[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ
alic 独立行政法人農畜産業振興機構
砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 視点 > 社会 > アメリカ砂糖協会の活動紹介

アメリカ砂糖協会の活動紹介

印刷ページ

最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

今月の視点
[2002年9月]

 砂糖に関する誤解の払拭や正しい知識の提供は各国で行われています。アメリカにおいても砂糖の摂取が 「肥満や糖尿病の原因」 などと言われ、日本と同じような誤解が存在するようです。
 砂糖の製造者や原料作物栽培者をメンバーとする 「砂糖協会」 では、砂糖を正しく理解してもらうため、消費者に対して様々な情報提供を行うとともに、健康的なライフスタイルを維持していくためには、日常生活における運動が欠かせないものと継続的に啓蒙していくこととしています。

糖業協会 理事 橋本 仁

I アメリカ砂糖協会について
  1.その歴史   2.砂糖協会の構成
II 砂糖協会の活動内容
  1.本当の砂糖消費量問題   2.砂糖と肥満問題
  3.身体的運動の奨励
砂糖協会の今後の活動方針


はじめに

 アメリカ砂糖協会の2001年度年次報告書を入手いたしました。砂糖への正しい認識を普及する活動に携わっている私どもにとって他国における砂糖に関する啓発、啓蒙、消費拡大運動の状況は大変参考になるのでここにその一部をご紹介したいと思います。



1.その歴史
 砂糖協会はアメリカ砂糖産業のメンバーによって設立されましたが、最初は 「砂糖研究財団(Sugar Research Foundation)」 として1943年にスタートしました。食品における砂糖の役割に関する科学的な研究結果や、砂糖の役割・機能を公衆に伝えるために砂糖研究財団が創られたわけです。その後、1947年には、「砂糖研究財団」 は現在の 「砂糖協会」 に名前を変えました。スタート時のいきさつから、1968年まで、協会には二つ部門がありました。即ち、情報部門と研究部門です。「砂糖情報部門 (Sugar Information Inc.)」 は普及啓発および 広報を担当する部門です。「研究部門(砂糖研究財団)」 は、砂糖に関する基礎、応用、の科学的な研究を助成する部門です。
 「砂糖研究財団」 の仕事が国際的な関心の的となり、「砂糖研究財団」 は発展的に独立した団体への道を歩むことになります。それが今日の 「World Sugar Research Organization」 であり、本部はレディング (Reading, UK)にあります。砂糖協会は政府職員、健康専門家、メディア及び公衆に砂糖が有益な食品であることを啓蒙啓発することを使命として引き続き活動しています。

2.砂糖協会の構成
 砂糖協会は19のアメリカの砂糖製造者及び栽培者のメンバー会社で構成されています。メンバー会社あるいは組織の意志決定代表で構成される理事会のほか、執行委員会、予算委員会、監査委員会、指名委員会があます。またメンバー会社スタッフで構成される3つの諮問委員会が、協会のための公共政策、普及啓発、科学的な事業の方向付けを行なっています。協会の事業年度は7月から6月で、毎年2回の理事会や適時開催される委員会で、その年の活動と戦略の検討及び計画立案を行っています。

ページのトップへ



 砂糖協会は科学的デーダに基づき、学校の教員、子供を持つ親たち、健康専門家、栄養士、食品関係者等に対して、砂糖の栄養学や機能的使用法に関する情報発信源を長年勤めております。
 2001年度には次の3つの諸課題に取り組んでいます。
(1) 砂糖消費量問題
(2) 砂糖と肥満問題
(3) 身体的運動の奨励
それぞれの取り組みを 「年次報告書」 から抜粋してご紹介してみましょう。


1.本当の砂糖消費量問題
[1] 問題点
 一人当たりの砂糖消費量は正確には判っていません。従来から砂糖生産量(輸入量などをふくめて供給可能量)を人口で割ったものがアメリカ人の一人当たりの消費量とされていました。生産量から浪費分や非食品類への使用量が差し引かれていないので、過大に消費量が報告されており、消費者を混乱させるばかりか、砂糖消費量に関する政府の栄養ガイダンス設定等にも誤った影響を与えてしまっています。
「砂糖を食べ過ぎだ」 と誤って報道される消費量問題に対して、協会は次のような直接行動をとっています。

