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地域だより[2002年3月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2002年3月]



札幌事務所



「高品質てん菜づくり講習会」 の開催

 社団法人北海道てん菜協会主催の 「高品質てん菜づくり講習会」 が、2月5、6、7、8日に、千歳 (千歳市農民研修センター)、池田 (池田町田園ホール)、女満別 (女満別町研修会館)、美瑛 (美瑛町民センター) の4会場において、約900名の生産者、農協、糖業関係者が参加して開催された。
 この講習会は、毎年てん菜の育苗前に、生産者等を対象に高品質てん菜の安定生産を目的として実施されているもので、元年度から行なわれている。10年度からは、砂糖生産振興事業の 「てん菜省力化・安定生産推進事業」 の一環として行なわれている。
 各会場においては、主催者の挨拶、原料てん菜の受渡し・糖分測定における立会業務の功労者に対する表彰式に続き、次の各講演が行われた。
 農林水産省生産局特産振興課からは、「砂糖・甘味資源作物をめぐる事情」 と題して、制度改正が行われた背景、糖価調整制度の仕組みや砂糖生産振興資金を活用した国内糖価の引下げ措置等の 「新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱」 の推進状況についての説明があった。
 北海道農業協同組合中央会からは、「コスト削減に向けた関係者の協同した取り組み」 の中で、現在実施されているものとして、
 (1) 立会人の合理化 (試行)、
 (2) 原料てん菜に対する糖業の概算払の廃止 (糖業の金利負担の削減)、
 (3) 砂糖生産振興事業の 「新ビート産業将来ビジョン実現推進事業」 による JA 営農指導の強化 (40農協で試行的に実施)、
 (4) 種子供給体制の合理化 (北糖糖区にホクレンのアーベントを導入)、
 (5) 砂糖生産振興事業の 「原料糖需要開発・加糖調製品対策事業」 による国内産ソルビトール調製品の製造・販売、
 (6) てん菜原料糖の一元的販売のため、糖業3社による 「てん菜原料糖株式会社」 の設立についての説明が行われた。
 これからの取組としては、
 (1) 中間受入場等の整理・合理化、
 (2) 現在制度のなかでみている原料てん菜の集荷運賃の負担のあり方、
 (3) 工場副産物 (遊離土・ライムケーキ) 処理対策についての検討が挙げられた。
 関係者が今後てん菜製造コスト削減を推進して行くにあたり、製糖企業のみならず、農協、農家においても役割分担を見直し、関係者の協同した取組みを行う必要があると述べた。
 各農業試験場からは、「平成13年のてん菜生育を振り返って」 と題し、13年の収量・気象・生育推移、最近の品種、直播栽培技術体系、そう根病についての説明や 「てん菜ほ場をよく観察し適切な防除をすること」 などを例に挙げて、てん菜栽培についての基本技術が紹介された。
 また、十勝農業試験場からは、上記の講演に加えて、「これからのてん菜機械化栽培体系」 と題し、農作業の機械化は機械作業における必要人数を極力1人で賄えるようにする (ワンマン作業を可能にする) 等が目標であることや高性能農業機械の導入あたっての注事項等について説明がなされ、5から10年後の重点研究課題と技術開発目標が示された。
 北海道立食品加工研究センターからは、「砂糖の加工利用に関する研究及び活用」 として、砂糖に関する商品の研究開発事例が報告された。
 開発事例としては、
 (1) 製糖工場から取り寄せたロージュース 注1) を、加熱、発酵阻害物質等除去、ろ過、発酵、蒸留、10年間の熟成・保存し、商品化された 「甜菜酒」。
 (2) 道産のハスカップを乳酸カルシウムで添加した糖液に浸すことにより、干しハスカップとしての製品化の成功事例等の紹介があった。
 生産者と農業改良普及センターからは、「てん菜栽培優良事例」 として、過去数年において平均以上の糖量 注2) をあげている恵庭市の尾崎一雄氏、池田町の美濃広由氏、小清水町の坂田秀昭氏、美瑛町の大西宣充氏からの報告とそれに対する各地区の農業改良普及センターからの補足があった。
 各生産者は、基本的に糖業者、普及センター、農協の指導のとおり栽培管理を行っているが、それ以外に、尾崎氏は病害防除やほ場の排水対策、美濃氏は強い苗作りのための育苗管理、坂田氏と大西氏は地力増進のための土づくりとそれぞれに重点をおいて栽培しているとのことであった。
 各会場とも多数の生産者・糖業関係者が熱心に聴講する姿が見られたが、コスト低減に関する厳しい話もあり、真剣な講習会となった。
 この講習会が今年のてん菜の安定生産につながることが期待される。
注1) 細かく切ったてん菜から、温水中に糖分をさせた糖液
注2) 収量×根中糖分


