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ビート産業の現状と課題

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最終更新日:2010年3月6日

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今月の視点
[2001年7月]
 てん菜は北海道畑作農業における基幹的な輪作作物として位置付けられ、てん菜糖企業とともに地域経済に重要な地位を占めていますが、農家の高齢化や後継者不足によって戸数の減少、経営規模拡大に伴う労働力不足が、今後の作付面積確保に影響を及ぼすことが懸念されています。このような中、輪作体系の維持、ビート作付面積の確保、品質向上、製糖コストの低減に向けた取り組みが行われています。
 (社) 北海道てん菜協会からビート産業関係者の現状と今後の課題について紹介いただきました。

(社) 北海道てん菜協会 会長 山口 義弘

1. はじめに
2. ビート産業の現状
3. 当面する課題
4. おわりに



 我が国の主要な食糧基地である北海道の畑作農業において、ビートは北海道の冷涼な気候に適した安定作物であるとともに、畑作の輪作体系を維持していく上で欠くことのできない作物であり、これを支えるビート糖企業と相まって、ビート産業は地域経済に重要な地位を占めている。
 近年、ビートの作付面積は、農業団体の作付指標面積の下で、畑作物全体の約4分の1に当たる7万ha前後で推移し、ビート糖の生産量は、ほぼ60万トン台を確保してきており、昨年、食料・農業・農村基本法に基づいて策定された 「食料・農業・農村基本計画」 で示された平成22年度の生産努力目標においても、作付面積は7万ha程度、ビート糖生産量は66万トン程度と見込まれている。
 しかしながら、ビートの生産面では、高齢化や後継者不足の進展による農家戸数の減少や経営規模拡大に伴う労働力不足等の問題に加え、近年は低糖分が続いていることから、生産者の所得の減少や耕作意欲の減退を招き、今後の作付面積の確保に大きな影響を及ぼすことが懸念されている。
 一方、ビート糖企業は、目標生産費達成に向けて懸命の努力を重ねているところであるが、製造コストのうち原料代が6割を占めるというコスト構造の中で、合理化は計画どおりには進捗していない状況にあり、ビート白糖販売量が減少していることもあって、経営環境は厳しい状況にある。
 このような現状を踏まえ、北海道畑作農業の輪作体系の維持、地域経済の発展等を図るうえから、適正なビート作付面積の確保と品質の向上、気象変動に負けない栽培技術の確立、さらには製糖コストの低減に向けた協同した取り組みの推進など、ビート産業将来ビジョン策定検討委員会が平成11年に策定した 「ビート産業将来ビジョン」 の実現に向けて、関係者が一丸となって取り組むことが極めて重要である。




(1) 北海道畑作の現状
 北海道の畑作物粗生産額は、全国の27.8%を占める我が国最大の畑作物の生産供給基地であり、北海道農業において、稲作・畜産と並ぶ基幹部門となっているが、特に主要畑作地帯の十勝・網走支庁管内では畑作物粗生産額の占める割合が高く、4割程度を占めている (表1)。
 耕地面積は近年、かい廃面積の増加などにより減少を続けており、12年度は前年に比べ2千ha少ない118万5千haとなっている。また普通畑面積も減少しているものの、前年より100ha減の41万3千700haとなっている (表2)。
 一方、畑作農家戸数はかなり減少してきていることから、畑作農家の経営規模別割合は、20ha以上層が増加しており、規模の拡大が進んでいる (表3)。
 農産物需要が低迷する中で、輪作体系の確立による良質な畑作物の安定生産、価格制度や国境措置の維持、農業経営の安定などを目的として、農業団体が昭和60年から 「畑作物作付指標面積」 を設定し、需要動向に即した計画生産を推進しているが、最近は麦類が増加し馬鈴しょが減少傾向にある (表4)。