[2] 砂糖協会の活動
(1) 砂糖消費量の定義化
 砂糖消費量の明確化は度々試みられてきましたが、いずれもロス分に対する考慮が払われていませんでした。協会はこのロス分に関する報告書を探し、少なくとも生産量の1/3が、農場から消費者の口に入るまでの間でロスしていることを実証に基づきレポートしました。
 また議会季刊誌 「議会季刊研究」 に 「アメリカ人は精製糖の摂取を減らすべきか?」 というテーマで紙上討論を行ないました。勿論協会は減らす必要がない 「NO」 立場で論陣を張りました。「減らすべきだ」 とする 「YES」 派も、「砂糖消費が必須ビタミンやミネラルを奪う」 という科学的論文を用いて挑んできましたが、この栄養素置換理論はこれを支持する専門家によって再吟味された科学的論文はありませんでした。
 協会は、アメリカ人が毎日のカロリー摂取バランスを保つために体を動かす総運動量レベルを上げさえすれば、健康的な食事パターンのどんな食事を摂っても砂糖摂取の余地は残っていると強調しました。

The Real Scoop on Sugar
(2) 消費者への情報提供
 砂糖摂取量の明確化と共に、協会は継続的に栄養、健康、料理における砂糖の役割に関する友好的情報を消費者に提供しています。
 そのひとつが砂糖は天然物であり、健康的な楽しみを与えてくれるものであることを再認識してもらうために作られた 「国家クッキー計画」 です。美味しく、脂肪分の少ないクッキーレシピを作り、学校の始業式やハロウィンやクリスマス時のプレスリリースの一部として、全国約1000の新聞社を通じて200万人を超える読者にそのレシピを届けています。

The Sugar Association The Sugar Association

 また教育パンフレットとして、炭水化物、食物繊維と脂肪を組み合わせた栄養情報や朝食、昼食、夕食及びスナックのカロリーとレシピの重要性を掲載した 「Healthy Eating for the Whole Family」、自然の甘味料である砂糖に関する誤ったうわさの払拭のため、専門家が認めた科学論文を用いて検証する 「The Real Scoop on Sugar」、協会の活動目的を説明する 「Who We are」 を作成しています。各出版物は栄養学者や栄養士、消費者、理科教員、看護師等の公に栄養や健康情報を提供する専門家に積極的に受け入れられています。また栄養協会、大学スポーツ医学会、家族・消費者科学協会等が開催する年次大会でも、砂糖の正確な情報を提供しています。

The Real Scoop on Sugar

ページのトップへ

2.砂糖と肥満問題
[1] 問題点
 「肥満原因の主因の一つは砂糖である」 と砂糖が常に不正確かつ不公平に名指しで挙げられます。1999年に栄養専門家達は、砂糖消費量を制限するために砂糖のラベリング(表示方法)の必要表記条件変更を食品医薬局(FDA)に要請しました。これは砂糖摂取制限量を40g/日という独善的な奨励に基づき行われ、食品に加えられた砂糖のみを対象に、健康と栄養素の要求基準の改訂を要請したものです。 砂糖を特定し摂取量制限を行えば、私達の生活に楽しみを与える健康的な食品に 「悪者」 の烙印を押すことになり、砂糖を使った食品への課税や学校からの排除を煽動することになります。

[2] 砂糖協会の活動
(1) 表示方法改定を阻止
協会は科学的研究や公での対話を通じて、肥満の原因は多要因であり、ひとつの食物、単一の栄養素やカロリー摂取に起因するものではないということを確認し主張してきております。
 さらに、協会は、FDAの1993年の宣言文 「分析学的にも、生理学的にも、食品に加えられた砂糖と自然に生じる砂糖との間には何ら相違がない」 を引用し表示方法(ラベリング)を変更すべきではないと主張しました。また肥満や心臓病、栄養素を奪うという理論に反論する科学的な証拠文献も提出しています。砂糖消費量はトータルカロリー摂取が上昇しているのに対して相対的に安定していることから、ラベル表示方法の変更を正当化するような切迫した状況ではないことを確認しています。

