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地域だより[1999年5月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[1999年5月]
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○第5回JA全農 「食」 フォーラムの開催

 平成11年4月10月(土)、有楽町マリオン朝日ホールにおいて、「第5回JA全農「食」フォーラム」が開催された。今回のテーマは、「わたしが21世紀に残したい日本の食」と題し、日本の風土や食生活、環境を含め広い意味での食の位置づけが強調された。会場は定員650名を越す一般参加者で埋め尽くされた。
 第1部は、作家で元共同通信記者の辺見庸氏が、「食と光と影―21世紀を見据えて」と題し基調講演が行われ、日本における食料の現状を分析した。「ダッカ(バングラデシュ)やバンコク(タイ)で見かけた飢えた子供達と東京の中央防波堤の残飯に群がるユリカモメ」という相対する光景を例に挙げ、食を問い、「輸入に頼ることが当たり前になった日本の食の風景は歪んでいる」と指摘した。
 第2部のシンポジウムでは、作家の嵐山光三郎氏が、「経済効率だけを考えて農業を疎かにしてきた報いが飢餓として日本にもやってくるのではないか」と予見し、農業を営む新開玉子氏は、生産者の立場から、「おいしくて安全な食を提供し、日本の農業の伝統を次世代に受け継いでいきたい」と述べ、管理栄養士の本多京子氏も両氏の意見を全面的にバックアップ、「安全な食のすすめを説いていきたい」と強調していた。

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○平成11年産青梅の作柄調査

 氷砂糖の主な用途は果実酒、果実シロップの製造である。中でもその代表である梅酒、梅シロップに使用され、例年青梅の作柄と氷砂糖の販売量とは密接な関係にある。
 氷砂糖大手製造メーカーである新光製糖(株)(大阪市)は、この度、平成11年4月8日(木)、平成11年産青梅の作柄を把握するため、主要生産地である和歌山県南部川村(みなべがわむら)において、現地調査を行った。同村における今年の梅の満開時期は2月15日で、前年度に比べて3日程早かったが、天候に恵まれたことから、蜂蜜の活動が活発で受粉状態は良好であった。結果数(青梅の総果実数)では、平地、傾斜地にバラツキ(昨年の台風で樹の根に被害を受けた)が見られるとはいえ、総じて生育は順調であり、青梅の生産量は前年度を上回るものの、平年並みか又はそれをやや下回る見込みである。
 一方、群馬県の作況については、主要生産地域が北向きの傾斜地ということから、平地に比べて開花時期が遅くなるが、今年は例年より3日ほど早く開花し、現在は花が散って間も無いという状況から、今後の生育は、霜やあられ等の天候次第となるが、現在までのところ天候にも恵まれ順調な滑り出しとなっている。
 平成9年産の青梅の作柄は、主要生産地である和歌山県が大豊作(75,800トン)であったことから、全国計では史上最高の136,200トンを記録した。
 平成10年産については、全国的な天候不順等が災し、和歌山県48,600トン、全国計98,600トンと大幅な減産となった。
 平成8年産は、O-157対策から梅干しの在庫が一掃されるほどの大幅な需要の増加が見られたことから、平成9年産青梅の多くは梅干し用に回ったため、作り過ぎとなり越年の在庫を抱えることとなった。平成10年産は、平成9年産の梅干しの繰り越し在庫が多いことから、青梅の梅酒用への使用が増加すると見込まれたが、青梅の減産と主に梅シロップ、梅ジュース等加工用に仕向けられたことから、梅酒用向け青梅の出回り量は少なく、青梅の市場価格も例年に比較して高水準で推移した。
 平成11年産の青梅の生産は、今のところ順調だが、氷砂糖の販売量との関係からも今後の作柄が注目される。

