沖縄県ではこの度、多機能ロータリー装着型さとうきび植付機が県農業試験場により開発され、植付作業の省力化による増産対策に弾みがつくものと期待されている。また、 県内各地区で当植付機による実演会が開催される等、今後の機械導入に向けた取り組みも行われている。
実演会では、この植付機はかなりの省力化や増収効果が期待できるものと、生産農家をはじめ、さとうきび関係者の関心を集めており、植付後の生育状況についても欠株がほとんど見られない等好成績を上げ、生産農家からも好評である。
沖縄県では、これまで外国産の牽引型さとうきび植付機や国産の様々な植付機が開発、普及されてきたが、苗準備、発芽率、除草作業等に多少の課題があった。そこで、県農業試験場蔗作研究室では、2001年から新型の植付機を開発すべく、適期植付、適正植付、適正植付深さ等の諸課題に研究、改良を重ね、より生産性向上と高品質、増産対策向上や省力化に向けた開発に取り組んできた。
機械の特徴としては、
(1) 当機は、これまでにない作業機で、砕土、畦立て、苗切断、施肥、殺虫剤散布、覆土、填圧、除草剤散布、すべてが一工程で可能。 (2) 車輪跡(側方)に植付するため、車輪跡が残らない。 (3) 畦幅が120cm以上自由に設定可能であり、これまで大型トラクターでは、畦幅が大きくなることが多かったが、中型、大型等どのトラクターでも一定の幅が設定できる。 (4) 苗整列装置付きのため、植付姿勢のバラツキがでない
効果面としては、(1) 全茎無脱葉のまま植付できるため、調苗作業の手間がかからない。 (2) PTO(Power Take Off:トラクタの動力を作業機へ供給するための動力)動力切断のため、苗欠がでない。 (3) マーカー用リッジャー付きのため、オペレーターの技量に関係なく、一定の畦幅になり、管理作業が軽減される。 (4) 除草剤散布装置付きのため、中耕までの除草作業が省略される。 (5) 一行程作業機のため、大幅に省力化でき、欠株がでにくく適期植付が可能なため、増収が期待できる。