横浜事務所



平塚菓子展示会 (神奈川) 〜和菓子まつり〜

 平塚菓子商工組合 (平塚市内の44の菓子店が加盟) 主催による第15回平塚菓子展示会 「和菓子まつり」 が、2月7日(木)から12日(火)まで、ひらつか市民プラザにおいて、消費者が生活のなかで和菓子を再発見してもらうことにより、和菓子の需要増進を図る目的で開催され6日間で約5,000人の入場者が訪れた。  会場は、各和菓子店自慢の工芸菓子展示、生菓子展示、さくら餅・生菓子の実演、即売品、昔懐かしい駄菓子即売などの各コーナーが設けられ、生菓子の実演と即売品コーナーの人気が高かった。  期間中の9日(土)と10日(日)には、それぞれ午前と午後に無料の和菓子教室が開催されたが、毎回申込者が多くてお断りしたとのこと。「生菓子の梅」 を作る和菓子教室では、講師である和菓子職人から受けた説明のとおりにはなかなかできない和菓子作りに、四苦八苦しながらも、自分の作品が出来上がると満足そうに喜んでいた子供の姿が印象的であった。  同組合長の加藤氏に今後の話を伺ったところ、「和菓子祭りは11年までは同市観光課と共同で2〜3年おきに開催していたが、12年からは同菓子商工組合単独で、場所も市民プラザに変えて開催している。来場者からは、好評を得ているため来年以降も行う予定である。消費者の 『和菓子ばなれ』 は感じないが、後継者不足と大手の菓子屋による安い輸入あんを使った低価格菓子の販売のため、加盟の菓子屋が売上げに影響を受けていることが悩みである」 ということであった。  なお、和菓子まつりには、平塚市の花である 「なでしこ」 の名をもらった 「平塚なでしこ名菓会」 (地元のもなか菓子店30店が加盟) も協賛して、各店の名菓をお土産用として展示し花を添えていた。  今後も市民に定着した和菓子まつりが続くことを願いたい。
和菓子教室
和菓子教室
平塚なでしこ名菓会
平塚なでしこ名菓会

