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砂糖以外の甘味料について

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

機構から
[2007年7月]


特産業務第二部 でん粉第一課長 脇谷 和彦
調査情報部 調査情報第三課 係長 菊池 美智子



1.はじめに

 古来より甘味料の中心として主要な地位を占めてきた砂糖(ショ糖)に対し、その代替品としてこれまでさまざまな甘味料が開発されており、現在、日本においても多くの種類の甘味料が食品に使用されている。
  砂糖以外の甘味料は、第二次世界大戦中や終戦直後の砂糖不足の時代には、単に砂糖の代わりの代替甘味料という位置付けであったが、その後の食生活の変化などにより、最近ではその使用目的が、低カロリー、低う蝕性(虫歯になりにくい性質)、腸内環境の改善などへと多様化してきている。
  今回、砂糖以外の甘味料について、平成17・18年度に当機構がメーカーを対象に実施した「代替甘味料実態調査」の結果に基づき、最近の市場に見られる、主なものの特性、用途などを紹介する。

2.甘味料の種類

 現在使用されている甘味料は、大別すると、糖質系甘味料と非糖質系甘味料の2種類に分けられる。
  糖質系甘味料は、砂糖、でん粉由来の糖、その他の糖、糖アルコールに分けられ、非糖質系甘味料は、天然甘味料と合成甘味料
に分けられる(図参照)。

(1) でん粉由来の糖及びその他の糖
  でん粉由来の糖にはブドウ糖や果糖、異性化糖が含まれ、その他の糖には乳糖のほかにオリゴ糖と呼ばれるものが含まれる。
  ところで、糖質は、その大きさにより単糖類、オリゴ糖類、多糖類の3種類に分けられる。単糖類は、最も小さい構成単位からなる糖質のことで、ブドウ糖や果糖がこの代表である。多糖類は、この単糖類が数十から数千個つながったもので、身近なものにはでん粉や寒天、食物繊維などがある。オリゴ糖類は、単糖類が2から20個程度つながったものであり、二糖類である砂糖や麦芽糖(マルトース)もオリゴ糖類に含まれる。しかし、多くのオリゴ糖は消化されにくい性質をもっており、「砂糖とは異なる特性を持った糖」という意味で、これらのみを総称してオリゴ糖と呼ぶことが多い。多くのオリゴ糖が、低甘味、低カロリー、胃や小腸で消化されずに大腸にまで達しビフィズス菌の栄養源になる、虫歯の原因になりにくいという共通した性質を持つ。

(2) 糖アルコール
  糖質に水素を添加(還元)し、化学的に安定させたものである。天然にも種々の糖アルコールが存在するが、一般的には工業的に酵素反応などによって生産されており、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴などがある。
  非褐変性(タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しない)などの性質を持つことから、加工食品に使われている。また、消化・吸収されにくいため、低カロリー甘味料としても使用される。後述するように、多量に摂取した場合には、緩下作用(お腹が緩くなる作用)があるものもある。

(3) 天然甘味料
  植物の葉や果実などに含まれている甘味成分を抽出した甘味料である。ステビアのほか甘草(グリチルリチン)、羅漢果などがある。

図 主な甘味料

(4) 合成甘味料
  化学合成により作られる高甘味度甘味料で、低カロリー甘味料として使用される。食品衛生法に基づく指定添加物である。アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、サッカリンナトリウムがある。

3.砂糖以外の甘味料の機能

 砂糖以外の甘味料を使用する主な目的としては、次のような機能を持つことが挙げられる。

(1) 低カロリー
  近年の食生活の変化などによる肥満や生活習慣病の増加により、消費者の低カロリー志向が高まっていることを背景に、低カロリーの甘味料が菓子や飲料などさまざまな食品に使用されている。
  体内で消化されにくく、結果として摂り込まれるエネルギーが少なくなる性質を利用したもの(オリゴ糖、糖アルコール)や、砂糖に比べて非常に高い(数百倍)甘味度を持ち、使用量が少ないため結果的に低カロリーの機能を持つことになるもの(非糖質系甘味料)がある。
  体内で消化されにくいものの場合には、多量に摂取すると緩下作用があり、お腹が緩くなる場合がある。これは、糖質が胃や小腸で消化されずに大腸に到達し、乳糖不耐症の場合と同様に大腸内の浸透圧が高くなるためと考えられている。

