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人事院総裁賞(職域部門)の栄誉に輝く九州沖縄農業研究センターさとうきび育種研究部門

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


事業団から
[2002年1月]

 このたび、独立行政法人農業技術研究機構九州沖縄農業研究センター作物機能開発部さとうきび育種研究部門が、第14回人事院総裁賞を受賞されました。以下その受賞理由等について紹介します。

企画情報部


人事院総裁賞     顕彰理由


人事院総裁賞

 人事院総裁賞とは昭和63年、人事院創立40周年を記念して創設されており、多年にわたり同一の職種に従事して不断の努力を続けてきた職員、生活の著しく不便な地において労苦の多い勤務を続けてきた職員等、国民全体の奉仕者として強い自覚の下に地道に職務に精励し、公務の信頼を高めることに寄与した職員または職域グループに対して授与されるものである。
 授与式は12月5日(水)明治記念館において行われ、終了後、天皇皇后両陛下への拝謁式が行われた。
 今回の受賞に当たり、同研究部門の杉本明室長は 「受賞の大きな要因の1つに、地域との信頼関係の存在があると思う。試験地が地域・関係者の皆様に親しまれていることが大切であることを示しており、これはまさに地域・関係者総体としてのネットワーク受賞であると考えている」 と語っている。
 なお、杉本室長には、別記 「さとうきび栽培診断調査シリーズ」 の中心として、精力的に各地に出向いていただいているところである。


顕彰理由

 九州沖縄農業研究センターさとうきび育種研究部門 (種子島試験地) は、隔地試験地として種子島に所在し、支援職員8名を含め11名で、さとうきびの品種改良を行っている研究組織である。
 さとうきびは、過酷な気象条件に耐えるとともに、地力消耗の激しい亜熱帯地域の土壌肥沃度を維持する効果が大きいことから、南西諸島の最重要作物として長い栽培の歴史を有し、現在、普通畑面積の5割強、農家戸数の7割強、農業生産額では約2割を占め、製糖業など地域の関連産業への波及効果も大きく、島民の生活基盤を支えている作物である。
 同部門では、昭和41年にさとうきび育種を開始して以来、昭和47年に我が国最初のさとうきび新登録品種の育成を皮切りに、8品種を育成・普及し、南西諸島の基幹産業であるさとうきび作と地域経済の維持・発展を支えてきており、その功績は高く評価されている。
 まず、平成3年に同試験地が育成した 「NiF 8 (さとうきび農林8号)」 は、黒穂病等の重要病害や台風に強く、また、糖分と収量が高く、さらに、収穫作業も容易な優れた品種であり、種子島ではほぼ100%、鹿児島県では約67%と爆発的に普及した (平成11年度)。本品種の普及によって、作付の減少に歯止めをかけることができ、製糖工場の経営にも明るい展望が見られたため、平成7年度に種子島の熊毛地区糖業振興協会から感謝状が贈られ、平成8年度には研究室長が農林水産省職員功績者表彰を、技術専門職員が科学技術庁創意工夫功労者表彰を受けている。
 その後同部門は、従来の品種の収穫期間は1月から3月の短期間に集中していたが、早期収穫や晩期収穫が可能で、かつ、高糖性を備えた多収品種の育成に力を入れ、平成10年には 「Ni12」 を、平成12年には 「Ni14」 育成し、11月から4月下旬までを収穫可能な期間とした。これらの品種の普及により、大規模農家の育成、野菜作との輪作体系の確立による収益性の向上、自給飼料型畜産の展開や操業期間の長期化による製糖工場や収穫機械等の機械施設の利用率向上等が見込まれている。これらの研究成果により、平成11年には研究室長が熱帯農業学会学術賞を受賞している。
 最近では、さとうきびの高い光合成能力に着目し、合成植物による新しいバイオエネルギー作物・飼料作物の開発に取り組み、その成果は地球温暖化に関する京都議定書の目標達成に貢献する 「再生産可能なエネルギー源」 や、食料・人口問題解決に貢献する 「不良環境下での食料生産」 として世界的にも注目を浴びている。
 このように九州沖縄農業研究センターさとうきび育種研究部門は、離島・少人数という不利な条件を克服し、優れた研究成果を達成しており、南西諸島の産業、社会の維持、発展に顕著な貢献を果たし、もって公務の信頼の確保と向上に寄与している。



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