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惣菜産業と砂糖

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最終更新日:2010年3月6日

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今月の視点
[2000年2月]
 惣菜は現在ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットの定番商品となり、6兆円産業となっています。こうした惣菜の歴史、現状及び惣菜の製造に欠かせない砂糖との関係について株式会社三幸(社長 堀内昭宏:(社)日本惣菜協会会長)の山田顧問に執筆していただきました。
 江戸時代初期の「煮売屋」(にうりや)に始まる惣菜業の今日までの発展の歴史が良く分かる興味深い内容でした。

株式会社三幸 顧問 山田政弥


はじめに    惣菜とは
惣菜産業の歴史
 1.江戸時代の煮売屋   2.明治時代に始まる駅弁とパン食
 3.大正時代から昭和前期の煮豆屋   4.昭和後期
惣菜業の現状    惣菜はどんな所で販売されているか
どんな惣菜が売れているか    惣菜の主原料    惣菜の味と砂糖  


はじめに

 惣菜産業というのは、持ち帰りの調理食品を製造・卸・小売している産業である。レストランなどでの食事を外食、家庭内の手料理による食事を内食、それらに対して持ち帰り調理食品による食事を中食(なかしょく)と呼ぶこともある。
 平成2年(1990)の暮れに始まったバブル経済の崩壊とともに外食産業には冬の時代が訪れたが、以来10年、21世紀を迎えるに当たり惣菜業界はすでに6兆円産業となり、さらに成長を続けるとみられている。

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惣菜とは

 惣菜は総菜とも書き、本来は主食に対する副食である「菜」すなわち「おかず」のことである。惣菜というのは関東風の表現で上方(古い京都弁)では「おばんざい」「おぞよ」であり、「お番菜」「お飯菜」「お雑用」などとも表記されるように、日常家庭内で主婦が作るいわゆる「おふくろの味」を指していた。しかし、現在、惣菜業界、惣菜産業という場合は右のような本来の惣菜(注)だけでなく、「折詰弁当」・「すし」・「おにぎり」・「パン類」・「調理パン」
など製造したその日に消費者の手に渡るいわゆる日配的調理食品を取り扱う、主として持ち帰り販売型式の業種を指している。この意味からすれば、惣菜産業というよりも「中食産業」というほうが適切な表現であろう。

(注)「そうざい」の種類
(1)煮物:煮しめ、甘露煮、湯煮(ゆに)、うま煮、煮豆など
(2)焼物:いため物、串焼、網焼、ホイル焼、かば焼など
(3)揚げ物:空揚、天ぷら、フライなど
(4)蒸し物:しゅうまい、茶わん蒸しなど
(5)和え物:胡麻和え、サラダなど
(6)酢の物:酢れんこん、たこの酢のものなど
「厚生省食品衛生課長通達」より

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惣菜産業の歴史

1.江戸時代の煮売屋
 通産省の工業統計上、食料品製造業から惣菜製造業が分離独立せしめられたのは、昭和60年(1985)であるが、惣菜業のルーツは、古く江戸時代初期の「煮売屋」または「煮染(にしめ)屋」にまでさかのぼる。
 徳川幕藩体制が確立し、社会が安定した17世紀中頃、一般庶民向けの「うどん屋」「そば屋」などとともに「めし、汁、簡単な惣菜」で食事をさせる「煮売屋」という商売が出現した。それまでの外食といえば、もちろん料理屋などはなく、高級武士や町人が遊里などに料理人を招いて作らせるぐらいのものであった。
 元禄時代を代表する井原西鶴の小説「西鶴置土産」によると、江戸の町の大半を焼いた有名な明暦の大火(1657年)の後、浅草観音前にできた一膳めし屋で出した「奈良茶」が人気をよんで、遠くからも客が集まったという。「奈良茶」というのは「茶飯、豆腐汁、煮しめ、煮豆」のセットであった。
 同じ頃、京都から大坂へと淀川を下る夜行舟の客で京都東福寺近くのめし屋が大いに繁昌したことが、やはり西鶴の「万(よろず)の文反古(ふみほうぐ)」にあるが、このような商売は比較的簡単に開業できることもあって、元禄元年(1688)には大坂の市中に少なくとも104軒の煮売屋が営業していた記録がある。(「大坂御城代御支配所万覚」)  もっとも、この煮売屋は現在のような持ち帰り専門ではなく、店先を利用する「一膳めし屋」でもあった。後には「酒色」まで供するものがあらわれて、それを取り締まる布令も出ている。(煮売屋並びに旅篭屋渡世之者、売女屋同様之渡世致間敷事−安政2年4月−大坂町奉行)
 土や自然を友とする自給自足経済から離れる一方、仕事の専門分化や日常生活の簡便さを特徴とする都市生活者にとっては「煮売屋」・「煮染屋」は随分便利なもので、堺のように古くからの都市にも多くの煮売屋が営業していて「煮売屋株」を公儀から認められ「冥加金」つまり徴税の対象ともなって幕末にまでいたっている。  なお、江戸時代後半、庶民の数少ない娯楽のひとつだった芝居見物の幕間に利用された「幕之内弁当」も当初は煮染めを詰め合わせたものであった。

