[2003年7月]
近年、加糖調製品の輸入の増加により、砂糖の需要量は減少傾向にあります。加糖調製品の中でも、砂糖に対する直接の代替品として使用されているソルビトール調製品について、流通、需要実態等を調査しましたので、概要について紹介します。
ソルビトール調製品調査結果
1. 調査概要
(1) 調査品目
Aソルビトール調製品とは、砂糖とソルビトールを混合したもので、ショ糖含有率が全重量の50%以上85%未満のもの。
B関税番号 2106.90‐510
C関税 基本税率30%、協定税率29.8%
※2001年1月より下記のとおり関税分類が改正された。
2106.90-289「その他の調製品」
↓
2106.90-510(砂糖を除く各成分のうちソルビトールの重量が最大のもの)
2106.90-590(その他)
(2) 調査内容
A流通実態調査
ソルビトール調製品の輸入業者(9社)、卸業者(20社)を対象に、ソルビトール調製品の仕入数量・価格、今後の需要の見込み等についてのアンケート調査を実施。
B需要実態調査
ソルビトール調製品を使用しているユーザー(26社)を対象に、ソルビトール調製品の仕入数量・価格、使用状況等について委託調査(聞き取り調査)を実施。
(3) 今回の調査による把握数量(2002年仕入数量)
A流通実態調査 62,945トン(充足率89%)
B需要実態調査 14,392トン(充足率20%)
注)充足率は、2002年の輸入数量70,973トンに対する割合。
2. 日本への輸入状況
2002年の輸入は、全量が韓国及びタイを原産とするものであり、2002年における韓国からの輸入数量は35,000トンで全体の約49%を占め、タイからは36,000トンで全体の約51%を占める。
2002年における韓国からの輸入価格(CIF価格)は50円/kg、タイからの輸入価格(同)は55円/kgとなっている。
図1 「ソルビトール調製品(その他調製品)」(2106.90-510)の輸入動向 |
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資料: |
日本貿易月表 |
注: |
2000年までの数量と単価は、「その他調製品」(2106.90-289)の数値
2001年以降の数量は、「ソルビトール調製品」(2106.90-510)と「その他」(2106.90-590)の数値
2001年以降の単価は、「ソルビトール調製品」(2106.90-510)の数値
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図2 「ソルビトール調製品(その他調製品)」の韓国及びタイからの輸入動向 |
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資料: |
日本貿易月表 |
注: |
2000年までの数量と単価は、「その他調製品」(2106.90-289)の数値
2001年以降の数量は、「ソルビトール調製品」(2106.90-510)と「その他」(2106.90-590)の数値
2001年以降の単価は、「ソルビトール調製品」(2106.90-510)の数値
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3. ソルビトール調製品のユーザー
ソルビトール調製品を使用しているユーザーは、菓子類(グミ、わらびもち、団子、せんべい等)、パン類(蒸しケーキ、菓子パン等)、調味料類、漬物、佃煮・煮豆、水産練製品、珍味(イカの薫製)等多岐にわたる分野で使用されているものの、使用可能な分野にはほぼ浸透した感があり、今後、新分野の需要は考えにくい。
ソルビトール調製品の使用量が増加しているユーザーがある一方で、調製品を使用した製品の需要減、ソルビトール表示を嫌う等の理由により使用量が減少しているユーザーも前回調査に引き続き現れてきている。
4. 取扱傾向の全体像
ソルビトール調製品のユーザーに対して取扱傾向を調査した結果は、次のとおりであった。
ソルビトール調製品の使用量についてみると、2001年1〜12月は、ユーザー22社のうち、8社が対前年増加(うち10%以上の大幅増が7社)、7社が減少(いずれも10%以上の大幅減)、7社が横ばいとなっている。
また、2002年1〜12月は、ユーザー26社のうち、9社が対前年増加(うち大幅増が7社)、13社が減少(うち大幅減が11社)、4社が横ばいとなっている。
さらに、1998年1月〜12月と2002年1月〜12月を比較した場合、ユーザー17社のうち、増加が5社(いずれも大幅増)、10社が減少(うち大幅減が9社)、2社が横ばいとなっている。
使用量が増加したという企業での要因は、ソルビトール調製品を使用した製品自体の売上が増加したことや、使用する製品の拡大となっている。
使用量が減少したという企業での主な要因は、製品自体の売上減少に伴うものである。特に水産練製品の分野においては、売れ行きの減少に加え、輸入品が急増し国内での生産が減少していることにより、他の分野に比べて減少が目立っている。
