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独立行政法人農畜産業振興機構について

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最終更新日:2010年3月6日

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機構から
[2003年10月]

独立行政法人農畜産業振興機構について


総務部総務課


1.はじめに   2.独立行政法人とは   3.業務改善の取組み
4.機構の概要   5.中期目標・中期計画  


1.はじめに
 最近の砂糖の原料作物の状況についてみますと、てん菜は、14年産は作付面積、収穫量ともに前年産より増加し、特に収穫量については10年産以来の400万トンを超えることとなりました。
 また、さとうきびについては作付面積、生産量ともに減少傾向にあるものの、近年、地元関係者の努力により、一部地域では作付面積、収穫量ともに増加傾向に転じるなど、明るい兆しも見られます。
 一方、我が国の農畜産業を巡る情勢についてみますと、WTOやFTAの国際交渉があります。そのゆくえは、将来のわが国の農畜産業に重大な影響を及ぼすことは確実で、関係者は交渉の成り行きに大きな関心を寄せています。
 また、「食の安全・安心」につつきましても、消費者の関心が急速に高まっており、食に対する信頼回復のための最善の努力が関係方面に求められております。
 砂糖につきましても、砂糖およびその原料作物の生産コストの低減や、砂糖に関する正しい知識の啓発など取り組むべき課題は山積みしております。
 このように、農畜産業を取り巻く情勢は、たいへん重要な局面を迎えており、そのような中で、農畜産業振興事業団と野菜供給安定基金が統合し、本年10月1日に「独立行政法人農畜産業振興機構」が新たに船出をすることとなりました。機構は、農畜産業の政策上、重要な任務を与えられており、役職員一丸となって、透明性が高く、効率的で効果的な業務運営に取り組み、我が国農畜産業の健全な発展と国民消費生活の安定に向け、邁進して参りたいと考えておりますので、倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますようお願いいたします。
 以下に独立行政法人農畜産業振興機構の概要について紹介いたします。(資料1)

資料1 独立行政法人農畜産業振興機構について
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2.独立行政法人とは

(1) 特殊法人等整理合理化計画
 今回の特殊法人等改革は、163の対象法人及び認可法人を対象とし、「特殊法人等改革基本法」等に基づき、全法人の事業について徹底した見直しが行われ、その結果、「特殊法人等整理合理化計画」として、平成13年12月に閣議決定されました。その中で、事業団及び野菜基金の各業務のうち、近年、実績のないもの、民間が対応し得るもの等については、徹底した見直しを行った上で、価格安定業務や補助業務等必要なものについては、これを継承するとともに、組織形態については独立行政法人に移行することが決まりました。(資料2)
資料2 特殊法人等整理合理化計画抜すい(平成13年12月19日閣議決定)
I 前文
    [略]
 今後、特殊法人等改革は、この「整理合理化計画」の実施段階に移行する。実施にあたっては、各法人所管府省が責任をもって対応することとなるが、平成14年度には事業について講ずべき措置の具体化に取り組むのは言うまでもなく、組織形態についても、原則として平成14年度中に、法制上の措置その他必要な措置を講じ、平成15年度には具体化を図ることとする。
      [略]
II 各特殊法人等の事業及び組織形態について講ずべき措置



 事業について講ずべき措置
 組織形態について講ずべき措置









【畜産物・生糸・砂糖価格安定】
(1) 乳製品の委託生産のあっせん
  1都道府県内に留まるものは地方公共団体に移管し、複数の都道府県にまたがるものは国直轄化する。
(2) 加工原料乳生産者補給交付金
  効果・必要性を検証しつつ、生産性の向上を補給金の算定に反映させること等により、縮減に努める。
(3) 肉用子牛生産者補給交付金等
  輸入自由化から10年を経過しており、その効果・必要性を検証しつつ、生産性の向上を価格の算定に反映させること等により、縮減に努める。
(4) 生糸の短期保管
  廃止する。
(5) 国内産糖交付金
  甘味資源作物の生産性の向上、国内産糖の製造コストの低下を価格の算定に反映させること等により、縮減に努める。
(6) 共通事項
  費用対効果の分析・公表を行う。
【畜産振興・蚕糸業振興の助成等】
  以下の項目を、畜産・生糸・砂糖それぞれの事業に適用する。
  助成対象の重点項目及びその終了要件の明確な設定、その後の社会経済情勢の変化に即応した適切な見直しを行い、効果的な助成事業の実施を図る。
  振興助成・給付の対象となった事業について適切に評価を行い、その結果を事業に反映させる仕組みを検討する。
  振興助成について、第三者機関による審査・評価の実施、助成先の公表を行う。
  国、他の特殊法人又は地方公共団体の行う事業との整合性をとりつつ、効率的、効果的に事業を実施するため、基準を更に明確化する。
【需要増進】
  廃止する。
【乳業者等に係る債務保証】
  廃止する。
【畜産団体に対する出資】
  廃止する。
 ●独立行政法人とする。