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2.明治時代に始まる駅弁とパン食
(1)駅弁
 明治維新によって西洋化が加速し鉄道敷設が全国に広まり、旅行客が増加すると当然ながら「駅売り弁当」が出現する。駅弁の営業には、商品の変質腐敗防止、製造から出荷までのリードタイムなど今日の惣菜産業の抱えている問題が既に内在しているのである。
 この駅弁第1号は、明治18年(1885)7月1日、東京―宇都宮間の鉄道開設に当たり、宇都宮の斎藤嘉平が梅干し入り握りめし2個にタクアンをそえて5銭で売ったというが、別に、明治10年(1877)に神戸駅で売り出されたのが第1号だという説もある。(近代日本食文化年表―雄山閣)また、明治16年7月「熊谷駅」で「すしとパン」、明治17年7月「小山駅」で「おきなすし」を売り出したともいわれる。さらに、明治20年には姫路駅でいよいよ折詰弁当が売り出されている。
 この後、駅弁の売り上げは鉄道建設の拡大とともに増加し、大正12年(1923)には年間1億個に達したという(以上、いずれも近代日本食文化年表より)。これは1日平均27万個余りで、現在の徳島県1県の世帯数とほぼ同数で、今でもこの売り上げ個数はあまり増加していないようである。ちなみに、現在では日本全国およそ300駅で約1,500種の駅弁が発売されているといわれる。

(2)パン食
 一方、明治以降の日本人の食生活で西洋化の象徴としてパン食の普及がある。日本で最初にパン屋ができたのは、早くも横浜開港2年後の文久元年(1861)であるが、以下、パン食に関する簡単な年表を近代日本食文化年表などから抜粋する。
文久元年(1861) 横浜で日本最初のパン屋開業。経営者は外国人で日本人7人が雇われていた。

元治2年(1865) 英人クラークが「横浜ベーカリー」開業。後にこの商号を引き継いだ店員の打木彦太郎が営業し、日本人による最初のパン屋となった。現在も「ウチキパン(株)」として盛業中。
明治8年(1867) 木村屋があんパンを売り出す。
明治18年(1885) 陸軍省が兵食にパン食をとり入れる。
明治33年(1900) 木村屋がジャムパンを売り出す。
大正2年(1913) 婦人雑誌でパン食を奨励する。
大正9年(1920) 米価値上がりに対処して栄養食パンが売り出される。
昭和25年(1950) 8大都市の小学校で給食がパン食となる。
昭和28年(1953) トースターが発売され家庭でのパン食が増える。(昭和34年にはトースター生産が113万台に伸びた。)
昭和53年(1978) 昭和48年の石油ショックの後、菓子パンの売れ行きが伸び悩み、サンドイッチがよく売れ出しその専門店も増加する。

 なお、パン食の進展とともに昭和の後半はファストフードも人気を得た。昭和47年にスタートした「小僧すし本舗」がわずか5年後の昭和52年に1,000店出店をはたした。

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3.大正時代から昭和前期の煮豆屋
 大正から昭和前期にかけての惣菜業は、いわゆる「巷の惣菜屋」の時代でその多くは零細な家内工業であった。道路に面した家の一角を店としてコロッケなどの揚げ物を並べていたり、あるいは乾物屋や八百屋や魚屋が惣菜屋を併業し、季節の食材で炊いた煮物などを店先で売っていたのである。
 明治以降、保存食品として一般化した佃煮や塩昆布の業者も近縁商品として惣菜を手がけたが、その中からも昭和初期には「煮豆屋」といわれた業者が出た。惣菜用に大豆などをおいしく煮るには技術が必要で、一般家庭の主婦には面倒がられることから「煮豆」は1つの商品として成長特化したものであろう。
 昭和16年(1941)に太平洋戦争が始まると食糧事情も急激に悪化してすべての物資が不足する統制経済下に入った。米も砂糖もその他の食品も店から消えてしまう。輸入依存度の大きい砂糖の不足は絶望的で、気ままな一人暮しを楽しんでいた文豪永井荷風も音を上げたが、その頃馴染みにしていた料理屋の女将からこっそりと砂糖を恵んでもらって涙を流さんばかりに喜んだことを「断膓亭日乗」に記録している。
 昭和18年(1943)には駅弁にも「日の丸弁当」(めしのまん中に梅干し1つ)が売り出されたし、九州の宮崎駅ではふかし芋に昆布の佃煮と福神漬の「芋駅弁」も出たことが話題になった。

