なお、同校の授業のない期間は、菓子づくりホールを2つの県立高校における菓子技術の正課授業として使用したり、月1回は一般消費者対象の菓子作り教室が開催されている。
 このような地域の諸活動を通じて、第二、第三の「あすか」が誕生する日も間近いと感じさせる活動である。

パティシェ(菓子職人)の感性あふれる夢舞台“洋菓子 Kobe 展”

 歴史的に見ると、慶応3年(1868年)神戸港が西洋の門戸として開かれ、西欧諸国の領事館などが建設された外国人居留地地区がわが国に返還されて既に100余年が経過し、この外国人居留地の中から作られるようになった洋菓子が普及し、神戸の元町に本格的な洋菓子ショップが開業したのが明治30年とのこと。その後、大正時代、第一次世界大戦やロシア革命により日本に留まった外国人により本場の洋菓子作りが神戸に持ち込まれ、西欧で生まれ神戸を第二の故郷として育った洋菓子は、菓子作りの必須材料である砂糖が入手困難となり開店休業となった不遇な時代(第二次世界大戦前後)を乗り越え、今や神戸ビーフ、灘の酒と並ぶ神戸の味といわれている。
 この洋菓子の街、神戸で、毎年ゴールデンウィークに兵庫県を代表するパティシェ(菓子職人)が洋菓子の技と味のエスプリを競う「洋菓子 kobe 展」が開催されている。(財)神戸ファッション協会と椛蜉ロ神戸店が共催、兵庫県洋菓子協会が協力、後援は兵庫県、神戸市及び神戸商工会議所等であり、会場は旧外国人居留地の一角にある大丸神戸店、今年で13回目となり、平成7年(1995年)の震災の際にも「神戸の洋菓子は元気ですと全国にアピールしよう」と継続して開催されている洋菓子の一大イベントである。
 本年度は、折よく3月18日より開幕している淡路花博「ジャパンフローラ2000」と協賛し、これにちなんで「夢舞台」をテーマとして5月3日(水・祝)から9日(火)まで開催された。神戸や阪神間を代表するシェフが作る個性豊かな工芸作品コーナーには構想から製作まで数ヵ月かかった作品も数多くあり、今回は斬新な洋菓子作りの基礎と技術を教育する製菓学校の教授陣も初参加している。新設の「創作デコレーションケーキ」コーナーには有名洋菓子ショップで活躍する若きパティシェの作品が並び、同じく新コーナー「世界の花まつりの菓子たち」には世界各国の花まつりを題材にマジパン(アーモンドと砂糖をローラーで挽いてペースト状にしたものでお祝い菓子の代表格。)で作られたかわいい菓子がズラリと展示され、各コーナーとも魅力あふれる力作の数々と周辺に漂う洋菓子の甘い香りに誘われ、女性を中心に大勢の来場者で賑わっていた。また、同展開催期間中、会場周辺6つのホテルでは協賛イベントとして「スウィート・ウィーク」を開催、各ホテルのラウンジで各種洋菓子を中心としたデザート・フェアを行いケーキ等を販売するとともに5月7日(日)にはホテルオークラ神戸にて淡路花博記念ランチトークショー「シェフの夢舞台」(講師:村上和子氏(洋菓子kobe 展総合プロデューザー)及び石野光洋氏(ホテルオークラ神戸製菓長)、定員80名の予約制)を企画、こちらの方も多くのケーキファンを魅了、人気を集めた。
ロイヤルウェディングケーキ
淡路花博協賛
「世界の花まつりのお菓子たち」コーナー
 なお、神戸では、昭和48年(1973年)に全国に先駆けて「ファッション都市宣言」を行い、それ以来単にアパレルだけをファッションと見るだけでなく、衣・食・住・遊という生活文化を彩るすべてのものを ファッション″ととらえて官民一体となり都市づくりに取り組んでいるところから(財)神戸ファッション協会が共催しており、当然、神戸を代表するグルメの洋菓子についても地場産業の育成、発展の一環として同ファッション協会が同展を支援している。ちなみに、洋菓子 kobe 展は、洋菓子を神戸らしさのシンボルとして全国的にアピールし、職人たちの交流、技術研磨、女性職人の進出も果たし、地域文化の発展に功績があったとして、平成8年(1996年)に「第20回井植 い うえ文化賞(三洋電気の創業者・井植歳男氏が設けた文化賞)」を地域活動部門で受賞している。
ロイヤルウェディングケーキ
ロイヤルウェディングケーキ
(ベルギー王国フィリップ皇太子
ご成婚の時の再現したもの)
シェフの工芸菓子コーナー
シェフの工芸菓子コーナー