 事業について講ずべき措置
 組織形態について講ずべき措置








【野菜価格安定事業】
(1) 指定野菜価格安定対策事業、特定野菜等供給産地育成価格差補給事業
  事業者の費用負担の適正な設定、国の国庫債務負担行為の拡大等により国庫支出の効率化を図る。
  費用対効果の分析・公表を行う。
(2) 野菜売買保管等事業
  廃止する。
(3) 保管施設
  廃止する。
 廃止した上で農畜産業振興事業団に統合する
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(2) 独立行政法人通則法
 独立行政法人の基本法として、法人運営の根幹となる共通事項を定めているのが、独立行政法人通則法(平成11年法律103号)です。これは、特殊法人が、その都度個別の法律に基づき設立され、共通の制度的枠組みが存在しなかったのに対し、独立行政法人については、組織・運営等に関する共通原則を制度化するため、制定されたものです。
 
(3) 独立行政法人の特徴
 独立行政法人の特徴は、業務面では、主務大臣による中期的な目標の付与と法人の自主的な業務執行、第三者による業績評価、企業会計を原則とした財務・会計の弾力的な運用、業務運営の透明性の確保、組織面では、法人の長による組織・人事の自律性等にあります。(資料3)

資料3 独立行政法人と特殊法人との比較
1  独立行政法人は、独立行政法人通則法という共通の運営原則の下、弾力的な組織・業務運営を通じ、事務事業の効率性や質の向上、透明性等の確保を図るために設けられた制度。
2  組織・運営についての具体的な相違点は、下表のとおりであり、特殊法人に比べ、共通のルールに基づく適切な評価、透明性の高い経営、弾力的な組織・業務運営が可能である。

  特 殊 法 人 独 立 行 政 法 人
目標管理 ○なし ○主務大臣が中期的(3〜5年)な目標を付与
評  価 ○なし ○各省庁別及び国全体の評価委員会が評価。その結果を組織・運営に反映し改善
公  開 ○独立行政法人等情報公開法で、情報公開を義務づけ。 ○通則法で、財務に限らず、組織・業務全般にわたる情報公開を義務づけ
○独立行政法人等情報公開法で、情報公開を義務づけ。
定期見直し ○なし ○中期計画(3〜5年)終了ごとに、業務継続の必要性、組織形態の在り方について見直し
財務運営 ○特殊法人会計処理準則による(完全な企業会計ではない。平成12年度決算からは、試験的に最新の企業会計原則を統一的に適用) ○基本的に企業会計原則を全面適用
独立行政法人の特徴をもう少し具体的にみてみます。

1) 明確な目標設定
 主務大臣(機構の場合は農林水産大臣)は、独立行政法人に対し3〜5年間の法人の達成すべき具体的な中期目標を設定することとなっており、独立行政法人は、この中期目標の達成義務を負うこととなります。
 一方、目標達成のための業務の運営は独立行政法人に委ねられており、独立行政法人は目標達成のための実施上の措置を定める中期計画・年度計画を策定することとなっています。
2) 第三者機関による評価の実施
 各年度の独立行政法人の業務実績(目標の達成状況)については、主務省に設けられる外部の委員から構成する独立行政法人評価委員会(機構の場合、農林水産省に設置)によって客観的な評価を受け、それに応じた業務の見直しを行うこととされています。さらに、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会では、各省の独立行政法人評価委員会の評価結果を受けて、これに対して意見を述べる(いわゆる評価の評価)こととなっており、いわば、ダブルチェックを行う仕組みとなっています。
3) 財務・会計の弾力化
 独立行政法人の会計は、企業会計を原則とした「独立行政法人会計基準」に基づき、弾力的な運営を基本として行うこととなっています。
4) 組織・人事管理の自律性
 従来型の国の定員管理や組織管理手法の対象外とし、法人の長による自律的な運用が可能となっています。また、独立行政法人の予算執行についても、弾力的な運用が可能とされています。
5) 情報の公開による透明性の確保
 「独立行政法人等の情報公開法」のほか、通則法においても、中期計画、年度計画、評価結果、業務方法書、事業実績、財務内容、組織など独立行政法人の運営に関する幅広い事項を積極的に公開することが義務づけられています。
6) 定期的な組織・事業の見直し
 中期目標期間終了時に、中期計画期間全体にわたる業績の評価等の結果を踏まえ、業務継続の必要性及び組織形態のあり方について見直しを行うこととされています。
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(4) 農畜産業振興機構法
 各独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等は、法人ごとの個別事項を定める個別法に委ねられており、独立行政法人農畜産業振興機構の場合、これに相当するのが、「独立行政法人農畜産業振興機構法」です。(資料4)
 機構法は、昨年の12月に公布され、既に一部は4月1日から施行されていますが、事業団の廃止や機構の設立等は10月1日施行となっています。
 「特殊法人等整理合理化計画」により、機構に引き継がれた業務は、機構法により機構の業務の範囲として規定されております。機構の目的は、これらの業務を効率的に運営することにより、農畜産業及びその関連産業の健全な発展並びに国民消費生活の安定に寄与することとされております。

