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沖縄県恩納村冨着地区の金城政雄氏の優良きび作事例紹介〜さとうきび収穫後の欠株対策〜

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最終更新日:2010年3月6日

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生産地から
[2005年11月]

北部農業改良普及センター作物畜産普及課長 高良 盛達

1.欠株対策

 さとうきびの収穫機械化に伴って発生するのが欠株の問題である。培土時の土入れなど、肥培管理をきちんと行うことである程度は防げるとはいうものの、降雨などの気象条件や病害虫の発生、機械的損傷などで欠株が発生した場合、単収の低下を防ぐためにも補植は欠かせない技術である。しかし、新植と異なって株出の補植については、周囲の萌芽株との生育が競合するということもあり、苗の種類や補植方法など、未だ試行錯誤の段階にある。


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2.金城さんの栽培概要

  恩納村のさとうきび栽培は株出中心の作型で(図1)、その中で、金城さんは毎年400a(12,000坪)の株出栽培を行っているが、全てハーベスター収穫であるにもかかわらず、平均単収6.2t/10aと県平均よりも高い水準を維持している。平成13/14年期から平成16/17年期までの株出平均単収を見ると、冨着地区の株出単収は恩納村の中でも低い地域となっているが、金城さんの株出は恩納村や県の平均単収より常に高い(図2)。
 その理由として、さとうきび収穫後の欠株対策として補植作業を毎年実施し、さらに堆肥の投入で土づくりをし、雑草除去を早い段階で行っている事が挙げられる。今回、金城さんの補植方法について紹介する。

図1 恩納村のサトウキビ作型別収穫面積
図2 金城さんの株出平均単収
   
補植用苗床
─苗を掘り上げている状況─
掘り上げた一芽苗
─植付時には葉を切って蒸散を抑える─
欠株補植直後の株出圃場
─欠株が無い状態で株出栽培をスタート─
自作の補植器



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3.補植苗の準備と補植の工夫

  毎年、収穫の始まる2ヵ月ほど前、11月から12月にかけてフィルターケーキの苗床土壌にさとうきびの一芽苗を伏せ込む。伏せ込む前の苗用きびは、石灰水に2日浸漬させ、害虫駆除と発芽促進を図る。こうして発芽生育させた一芽苗を、翌年2月〜3月のさとうきび収穫後に欠株を生じた株間に随時掘り上げて植え込んでいく。
 その際、植付作業を省力化するため、車のスプリング板の一枚を刃先用鋼として幅8cm、長さ25cmに加工し、90cmの木製の柄を取り付けた細幅のクワを自作した(重量約1.7kg)。これを用いて植え穴を開け、一芽苗を植え込んでいく。補植に要する一芽苗は10a当たり200本〜300本で、苗の掘り上げから植付までこの手作り補植器で行い、作業に要する時間は一人で約3〜4時間である。
 さらに補植用一芽苗を植え付けする際、周辺の株については萌芽茎の葉身を途中から切断し、周辺株の生育を調整して補植苗が光を遮られて生育遅延を生じないように工夫している。
 欠株対策として、経費をかけずに補植苗を育苗して補植作業を確実に行うことによって単収を上げ、なおかつ、株出し回数も6回と地域平均を上回る成績をあげている金城さんの方法は他農家にも普及できる技術として期待されている。

問い合わせ:北部農業改良普及センター(電話:0980−52−2752)
北部地区さとうきび生産振興対策協議会(電話:0980−53−5836)



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