“あつまれ” ふるさとの豊かな食

 かながわ新鮮市実行委員会主催による 「第3回かながわ新鮮市〜ふるさとの豊かな食〜」 が2月8日(金)から10日(日)まで横浜産貿ホールで開催された。
 この新鮮市は、神奈川県内で生産・加工されたものをかながわのブランド品として県内の農林水産物及び加工食品等の展示・即売を通じ、生産者・流通業者・製造業者と消費者の交流促進、県内の産物を原料とする商品開発の促進及び振興を目的としたもので、入場者数は約2万6千人であった。
 会場は、お花・海産物・農産物などの加工食品の展示・即売、にぎわい広場のチャリティー試食イベント、ふれ愛などの各コーナーにわかれ、会場内には即売品を買い求める人々でにぎわっていた。
 協賛出展者である神奈川県菓子工業組合では、「だんごの材料のもち米100%の使用は、菓子業者にしてみればあたりまえであり、あえて100%の表示は必要ない。だんごが3日間もやわらかいのは何か入っているためであり、硬くなったりカビが生えるのは純粋な証拠である」 などの例を挙げて、和菓子に対する誤った考えの払拭に努めていた。
 ふれ愛コーナーでは、相模原市の農家の主婦による 「酒まんじゅう」 の実演が行われ、「昔は相模原市近郊の娘さんは 『うどん』 と 『酒まんじゅう』 を上手に作れないと嫁には行けなかった」 などとユーモアをまじえて作り方を説明し、配られた酒まんじゅうの美味しさに多くの人々が笑みをこぼしていた。
 なお、開催事務局 (神奈川県) の協力により、同イベントのインフォメーションコーナーにおいて事業団制作のパンフレット 『砂糖のあれこれ 〜お砂糖 Q & A〜』、『やさしさとうれしさ』、『砂糖は安心な自然食品〜砂糖の 「本当」 を知る〜』 を配布したところ、パンフレットを持ち帰った人々が、砂糖の誤ったイメージを見直し、今後の食生活に役立ててもらえれば幸いである。
神奈川県菓子工業組合
神奈川県菓子工業組合
酒まんじゅうの実演中
酒まんじゅうの実演中

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「からすみ」 〜岐阜県中津川市〜

 一般的に 「からすみ」 という名称から何を想像するであろうか。ボラの卵巣を塩蔵した珍味、あるいは中国産の良質な墨であるかもしれない。

「からすみ」 とは
 中津川市は、栗きんとんに代表される有数の菓子所であるが、市内を歩くと必ずと言って良いほど見かけるのが 「からすみ」 の文字である。
 今回紹介するからすみは、東濃地方 (岐阜県東部) (注) の家庭に古くから伝わる米粉と砂糖を使った伝統菓子である。からすみの形は山の形を模した独特のもので、一説には、恵那山の形を模したともいわれている。同市で、現在でも昔のままの作り方でからすみを作っている波多野製菓の波多野かずよし氏にからすみの事情を伺った。
 波多野氏によるとからすみは、戦前この地方の裕福な家庭の菓子として作られていた。その後、多くの一般家庭で作られるようになったが、味や作り方にそれぞれの家庭の個性があり、ご近所や親戚でお互いに分け合う習慣があったようである。現在ではからすみを作る家庭は少なくなっているという。
 からすみの名前の由来および発祥は、残念ながら明らかになっていない。市の観光課や郷土史家がその由来を何度か調査したが、その語源が外見にあるのか、事象にあるのか、未だ有力な説はないようである。
 中津川市は和菓子に関して規模の小さい老舗が多い地域であり、5社が現在からすみを製造販売している。いずれも菓子製造業としては小規模である。大手菓子製造業者が同市でのからすみの製造、販売を計画したこともあったが、からすみの需要が東濃地方に限られており、新たに参入しても、機械導入によるコストメリットを実現するだけの販売量の確保が期待できないことから、製造販売業者が増える状況には至っていない。

ひな祭りとからすみ
 通年見かけることのできるからすみだが、多くの家庭で食べられるのがひな祭りであり、菱餅と一緒に供えられる。この地方のひな祭りは月遅れの4月3日に行われる傾向が強く、「がんど (強盗) 打ち」 と呼ばれるひな祭りの行事があった。子供たちはおひな様を飾ってある家を回り、「ひーなさまみーしとくれー」 と供えてある菓子をもらい歩くというほほえましい行事も戦後になってからは土びなとともに姿を消すようになり、現在では益田郡を始めとするわずかな地域で見られるにすぎない。

