「美味しい "食" 生活フォーラム」 の開催
8月4日(金)、東京都千代田区の有楽町朝日ホールにおいて「美味しい“食”フォーラム」を開催した。当日は最高気温33度という厳しい暑さにもかかわらず525名もの参加者を数え盛況のうちに終了した。
同フォーラムは主催者である当事業団山本理事長の挨拶にはじまり、基調講演、パネルディスカッション、精糖工業会主催によるシュガーアートショーと続いた。
基調講演は服部栄養専門学校校長の服部幸應氏による「子供たちに伝えたい味と食文化」と題して行われ、服部氏は自ら「食育」の必要性を唱え、日本の学校教育における「知育、徳育、体育」の他に「食育」を加えたほうが良いと訴えた他、日本の食料自給率は他の先進国の中で最も低く、60%を海外から輸入している今日、無駄に捨てているものがいかに多いことか、私たちは考えなければならないと訴えた。また、砂糖においては誤解している人が多く摂取の方法をふまえれば問題はないとの見解を示した。
また、日本の食生活は他の国に例をみないほど、ここ30〜40年の間に急速に欧米化してきており、日本における生活習慣病がこのような食生活の変化によって引き起こされた可能性があるのではないかと示唆した。
続いてNHK解説委員中村靖彦氏、テレビキャスターの伊藤聡子氏、浜松医科大学医学部教授の高田明和氏、女子栄養大学教授の村上紀子氏、東京女子医科大学名誉教授の村田光範氏、服部栄養専門学校校長の服部幸應氏の6人による「食生活習慣を考える」と題したパネルディスカッションが行われた。
現代の食事情、日本の食文化と調味料、その中で特に塩と砂糖に対する意識、食習慣と健康、これからの食習慣等を医学、栄養学、料理、消費者の立場から活発な意見が出された。特に砂糖において伊藤氏は、一般的に砂糖を摂取すると太るというイメージがあるのではと述べ、高田氏からはブドウ糖が唯一の脳のエネルギー源であり、そのブドウ糖を摂取するためには砂糖が最も効果的であるということが紹介された。村上氏からは人間は本能的に甘いものを欲するものであり、それゆえどうしても甘いものを食べ過ぎるために砂糖が悪玉扱いされるのではないか等の意見が出されたほか、村田氏は砂糖が速効性のあるエネルギー源であることを紹介し、服部氏は、菓子文化における砂糖の必要性を訴えた。様々な情報が氾濫している中、正しい情報を伝えていくことや、本当のおいしさとは何かを考えることによって食文化の視野が広がるのではないかと締めくくられた。
最後は、シェフパティシェである辻口博啓氏による精糖工業会主催のシュガーアートショーが行われた。辻口氏によるとシュガーアートは自己表現するものとして魅力を感じているとのこと。会場はシュガーアートによる幻想的でしかも華やかな雰囲気に包まれフォーラムは終了した。