表1 農業粗生産額 (平成11年)
(単位:千万円)
区分 全道 十勝 網走
金額 構成比 (%) 金額 構成比 (%) 金額 構成比 (%)
16,366 15.5 20 0.1 331 2.0
畑作物 23,117 21.9 10,336 45.4 6,495 39.1
  いも類 7,697 7.3 2,879 12.6 2,06 12.4
工芸農作 6,251 5.9 2,753 12.1 2,711 16.3
麦類 4,939 4.7 2,640 11.6 1,388 8.4
雑穀・豆類 4,230 4.0 2,064 9.1 330 2.0
野菜 17,602 16.6 2,275 10.0 2,972 17.9
畜産 45,779 43.3 9,996 43.9 6,600 39.7
その他 2,876 2.7 152 0.7 209 1.3
合計 105,740 100.0 22,779 100.0 16,607 100.0
資料:農林水産省 「生産農業所得統計」 (概算)

表2 耕地面積と推移
(単位:千ha)
区分 昭和60年 平成5年 平成10年 平成11年 平成12年
258.1 240.6 237.6 236.4 236.0
926.8 965.3 954.3 950.9 949.6
  普通畑 426.4 422.9 415.9 413.8 413.7
樹園地 4.4 4.0 3.7 3.7 3.6
牧草地 496.1 538.5 534.8 533.5 532.3
合計 1,185.0 1,206.0 1,192.0 1,187.0 1,185.0
資料:農林水産省 「耕地面積調査」

表3 畑作農家の経営規模別割合
区分 総 数 (戸) 5ha未満 (%) 5〜10ha (%) 10〜20ha (%) 20ha以上 (%)
昭和60年 25,055 37.4 20.0 25.1 17.5
平成5年 15,210 17.7 19.3 29.1 33.9
平成10年 13,220 15.8 12.6 31.8 39.8
平成11年 12,230 17.2 17.5 25.1 40.2
資料:農林水産省 「農業構造動態調査」
注:畑作農家とは、農作物販売金額の第1位の部門が麦類、雑穀・いも類・豆類、
工芸作物のいずれかである農家である。

表4 畑作物の作付面積
(単位:ha)
区分 昭和60年 平成5年 平成10年 平成11年 平成12年
麦類 98,400 96,270 95,690 99,000 106,639
豆類 80,696 56,266 58,600 56,300 57,500
ビート 72,500 70,100 70,200 70,000 69,200
馬鈴しょ 75,900 68,700 62,800 61,420 59,100
合計 327,496 291,336 287,290 286,720 292,439
資料:農林水産省 「作物統計」、北海道農政部農産園芸課調べ

(2) ビートの生産状況
 ビートの作付面積は、昭和60年頃までは増加基調で推移し7万haを超える水準となったが、それ以降は各種調製品などの輸入増加などにより需給が緩和し、農業団体が定める作付指標面積もあって7万ha前後で推移している。なお、13年の作付については、最近の低糖分による収益性の悪化などから、かなり減少すると見込まれている。
 ha当たり収量は、気象要因等の影響を受けているもののほぼ安定的に推移している。また、平均糖分は、栽培技術の改善や高糖分品種の普及等により高水準で推移してきたものの、近年の高温多雨による気象変動や病害虫の多発により、平成10年から3年連続で基準糖度帯 (16.7%〜17.0%) を下回っている (表5)。このため、本年1月に北海道の農業試験場等関係機関・団体の協力のもと 「てん菜低糖分解析検討会」 を設置し、低糖分の要因の究明を行うとともに、その結果に基づき営農技術資料を作成し、全ビート生産者に配布している。

 10a当たりの労働時間は高性能機械の導入等により減少傾向にあるが、他の主要畑作物と比較すると依然として最も多くなっている。
 10a当たりの粗収益や所得は、作柄により変動はあるものの、畑作物の中では高く比較的安定しているが、労働時間が多いことから、1日当たり家族労働報酬は低くなっている (表6)。

表5 てん菜作付面積・単収・収穫量の推移
(単位:戸、ha、t/ha、%)
区分 作付戸数 1戸当たり
作付面積
作付面積 単  収 収 穫 量 平均糖分
昭和60年 20,520 3.53 72,500 54.0 3,921,000
平成3年 17,493 4.11 71,900 57.2 4,115,000 17.6
平成5年 14,767 4.75 70,100 48.3 3,388,000 18.0
平成9年 12,509 5.48 68,500 53.8 3,685,000 17.6
平成10年 12,313 5.70 70,200 59.3 4,164,000 16.6
平成11年 11,924 5.87 70,000 54.1 3,787,000 16.6
平成12年 11,311 6.11 69,200 53.2 3,674,000 15.7
資料:農林水産省 「作物統計」

