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EUの制度改革後の砂糖事情

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

機構から

総括理事 和田 宗利
特産流通部輸入特産課長 石橋 隆


1 はじめに
2 砂糖制度改革後の砂糖の需給事情
3 英国における砂糖の流通と需要拡大への取り組み
4 おわりに

1 はじめに

 昨年、11月21〜22日にかけて、英国ロンドンで開催されたISOのセミナーに参加し、併せてEU及び英国の砂糖制度改革後の砂糖事情について調査を行った。
 これまでも数回にわたって、調査を行ってきており、結果については機構が毎月発刊している砂糖類情報、またホームページで公表してきた。
 今回は改革にともなって砂糖の需給事情がどう変わるのかをメインテーマとし、加えて砂糖の消費拡大への取り組みについて調査を行った。
 以下その概要について報告する。

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2 砂糖制度改革後の砂糖の需給事情

(1) 生産削減
 EUにおける砂糖の需給の管理は、改革前は生産割り当てと輸出によって行われていたと言っていいであろう。乱暴に言えば、多く生産されればその分輸出に回せばよかったということになる。ところがWTO協定で輸出は127万トンの上限を設けられ、それ以外の輸出は不公正な輸出とされてしまった(ブラジル等からの提訴に基づく裁定の結果)。ちなみに、EUからの砂糖の輸出量は、これまで年間500万トン程度であった。

(参考)現在の輸入状況
(注)このほかバルカン諸国から年間30万トン輸入している

 一方、LDC諸国からEBAにより無税でかつ無制限に砂糖が輸入されてくることになっている。
 輸入量がどのくらい増えるかは予測困難とされているが、仮にその量を200万トン(当機構委託会社LMC社からの聞き取り)と仮定して、EUにおける砂糖の需給を計算してみると、

(試算)
500万トン(C糖を含む既輸出分)−127万トン(輸出上限)+200万トン(LDC等からの輸入増分)=573万トン
573万トン程度の余剰が発生することになり(既に発生している在庫は含まない)、これがそのまま、EU域内における生産削減量となる。
 先述したように、LDC諸国からの輸入量については予測が立たないようであるが、200万トンとみた輸入増加分がさらに増えれば、当然のことながらその分だけ削減数量が上積みされることになる。
 なお、WTOの裁定により、従来行われていた輸出補助金のつかないC糖も輸出ができなくなっているが、生産性を確保する観点から、フランス、ドイツなどの主要な生産国は、生産の削減を行う一方で、C糖廃止の見返りとして合計で100万トンの追加割り当てを受けることが出来る(ドイツS歸zucker社は、この内の30万トンの追加割り当てを受けている)。このため、その他の国にとっては、この100万トンも生産の削減量としてかぶることになる。
 現在までのところ、EU委員会から生産削減数量の目標値は発表されていないが、LMC社では、600万トン程度と予測している。
 この結果、ビート、砂糖の生産は効率の良い地域に集約されていくことになり、本誌平成18年6月号でも報告したように、EU各地で砂糖生産からの撤退、縮小が起こっている。

(2) 砂糖制度改革の問題点
 EUの新しい砂糖制度について、あらためてその概要を整理してみた。

(新しい砂糖制度)
・目的:EUのビート産業の競争力確保
・期間:2015年9月まで
・改革点:
・砂糖価格の36%引き下げ(介入価格の廃止、参考価格の導入)、補償なし
・ビート最低生産者価格の39%引き下げ、価格引下げ分の60%を補償
・市場管理システム(持ち越しメカニズム、隔離メカニズム、民間貯蔵システム)の導入
・再編基金:競争力のない地域の事業者に対する転業を目的とした再編基金の設立(資金は砂糖産業に課す賦課金でまかなう)
・生産削減:EUにおける砂糖生産量の大幅削減と、EU産砂糖輸出の実質的停止
・追加割り当て:C糖の廃止に伴い、旧C糖生産業者は、100万トンを限度に追加割り当てが購入でき、また、割り当て数量に加えて、加工用の砂糖の生産もできる
 改革についてはおおむね賛同を得られているようであるが、その実施にあたっていくつかの問題点(不満といったほうがよいかも知れない)あるいは懸念が指摘されている。

