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「多機能ロータリー装着型さとうきび植付機」について

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最終更新日:2010年3月6日

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今月の視点
[2002年10月]

 沖縄県ではさとうきび植付作業の省力化を図るため 「多機能ロータリー装着型の植付機」 が開発され、生産者、糖業関係者で注目を集めています。この作業機は植付作業を一行程で行うことができるとともに、全茎無脱葉のまま植付作業ができるため、調苗作業の手間がかからないなどの特徴があります。作業の省力化によるさとうきびの増収が期待されます。

社団法人 沖縄県糖業振興協会



植付作業状況
さとうきびほ場での植付作業状況
 沖縄県ではこの度、多機能ロータリー装着型さとうきび植付機が県農業試験場により開発され、植付作業の省力化による増産対策に弾みがつくものと期待されている。また、 県内各地区で当植付機による実演会が開催される等、今後の機械導入に向けた取り組みも行われている。
 実演会では、この植付機はかなりの省力化や増収効果が期待できるものと、生産農家をはじめ、さとうきび関係者の関心を集めており、植付後の生育状況についても欠株がほとんど見られない等好成績を上げ、生産農家からも好評である。
 沖縄県では、これまで外国産の牽引型さとうきび植付機や国産の様々な植付機が開発、普及されてきたが、苗準備、発芽率、除草作業等に多少の課題があった。そこで、県農業試験場蔗作研究室では、2001年から新型の植付機を開発すべく、適期植付、適正植付、適正植付深さ等の諸課題に研究、改良を重ね、より生産性向上と高品質、増産対策向上や省力化に向けた開発に取り組んできた。
機械の特徴としては、
 (1) 当機は、これまでにない作業機で、砕土、畦立て、苗切断、施肥、殺虫剤散布、覆土、填圧、除草剤散布、すべてが一工程で可能。 (2) 車輪跡(側方)に植付するため、車輪跡が残らない。 (3) 畦幅が120cm以上自由に設定可能であり、これまで大型トラクターでは、畦幅が大きくなることが多かったが、中型、大型等どのトラクターでも一定の幅が設定できる。 (4) 苗整列装置付きのため、植付姿勢のバラツキがでない
 効果面としては、(1) 全茎無脱葉のまま植付できるため、調苗作業の手間がかからない。 (2) PTO(Power Take Off:トラクタの動力を作業機へ供給するための動力)動力切断のため、苗欠がでない。 (3) マーカー用リッジャー付きのため、オペレーターの技量に関係なく、一定の畦幅になり、管理作業が軽減される。 (4) 除草剤散布装置付きのため、中耕までの除草作業が省略される。 (5) 一行程作業機のため、大幅に省力化でき、欠株がでにくく適期植付が可能なため、増収が期待できる。
植付2ヶ月後の生育状況
植付2ヶ月後の生育状況
 今後の課題としては、全茎苗を使用するため、採苗ほを作り、健全苗を確保する必要がある。
トラクターのPTO動力を利用しているため、植付速度をほ場面積や土質によって調整することにより、植付ムラがなく確実に植え付けることができる。また、植付だけでなく、植付2〜3ヵ月後の生育状況を見ると、肥料や除草剤散布についても植付けと同時に装着された作業機械によりこれらを散布するので、欠株がほとんどなく、除草作業の必要もなくなり、かなりの省力化が図れる。
 当植付機は、地域のニーズに合った植付機であり、今後、沖縄県において順次普及拡大を図る予定である。

多機能ロータリー装着型さとうきび植付機の仕様
適応トラクター 40馬力〜80馬力
全   長 1940mm
全   幅 1840mm
荷 台 高 450mm
重   量 555kg
作業速度 0.7〜1.2km/h
作業能率 10アール当たり 1.2時間〜1.5時間
植付本数 10アール当たり 2500〜3000本(切断苗)
タンク容量 肥料40kg、農薬6kg、除草剤20リットル
タンク駆動方式 バッテリー電動モーター
植付機(後側)
植付機を後側から見たところ
植付機(横側)
植付機を横側から見たところ

「今月の視点」 
2002年10月 
てん菜機械化栽培の歴史
 北海道立十勝農業試験場 生産研究部 主任研究員 桃野 寛

さとうきび生産地から
「多機能ロータリー装着型さとうきび植付機」について

 社団法人 沖縄県糖業振興協会


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