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宇野港開港・宇野税関支署開設70周年記念貿易展の開催

 5月27日(土)と28日(日)の両日、岡山県南部に位置する玉野市宇野港の第三突堤において、海・港・船をテーマとする「たまの・港フェスティバル」(同フェスティバル実行委員会主催、玉野市、山陽新聞社等共催)が開催された。今年で4回目を迎えた同フェスティバルは、玉野市が宇野港再開発を進めるなかで、遊覧船による瀬戸内海クルーズなど各種イベントを行い地域住民と周辺関係機関との交流を促進し宇野港のイメージアップと活性化を図ることを目的とし、2日間で約7万5千人が来場した。
 特に本年度は、表題の記念行事として、税関、空港関係及び宇野税関支署管内企業の紹介コーナー等の展示ブースを設けた貿易展を開催し同フェスティバルを盛り上げることになった。この「管内企業の紹介コーナー」には、昭和35年の暖地ビート製糖で発足し、その後、昭和41年精製糖工場として創業開始して多年にわたって地域社会に貢献してきた三井製糖(株)岡山工場が出展し、砂糖の様々な種類を紹介するパネル、『お料理上手は砂糖も上手に使い分け』 と題したパネル等の展示、ビデオ放映及び各種砂糖の展示・即売が行われた。
三井製糖担当者が砂糖のPR活動をしている様子
三井製糖担当者が砂糖のPRをしている様子
この中には、当事業団が作成したパンフレット「砂糖のあれこれ〜お砂糖 Q&A 〜」「やさしさとうれしさ」の配布や同じく当事業団が作成したビデオ「豊かな食を彩る〜砂糖〜」、「北の大地の贈り物〜てん菜編〜」及び「明日のさとうきび農業をめざして」の上映が行われ、三井製糖(株)岡山工場担当者は来場者に「お砂糖」を分かりやすく PR し、来場者の中には質問したり、熱心にメモをとる姿も見受けられ、一般消費者の砂糖に対する高い関心をうかがわせ、かなりの盛況ぶりであった。
 担当者にこの2日間を振り返ってもらうと、「天候は、初日はあいにく雨模様でしたが、2日目は好天に恵まれ来場者も多く当社並びに砂糖の PR 活動も無事終了しました。好評だったパンフレットの配布やビデオ上映を通じて一般消費者の砂糖に対する興味・反応を直接感じることができましたし、地域の方々と関わりを持つことができたこの経験を今後十分生かしていきたいと思っています。」と語っていた。
たまの・港フェスティバル
たまの・港フェスティバル
貿易展入口
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平成11年産さとうきび品質取引の実施状況

 鹿児島県農政部農産課がまとめた平成11年産さとうきび品質取引状況によると、品質取引の基準となる甘しゃ糖度は製糖6社で前年実績を0.93度上回り14.74度に達し、品質取引に移行した平成6年産以降では、これまで最高だった平成6年産を0.38度上回り14.74度となった。製糖会社別では新光糖業が14.06度、富国製糖が14.92度、生和糖業が15.57度、南西糖業が14.90度、南栄糖業が14.95度、南島開発が14.48度となっている。
 この結果、平均農家手取価格(トン当たり)は平成10年産を737円上回り21,200円となった。製糖会社別では新光糖業の20,615円(対前年産822円増)、富国製糖の21,314円(同946円増)、生和糖業の21,981円(同966円増)、南西糖業は21,352円(同541円増)、南栄糖業は21,344円(同727円増)、南島開発は20,922円(同742円増)といずれの社とも平成10年産を上回った。
参考 平成11年産基準糖度帯における農家手取価格13.1度〜13.6度は20,420円、13.7度〜14.4度は20,440円
 糖度別構成比では、基準糖度帯を超える14.5度以上が前年産を25.29ポイント上回って59.39%を占め、特に比較的さとうきび栽培に適した土壌を有している生和糖業では86.59%に達した。11年産が高糖度となったのは、さとうきびの登熟期を迎える10月からの乾燥傾向及び12月上旬からは低温が続いたため、さとうきびの登熟に好影響を与えたものと思われる。また、製糖会社6社のさとうきびの搬入数量は、平成10年産と比較して南島開発が6.3%増加した以外は、いずれの製糖会社ともに下回ったため、平成11年産は昨年産より6万2,962トン減少して60万6,001トンとなった。さとうきびの搬入は、新光糖業の平成11年12月10日に始まり南島開発の平成12年4月26日までにすべて終了したが、10年産と比べるとさとうきびの生産量が少なかったため搬入される日数は短くなった(10年産のさとうきび搬入は新光糖業の平成10年11月21日から同じく新光糖業の平成11年4月30日まで)。