(2) 低う蝕性
  口腔内細菌は、砂糖を消化して、歯垢の原因となる物質や歯のエナメル質を溶かす酸を作るため、砂糖は虫歯の原因の一つになるとされている。これに対し、オリゴ糖や糖アルコール、非糖質系甘味料には、口腔内細菌によって利用されない、あるいは、されにくい性質を持つものが多く、「虫歯になりにくい」機能を挙げたチューインガムやキャンディなどに使用されたり、歯磨き剤に使用されたりしている。

(3) 腸内環境の改善
  人間の腸内には、健康に有効な役割を果たす「善玉菌」(乳酸菌、ビフィズス菌など)と有害物質を作って下痢や便秘などを引き起こす「悪玉菌」が存在するが、オリゴ糖は善玉菌であるビフィズス菌の増殖を促進して、腸内の細菌バランスの改善を図る特性を持つ。

(4) 味質の改良
  非糖質系の高甘味度甘味料の一部は、食品の塩味を和らげる特性(塩なれ効果)や後引きのないソフトな味質特性を持ち、漬物、珍味、味噌、醤油といった塩味食品や清涼飲料、冷菓などに使用される。


4.砂糖以外の主な甘味料の特性など

(1) でん粉由来の糖

①異性化糖
原料・製造法
 異性化とは、分子の原子数を変えないで、分子内の結合状態を変えることである。
特性等  異性化糖は、ブドウ糖と果糖を主成分とする甘味料である。
  日本農林規格(JAS)により規格が定められており、異性化糖のうち果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が①50%未満のものを「ぶどう糖果糖液糖」、②50%以上90%未満のものを「果糖ぶどう糖液糖」、③90%以上のものを「高果糖液糖」としている。また、これらの異性化糖に砂糖を加えたものを「砂糖混合ぶどう糖果糖液糖」、「砂糖混合果糖ぶどう糖液糖」、「砂糖混合高果糖液糖」としている。
  砂糖よりさわやかな後ひきのない甘味を持っており、甘味度は、果糖分42%の異性化糖で砂糖の70〜90%、果糖分55%のもので100〜120%であるが、温度によって左右され低温で高い。
  エネルギー換算係数は、4kcal/gである。 成分中の果糖が熱に弱く、加熱調理すると褐変しやすい。浸透圧、氷点降下は砂糖より大きい。高濃度でも結晶性が少なくて安定であり、粘性が低いため取り扱いやすい。
主な用途 飲料、冷菓、缶詰、調味料など
市場における動向等 異性化糖は、低温下において甘味度が増すという特性から清涼飲料や冷菓などに多く使われる。また、果糖には果物(特に柑橘系)の香りを引き立てる効果もあるため、果物の缶詰や飲料に使われる。

②イソマルトオリゴ糖
原料・製造法

特性等  イソマルトオリゴ糖は、グルコースが3〜7個結合した糖のうち分岐構造を持つオリゴ糖の総称で、清酒、みりん、、醤油といった日本の伝統的食品にも微量含まれている。
 甘味の質は、まろやかでこくがある。低甘味であり、甘味度は砂糖の40〜50%である。
 エネルギー換算係数は4kcal/g である。
 熱や酸に対して安定であるが、タンパク質、アミノ酸と一緒に加工すると褐変が起こりやすい。保湿性があり、でん粉の老化を抑制して、食品のしっとりとした食感を保ち、日持ちを向上させることができる。
 他の難消化性のオリゴ糖に比べると小腸内ではある程度消化されるが、でん粉などに比べると消化されにくい。腸内のビフィズス菌を増やし、有害菌の抑制、腐敗産物の減少などの作用により腸内環境を改善する働きがある。
主な用途  飲料、菓子(キャンディ、クッキー、和菓子、クリームなど)、デザート、乳製品(ヨーグルト、アイスクリーム)、調理済食品など
市場における動向等  整腸効果よりも保湿性などの物性に継続的なニーズが大きい。
  一部で価格が安い水飴へのシフトも見られるが、オリゴ糖の中では価格が安く、汎用的に使用できる点が評価されている。