(2) 広報活動キャンペーン
 協会は、砂糖が肥満とそれに関連する疾病の主要な原因であると非難する神話を払拭するために広報活動キャンペーンを昨年開始しています。一つは消費者に焦点を絞ったもの、もう一つは子供を主対象にしたものです。
 その一つ、「Healthy Solution」 という番組の制作で、CNBCの 「健康ネットワークとBravo」 で4分間放映されました。また砂糖は糖尿病や行動異常、心臓病、肥満等の生活習慣病に関連する疾病の原因ではないことを最新の科学文献から引用したビデオを 「Healthy Solution」 のウェブサイト上で紹介したところ、6000万人を超える人がこれを視聴し、ウェブ上のビデオをダウンロードしたそうです。 もうひとつは 「Healthy Kids」 という雑誌広告とPR記事です。この雑誌はアメリカの小児科アカデミーによって監修され、2歳〜9歳の子供を持つ親のために作成されたものです。この中で砂糖と健康に関して浸透している俗説を払拭するため、科学文献を引用した情報を掲載し砂糖が健康に良いことを宣言しています。100万部を超える印刷物が小児科医のオフィスを通じて読者に配布されました。 更に協会はできるだけ多くの消費者に砂糖の正しい情報を知ってもらうため、「Healthy Kids」 に使用した内容を小冊子にして配布しています。
(3) メディア対策
 協会は、「USA Today」、「The New York Times」、「The Washington Post」、「New republic」、「U.S. News」、「World Report」 等の新聞で報道された誤った情報に反論することで、メディアのネガティブかつ不正確な情報から砂糖を守りました。
 最もひどい 「USA Today」 の 「砂糖による死亡」 という記事では、II型糖尿病の増加を砂糖消費の増加と関連付けようとしました。協会は 「食品及び飲料に含まれる砂糖の消費は、慢性病に寄与する要因であると確認されていない」 という反論を送付し、後日訂正の意味をこめてこの反論の内容が同誌上に掲載されました。
 このような新聞・雑誌やラジオ・テレビ等のメディアによる砂糖に関する言及は、サトウキビやビート生産で生計を立ている何千家族の農民を傷つけ、不公平であると考え、必要な時には彼らの代表として反論しています。
(4) 研究助成
 砂糖有害論に反論するために、協会は栄養素置換理論に挑戦する研究、子供の肥満の原因を定量化する研究、健康的な食事に関する推測的な意見に対する研究等の必要な研究に対して資金提供を行っています。その結果 「砂糖は食事中のビタミンやミネラルを置き換える」 という誤解に対する論文を多く入手し、砂糖摂取量と消費したビタミン・ミネラルの間には生物学的な意味はないとの結論を得ています。

ページのトップへ

3.身体的運動の奨励
[1] 問題点
 ほとんどのアメリカ人は運動不足なので、毎日のカロリー摂取量が生理的な必要量を超えています。この過剰なカロリーと増加した体脂肪を帳消しにするためには、日常生活にもっと身体的運動を取り入れる必要があります。
 しかし国立アカデミー医学科学研究所(IOM)のように身体的運動を軽視し、栄養とカロリー節減に焦点を当て、多量栄養素の摂取上限を決めようとするグループも存在します。砂糖の摂取上限を科学的な証拠に基づいて決めることは不可能で、また砂糖のような有益な栄養素の摂取をコントロールすることは、バランスの取れた食事やその栄養素の役割を非難し、カロリーバランス上不可欠である身体的運動の重要性を軽視するものであります。