鹿児島県南西諸島における農業農村整備事業について

 表は鹿児島県農政部が発表した、同県における平成11年度末農業農村整備事業の整備水準表をもとに、当事務所がさとうきびを生産している地域(鹿児島県南西諸島)を市町村ごとに整理したものである。鹿児島県南西諸島(屋久島を除く)における平成11年度末現在の農業農村整備事業の整備率は次のとおりとなっている。
 ほ場整備(畑)は目標整備量2万2,500haに対し1万3,074haが整備済みで整備率は58.1%となっており県平均を0.3ポイントと若干上回っている。畑地かんがいは目標整備量1万5,960haに対し2,825haが整備済みで整備率は17.7%となっており県平均を14.0ポイント下回っている。農地造成は荒れ地等の開墾、農地保全は塩害を受けやすい地域の整備や農地の土手の修復等、危険地域の整備などであり、整備率はそれぞれ7.4ポイント、42.6ポイント県平均を下回っている。特に、干ばつ常襲地帯である南西諸島にとって農業振興の大きな課題となっている畑地かんがいの整備率は、今後、中種子町農地への貯水池からの水の供給、国営の喜界地下ダム、徳之島用水の供用開始や調査が始まった沖永良部地区の事業導入が実現すると、南西諸島地域の畑地かんがいは飛躍的に伸びると期待されている。
 なお、これら農地の改良事業が南西諸島において、これから計画どおりに進められると、さとうきびの生産性の向上に大きく寄与するものと思われる。

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沖縄県における農地の利用集積等の取り組み

 沖縄県の基幹作物であるさとうきびは、近年高齢化の進展、後継者不足等による農地の遊休化や他作物への転換等により、収穫面積及び生産量がともに減少傾向にあり、製糖企業の経営も厳しい状況にある。
 今後、さとうきびの生産振興を図るためには、農地の利用集積による規模拡大や新技術の導入、機械化の推進によるコストの低減によって生産性を高め、安定的な農業所得を確保する必要がある。
 このため、沖縄県農林水産部では、地域ごとに今後のさとうきび作の担い手のモデルとなる借地型大規模経営体等のパイロットファームを設置して、さとうきび生産法人の育成を図るため、農業改良普及センターや糖業関係者等と連携し、さとうきび生産法人の設立に向けて強力な取り組みを行っている。
 昨年9月に設立した本島中部のさとうきび生産法人は、法人化したことにより地域農家の信頼度が高まり、発足時の農地面積約17haから今年1月には約30haへと農地の集積が加速的に進んでおり、その他に農作業の受託面積も20haを超える規模となっている。また、今年1月に設立した本島南部のさとうきび生産法人も同様の状況から、発足時の農地面積約7haから3月には約10haと農地の集積が急速に進んでいる。
 さらに、久米島では複数のさとうきび生産法人の設立が予定されており、他の本島や離島地域においても法人設立に向けて積極的な取り組みが行われており、さとうきび生産法人化の気運が高まってきているところである。
 一方で沖縄県農林水産部では、効率的かつ安定的な農業経営の改善、確立のための農地利用集積や農業経営の合理化、経営基盤強化を図ることから、農地についての利用権の設定、移転や所有権の移転を促進するための取り組みを行っている。
 認定農業者をはじめとした担い手への農地の利用集積は、農業経営基盤強化促進法による県農業経営基盤強化促進基本方針及び市町村の同基本構想に基づいて推進されており、具体的には農業委員会による幹旋や、農地流動化推進員による遊休農地等の堀り起こし活動、県農業開発公社や農業協同組合が行う農地保有合理化事業による農地の売買や貸借によって、農地の流動化が図られている。
 最近の沖縄県における農地利用集積の状況は、平成7年度末の1万2,000haから平成10年度末の1万5,000haと年々増加しており、平成11年度から12年度にかけて更に1万1,000haの利用集積を図ることを目標に掲げている(表1)。
表1 農地の利用集積目標面積と利用集積実績
摘 要 面積(ha) 備考
平成7年度〜12年度利用集積の目標面積(A) 26,465 平成7年度の沖縄県耕地面積
4万5,000haの約60%(注)
集積面積
平成7年度末 12,043  
平成8年度末 12,657 614ha増加
平成9年度末 14,224 1,567ha増加
平成10年度末(B) 14,989 765ha増加
平成11年度〜12年度目標(A)−(B) 11,476  
資料 沖縄県農林水産部資料による。
(注)平成7年度沖縄県耕地面積 44,800ha
   内訳  田970ha  普通畑36,700ha  樹園地2,580ha  牧草地4,580ha
       計数整理の関係で合計と内訳は一致しない。