(2) 糖質系甘味料のうちその他の糖

①フラクトオリゴ糖
原料・製造法

 イヌリンは、水溶性の食物繊維に分類されている多糖類の一つで、チコリの根、キクイモ、玉ねぎなどに含まれている。
特性等  フラクトオリゴ糖は、フラクトース(果糖)が2個以上連結した構造をもつオリゴ糖で、自然界に広く分布しており、玉ねぎ、ごぼうなどの野菜類に多く含まれる。
  甘味の質は砂糖に類似している。低甘味であり、甘味度は製品によって砂糖の25〜35%と幅がある。
  エネルギー換算係数は約1.6〜2.2kcal/g である。
  耐熱性は砂糖と同程度であり、酸にはあまり強くない。
  消化酵素によって消化されにくいため、体内に吸収されることもほとんどなく低カロリーである。摂取しても血糖値を上昇させないので、インスリン分泌にもほとんど影響を与えない。腸内のビフィズス菌の増殖を促進し、腸内環境を改善する働きがある。また、同時に摂取することにより、ミネラル(カルシウム、マグネシウム)の吸収を促進する。
 特定保健用食品(規格基準型)の成分として基準が設定されているものもある。
主な用途  乳製品(特にヨーグルト類)、卓上甘味料、育児用調整粉乳など
市場における動向等  整腸作用を目的として使用されることが多く、すでに市場に浸透した感があるが、腸内の善玉菌が選択的に増殖されることで、便臭が軽減される効果も見られ、今後この点を評価して使用される可能性がある。
  また、免疫機能向上などの新しい機能も研究されており、これらについての認知度が高まれば、今後さらに需要が広がると思われる。

②ガラクトオリゴ糖
原料・製造法

  イヌリンは、水溶性の食物繊維に分類されている多糖類の一つで、チコリの根、キクイモ、玉ねぎなどに含まれている。
特性等  ガラクトオリゴ糖は、乳糖(グルコースとガラクトースからなる二糖)にガラクトースが1〜4分子結合したオリゴ糖で、母乳成分にも含まれる。
  くせのない甘味を持つ。甘味度は製品によって異なるが、砂糖の25〜35%である。
  エネルギー換算係数は2〜3kcal/g である。
  熱や酸に安定であり、食品加工に適している。吸湿性があり、ホイッピング性やクリーミング性を向上させる性質も兼ね備えている。
  ガラクトオリゴ糖は、フラクトオリゴ糖と同様、消化酵素によって消化されにくく、低カロリーで、腸内のビフィズス菌の増殖を促進する働きがある。また、虫歯の原因になりにくい性質もある。
  一部の製品は特定保健用食品(規格基準型)の成分として基準が設定されている。
主な用途  飲料、デザート、健康食品など
市場における動向等  ビフィズス菌の増殖を促進する働きを評価して使用されることが多い。
 母乳成分のオリゴ糖という安心感を訴求できる育児用食品、乳製品分野での使用により、認知度拡大を目指している。


③キシロオリゴ糖
原料・製造法

 キシランは、炭素原子を5つ持つ単糖のキシロースが直鎖状に結合したもので、植物の半繊維素に含まれる。キシランの原料は、とうもろこしの芯や綿実、もみ殻などである。
特性等  キシロオリゴ糖は、キシロースが数個結合したオリゴ糖で、タケノコやキノコに含まれる。
  砂糖と同様の甘味の質を持ち、甘味度はキシロオリゴ糖の含有率に応じて、砂糖の25〜40%である。
  エネルギー換算係数は、2kcal/g である。
  熱や酸に強く、安定である。
  消化されにくく、低カロリーである。また、腸内のビフィズス菌の増殖を促進し、腸内環境を改善する働きがあり、他のオリゴ糖よりも少量の摂取で効果が得られる。
  特定保健用食品(規格基準型)の成分として基準が設定されている。
主な用途  健康食品、飲料、菓子(グミ、チョコレート、キャンディ)など
市場における動向等  少量で腸内ビフィズス菌の増殖効果が期待できるため、錠形の健康食品に適しており、需要が拡大している。
 また、熱や酸に強いため飲料用途に適しており、特に酢を使った飲料に適性がある。

④乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)
原料・製造法

特性等  乳果オリゴ糖は、乳糖に果糖1個がつながった構造をしている三糖類である。甘味の質は、オリゴ糖の中では砂糖に最も近い。甘味度は、乳果オリゴ糖の含有率の低いものほど高く、55%以上有のもので砂糖の約50%である。製品にはショ糖や乳糖も含まれるため、乳果オリゴ糖含量が少ないものほど甘味度は高くなる。
  エネルギー換算係数は2kcal/g である。
  消化されにくく、摂取しても血糖値の上昇や、インスリン分泌にほとんど影響を与えない。また、腸内のビフィズス菌の増殖を促進し、便の性状を改善する働きがある。
  特定保健用食品(規格基準型)の成分として基準が設定されている。
主な用途  卓上甘味料、飲料、菓子(クッキーなど)、健康食品など
市場における動向等  良質な甘味であることやビフィズス菌の増殖を促進する働きが評価されて使用されている。特に、健康食品の分野での需要が伸びている。
  カルシウムなどミネラルの吸収を促進する効果についても研究されており、今後、乳製品での需要が増加する可能性がある。


⑤ラフィノース
原料・製造法

特性等  砂糖(ショ糖)にガラクトースが結合した構造のオリゴ糖(三糖類)で、てん菜に含まれ、てん菜糖の副産物である糖みつから分離精製される。てん菜のほか、大豆、ユーカリ樹液など植物界に広く存在している。甘味の質は砂糖に近く、甘味度は砂糖の約20%である。
  エネルギー換算係数は2kcal/g である。
  吸湿性のない唯一のオリゴ糖で、錠剤、粉末顆粒などに適している。熱・酸に対しては砂糖と同じ程度に安定性がある。
  消化されにくく、低カロリーで、腸内のビフィズス菌の増殖を促進する働きがある。また、アレルギー症軽減効果があることも認められている。
主な用途  卓上甘味料、健康食品など
市場における動向等  天然由来成分であることが評価され、安定した需要実績を持つが、てん菜糖の副産物であるため、生産量に限界があり、現在は需要に応じた供給量の確保が難しい状況である。


⑥トレハロース
原料・製造法

特性等  トレハロースは、グルコース2つが麦芽糖とは異なる部位で結合した二糖類である。キノコ類、酵母、エビ類、海藻類などに含まれ、自然界に広く分布しており、昆虫類のエネルギー源として利用されている。甘さが後に引かない温和な甘味で、甘味度は砂糖の45%である。
  エネルギー換算係数は4kcal/g である。
  熱や酸に対してきわめて安定で、アミノ酸、タンパク質と加熱しても褐変を起しにくい。また、非常に吸湿しにくい。
  小腸で消化・吸収されるが、ブドウ糖などに比べると血糖値の上昇・降下が緩やかである。
  でん粉、タンパク質、脂質の変性の抑制、冷解凍時の食物の変性の抑制、味やにおいを引き立てたり抑えたりする働きがある。
主な用途  和・洋菓子、パン、加工食品、化粧品など
市場における動向等  甘味料としてだけでなく、特性を活かした機能素材として、製菓、製パン、冷凍食品、冷凍水産加工品、即席カップ麺、氷菓、アイスクリーム、飲料などの用途で利用されている。
  発売以来順調に実績を伸ばしてきたが、用途の開発も進んだことから最近は伸びがやや鈍化傾向である。一方、海外向けが大きく伸びている状況にある。