からすみの製造方法
 製造方法は、業者や家庭によって多少異なることが多いが、ここでは、波多野氏のからすみの作り方を紹介する。主原材料は、米粉、上白糖であり、ほかに、風味に変化をもたせるための素材としてヨモギ、クルミ、黒糖等が用いられる。
 からすみ作りは、(1) 約4リットルの熱湯に上白糖3.75kgを加えて軽く沸騰させ、柄杓 (ひしゃく) であくを取る。
(2) 米粉3.75kgを加えてへらで練り、タネを作る。上白糖と米粉の量は等量で加えるが、熱湯の量は季節に応じて調節する。これらの量とタイミングを間違えると米粉がダマになったり仕上がりが変わってしまったりする。
(3) 布巾を敷いた蒸かごにタネを入れて30分間蒸す。蒸しあがったタネにヨモギ等を加え、むらがなくなるように機械で練る。
(4) からすみの木型にぬれ布巾を敷き300g のタネを入れて形を整え、さらにタネの上に経木を敷いて取り出す。
(5) 再度蒸し器で30分間、蒸し上がったからすみを裏返して粗熱を取る。放熱用の棚に移した後、十分に冷ますために一晩おいて、翌日ポリエチレンのシートで包装する。
 ようかんのように切ってそのまま食べるのが、からすみの一般的な食べ方だが、焼いて食べるのもまた一興であるそうだ。

からすみを取巻く環境
 からすみの販売量は、近年嗜好品全体の種類が増えてきたこと、甘いものを避ける風潮が強くなってきたことなどから減少してきており、現在はピーク時の2割程度まで落ち込んでいる。また、名古屋市近郊ではういろうと競合してしまうことや、遠方の地域ではからすみに馴染みが浅いことなどから東濃地方以外への販売先の拡張が難しいことも販売の減少に拍車をかけているようである。
 東濃地方の家庭の食卓に登場する機会が減ってきたからすみであるが、観光資源としての活用を図る動きもいくつか見られる。中津川市では、観光課の中に 「中津川ブランドクリエイション事務局」 を設け、特産物である民芸品や中津川の銘菓の振興を図っているが、からすみもこの対象となっている。また、からすみの木型は中津川の観光案内所等で販売されている他、恵那郡にあるかんてん村パークでは、からすみ作りの体験コースが催されている。
 このようにからすみを取り巻く環境は厳しいが従来とは違った観点でからすみが評価される可能性もある中で、今後の展望を波多野氏に伺ったところ、「できるだけ昔の作り方を守り、この地方独特の素朴な味わいを残していきたい」 と東濃地方に伝わる伝統菓子を大切に守る気持ちが強く伝わってきた。
(注) 東濃地方:岐阜県多治見市、可児市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市を中心とした郡部を含む地域。
もうもうと湯気をたてるタネ
もうもうと湯気をたてるタネ
形の整った「からすみ」
形の整った 「からすみ」
蒸かごに並べる
「からすみ」 を蒸かごに並べる
皿に盛った「からすみ」
皿に盛った 「からすみ」
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「砂糖科学会議 〜甘味としての砂糖〜」 が広島で開催

 1月29日(火)、広島市において、(社)糖業協会、精糖工業会及び砂糖を科学する会主催により 「甘味としての砂糖」 をテーマとする砂糖科学会議 (会場:広島国際会議場) が開催された。主催者では、昨年9月より砂糖消費拡大推進事業の一環として消費者への直接的な情報発信窓口である医師、栄養士、看護婦、衛生士などの専門家を対象に砂糖の正しい知識を提供し、砂糖に関する誤解を学術的に払拭することを目的として、砂糖科学会議を全国主要都市で開催してきており、今回の広島開催をもつて通算4回目となる。
 会議は、第1部として井川佳子氏 (広島大学大学院教授 学術博士) の講演 (甘味嗜好を探る) 及び菅原芳明氏 (県立広島女子大学教授 理学博士) の講演 (“食べる” ということ 〜糖代謝、エネルギー、味、匂い〜) があった後、第2部はパネラーとして第1部の2人の講演者に座長の橋本 仁氏 (糖業協会理事 農学博士) が入ってのパネルディスカッションが行われ、活発な議論があり、参加者は140名と盛況であった。
橋本仁博士の開会挨拶
座長橋本仁博士の開会挨拶
パネルディスカッション
活発な議論が続くパネルディスカッション