表6 畑作物の収益性 (10a当たり)
(単位:時間、円)
区分 平成5年 平成9年 平成10年 平成11年
労働時間 小麦 3.0 2.8 3.4 3.5
ビート 18.6 18.3 18.3 17.6
大豆 17.9 14.0 13.0 12.1
小豆 17.7 12.7 14.1 13.0
原料用馬鈴しょ 9.7 8.8 9.2 8.8
所 得 小麦 21,468 27,741 30,313 17,916
ビート 34,709 42,434 42,655 31,251
大豆 22,047 20,974 18,736 35,408
小豆 37,093 34,082 34,378 65,050
原料用馬鈴しょ 36,049 32,657 23,008 20,596
1日当り家族
労 働 報 酬
小麦 20,465 38,957 45,138 14,400
ビート 10,135 14,199 14,785 10,232
大豆 2,407 4,372 2,785 17,405
小豆 13,128 17,261 16,510 38,224
原料用馬鈴しょ 20,531 19,699 11,026 9,093
資料:農林水産省北海道統計情報事務所 「農業経営統計調査」

(3) ビート糖生産の現状
 ビート糖企業は、昭和52年以降現在の3社8工場体制となっており、十勝地域及び網走地域に各3工場、道央地域及び道南地域に各1工場が立地している (表7)。
 製糖については、原料ビートの受入が10月中旬から12月20日頃迄であり、裁断は工場能力の関係から遅い工場で3月中頃迄となっている。なお、芽室、中斜里、道南の3工場については、濃厚汁貯蔵タンクを設置し、裁断終了後もシュガーエンド工程で砂糖を製造している。
 ビート糖の生産量は、原料ビートの取引が重量取引から糖分を加味した取引に移行した昭和61年以降、歩留が大幅に向上したこともあって、概ね60万トンを超える水準で推移してきたが (表8)、平成12年については、原料ビートが低糖分であったことから、糖分取引開始以降最も低い産糖量となった。製糖の副産物として家畜の飼料に利用されているビートパルプは、原料ビートの5%程度の生産量がある。
 近年の砂糖需要の大幅な減少に伴ないビート白糖が減少する一方、ビート原料糖が増加したことから、原料糖負担に原料糖在庫の累積による金利、倉敷料負担等の影響を受け、ビート糖企業の経営内容は従前に比べ悪化している。
 ビート糖の生産コストは、6割が原料代、4割が集荷製造経費となっている。また、集荷製造経費については、「ビート産業将来ビジョン策定検討委員会」 の資料によると人件費が1/3強を占めるほか、原料輸送費が15%を占めている (図)。

表7 てん菜製糖工場
会社名 工 場 名 1日当たり
裁断量 (t)
操業開始年 工場所在地
日本甜菜製糖(株) 士 別
美 幌
芽 室
2,878
2,805
8,619
昭和11年
昭和34年
昭和45年
昭和52年拡充
士別市西3条北
網走郡美幌町
河西郡芽室町
ホクレン農業
協同組合連合会
中斜里
清 水
6,023
2,616
昭和33年
昭和37年
斜里郡斜里町
上川郡清水町
北海道糖業(株) 北 見
道 南
本 別
2,819
3,005
2,815
昭和32年
昭和34年
昭和37年
北見市北上
伊達市館山下町
中川郡本別町
  31,580    
資料:農林水産省
注:1日当たり裁断量は、「甘味資源特別措置法施行規則第4条 (既存指定
製造施設に係る届出事項)」 に基づき届けられている数値である。

表8 ビート糖生産の推移
年次 原料ビート
買入数量 (t)
製糖歩留
(%)
産 糖 量
(t)
うち原料糖
(t)
ビートパルプ
生産量 (t)
備 考
昭和60 3,920,838 14.65 574,243 212,432 重量取引
61 3,861,848 16.32 630,143 220,589 糖分取引移行
平成1 3,663,925 16.77 614,271 82,110 197,735 原料糖生産開始
3 4,114,784 17.47 718,821 188,223 233,673 産糖量史上最高
9 3,684,564 17.47 643,547 167,277 194,328  
10 4,164,421 16.32 679,829 226,432 210,507 原料ビート数量史上最高
11 3,787,098 16.29 616,883 134,429 199,570  
12 3,673,429 15.50 569,200 123,651 182,226  
資料:北海道農政部