(3) 糖アルコール

①ソルビトール
原料・製造法

特性等  ソルビトールはグルコース(ブドウ糖)のカルボニル基が還元された構造を持つ糖アルコールである。天然にも存在し、特にナナカマドの実やリンゴ、プルーンなどに含まれる。清涼感のある甘味を持ち、甘味度は砂糖の60〜70%である。
  エネルギー換算係数は、3kcal/g である。
  化学的に安定しており、酸やアルカリに侵されない、空気中の酸素によって酸化されない、アミノ酸との褐変反応を起さず、加熱してもあまり着色しないなどの性質を持つほか、食品をしっとりさせる働き(保湿性)や製品の香りを発散させない働き(保香性)もあり、食品の品質改良の目的で広く利用されている。
  また、虫歯の原因になりにくく、摂取しても血糖値を上昇させない性質を持つことから、歯磨き剤、医薬品などにも使用される。
  指定添加物であるが、使用基準はない。
主な用途  漬物・佃煮・珍味、水産練製品、菓子(甘納豆、カステラなど)など
市場における動向等  糖アルコールの中では、突出した市場規模を持ち、食品だけでなく医薬品・医薬部外品や工業用など、すでに幅広い分野で使用されている。
  市場が成熟しているため、製品ニーズは低価格のものに特化されてきている。
  甘味料としての使用に加えて、保湿効果、照り出しなど特性を活かした使用がされている。
  保存料のソルビン酸との混同によるイメージの低下を恐れ、表示義務のない還元水飴へシフトする部分もある。

②マンニトール
原料・製造法

特性等  マンニトールは、ソルビトールの異性体(ソルビトールと同じく、炭素原子を6つ持つ糖アルコールだが、その結合部位が異なる)の糖アルコールで、自然界に広く存在し、乾燥した海藻や干し柿、きのこなどに含まれる。
  清涼感のある甘味で、甘味度は砂糖の55〜70%である。
  エネルギー換算係数は、3kcal/g である。
  酸やアルカリに強く、空気中の酸素で酸化されず、褐変しにくい。また、吸湿性が非常に少ない。
  指定添加物として、あめ類、チューインガム、佃煮(こんぶを原料にするものに限る)、ふりかけ類(顆粒を含むものに限る)、らくがんにのみ使用が認められている。用途ごとに使用基準が定められている。
主な用途  医薬品、菓子(ガム、キャンディ)など
市場における動向等  菓子での使用は、吸湿性の低さを評価して、粘着防止に使われている。
  マンニトールは当初、医薬品の素材として使用された経緯があり、指定添加物として使用範囲が限られている。このことが、用途、需要量ともに拡大しにくい要因になっている。


③還元水飴
原料・製造法

特性等  還元水飴は、水飴が持つカルボニル基を還元して得られる鎖状多価アルコール 類(複数のカルボニル基が還元されている)の水飴で、糖アルコールの一種である。
  初期製造工程においては、でん粉を酵素で分解(糖化)するが、その分解の程度によって粘度や甘味度の異なる多くの種類の製品があり、用途の幅も広い。高糖化(分解の度合いが高い)で粘度の低いものほど甘味度が高く、低糖化で粘度の高いものは甘味度が低く、甘味度は、砂糖の10〜60%と製品によって異なる。後味のすっきりしたまろやかな甘味を持つ。
  エネルギー換算係数は、約2kcal/g である。
  保湿性があり、熱に対して安定性があり、アミノ酸と加熱しても褐変しにくい。和菓子では糖度を下げずに甘味度を下げる目的で使用される例が多く、ようかんなどで表面の白い結晶(シャリ)の析出を防ぐ働きもある。
主な用途  あん、たれ類、漬物、菓子(特にキャンディ)、食肉加工品など
市場における動向等  高糖化のものはソルビトールの代替品として、ソルビトールの食品添加物表示を敬遠するユーザーや甘味の質の改善を図るユーザーなどからのニーズがある。糖組成によってさまざまなバリエーションを組むことができるため、今後ユーザーのニーズに合わせた品揃えで裾野を広げる可能性がある。

④マルチトール(還元麦芽糖水飴)
原料・製造法

特性等  マルチトールは、グルコースとソルビトールが結合した糖アルコールである。まろやかで後味にくどさのない砂糖に似た良好な甘味を持ち、甘味度は砂糖の70〜80%である。
  エネルギー換算係数は、2kcal/g である。
  熱や酸、アルカリに対して強く、褐変を起しにくく、カビや酵母に利用されにくく、安定性がある。また、果実風味を高める性質をもつ。
  消化されにくく、低カロリーで、摂取しても血糖値の上昇や、インスリンの分泌にほとんど影響を与えない。また、虫歯の原因になりにくい。
  粉末品はガムや健康食品などのコーティング(糖衣)に使われるほか、クランチ性(噛みごたえ)があることも特徴である。また、滑沢剤を加えることで直接打錠することができるため、錠菓や医薬用タブレットにも使われる。
主な用途  卓上甘味料、飲料、菓子(ガム、キャンディなど)、健康食品など
市場における動向等  低カロリーという機能性に加え、甘味の質が砂糖と類似しており、甘味料やボディ付けとして砂糖の代替での利用度は高い。虫歯になりにくいため、シュガーレス菓子、特に粒ガムへの使用も増えている。
  価格が下がれば、既存のガムやキャンディ以外の菓子や歯磨き剤などの日用品への利用が拡大する可能性がある。