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○長崎街道と北部九州の菓子

 3月上旬、佐賀、長崎両県の砂糖特約店で砂糖の販売動向について伺った際、菓子屋向けの販売は砂糖消費が減少する中でもあまり落込みがないということを度々耳にした。長崎県ではカステラ、佐賀県ではマルボーロや羊羹など、九州を代表する菓子の売行きは、菓子全体(全国)の消費が落ち込むなかでも依然として健在であるという。これは、九州という土地柄、他の地域に比べ、お客を訪問する際の贈り物や、お盆などお供え物に甘い菓子が使われるという昔ながらの風習がかなり残っているためだといわれてる。
 訪問した特約店を後にし、足を伸ばして訪ねた長崎街道(ながさきがいどう)沿いの小城町(佐賀県)では羊羹の看板を掲げる菓子店舗が多いのに驚かされる。長崎から九州の小倉までつながる長崎街道は別名、「砂糖街道(シュガーロード)」と呼ばれ、北部九州の菓子を語る時に長崎街道の名前がよく登場するのはこのためである。長崎街道は、鎖国時代に唯一海外に門戸が開かれた長崎を起点とし、大阪や江戸に通じていたため、人や物の往来により栄えた道であった。当時、砂糖は国内での生産がほとんどなかったため大変な貴重品であったが、地元の長崎県や佐賀県などでは稀少ながらも比較的入手し易かったのではないかと考えられる。この街道沿いに砂糖を使った菓子の製造技術が外国から伝わり、現在まで大切に伝えられ、現代の多くの人々に好まれ、食されているといえる。長崎県のカステラや佐賀県のマルボーロは、南蛮渡来の焼き菓子であるが、日本人に馴染みの深い羊羹も、元は中国人から伝えられたものであるという。
 一方、福岡県の菓子には、カステラやマルボーロと同じ焼き菓子の仲間である菓子が多くみられ、ルーツをたどると長崎県や佐賀県にさかのぼることが出来るものがあるという。この街道沿いで生まれたものが多く、特に明治時代以降、炭坑が華やかなりし筑豊地域で開花し、現在も福岡県や、はては全国的に親しまれている菓子が幾つかある。例えば、「鶏卵素麺」という郷土菓子もまた長崎県から伝わったといわれている。姿、形は違ってもその材料はカステラやマルボーロの製造と同様、砂糖と卵を主としたものであるという。このように、長崎街道に沿って砂糖とともに菓子製造技術が伝播されたという歴史上の事実には興味深いものがある。
(長崎街道についての参考文献)
 にしてつニュース3月号「九州にいきる砂糖街道」
 肥前の菓子 羊羹資料館((株)村岡総本舗発行)

長崎街道

○さとうきび種苗供給安定化対策検討会

培養ロボットシステム  平成11年3月29日(月)、徳之島において、「平成10事業年度さとうきび種苗供給安定化対策事業」(事業実施主体は、社団法人鹿児島県糖業振興協会)の検討会が開催された。
 本事業は、メリクローン苗の低コスト生産技術のための基礎試験として、大量生産技術、種苗貯蔵技術の試験を行い、生産技術の確立を図ることを目的としており、平成9年度から本団の助成対策事業として実施しているものである。
 検討会では、本年度の実績の検討と平成11年度及び今後の計画についての検討が行われた。
 今後、成長点から苗の培養→メリクローン苗の増殖→メリクローン苗から二芽苗の生産→二芽苗という苗の安定供給の実用化が期待されている。
 また、翌30日(火)には、奄美総合農業センターの敷地内に、同事業により設置が進められていた新種苗増殖技術実証施設の竣工式が行われた。これはロボットを使ってメリクローン苗の増殖を行う設備で、今まで人手に頼っていた株分け作業を自動化することにより、大量の種苗生産が可能となる。

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○平成10年産 沖縄県産さとうきび及び甘しゃ糖生産見込み

 平成11年3月末時点における平成10年産沖縄県産甘しゃ糖の製糖状況は、10社11工場のうち6社6工場が製糖を終了しており、4月中には全工場が操業を終える見通しである。
 平成10年産沖縄県産甘しゃ糖の生産数量は、甘蔗糖度及び製糖歩留りが前月号で掲載のとおり低い水準となっているものの11月から12月にかけて長雨と気温の高い日が続いたため、さとうきびの生産量は、当初見込みよりも増産となっていることから、前年産並の9万9千トン程度が見込まれている。

平成10年産 沖縄県産さとうきび及び甘しゃ糖生産見込み
  分みつ糖向け
さとうきび生産量
歩 留 り 産 糖 量
10.10.1
沖縄県庁見込み A
トン
865,611

11.58
トン
100.234
10.12.1
見込み B
 
856,000
 
11.50
 
98,100
11. 3. 1
見込み C
 
911,000
 
10.75
 
97,950
11. 3.31
見込み D
 
918,300
 
10.80
 
99,200
9年産実績 E 833,553 11.95 99,611
対前年増(△)減
    D―E
 
84,747
 
△ 1.15
 
△ 411
対前年比(%)
    D/E
 
110.2
 
90.4
 
99.6
(注)B、C及びDは、日本分蜜糖工業会の調査資料に基づく。

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