 以下、ISOセミナーでの発言の中から拾ってみた。
・砂糖輸出の不必要な制限
・SWAP(域外で買い付けた安い砂糖を第三国経由で輸入)発生の懸念
・価格の大幅削減に対する理解が不十分で、これまで通りの生産を続けようとする農家、業界の姿勢
・生産の削減が各国の自主性に任されていることから、再編プロセスに対する政治的介入の可能性
・現状のままでは、膨大な在庫が発生

 こうした問題点を解消するためとして次のような要望・提案がなされていた。
・市場隔離による予防措置の実施
・WTO制限枠を最大限使った輸出
・短期間により多くの生産削減を促すための奨励金の給付
・移行期間の短縮

 要望・提案の内容については今更という感もあるが、在庫の増加に対する不安が相当強く、改革に時間を取られれば取られるほど在庫が増え、改革の達成を余計に難しくするとの危惧がある。
 改革一年目で110万トンの生産割り当てが返上された。滑り出しは順調のようであるが、以上のような背景、理由から、改革の実現を危ぶむ声も強いとの印象を受けた。
 このあたりについてEU委員会は、改革期間終了時において改革のスキームが達成されていなければ、各国への生産割り当てを強制的に削減するとしている。
 今回のEUの砂糖制度改革をアメ(補償金)とムチ(価格引下げ)と称しているが、最終のムチが割り当て削減ということになるのかもしれない。
 なお、削減されたかどうかの確認は、各国の介入庁若しくはこれに準ずる機関が行っており、実際には製糖会社からの出荷量でチェックしているとのことであった。

図1 (参考)価格支持政策の変更


(3) 価格介入制度に代わる市場管理制度について
 次に市場管理について見てみる。
 砂糖制度改革の柱の一つとして、これまでの介入制度に変わる、市場管理制度があげられている。

 この市場管理制度は
(1) 余剰の砂糖を翌年度の生産割り当てにカウントする「持ち越しメカニズム」、
(2) 市場から一定期間、事業者(製糖会社)の負担により砂糖を隔離する「隔離メカニズム」
(3) 市場価格が参考価格を下回った場合、EU委員会の負担より発動される「民間貯蔵システム」
の三つの仕組みで成り立っている。

 (1)の持ち越しメカニズムにつては、従来もC糖の地域内販売を禁じ、かつ輸出で売れ残った場合には、翌年度の生産割り当ての中に繰り入れていたので、まったく目新しい仕組みではない。
 しかしながら、あとの二つについてはこれまでに無かったものである。
 今回、この二つの仕組みの関係と役割について聞き取りを行った。
 まず、どちらが先に発動されるかということであるが、ビートの収穫が終わる頃に、その年度の隔離メカニズムによる隔離数量(対象はビート糖、甘蔗糖)が発表されることになっている。
 一方、民間貯蔵システム(対象はビート糖のみ)は隔離メカニズムの補助的な手段として使われるとのことで、入札によって、貯蔵費の安い事業者が選定されることになっている。
 例えば、LDC諸国からの輸入の予測が困難とされているが、輸入が急増した場合の調節弁としてこの民間貯蔵システムが発動されるのではないかと思われる。
 ただ、英国の精製糖メーカーであるTATE&LYLE社での聞き取りによれば、こうしたツールは歓迎されておらず、需給調整は市場の動きに任せて欲しいとのことであった。

(4) ビート糖と甘蔗糖のシェアー争い
 以上見てきたように、EUからの輸出及び域内のビート生産の削減とLDC諸国からの輸入増により砂糖需給の大変化が起きるわけであるが、この結果、域内において共存していた、ビート糖メーカーと甘蔗糖メーカー(精製糖メーカー)の企業間でのシェアー争いが起こることが予想される。
 まず、今回のセミナーで得たデーターをもとに、価格引下げに伴う甘蔗糖メーカーとビート糖メーカーの利益(マージン)への影響について当機構で独自に試算してみた(表1、表2)。