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4.昭和後期
 戦後の混乱から落ち着きをとり戻し始めた昭和24年頃から各百貨店などに「惣菜売場」ができた。コロッケやポテトサラダや煮しめなどを100g位ずつ計り売りをしたのであるが、女性の社会進出が増えるにつれて各百貨店とも惣菜売場を拡充した。しかし、その頃(昭和20年代から昭和33年頃)は氷蔵庫の時代で、冷凍冷蔵設備や技術が一般化していないこともあって、あしの速い惣菜の商品管理には様々の制約があった。工場から売場まで1日のうちに何度も何度も自転車などで商品を繰り返し運搬する姿がみられた。したがって、惣菜業は限定された一定の地域内だけで営業せざるを得ないものであった。店頭での冷蔵ケースが一般化するのは昭和35年頃からで、その頃から惣菜の業者も取扱品目も増加するのである。
 昭和30年代後半は、いよいよ日本経済の高度成長が始まる時期で、日本人の生活はそれ以前とは見違えるほどの変化と向上をみせる。
 そのひとつにスーパーマーケット(量販店)の誕生がある。日本のスーパー第1号は、昭和28年東京青山にできた「紀の国屋」であるが、昭和35年にダイエーが大阪市内に進出した頃から各地にスーパーの店舗が増加した。スーパーでの惣菜の販売方法は百貨店などの計り売りと違って、前もって工場で1品1品小単位にトレー包装したものを店頭に並べ、客に自由に選ばせる。新鮮で割安の印象があるうえ、対面販売とは違った気安さと簡便さで、スーパーでの惣菜はどんどん売り上げを伸ばし、さらにスーパーの大型化やチェーン化による売場面積の拡大によって、惣菜業にとっては画期的な同一商品の大量生産が可能となった。
 この頃、惣菜のことをデリカテッセン(英語では単に食料品の意)と称して従来のイメージを変えようとした向きが現われ、今でも「デリカ」が惣菜を意味する言葉として使われることがある。
 さらに、昭和49年(1974)に端を発したコンビニエンスストアの増加は、惣菜産業を数県にまたがる広い商圏をもつ大型装置産業にも脱皮させた。現在、上場企業数社を含む年間売上500億円を超す大手惣菜業者の多くは、昭和40〜50年代の創業であるのもこの間の事情をものがたっている。

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惣菜業の現状

 惣菜製造業を営業するには、施設1つにつきそれぞれ食品衛生法に基づく営業許可申請が必要である。その統計によると平成9年には全国で24,641の惣菜製造施設がある(表1)。この表によると昭和45年から平成9年までの間に、惣菜製造施設は約5倍強に増加していることが分かる。
 また、従業員4人以上の業者数は全国で約4,200余であり、そのほとんどが中小企業であるが、前述したとおり株式を上場している企業も多く、(社)日本惣菜協会の報告の中から売上高で上位10社を表にすると次のとおりである(表2)。

表1 惣菜製造業の施設数
 昭和45年昭和50年昭和60年平成7年平成8年平成9年
施設数4,85712,71120,12524,34224,60224,641
新規2,9462,5672,4062,1322,0641,966
廃業1,8431,8611,9031,781
出典:厚生省・衛生行政業務報告

表2 主要惣菜メーカー
 年間売上高
(百万円)
取扱品販売先資本金
(万円)
従業員数
(人)
FJ社
(千葉県船橋市)
75,000 惣菜
米飯
調理パン
ジャスコ
ミニストップ
ウェルマート
26,000 365
WN社
(東京都小平市)
70,729 惣菜
米飯
調理パン
セブンイレブン
日本食材
287,325 733
FF社
(千葉県船橋市)
64,992 惣菜
米飯
調理パン
セブンイレブン
イトーヨーカ堂
654,125 933
MS社
(埼玉県朝霞市)
56,449 惣菜
弁当
おにぎり
調理パン
セブンイレブン
イトーヨーカ堂
一般顧客
10,400 685
SD社
(東京都千代田区)
55,600 惣菜
米飯
調理パン
山崎製パン
サンショップヤマザキ
小売業者
16,000 990
PN社
(福岡県博多区)
51,170 弁当 一般顧客 51,170 469
MH社
(横浜市金沢区)
49,850 いなり寿司
巻き物
おにぎり
ダイエー
マルエツ
相鉄ローゼン
マイカル
9,000 98
KF社
(名古屋市天白区)
45,257 弁当
惣菜
おにぎり
寿司
ユニー
ニューストア
サークルケイ
110,270 775
TF社
(横浜市港北区)
41,810 調理パン
おにぎり
寿司
弁当
ファミリーマート
am pm
ローソン
512,600 493
FK社
(神戸市中央区)
39,584 惣菜
煮豆
昆布
デザート
加藤産業
西野商事
656,653 830
出典:平成11年11月 (社)日本惣菜協会調べ報告