⑤キシリトール
原料・製造法

特性等  キシリトールは、キシロースのカルボニル基が還元された構造を持つ糖アルコールで、自然界ではプラムやいちご、カリフラワーなど多くの果実や野菜に含まれる。
  糖アルコールの中で、唯一砂糖と同等の甘味度(砂糖に対し100%)を持ち、水に溶けやすく、溶解するときに熱を奪うため、口の中で強い冷涼感、爽快感を感じる。
  エネルギー換算係数は、3kcal/g である。
  熱や酸、アルカリに対して強く、褐変を起しにくい。
  インスリンと無関係に代謝され、血糖値を上昇させない。
  キシリトールは、大半の口腔内細菌に利用されないため、虫歯の原因にならず、また、虫歯菌の増殖を抑制する。また、口腔内細菌はキシリトールに順応しないので、継続的に摂取しても、虫歯予防効果を発揮する。
  指定添加物であるが、使用基準はない。
主な用途  菓子(ガム、キャンデー、錠菓など)、歯磨き剤など
市場における動向等  虫歯予防効果を目的としたガムへの使用が、市場を牽引している。学校給食や歯科医、保健所での採用も見られ、流行というよりは今後も必要な機能と考えられ、需要は維持されると思われる。歯磨き剤での使用も増加しており、今後もオーラルケア商品での使用が拡大すると見込まれる。
  また、保湿効果や清涼感を出す特性が、化粧品、衣服への用途で評価されている。

⑥エリスリトール(ブドウ糖発酵甘味料)
原料・製造法

特性等  エリスリトールは、炭素原子を4つ持つ単糖のカルボニル基が還元された構造を持つ糖アルコールである。白ブドウ果実やキノコの他、ワイン・清酒・醤油・味噌などの発酵食品に含まれている。
  甘味の質はあっさりと後を引かず、甘味度は砂糖の75%程度である。溶解するときに熱を奪うため、冷涼感が得られる。
  糖アルコールの中ではカロリーが最も低く(0.24kcal/100g)、0kcal/g やノンカロリーと表示できる。
  酸に強く、褐変を起こしにくい。また、吸湿性が低く、製造現場での取り扱いが容易である。
  摂取しても血糖値の上昇や、インスリンの分泌に影響を与えない。また、虫歯の原因にもなりにくい。
  糖アルコールの中では最も緩下作用を起こしにくい。
主な用途  清涼飲料、卓上甘味料、健康食品など
市場における動向等  カロリー0やノンカロリーと表示できることが、需要につながっている。今後、 糖尿病などの生活習慣病対策やダイエット向けの商品への使用が増加すると思わ れる。

⑦還元パラチノース
原料・製造法

特性等  還元パラチノースは、砂糖の構造異性体(砂糖と同じブドウ糖と果糖で構成さ れているが、その結合部位が砂糖とは異なる。)であるパラチノースのカルボニ ル基が還元された構造を持つ糖アルコールである。
  砂糖に近いさらっとした甘味を持ち、甘味度は砂糖の45〜60%である。
  エネルギー換算係数は、2kcal/g である。
  他の高甘味度甘味料(特にアスパルテーム)との相性が良く、キシリトール、ステビアなどとの共用も可能である。
  熱や酸、アルカリに対し安定で、褐変しにくいため、製品を加工、貯蔵するのに適している。他の糖アルコールと異なり、吸湿性が低いため、キャンディやガム、錠菓で表面をべたつきにくくする加工適性がある。粉砕性、打錠性、コーティング性にも優れている。
  消化されにくく、低カロリーで、摂取しても血糖値の上昇や、インスリンの分泌にほとんど影響を与えない。また、虫歯の原因になりにくい。
主な用途  清涼飲料、卓上甘味料、健康食品など
市場における動向等   吸湿性が低いことが評価されており、キャンディ、ガム、錠菓などの加工に適している。低カロリーやシュガーレスのキャンディを主体に、キャンディ用需要は今後も拡大すると見られる。
  食品以外では、歯磨き剤で使用されている。