表1 マージンの変化(甘蔗糖工場)
 
表2 マージンの変化(ビート糖工場)
(表1及び表2の注)
(1) 粗糖から白糖への換算率92%(制度上設定された値)
(2) ビートから白糖への換算率13%(同上)
(3) 05年度の粗糖参考価格には生産補助金(精製糖コスト援助)を考慮
(4) 06年度以降の精製糖工場への1億5千万の援助は考慮されていない

 この表で見ると、ビート糖メーカーの方の影響は、各種賦課金の関係で甘蔗糖メーカーより一年速く出るがその後は、粗糖価格よりビート価格の引き下げの方が大きいため、最終的には甘蔗糖メーカーが受ける打撃の方が大きいことがわかる。さらに、ビート糖メーカー(英国ではブリティシュシュガーがこれにあたる)でも輸入原料糖の精製業務が出来るようになる。
 図2で示すように、もともとビート糖メーカーと甘蔗糖メーカーでは利益(マージン)の面でかなりの差があり、これを少しでも補正するため、甘蔗糖メーカーに対し生産補助金が交付されていた。こうした事情に加え、今回の改革により、ビート糖メーカーは原料調達の面で一層有利になるとともに、輸入されてくる原料糖の精製も出来るようになることから工場の稼働率の改善が見込める。以上のような状況を考えると、甘蔗糖メーカーは相当不利になるのではないかと思われる。
 しかしながら、セミナーの後訪問した英国の甘蔗糖メーカーであるTATE&LYLEでは次のような見方をしていた。

図2 (参考)改革前における甘蔗糖とビート糖の原料経費の違い

(1) 自社の工場の規模が世界最大で業界内での競争力が高い、また一層のコスト削減に取り組む。
(2) 工場の処理能力に余裕があり、関係国に働きかけてEBAによる輸入増分をできるだけ確保し、稼働率を高める。一方、ビート糖は稼動の期間が限られるため、稼働率が甘蔗糖より一層低くなる。
(3) 市場占有率を高めるため、砂糖からの撤退、縮小が予想される地域(イタリア、スペイン等)での販路確保(これまで輸出に回していた分をこの地域に売り込む)に努める。
(4) TATE&LYLEの工場は港に直結しており、内陸にあるビート糖メーカーに比べ立地条件に恵まれている。

 要するに、価格引下げによってビート糖より打撃を受けるが、工場の規模が格段に大きいことから効率性で上回っており、今回の改革にも十分対応できると言うことである。
 ただこのためには、より多くの原料糖の確保が不可欠となる。
 一方ビート糖メーカーも増大する輸入糖(原料糖)に対し相当の危機感を持っており、ドイツのS歸zucker AG社最高経営責任者のDr.Theo Spettmann氏は、

・ビートのヘクタール当たりの産糖量はサトウキビより高い
・ビートは輪作に最適な作物
・水の必要量がサトウキビの1/3
・ビート糖工場の稼働率が低いことが制約要因といわれていたが、英国のBritish Sugarでは年間150日以上の稼動実績をあげている
等ビート糖の将来の可能性を力説しつつ、原料糖の輸入増に対応するためのS歸zucker社の戦略を次のように説明していた。
・工場の見直し

   オーストリア、スロバキア、ポーランドにある4つの工場の閉鎖
・すべての人件費と材料費の見直し
・C糖からの転換で追加割り当て30万トンを取得
・非食用砂糖の製造及び販売(加工用砂糖、バイオエタノール)
・現状に合わせたビート支払いシステムの変更(販売代金の配分が従来、農家58%、企業42%であったのが50%対50%になると言われている)