資料4 独立行政法人農畜産業振興機構法の概要
1.趣旨
  「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)において、農畜産業振興事業団を独立行政法人化するとともに、野菜供給安定基金を廃止した上で、農畜産業振興事業団に統合することとされており、これに即して、両法人を統合し独立行政法人とするため、その名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行う。
2.概要
  (1) 名称
  法人の名称を「独立行政法人農畜産業振興機構」とする。
(2) 業務の範囲
  現行と同様に次の業務を実施。
 ア   畜産物価格安定業務、生糸の輸入に係る調整等業務、砂糖価格調整業務 等
 イ 指定野菜価格安定対策事業等
 ウ 畜産、野菜、砂糖及び蚕糸関係補助業務
 エ 情報収集提供業務
   なお、特殊法人等整理合理化計画で廃止するとされた、需要増進、乳業者等に係る債務保証、畜産団体に対する出資、生糸の短期保管、野菜売買等保管事業等については廃止。
(3) 役員
  理事長1人、副理事長1人、理事6人、監事2人。
(4) その他
 ア   上記のほか、区分経理、積立金の処分、長期借入金等に関する規定を整備。
 イ 野菜生産出荷安定法、畜産物の価格安定等に関する法律、砂糖の価格調整に関する法律等について、所要の規定を整備。
 ウ 統合時期は、平成15年10月1日。
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3.業務改善の取組み
 ところで、旧事業団では、昨年秋以降、独立行政法人化を控えた中、補助金執行の適正化・透明性の確保、消費者視点の重視、役職員の意識改革等、行政の執行機関としての国民の信頼確保という基本的視点から、事業団所管業務の執行を点検し、その改善策等を検討するため、事業団理事長の私的諮問機関として、消費者代表、学識経験者、法曹関係者等をメンバーとする「業務執行改善検討委員会」を立ち上げました。
 委員会では、昨年10月から12月にかけて合計5回の審議を重ね、次の5項目の改善策を柱とする報告書を取りまとめました。
○ 業務執行方法の改善
(1) 行政、事業団、事業実施主体の機能分担の明確化
(2) 事業説明会、巡回指導による事業実施主体に対する指導・管理の強化
(3) 第三者機関による事業評価
(4) 報告、連絡、相談体制の整備による事業関係者間の情報の確実な共有
(5) 広報活動の強化による事業執行の透明性の確保
(6) 消費者等からの苦情受付窓口の開設
○ 監査・監視機能の充実
(1) 管理部門の部長級を中心とした監査・監視委員会の設置
(2) 外部監査法人の積極的な活用
(3) 独立行政法人後における内部監査体制の強化
○ 倫理・規範意識の啓発
(1) 法令遵守、公平性、透明性の確保等を内容とする行動憲章の策定
(2) 外部講師による改革フォーラムの開催
(3) トップの意識改革と役職員の意思疎通の促進
○ 役職員の能力向上
(1) 食肉研修・農家現地研修等実体験を通じた専門知識・技術の習得
(2) 流通・小売段階での研修等消費者の視点を体得する研修の実施
○ 消費者に軸足を置いた情報収集提供業務
(1) 理事長と消費者代表、消費者モニター代表との懇談会の開催
(2) 情報収集提供事業への消費者の参画
(3) 双方向・同時的な情報の発信・受信

これらの業務改善については、独立行政法人の運営にも当然生かされるべきものであり、機構に確実に承継することとしています。
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4.機構の概要
(1) 役員体制
 機構の役員については、事業団及び野菜基金時と比較し大幅な削減を行い、常勤役員10名(理事長1、副理事長1、理事6、監事2)の必要最小限の体制で業務を適正かつ確実に実施します。

(2) 組織体制
 業務の適正かつ確実な実施を確保するため、機構の内部組織については、機能的で効率的な整備を図ることとし、
1)  組織発足時における本部事務所の統合(機構本部事務所は、東京都港区麻布台(現行の事業団の事務所)に設置)、総務・経理部門など両法人に共通する部課等の統合・再編、
2) 社会経済情勢や農畜産業をめぐる情勢変化に的確に対応しつつ、スタッフ制の拡充、職員の部門間の交流の促進、業務の質や量に対応した組織体制、人員配置の見直し
などに取り組むこととしております。
(2ページ「農畜産業振興機構の組織図」参照)
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5.中期目標・中期計画
 中期目標は、主務大臣が中期目標期間(3〜5年の期間)において独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標を定め、法人に指示するものです。また、中期計画は、法人が中期目標期間に中期目標に掲げられた目標を達成するために実施すべき措置を定めた具体的計画です。法人は中間計画に従い、毎年度、年度計画を定め、自主性・自律性をもって業務を遂行することとされています。
その意味から、中期目標と中期計画は、独立行政法人が業務運営を行う上で基本を成すもので、(1) 中期目標の期間、(2) 業務運営の効率化に関する事項、(3) 業務の質の向上に関する事項、(4) 財務内容の改善に関する事項等が定められています。
(参 考)
  機構の役員数 旧事業団、野菜基金の役員数
常勤役員 10人 16人(事業団11人、野菜基金 5人)
非常勤役員 0人 20人(事業団 9人、野菜基金11人)
合  計 10人 36人(事業団20人、野菜基金16人)
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