⑧ラクチトール(還元乳糖)
原料・製造法

特性等  ラクチトールは、乳糖のグルコース基が還元された構造を持つ、糖アルコールである。
  クセのないまろやかな甘味を持ち、甘味度は砂糖の30〜40%と低い。エネルギー換算係数は、2kcal/g である。
  水に溶けやすく、粘度や加工特性の物性は砂糖に近く、同様に取り扱える。熱や酸、アルカリに対して強く、褐変を起しにくく、化学的安定性がある。また、吸湿性が低い。
 インスリンと無関係に代謝され、摂取しても血糖値を上昇させない。また、虫歯の原因になりにくい。
主な用途  菓子(チョコレート、ガム、キャンディなど)、水産・食肉加工品など
市場における動向等  低粘度、低甘味、甘味の質が悪くないなどの特性は一定の評価を受けているが、緩下作用が大きいことなどから、糖アルコールの中では販売量が少ない。
  シュガーレスチョコレートで使用されていたが、使用量は減少傾向である。今後、ガムのコーティングやタブレットの賦形剤としての使用が拡大する可能性がある。
  ハム・ソーセージ加工では、味が良いことや、腐敗菌に利用されないために日持ちがすることを目的に使用されている。

(4) 天然甘味料

①ステビア
原料・製造法

特性等  ステビア甘味料は、南米原産の多年生キク科植物であるステビアの葉に含まれる甘味成分を抽出して製造される甘味料である。甘味成分は、ステビオサイドやレバウティオサイドAなど数種類存在し、主に使われるステビア甘味料には、①ステビオサイドを主成分とするもの、②ステビオサイドを主成分とするものにブドウ糖を数個付加することで味を改善したもの、③レバウディオサイドA含有量を高め味を改善したもの、の3種類がある。
  清涼感のある甘味を持ち、甘味度は砂糖の10〜300倍と高い。
  エネルギー換算係数は4kcal/g で砂糖と同じであるが、高甘味度であるため少ない使用量で済み、実質的に低カロリーに抑えられる。
  熱や酸、アルカリに対して強く、褐変を起しにくく、吸湿性が少ない。氷点降下が少なく、氷菓などを作りやすい特性もある。また、虫歯の原因にならない。
  塩なれ効果を持つほか、酸味と調和して酸っぱさを和らげ、まろやかな味にする効果がある。
主な用途  漬物、佃煮・珍味類、水産練製品、飲料、ヨーグルト類など
市場における動向等  国内の市場に登場してから30年以上が経過し、需要開拓は一巡している。飲料や菓子の分野ではスクラロースやアセスルファムKへのシフトが見られる。
  従来の塩味を和らげる目的のほかに、ヨーグルトやドレッシングでの酸味を和らげる目的での使用が増えている。健康食品では苦味のマスキングを目的とした使用がある。
  ヨーグルト類では、微生物に利用されないことや、高甘味度なため低カロリーに抑えられることを評価して、使用されている。

(5) 人工甘味料

①アスパルテーム
原料・製造法


 縮合とは、2つ以上の分子あるいは1つの分子の中の2つ以上の部位が結合する反応である。

特性等  アスパルテームは、アミノ酸であるアスパラギン酸とフェニルアラニンを結合させて製造するアミノ酸系甘味料で、1965年に米国で発見された。
  苦味が少なく、砂糖に似たすっきりとした甘味を持ち、甘味度は砂糖の200倍と高い。
  エネルギー換算係数は4kcal/g で砂糖と同じであるが、高甘味度であるため少ない使用量で済み、実質的に低カロリーに抑えられる。
  タンパク質の成分であるアミノ酸から構成されているので、タンパク質と同様に消化、吸収、代謝され、虫歯の原因になりにくい。
  糖の非存在下では褐変しない。常温では水に溶けにくく、吸湿性も低い。また、浸透圧が低く、食品への浸透性があるため、甘味の染み込みが早い。
  コーヒー、医薬品などの苦味を隠す効果や、果物などの風味を増強する効果がある。
  日本では、1983年に指定添加物になり、使用基準は設定されていない。
主な用途  飲料、卓上甘味料、菓子(ガム、キャンディ、錠菓など)など
市場における動向等  低カロリーにするために使われることが多く、アセスルファムKやスクラロースとの併用の流れが進んでいる。菓子では、キシリトールなどの糖アルコールの甘味不足を補う目的で使用する場合がある。スクラロースに比べて熱に弱いことや、飲料では酸性の炭酸・果汁系飲料には使用できるが、中性の缶コーヒーには適性がないことなど使用が限られる。