(5) 世界の砂糖とエタノール
 今回のセミナーのテーマは「新たなカード、新たなゲーム」で、この場合の新たなカードとは、エタノールのことを指しており、セミナー参加者の関心もかなりの部分がエタノールに向いていたように思う。
 セミナーでの発表をもとにバイオエタノールの動向について見ると次の様になる。
 バイオエタノールの生産は急速に成長してきており、2000年に280億リットルであったものが、2006年には1.8倍の514億リットル生産されると推定されている。なお、同時期の砂糖の生産は1億3,000万トンから1.2倍の1億5,500万トンとなっている。
 ちなみに、280億リットルのエタノールを砂糖に換算すると、8300万トンとなる。
 バイオエタノールの飛躍的な増加には以下のような背景がある。このことについても、これまで本誌で報告されてきているが、改めて整理してみた。

・フレックス燃料車の成功によるブラジルでの市場拡大
・再生可能燃料基準の策定にともなう米国での市場拡大
  混合比の向上とE85(エタノール85%混合ガソリン)の普及によりさらなる拡大の可能性がある
・再生可能燃料の5.75%目標に合致させるため、EUで砂糖からエタノールへの転換が進んでいる等
 ブラジル自動車工業会の前会長である、Nastari氏は、ブラジルでのエタノール市場の拡大は燃料市場に対し、画期的な影響を与えたと指摘している。すなわち、通常燃料の需要は短期間の価格変動には非弾力的であると考えられてきた。しかしながらブラジルでは燃料の価格変化に対し消費者が敏感に反応し、ガソリンとエタノールの混合比率の選択で対応するようになってきた。
 この結果、ガソリンが高騰すればエタノールの需要増、すなわち砂糖からエタノールに転換され、ガソリン価格が下がればエタノールから砂糖に戻ってくる。言い換えれば、従来相関関係の少なかった、砂糖とエタノールの間の相互依存度が高まってきているのが現在の姿である。
 なお、エタノール生産の76%は南北アメリカに集中しており、米国が197億リットル、ブラジルが174億リットルとなっている。
 国、地域別の予測(Datagro社の資料による)によれば、

(1) ブラジル
 サトウキビの生産は、2006年の4億2,300万トンから2013年には7億トンにまで増加する。これに対し砂糖は3,030万トンから3,980万トン、エタノールは174億リットルから360億リットルに増加する。

(2) 米国
 2000年に65億リットルであったのが2006年、197億リットルと飛躍的に増加してきている。
 エネルギー消費の面から見れば、ガソリン消費量(年間5,400億リットル)の3.4%を占めているに過ぎないが、2007年の第一四半期には生産能力は223億リットルに上昇すると見込まれており、現在検討されているさまざまなプロジェクトが実現すれば、1000億リットルにまで高まるものと予想されている。
 ただしバイオエタノール原料は、その大半がトウモロコシであり、現在、トウモロコシ生産量の22%、5300万トンがエタノールの原料として使われている。従って、米国でのエタノール増産の限界は、どのくらいのトウモロコシをエタノールにまわせるか、あるいはセルロースからエタノールを生産する技術をどれだけ早く実用化できるかにかっている。
 また、国内のエタノール用トウモロコシ需要の増加に伴い、大豆からトウモロコシへの転換が生じており、これが昨今の大豆価格に影響していると見なされている。

(3) 欧州
 エタノール生産は、2000年の36億リットルから2006年には46億リットルになると推定されている。このうち最大の生産国はフランスで9億5000万リットル、ドイツが7億5000万リットル、ロシア6億5000万リットル、スペイン4億6000万リットル、イギリス2億8000万リットルと続いているが、EU域内でまとめると、34億リットルとなる。これに現在建設中あるいは計画中のプラントを加えると、41億リットルにまで拡大することになる。試算によれば、これはEU域内での砂糖生産量に匹敵するということであった。
 しかしながらEUでは、ガソリンがだぶついている反面、ディーゼルが不足するという傾向にある。バイオ燃料の需要という面から見ると、バイオエタノールより菜種を原料とするバイオディーゼルの需要の方が多いようである。
 EUは植物油の純輸入国でありかつ砂糖とでんぷんの輸出国であることから、ビート、砂糖の価格引き下げ、生産の削減といった状況を抱える農業分野からすれば、バイオエタノールの生産を優先させたいところである。