井川教授の講演内容
 長年、学生に食物学、調理学を教えてきた中で、最近世の中全体がうす味嗜好にあるためか、甘いものを減らす学生が増えてきていることに興味をもち、数年前から甘味嗜好の全体像を調べてきた。実際に糖溶液を用いた官能評価による嗜好ランキングの結果や甘味に対する感情、意識、消費、自己認識を調べたアンケート調査結果をパネルで紹介し、各種視点から考察した。
 ヒトは基本的に5種の味 (塩味、甘味、酸味、苦味、旨味) を味わい分けており、特に甘味に対しては幼少時 (生後5〜7日) から受容に積極的であるが、離乳期以降は新規な味や食感を経験しながら個人の食嗜好を形成していく。
 この経験の中には食物やそれに付随するさまざまな情報、例えば味だけでなく食べたときの気持ち、栄養的知識、社会での評価が含まれている。甘味がエネルギーと結びつきやすいことや、糖類が虫歯の原因であるとみなされていることは、甘味の摂取抑制という態度を助長し、甘味に対するヒトの行動を複雑なものにしている。生理的に受容しながらも、甘味の摂取に後ろめたさを感じたり、甘いものが好きだと言いながら、かなり低濃度の糖溶液を選択したりする。甘味嗜好はもともとヒトの行動を複雑にする側面があることや年齢、性によっても影響を受けるものであると考えられている。

菅原教授の講演内容
 砂糖は、化学的にブドウ糖 (別名グルコース) と果糖 (フルクトース) と呼ばれる2つの単糖が結合した2糖類物質で、食べるとスクラーゼという酵素により2つの単糖 (ブドウ糖と果糖) に分解された後、小腸上皮で吸収されてわれわれの体の大切な栄養源となる。一方、米やパンなどのでんぷん質は、ブドウ糖がたくさん結合した多糖類で、食べると唾液などのアミラーゼにより分解され、さらに小腸でブドウ糖に分解されて吸収される。結局、砂糖を食べても米を食べても単糖に分解されて吸収される。これらの “食べる” という日常的なことを各種の文献・資料を用いて 「糖代謝」 「エネルギー」 「味」 「匂い」 の4つ視点から考察した。糖代謝及びエネルギーの面では、ブドウ糖の燃焼反応式があり、これから砂糖のエネルギー量を把握することが可能となる。
 第2部のパネルディスカッションにおいては、参加者の質問に答える形で進められ、砂糖は具体的にどのくらい摂取しても有用であるのかなどの活発な議論に対して橋本氏は、「現在、日本人は1日当たり50g の砂糖を摂取しているが、アメリカでは1日当たり120g 摂取している。少なくとも現状の日本人摂取量の倍は大丈夫である」 と締めくくった。