②アセスルファムK(アセスルファムカリウム)
原料・製造法

特性等  アセスルファムKは、酢酸由来のジケテンと塩素安定剤(水泳用プールなどに使用)や酸やニトリルの洗浄用に使われるスルファミン酸、水に溶かすと硫酸になる三酸化硫黄から合成される、オキサチアジノンジオキシド誘導体の一つで、1967年にドイツで開発された。
  甘味を感じる速さが早く、後引きのない甘味を持つが、特有の苦みを感じることがある。甘味度は砂糖の約200倍であるが、アセスルファムKの濃度が低いほど甘味度が高くなることが特徴的である。また、アスパルテームなどの甘味料との併用によって、甘味の質が砂糖に近くなる。エネルギー換算係数は0kcal/g である。
  熱や酵素、微生物に対して安定であり、水溶液中でも高い安定性を示す。
  虫歯の原因にならず、血糖値の上昇やインスリンの分泌にも影響を与えない。
  日本では、2000年に指定添加物になり、食品ごとに使用基準が定められている。
主な用途  飲料、菓子(ガム、キャンディ、錠菓など)、漬物など
市場における動向等  ノンカロリー・低カロリーにできること、製品加工時や保存時の安定性を評価して使われている。
  他の甘味料と併用して使われることが多く、主な甘味料としてではなく、補完する役割でのニーズが高い。アセスルファムK単体での使用は、漬物用で一部見られる。
  指定添加物として使用が認められて以来、現在も飲料分野などで使用が拡大している。高甘味度甘味料のニーズが高まるとともに、アセスルファムK のニーズも高まるものと思われる。

③スクラロース
原料・製造法

特性等  スクラロースは、砂糖のハロゲン誘導体で、砂糖(ショ糖)の3か所の水酸基が塩素原子に置き換わった構造をしており、1976年に英国で開発された。
  砂糖に似た、後味のない甘味を持ち、甘味度は砂糖の約600倍と高い。
  エネルギー換算係数は0kcal/g である。
  熱や酸に強く、水、メタノール、エタノールに溶けやすい。また、虫歯の原因にならない。
 日本では、1999年に指定添加物となり、食品ごとに使用基準が定められている。
主な用途  飲料(スポーツドリンク、コーヒー飲料など)、製菓・製パン、冷菓・デザートなど
市場における動向等  ノンカロリー・低カロリーを目的として使われることが多い。一部、苦みを隠す目的での使用もみられる。
  アスパルテームの単独使用から、スクラロースとアセスルファムKの併用へ切り替えるケースも増えており、他の甘味料と組み合わせての展開が進むと思われる。
  熱、酸などの加工過程での対応可能な範囲が広いため、焼き菓子や製パンなどではスクラロースに適性がある。不得手な分野が少ないことから、用途は今後も広がる可能性がある。

参考文献
・甘味の系譜とその科学 吉積智司、伊藤汎、国分哲郎 著((株)光琳)
・砂糖百科 高田明和、橋本仁、伊藤汎 監修((社)糖業協会、精糖工業会)
・砂糖の科学 橋本仁、高田明和 編((株)朝倉書店)
・う蝕予防のための食品科学 大嶋隆、浜田茂幸 編(医歯薬出版(株))
・甘味料発展の系譜と清涼飲料 菅野智栄 (ソフト・ドリンク技術資料 108、109)
・新食品開発用素材便覧 吉積智司、伊藤汎、太田明一、田村力 編((株)光琳)
・指定品目食品添加物便覧 岸眞之輔 編((株)食品と科学社)



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