(4) アジア
 中国が目立った動きをしておりエタノールの生産量は2000年の29億7,000万リットルから2006年には38億5,000万リットルにまで上昇する。
 また日本においても安倍首相がバイオエタノールの年間使用量を60億リットルにまで増大させるための措置を講じるよう関係省庁に指示したことが紹介された。
 なお、セミナーで入手したデーターをもとに各国のバイオエタノールの生産費(/100リットル)を比較すると次のようになる。

各国のバイオエタノール生産費

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3 英国における砂糖の流通と需要拡大への取り組み

 英国の砂糖の流通経路およびリファイナーの販売戦略について調査した。

(1) 砂糖の流通経路
 TATE&LYLEによれば、次の四つの販路をあげていた。また、その割合は年により変動するが、おおむね以下のようである。
(1) 大手スーパー 12%
(2) コンビニ (3) 卸売業者8%
(4) 加工業者 80%

 日本おける砂糖の用途別の需要量から推測するとこのあたりの事情については、日本と似ているのではないかと思う。
 このうち、製糖業者にとっては、(1)、(2)は数量的には小さいが利益率は大きく、(4)の部分は数量的には大きく、利益率は低い。

(参考) 日本の砂糖の用途別需要量

(2) TATE&LYLEの需要拡大に向けた取り組み
 英国においても日本と同様、砂糖の消費減退が見られ、誤解払拭のための啓発活動が行われている(シュガービューローにブリティッシュガーとTATE&LYLEが出資し誤解払拭のための研究を行わせ、その結果は新聞などを通じて消費者に提供している)。
 こうしたシュガービューローの活動に加えて、企業自身も消費拡大のために努力している。
 基本的な考え方は、消費者の志向に合わせた商品開発を行うことである。TATE& LYLEでは、消費者の志向を次のように分析している。

英国における年間一人当たり砂糖消費量の推移

(1) 生活習慣の変化
・紅茶などの熱い飲み物を飲まなくなってきている
・自宅でケーキを焼かなくなってきている

(2) 健康志向
・低カロリーシュガー
・果糖を使ったGIダイエット

(3) ブラウンシュガー等精製度の低い砂糖の需要増

(4) 発展途上国の支援に役立つFAIR TRADEへの関心の高まり

 こうした、分析に基づき、(1)の生活習慣の変化にたいしては、出来るだけ手軽に使えるよう容器の形態に工夫をこらす(写真1参照)。(2)の健康志向については、低カロリーのライトシュガーの販売、(4)のFAIR TRADEについては、その旨を袋に表示するといったことに取り組んでいた。

写真1 糖蜜トッピング用340g、握りやすい形が特徴

(参考)砂糖に対する誤解払拭のための13のメッセージ
・砂糖は健康的でバランスのとれた食品でダイエットに役立ちます
・砂糖は食事を美味しくします
・砂糖は肥満の原因ではありません
・砂糖はナチュラルです
・砂糖は単なる炭水化物です
・虫歯の予防にはフッ素の入った歯磨きで磨くのが一番です
・砂糖は日々の活力の源です
・砂糖は運動のための重要なエネルギー源です
・砂糖はあなたの減量のお手伝いをします
・砂糖は糖尿病の原因ではありません
・砂糖は心臓病の原因ではありません
・砂糖は脳とからだに不可欠なエネルギーになるブドウ糖の供給源です
・ティースプーン一杯の砂糖は16カロリーしかありません