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惣菜はどんな所で販売されているか(販売チャンネル)

 厚生省の衛生行政業務報告(平成9年)によると惣菜販売業の施設は206,917で、日本人600人に1つの割合で惣菜売場があることになる。表3・表4はもう少し具体的な惣菜の売上状況である。
 また、有名な料理人の名前による惣菜専門店や、惣菜や惣菜材料を便利にまとめて宅配する業者も各地にあり、共働き家庭や老人家庭の人気をよんでいる。

表3 惣菜の販売チャンネル
(単位:店、百万円)
業 態惣菜扱い店舗数1店舗当たり
の惣菜売上高
惣菜市場規模
専門店、他  2,690,080
百貨店48036.4017,472
総合スーパー1,886165.29311,737
食料品スーパー17,62675.861,337,108
衣・住関連スーパー11756.336,591
コンビニエンスストア36,58642.261,546,124
その他スーパー17,31525.55442,398
合計  6,351,510
出典:平成9年度統計 (社)日本惣菜協会作成

表4 主要コンビニエンスストア(98年度売上高)
(単位:百万円、%)
 店舗数食料品売上高惣菜売上高構成比
セブンイレブン7,7321,382,414798,40057.8
ローソン7,016914,188333,27436.5
ファミリーマート4,398531,7387,7751.5
サークルケイ2,289250,163140,74256.3
サンショップ2,782229,057104,42945.6
サンクス1,739191,022105,91655.5
ミニストップ1,104144,16277,44053.7
カスミ66457,20926,40446.2
スリーエフ54364,13124,12237.6
ココストア64248,56715,76132.5
出典:(社)日本惣菜協会調べ

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どんな惣菜が売れているか

 総務庁統計局の「家計調査年報」では調理食品の全国全世帯の年間購入金額が報告されている(表5)。
 また、日本惣菜協会の購入頻度調査によると、より具体的な状況が分かる。この調査は、昭和62年以来3年おきに続けられているものである(表6)。
 なお、特記すべきは年末だけの季節商品の「おせち料理」がある。各百貨店・スーパー・コンビニなどの大手はもとより各地の料亭や仕出し業者が、1セット最高30万円から最低6,000円程度のものまでを予約販売する。この「おせち料理」には保存がきいて遠距離輸送にも便利なように1品ずつパック包装されたものと、すでに重詰めにされたものとがある。1社で「おせち料理」だけで11億円を売り上げる業者もあり、推計では「おせち料理」は3,000億円の売り上げに達するとみられている。

表5 惣菜類(調理食品)の1世帯当たり年間品目別支出金額
(単位:円)
年次
種別        
平成9年平成8年平成7年平成6年平成5年
弁当類25,25522,54221,28020,76220,135
和洋中各種惣菜など24,13922,84523,09523,90423,686
天ぷら・フライ8,5638,1898,3459,3259,423
すし・おにぎり・
サンドウィッチ
7,6567,2337,3334,7914,702
惣菜材料セット5,2915,2076,2095,0096,085
うなぎ・蒲焼き5,2845,0204,6525,0805,026
冷凍調理食品4,1073,8143,6983,7033,356
調理パン3,0572,9063,0483,3143,291
ぎょうざ2,5612,2712,2802,3242,356
サラダ2,4452,3452,3432,1782,058
コロッケ2,2452,2172,1762,3732,479
焼き鳥2,0851,9912,0562,0431,956
カツレツ1,6691,5171,4881,3201,292
シューマイ1,2871,2691,2581,3541,425
ハンバーグ1,1501,0551,1901,2261,240
調理食品の缶詰684637682692715
合  計97,47891,05891,13389,39889,225
出典:総務庁統計局「家計調査年報」