また、5社においてソルビトール調製品から砂糖への回帰が見られた。その要因としては、ソルビトールの溶解性が悪いこと(パンメーカー)、消費者のソルビトールに対するイメージが悪いこと(菓子メーカー、漬物メーカー)、工場設備の都合上ソルビトールと砂糖をそれぞれ仕入れることにしたこと(菓子メーカー)等があげられる。
表1 ソルビトール調製品使用量の増減(単位:社) |
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01年/2000年 |
02年/01年 |
02年/98年 |
増 加 (うち大幅増) |
8 (7) |
9 (7) |
5 (5) |
横ばい |
7 |
4 |
2 |
減 少 (うち大幅減) |
7 (7) |
13 (11) |
10 (9) |
計 |
22 |
26 |
17 |
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5. ソルビトール調製品の今後の需要見込み
輸入業者、卸業者及びユーザーに対して調査した結果は、以下のとおりであった。
卸業者、ユーザーにおいては前回と同様「変わらない」が最も多かった。一方、輸入業者においては前回と同様に「減少」が最も多くなっている。また、「減少」の理由として、砂糖との価格差の縮小、ソルビトールという表示に対するイメージが悪いこと、安心・安全をアピールするため国内製品の使用、他の代替甘味料(トレハロース、マルチトール、スクラロース)への移行、製品自体の売上減少をあげている。
表2 ソルビトール調製品の今後の需要見込み |
(単位:社) |
|
輸入業者 |
卸業者 |
ユーザー |
前回調査 |
今回調査 |
前回調査 |
今回調査 |
前回調査 |
今回調査 |
増加する
変らない
減少する
|
2
4
5
|
0
6
3
|
3
11
5
|
1
16
2
|
1
13
5
|
4
13
9
|
合計 |
11 |
9 |
19 |
19 |
19 |
26 |
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6. ソルビトール調製品への品質等の評価
(1) 輸入業者・卸業者
ソルビトール調製品のウィークポイントとして最も多かったのは、「ソルビトールの表示による商品イメージの低下」で29社中14社、「異物混入等の心配」が5社、「アフターケアが期待できない」が4社、「味が落ちる心配」が3社、「供給が不安定」が1社となっている。
表3 ソルビトール調製品のウィークポイント(複数回答) |
(単位:社) |
|
輸入業者 |
卸業者 |
計 |
1.味が落ちる心配 |
1 |
2 |
3 |
2.品質面のばらつきがある |
0 |
0 |
0 |
3.異物混入等の心配 |
2 |
3 |
5 |
4.供給が不安定 |
0 |
1 |
1 |
5.アフターケアが期待できない |
1 |
3 |
4 |
6.ソルビトールの表示による商品イメージの低下 |
5 |
9 |
14 |
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改善点に関する自由回答の問いに対しては、「紙袋の質が改善された」と評価する社がある一方、「外装袋のシール不良がある」、「破袋、油汚れが付着している場合がある」、「紙袋の質が硬く、他の袋を破る恐れがある」等、包装に関する回答が目立った。品質面については、「特に問題なし」としている社がほとんどである。
(2) ユーザー
品質等の評価については、19社が「満足している」と回答した。プラス面の具体例として、「包装形態が20kgであり、砂糖の30kgに比べて軽いため、製造現場の女性にとっては作業がし易い」、「わらび餅に1透明度をもたらす」等の回答があった。
その一方で、「味がやや落ちる」、「粒子の大きさにばらつきがある」、「溶解性が悪く、製品によっては悪影響が出るものもある」、「パンの製造においてイーストの発酵を阻害する」、「原料の証明書が取りにくい」等のマイナス面のコメントもあった。
7.販売相手先の増減(輸入業者、卸業者)
販売相手先の対前年増減の問いに対しては、回答のあった29社中、「増加」が6社、「変わらない」が9社、「減少」が14社という結果となった。
全体としては減少傾向にあるが、その理由としては、ユーザーからの要望に応じるためにソルビトール調製品を扱っており、積極的な販売を行っていないとの回答も見られた。
表4 販売相手先の増減 |
(単位:社) |
|
輸入業者 |
卸業者 |
計 |
増 加 |
2 |
4 |
6 |
変らない |
4 |
5 |
9 |
減 少 |
3 |
11 |
14 |
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