写真2 右粉糖、左オーガニックシュガー、いずれも500g紙袋
写真3 不ぞろいの角砂糖、缶入り500g

 また、宣伝の仕方も、例えば、健康志向に対しては「疲れたときの体へのご褒美」と言ったような、キャッチコピーを使っていた。
 なお、(3)のブラウンシュガーについては、TATE&LYLEは白糖のイメージで売ってきたこともあり、自社名の表示はせず、スーパー等のブランドで販売しているとの事であった。
 説明を受けたなかで印象的であったのは、砂糖には小さな市場がたくさんあるということを大変強く意識しており、不ぞろいな角砂糖、オーガニックシュガー、ブラウンシュガーなどのサンプルを見せてくれた(写真2,3参照)。いずれも、市場の規模が小さく、個々の商品の力で砂糖全体の需要を伸ばすほどのものではないが、例えば、FAIR TRADEと表示するだけで、二倍の値段をつけられると言ったように、営業面でのメリットは大きいようである。

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4 おわりに

(1) 昨年から始まった、EUの砂糖制度改革はEUの拡大に加え、WTO裁定で砂糖の輸出に厳しい制約がかけられたこと、LDC諸国からの輸入が自由化されることが契機となったとされている。
 しかしながら、それ以前に、EU域内の高価格に対する批判といった問題を抱えており、ACP諸国からの価格引下げに対する見返り補償の要求、食品加工業者等のユーザーから改革が不徹底との指摘等があるものの、基本的には改革そのものに対する広範な理解は得られている模様である。
 ただ、LDC諸国からの砂糖の輸入がどうなるのか、予測し難いのが現状のようであり、さらに生産の削減が各国の自主性に委ねられていることから、削減の実行そのものを不安視する向きもある。
 また、EUの改革が世界の砂糖需給にも大きな影響を与えると予測されているが、EUからの輸出減分を誰がどの程度埋めるのかという問題に加え

(1) 原油価格の動向と砂糖からバイオエタノールへの転換
(2) とうもろこし等他の作物からのバイオエタノールへの転換
(3) 中国等の砂糖消費の増大
(4) オーストラリアの干ばつ

等新たな要素も加わって、当分の間は砂糖の価格変動は続くものと予想されている。
 また、バイオ燃料の登場は、石油、砂糖、トウモロコシ等従来相関関係の無かったものの間での需給の連動が発生し、それぞれの需給、価格の予測を困難にしつつある。
 ところで、今回のセミナーで砂糖等からのエタノール化については、二つの見方が示された。
 一つは、地球温暖化の中で、再生可能燃料としてのバイオ燃料への期待である。
 世界的には米国、ブラジルが先行しており、これに対しEUも5.75%のバイオ燃料目標を定め、また日本においてもその普及に乗り出す等各国それぞれの取り組みが始まっている。
 ただ、エタノールの混合に当たっては、技術的な問題もあり、関係業界とどのように調整していくかがそれぞれに共通する課題のようである。もっとも、ブラジルは、古くから取り組んできていることにもよるが、混合比率を定め、エタノールの使用を義務付けたことによって、その普及に成功している。先に紹介したブラジルのNastari氏の言によれば、エタノールのガソリンへの混合が普及するかどうかは、政府のやる気次第と言うことであった。
 一方で、LDC諸国の間からは、食糧難にあえいでいる国もある現状で、なぜ、砂糖、トウモロコシ等の食料を燃料で消費するのか(食料を人間ではなく、なぜ自動車に食べさせるのか!)といった素朴な疑問が呈されていた。市場原理によって物は動くといってしまえばそれまでであるが、新しいカードの別の面について考えさせられる言葉である。

(2) さて、本文中でも触れたが、砂糖の需要拡大のための取り組みも、今回の重要な調査項目とした。
 日本と同様、砂糖に対する誤解の払拭といった、第三者機関による普及啓発活動も行われていたが、これと併せて、企業自身が消費者の志向を分析し、それに基づいた商品開発を行っている点が強く印象に残った。
 英国での取り組みの中には、既に日本でも商品として出まわっているものもあり、また、日本の消費者の志向に馴染むのかどうか疑問符の付くようなものもあるが、砂糖には小さな市場がたくさんあり、それを商品開発のなかに取り込もうとする意欲については、われわれとしても参考とすべきではないかと感じた。

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