図 てん菜糖集荷製造経費の内訳 (平成9年度)
てん菜糖集荷製造経費の内訳グラフ
資料:ビート産業将来ビジョン策定検討委員会資料

(4) ビート糖の販売状況
 ビート白糖については、グラニュー糖が生産量の約9割を占めている。
 消費は、菓子類、清涼飲料及び乳製品の比率が高いことが特徴であるが、菓子類、清涼飲料については、加糖調製品の増加等により低下傾向にある。乳製品については、生乳生産地の北海道に立地する関係から、練乳・粉ミルクなどの需要が多く構成比も高い。
 砂糖の商流は、メーカーから代理店、特約店、スーパー、デパート、小売店などを通して、菓子、飲料メーカー等の大小の加工業者、消費者に多岐に亘って周年的に販売されているが、ビート糖の物流としてみると、生産が季節操業であるため、中継地倉庫、消費地倉庫など各地に多大な保管施設が必要となり、大きなランニングコストを形成しており、また、白糖の販売数量の減少や多様化するユーザーニーズへの対応などもあって、製品単位当たり販売経費の削減は難しい状況にある。




(1) 省力・低コスト生産技術体系の推進
 ○省力移植栽培体系の普及
 ビートの単位当たりの生産費をみると、近年ほぼ横這いで推進しており、また、労働時間は低下傾向にあるものの、他の畑作物との比較では高い水準にあることから、ビートの作付面積を安定的に確保するためにも、コスト引下げと省力化の取り組みが重要である。
 このため、土壌診断に基づく適切な施肥、防除基準に基づく農薬の効果的利用、高能率移植機や多畦収穫機の開発普及を図るほか、交換分合、共同・受委託作業、集団的作付などを推進し、圃場の集団化、農地集積による効率向上に努める必要がある。
 また、苗運搬に伴う重労働の軽減を図るため、13年から新たにてん菜苗の軽量化を目指した試験研究に取り組んでいるところである。
 ○直播栽培技術体系の確立
 経営面積の拡大や高齢化等による労働力不足に対応するため、直播栽培の普及が期待されているが、現状では、移植栽培に比べ、収量が低く不安定であることから直播栽培の面積は、全体の3%台に留っている。
 このため、収量の向上・安定化を目指した栽培技術体系の確立や直播栽培の導入・定着条件に関する研究等に取り組んでいるが、今後とも初期生育に優れる等直播栽培に適した品種の開発・導入等の試験研究を一層推進する必要がある。

(2) 収量の安定化と高糖分栽培技術の確立
 ○土地基盤整備・地力の増強
 作柄の大幅な変動や品質低下は、畑作地帯における土壌の悪化や湿害が大きく要因となっていることから、明暗渠、心土破砕、区画整理、土壌・土層改良など土地基盤整備をより一層推進する必要がある。
 また安定生産のためには、有機物の投入や緑肥作物の導入などによる地力の増強が重要である。
 ○土壌に応じた適正な施肥
 昭和61年の糖分取引開始以来、糖分低下の大きな要因である多肥栽培は大幅に改善されていたが、最近の実態をみるとチッ素などの施肥量が増加し、糖分を低下させる傾向があるので、土壌診断に基づく施肥設計など適正な施肥量を徹底する必要がある。
 ○輪作を基本とした計画生産の推移
 輪作は北海道畑作農業の基本であり、地力維持、連作障害回避、労働の平準化、品質の向上、肥料・農薬の軽減、豊凶リスク分散など広くその効果が認められているが、最近は特定作物偏重の傾向もみられる。
 このため、地域の実情に即した合理的な輪作体系を基本とした計画生産の推移により特定作物の偏重を是正をするとともに、農地の賃貸借や遊休農地の活用等、農地流動化の推進により輪作体系の確立を図る必要がある。
 ○優良品種の開発・導入
 ビート優良品種の開発・導入についてこれまでも大きな努力が払われ、また、多大な成果がもたらされてきたが、さらに高糖分で多収な品種が期待されている。特に、近年の病害虫の多発が品質低下に大きな影響を及ぼしていることから、耐病性品種が強く望まれており、平成12年度にも、褐斑病の抵抗性が強い 「スタウト」 そう根病の抵抗性が強い 「きたさやか」 の2品種が新たに優良品種に認定されたところであるが、今後とも耐病性に優れた品種の早期開発に取り組むことが重要である。