[2] 砂糖協会の活動
(1) 「もっと活発なアメリカ(More Active America)」 活動の支援
 肥満問題との戦いの中で、必要な身体的運動に焦点を移すために、協会は 「活発なアメリカたれ(Be Active America)」 活動の提案プログラムを作成しました。このプログラムは地域社会内で身体的運動量を増加させるために必要なテクニックを教えるものです。 今年度はノースカロライナとニューヨークで行われています。また協会は、アメリカ公衆衛生局長官が開催した「肥満問題と闘う全国行動計画に関する聴聞セッション」に参加しました。このセッションに先立ち協会は、「太りすぎ/肥満問題を取り扱う如何なるイニシアチブも、摂取と消費双方のエネルギーバランスに真剣に取り組むため、身体的運動を行わなければなりません。車の両輪のように健康的な食べ方と運動の両立ができれば、体重減少をもたらし多数の慢性病のリスクを下げることができます。
 また加えて肥満に関する全国討論会においても、身体的運動の基本的重要性を強調するサミットを開催しました。 この中で肥満危機が大きな問題であり、運動不足の象徴であるという事実が研究者によって発表され、運動不足や不健康な食習慣が国に与える財政的な影響が説明されました。

Be Active America
(2) 健康なライフスタイルの奨励
 この他にも身体的運動を奨励する為、協会はアリゾナ医科大学のlauve Metcalfe先生を起用し、全国メディアに配布する記事を作成しました。彼女は体重管理や強度トレーニング、幼年期肥満と健康プログラムの開発等に取り組む研究者で、個人の健康や健康的な食べ方と運動のマスター等に関する文章は、砂糖のネガティブ論を払拭するのに非常に価値があるものでした。
 また協会はMetcalfe先生と共に、アメリカ家族及び消費者科学協会の年次大会で教育用プレゼンテーションを実施しました。この中で彼女は教える立場にあるもの、人生で健康を実行したい人々に対して重大なライフスタイル・メッセージを伝え、1400人以上の出席者に対して、砂糖がどのように健康や活発なライフスタイルに組み入れられるかを説明しています。
(3) “Active Play” の奨励
 協会は生涯の運動習慣が幼年期から始まると考え、ウェブサイト(www.sugar.org)上に “Kids Active Play” というページを作成しました。この対話型のページは、3歳〜7歳の子供が自分のパソコンを使って、「ビンゴ」 と 「Simon Says」 という2つのバージョンから成る身体的運動をするように設計されています。各ゲームは挙手跳躍や腕で円を作ったり、足の指にタッチする等の運動が盛り込まれ、ゲームを完了すると修了証書がご褒美として教師や親から与えられます。
Kids Active Play
ページのトップへ


  • 生活習慣病の原因となる運動不足と過食に焦点を絞り、砂糖が健康に有益な役割を果たしているという科学的事実に立脚して、「活発なアメリカたれ(Be Active America)」 トレーニング・プログラムを通じて、国民の現在の健康や将来の健康維持のためには、第一に学校や職場、レジャー等の日常生活における身体的運動(体を動かすこと、スポーツなど)が必要であることを継続して啓蒙していく。
  • 砂糖を我々は食べ過ぎていないこと,毎日身体的運動を行ない適量の砂糖摂取は、健康的食事やライフスタイルへの楽しみをもたらすという砂糖に関するの良い常識を普及させる。
  • 食品ラベル表示規則については、継続して連邦栄養政策の変化に注目して行き、そして強力なコミュニケーション・プログラムと広報活動を通じて誤った情報に反論し、砂糖の本当の価値を普及し続ける。
  • アメリカ砂糖産業の将来は希望に満ち溢れた繁栄があるのと同時に、重大な挑戦にも臨まなければならない。協会が前進することで、砂糖を守り、健康な食事の一部としての消費量を拡大する。
 協会は今後の多くの苦難やチャンスに直面しながらも、砂糖生産者の努力に報いるべく誠心誠意活動して行く、としています。
ページのトップへ


「今月の視点」 
2002年9月 
アメリカ砂糖協会の活動紹介
 糖業協会 理事 橋本 仁

琉球弧の少収地域、低糖度地域におけるさとうきびの栽培改善
〜沖縄県下の島々〜

 九州沖縄農業研究センター 作物機能開発部 さとうきび育種研究室長 杉本 明


BACK ISSUES




このページのトップへ

Copyright 2016 Agriculture & Livestock Industries Corporation All rights Reserved.