表6 半年間での購入頻度順位(5回以上の割合で高いもの)
順 位惣菜名半年に5回以上
購入した人の割合
  順位惣菜名半年に5回以上
購入した人の割合
1位調理パン68.5% 21位野菜の天ぷら11.3%
2位サンドイッチ53.2% 22位おこわ(類)11.2%
3位うどん、そば46.5% 23位ハンバーグ11.0%
4位コロッケ44.8% 24位おでん10.2%
5位おにぎり44.3% 25位春巻き10.0%
6位にぎり寿司40.3% 26位いか・えびの天ぷら9.5%
7位巻寿司37.0% 27位焼き魚9.0%
8位ギョーザ36.2% 28位グラタン8.5%
9位シューマイ31.2% 29位野菜の煮もの8.5%
10位焼きとり31.0% 30位うの花7.8%
11位煮豆28.5% 31位野菜のゴマ和え7.7%
12位うなぎの蒲焼き28.2% 32位きんぴら7.3%
13位鶏の唐揚げ25.3% 33位いか・えびフライ7.0%
14位ポテトサラダ23.5% 34位たき込みご飯6.7%
15位いなり寿司23.5% 35位茶碗蒸し6.5%
16位幕の内弁当20.2% 36位五目寿司6.2%
17位野菜サラダ18.3% 37位卵焼き4.7%
18位豚かつ15.7% 38位酢の物4.7%
19位肉だんご12.8% 39位野菜・肉の炒め物3.2%
20位かき揚げ天ぷら11.3% 40位マーボ豆腐2.2%
出典:(社)日本惣菜協会調べ「人気の惣菜・伸びる惣菜」平成8年
注:この調査は昭和62年以来、3年おきに続けられている。

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惣菜の主原料

 国産の農水産物、畜産物、食品添加物が主であるが、サトイモ、タケノコ、ヒジキ、ゴボウなど極めて日本的な惣菜材料でも最近は中国からの輸入に頼っているように、現在の食材は世界各地からの輸入も多い。

惣菜の味と砂糖

 関東風の味付けは濃く、関西風は薄味だとよく言われる。しかし、今日では東西の味の区別はだんだんと無くなっている。既に昭和40年代末頃、大阪の船場育ちの食物評論家で明治生まれの大久保恒次氏も「大阪では鰹や昆布のだしをとって味付けをするのが一般的だったのに最近は砂糖などの調味料をよく使うようになった。私のように明治生まれは砂糖の味付けはいただけないが、当節の若い者は砂糖の味付けをうまいという……」と、ある座談会で話している。
 いまの日本料理の一般的な特徴は、西洋料理のようにバターや油脂類を使わないので、味の多様性を出すために砂糖を使って塩など他の調味料と合わせて使うことが多い。
 よく知られているように砂糖はその甘み以外に
*防腐性を良くする。(おせち料理のきんとんや黒豆がその典型である。)
*色と風味を良くする。(ニンジンやグリーンピースなどの煮物の色が良くなる。)
*つやを良くする。(ブリやウナギの照焼き)
などの効果があるので、惣菜製品のメニューには使わないものは無いといってよい。例えば、野菜サラダをとってみても、マヨネーズを使うとそのマヨネーズにはすでに砂糖が入っているのである。
 ところで、最近の健康指向の中で砂糖の摂取量がとかく問題にされる。
 栄養学者の足立己幸氏や上田フサ氏の研究によれば、問題なのは砂糖の摂取量とその摂り方にある。のべつまくなしに大量の砂糖を摂ることが問題なのである。つまり、甘い物に限らず間食を必要以上に摂りすぎると食事に影響し、偏食しがちになる。
 また、砂糖の適度な摂取量にも年齢や体質やその生活による個人差があり、むしろ極端な砂糖制限は正常で豊かな食生活に破綻をきたすものだという。
 したがって、最も賢明な砂糖摂取の方法は3度の食事の中に織り込んで他のいろいろな食品とともに吸収するのが理想であると、足立・上田両氏は主張している。
 さらに、現代人の恐れる生活習慣病の予防のためには、1日に30品目以上の食品をバランス良く摂ること、洋食よりも大豆、野菜や魚中心の和食が良いといわれ、いま世界的に日本料理に関心が高まっていることから考えると、メニューの豊富な惣菜製品をうまく活用して、まさに食事の中に織り込んで砂糖を摂ることが、バランスの良い食生活につながるのではないだろうか。

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「今月の視点」 
2000年2月 
お砂糖と日本人の甘い関係
  料理研究家 山際千津枝
惣菜産業と砂糖
  (株)三幸 顧問 山田政弥
さとうきび作における営農集団の運営と課題
  (社)鹿児島県糖業振興協会 事務局長 松元幸男

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