(3) 新たな生産構造の構築
 労働力不足への対応、機械・施設の効率的利用、地域の農地の有効利用を図るためには、農業機械施設の共同利用や農作業受委託などを行う集落システムづくりを推進するとともに、農作業請負組織 (コントラクター) の育成など農家・JA・糖業者によるビート生産支援システムを構築し、地域全体の生産性向上、コスト削減を図ることが重要であり、そのための地域システムの構築と推進体制の確立を行う必要がある。

(4) ビート糖製造コストの低減
 ○人件費
 人件費については、これまでも削減に努めてきているが、製造コストに占めるウエイトが高いことからより一層の努力が求められている。このため、砂糖の製造部門、生産指導を行う農務部門、人事、総務等の管理部門ごとに人員の削減を検討し、コスト削減を図る必要がある。
・製造部門は製造工場における人員配置の見直し、作業の外注化、省力化設備の導入等による人員の削減など
・農務部門は生産者、関係指導機関との協力体制の拡充による人員の削減、年間業務の見直しによる人員の適正配置
・管理部は OA 化促進による業務の効率化や組織の再編、業務の外注化による人員の削減など
 ○受入経費、原料輸送経費
 受入場の集約、受入施設の大型化をコストの上昇を極力抑えながら進めていく必要がある。また、工場直送は受入貯蔵経費、原料輸送経費の削減に最も結び付くものであり、受入期間の延長について検討する必要がある。
 このほか、土砂混入削減による正味運搬量の増加、ストックポイント造成の推進、輸送車両の大型化等輸送効率アップを図ることが必要である。
 ○環境問題
 環境問題に関連する要請やユーザーからの品質管理強化ニーズについては、今後ますます厳しくなるものと想定されることから、他業種や諸外国における対応事例を研究しつつ、対応していく必要がある。
 また、産業廃棄物処理規制の強化により、ライムケーキ、余剰汚泥の処理経費が増高しているので、ライムケーキの農地還元措置などその再資源化、軽量化が重要な課題になっている。

(5) ビート糖販売コストの低減
 販売コストについては、ビート白糖の販売数量が減少している中で、コスト削減は厳しい状況にあるが、輸送手段の見直しや運送トラックのビート3社共同利用による運賃の削減、消費地でのバルク充填設備、配送車両及び倉庫のビート3社共同利用による荷役料、保管料の抑制等の方策を検討する必要がある。
 また、販売促進のための手数料等については、精製糖業界と協力しながら流通の合理化に取り組み、削減を図っていく必要がある。




 北海道のビート生産及びビート糖生産の現状と課題について概括的に記述したが、その他にも原料ビートの受渡し及び糖分測定立会業務の合理化、ビート糖の消費拡大対策、原料糖の需要開発や加糖調製品対策、種子の供給体制等検討すべき多くの課題を抱えている。
 このため、当協会としては、関係機関・団体と密接な連携を図りながら、試験研究の充実や技術の普及啓発の推進、「新ビート産業将来ビジョン実現推進事業」 等農畜産業振興事業団助成事業の積極的活用、さらには、ビート生産及びビート糖集荷製造コストの低減方策について協議検討を進めるなど、ビート産業全体の発展に向けて努力していきたいと考えているので関係の方々の幅広い御意見をいただきたい。



「今月の視点」 
2001年7月 
コーヒーの話〜コーヒーと砂糖の上手なつきあい方〜
  コーヒーアドバイザー 伊藤 博

ビート産業の現状と課題
  (社) 北海道てん菜協会会長 山口 義弘

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