『見る、創る、食べる、楽しむ祭。菓子まつり in 岡山2002』 が開催

 2月2日(土)、3日(日)の両日、岡山市の “コンベックス岡山” において 『菓子まつり in 岡山2002』 (主催:岡山県菓子工業組合) が開催された。
 岡山県菓子工業組合には現在約200社が加盟し、今回のイベントは同組合の青年部が中心となって企画し1年間の準備期間を経て実現した。事業目的は 「日本の伝統的な文化である和菓子を消費者にアピールし、業界の活性化を図ること」 であり、会場には2日間で約15,000人の来場者が訪れ、和菓子本来の魅力 「見る・創る・食べる」 の3つの楽しみを実感した。
 和菓子の展示コーナーでは、岡山県各地の銘菓の紹介や様々なまんじゅう・ようかんなどが展示即売され、お気に入りの和菓子を見つけては試食する来場者に笑みがこぼれ満足そうであった。
 また、思わず手を伸ばしたくなるような上品で色とりどりの上生菓子 「岡山白桃 (はくとう) ゼリー」、「赤米吉備団子 (あかまいきびだんご)」、「雪舟もなか」 及び 「くら屋敷」 など岡山を代表する作品に多くの来場者が魅了された。
 人気を集めた和菓子体験教室では、約100組の家族連れらが参加し、菓子職人のていねいな指導を受けながらツバキ、梅、菜の花の生菓子の完成をめざした。子供たちの中には和菓子のもとになる生地を 「粘土みたいね」 と手でこねるなどして、悪戦苦闘しながらお菓子作りにチャレンジするほほえましい姿も見受けられた。各参加者は、作り上げた3種類の作品をその場で試食したり、記念に持ち帰ったり、思い思いに楽しんでいた。
 この教室を指導した菓子職人さんは、「自分で作った和菓子に愛着をもつ職人の気持ちが少しでもわかっていただけたと思う。苦心してこの体験教室の準備をしてきたので、この催しが消費者の和菓子に対する関心を少しでも高めるきっかけとなってくれればありがたい」 と話してくれた。



鹿児島県南西諸島 (屋久島を除く) の農業粗生産額について

 九州農政局鹿児島統計事務所は、毎年、鹿児島県の農業粗生産額を発表している。このほど2000年の統計が発表されたので、その中から鹿児島県南西諸島 (屋久島を除く) の農産物、特にさとうきびを中心とした粗生産額の動向を紹介する。
 2000年の南西諸島全体の農業粗生産額は、4,158千万円で前年に比べ4.3%増加した。さとうきびは1,214千万円で、前年に比べ54千万円 (4.3%) 減少した。これは、生産量が台風被害等のため減少したためである。別表の粗生産額の推移から明らかなとおり、さとうきびは南西諸島全体の農業粗生産額の約1/3を占め、この地域にとって重要な基幹作物である。さとうきびは他の農産物と違い、島内の甘しゃ糖工場で原料糖に加工された後、島外に移出されることから、農家の収入の安定だけでなく製糖業を通じて島の経済の活性化に大きく貢献している。その経済効果は3倍とも4倍とも言われている。
 参考に各島ごとの農業粗生産額の部門別構成比を図で表わした。種子島、奄美大島、喜界島、徳之島でさとうきびは1位を占め、特に喜界島、徳之島で高い比率を示している。沖永良部は花き (きく、ゆり) の生産が盛んであり、与論島は肉用牛がさとうきびと並んで大きな構成比を示すなど島ごとの農業の特性が表れている。

鹿児島県南西諸島 (屋久島を除く) の農業粗生産額
(単位:千万円、%)
  1996 1997 1998 1999 2000
生産額 割 合 生産額 割 合 生産額 割 合 生産額 割 合 生産額 割 合
農業粗生産額 4,147 100.0 4,127 100.0 4,189 100.0 3,988 100.0 4,158 100.0
 さとうきび 1,055 25.4 1,129 27.4 1,398 33.4 1,268 31.8 1,214 29.2
 肉 用 牛 558 13.5 556 13.5 591 14.1 591 14.8 632 15.2
 い も 類 518 12.5 472 11.4 453 10.8 477 12.0 580 13.9
 花   き 446 10.8 552 13.4 565 13.5 516 12.9 548 13.2
 野   菜 621 15.0 498 12.1 436 10.4 384 9.6 373 9.0
 そ の 他 949 22.8 920 22.2 746 17.8 752 18.9 811 19.5
(注)1 農業粗生産額は市町村別の農産物別生産数量に市町村別農産物別農家庭先販売価格を乗じて産出したもの
(注)2 各年右欄は各農産物粗生産額の割合
(注)3 さとうきび粗生産額は該当年産に収穫されたもの

種子島 奄美大島
喜界島 徳之島
沖永良部島 与論島

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