 特に、担い手の中核となる認定農業者(農業生産法人を含む。)については、認定農業者数の増加と相まってこれへの利用集積が一層図られており、認定農業者への農地利用集積面積は、平成7年度末の3,400haから平成10年度末の5,100haへと集積面積に占める割合が大幅に増加している(表2)。
表2 認定農業者への農地利用集積実績
単位 面積:ha、対象者:人(経営体)
  集積対象者 集積対象者のうち認定農業者
収穫面積A 集積面積の内訳 対象者数
所有地
(売渡し)
借入地
(貸付け)
作業受託 集積面積
B
割合(%)
B/A
対象者
平成7年度末 ア 12,043 8,161 3,141 739 4,640 3,376 28 668
平成8年度末 12,657 8,554 3,551 552 5,434 3,859 30 908
平成9年度末 14,224 9,391 4,029 804 5,995 4,663 33 1,019
平成10年度末 イ 14,989 9,828 4,612 999 6,080 5,080 34 1,070
増加数
  イ−ア
2,946 1,667 1,019 260 1,440 1,704 6 402
資料 沖縄県農林水産部資料「認定農業者等に対する農用地の利用集積状況」による。
(備考)認定農業者
    農業経営基盤強化促進法第12条に基づき農業経営者が農業経営改善計画を市町村に提出し、市町村からその計画が適当であるとして認定を受けた農業経営者

    農業経営改善計画に記載すべき事項
    ・農業経営の現状
・農業経営の規模拡大、生産方式の合理化、経営管理の合理化、農業従事の態様の改善等の農業経営の改善に関する目標
・前号の目標を達成するためとるべき措置   等

 また、沖縄県農林水産部は農地利用集積を推進する一環として、平成11年11月〜12年3月にかけて農業振興地域整備計画を定めている市町村(48市町村)において、農地の貸借や売買等に関するアンケート調査を実施(うち4市町村は未実施)した。
 その調査結果(一部抜枠)は、農家意向調査集計表(表3)のとおりとなっているが、農地出し手の意向と農地受け手の意向を見た場合、この調査からは700ha程度の農地が流動化の実現性が高いものとして考えられている。
備考 農地流動化の実現性が高いものとして評価される農地
 農地出し手の意向 表3のa.+b.668ha
 農地受け手の意向 表3のア+イ 737ha
 また、沖縄県農林水産部がこの意向調査に基づき農地流動化の意向について4つのタイプを定めて(表4)、市町村ごとにタイプ別に分類を行ったところ次のような結果となっている(表5)。
表3 農家意向調査集計表
単位 面積:ha
農地の出し手 (1)+(2)+(3) 1,265 農地の受け手 ア+イ+ウ 1,630
内訳 相手方を確保済みの農地 (1) 375 内訳 同 左 ア 437
相手方の確保が見込まれる農地 (2) 293 同 左 イ 300
相手方の確保が困難な農地 (3) 599 同 左 ウ 895
資料 沖縄県農林水産部資料による。
(注)計数整理の関係で合計と内訳は一致しない。

表4 農地流動化のタイプ分類表(沖縄県農林水産部による)
Aタイプ 農地の出し手または受け手の面積が農用地面積の1%以上で、受け手が多い場合
Bタイプ 農地の出し手または受け手の面積が農用地面積の1%以上で、受け手と出し手の均衡がとれている場合(1.5倍以内)
Cタイプ 農地の出し手または受け手の面積が農用地面積の1%以上で、出し手が多い場合
Dタイプ 農地の出し手または受け手の面積の農用地面積の1%以下の場合

 沖縄県農林水産部では、今後の集計結果のデータベース化を行い、各関係機関との情報の共有化を計ることとしている。
 なお、沖縄県農林水産部では、農地流動化を推進するうえでの課題や問題点をいくつか挙げているが、その中から一部を紹介する。
(1)農業従事者の高齢化の進展により、農地の受け手が不足していること。
(2)都市部の周辺部を中心に、都市化の進展による土地価格の値上がりの期待感から資産保有意識が強く、第三者に農地を貸すよりは耕作放棄を選択していること。
(3)土地改良事業等の実施等による農地の整備が充分に進んでいない地域があること。
(4)沖縄特有の「預け・預かり」といった慣行的な親戚知人間の農地管理委託が行われている場合には、あえて法的手続きを経る必要性を感じていないこと。
(5)離島部においては不在地主が多く、利用権設定等の法手続きを行うためには労力と費用がかさむこと。
(6)農地法の許可等の法手続きを経て農地を貸したら返してもらえなくなる、また、離作料を求められることを心配する所有者が多いこと。
(7)兼業先が少なく安定兼業農家が少ないことや、離島という地理的条件等から高齢専業農家が多いため、農地を出す条件が弱いこと。

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