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新制度における交付業務の実施に当たって

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最終更新日:2010年3月6日

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今月の視点
[2007年10月]

【今月の視点】

 
独立行政法人農畜産業振興機構 理事北野 律夫

1 はじめに

 砂糖・でん粉に関する新たな制度が今年10月から本格的に実施されます。この新制度では、砂糖・でん粉について、需要に即した生産をより一層促進するため、原料作物についての最低生産者価格を廃止し、生産条件の格差から生じる不利を補正するための交付金を交付するとともに、でん粉については、抱合せ措置に代えて、砂糖と同様の価格調整を行うこととなりました。
 これにより当機構の業務は、従来からの輸入指定糖・異性化糖等に加え、でん粉原料用輸入とうもろこし等からの調整金徴収業務を行うとともに、従来からの国内産糖製造事業者に加え、さとうきび生産者、国内産でん粉製造事業者・でん粉原料用かんしょ生産者に対して、交付金を交付することとなりました。
 機構は、新制度における交付金交付申請の手続き等について、これまでに関係者に対して説明会を開催するなど周知徹底を図ってきたところですが、今回、砂糖を中心に改めて制度の改正点についてご紹介いたします。

2 新制度の内容と機構業務

(1)輸入砂糖等の価格調整
 砂糖にかかる内外コスト格差の是正とこれに要する財源の確保を図るため、輸入糖と国内産糖との価格調整を行う制度は維持されることから、輸入指定糖および異性化糖等に関する業務は新制度となっても変更はありません。
  手続きについては、10月から、簡素化を図り、利便性を向上させるため、新たにインターネット等による手続きを受け付けるなどの措置を講じました。

(2)さとうきび交付金(甘味資源作物交付金)の交付
 従来の制度は、国が定める最低生産者価格以上で買い入れた甘味資源作物を原料とする砂糖について交付金を交付し、甘味資源作物の生産者の所得を確保するものでしたが、今回の改正により、市場の需給事情を反映した甘味資源作物の取引価格(原料代)が形成される制度に移行するため、最低生産者価格制度が廃止され、甘味資源作物の生産コストのうち、甘味資源作物の取引価格として生産者に対して支払われる額をもっては賄えない部分については、機構予算の範囲内で直接交付金を生産者に対して交付することとなりました。
 なお、甘味資源作物の取引価格は、生産者と国内産糖製造事業者との取り決めに基づいて決定されることとなっています。
 生産者交付金の交付を受ける要件は、生産実態を踏まえ、(1)認定農業者、特定農業団体又はこれと同様の要件を満たす組織、(2)収穫面積の合計が1ha以上の生産者及び法人。収穫面積の合計が4.5ha以上の協業組織、(3)収穫面積の合計が4.5ha以上の共同利用組織の構成員、(4)(1)及び(2)の生産者又は収穫作業面積の合計が4.5ha以上である受託組織・サービス事業体に基幹作業を委託している者、(5)知事の申し出に基づき受託組織等が存在しない地域として指定された地域で、さとうきび生産農家の2分の1以上が参加して組織される担い手組織の参加者(19〜21年間に限った特例)、となっています。また、このほか、地域の生産者等の組織において、中期的な生産見通しとその実現に向けた取組計画を作成していること、環境規範を順守すること、となっています。
 これらの要件を満たし、交付金の交付を受けようとする生産者は、機構に生産者交付金対象要件審査申請を行い、さとうきびの売渡し後に行う交付金交付申請に必要となる「対象生産者コード」の通知を受けます。
 なお、生産者からの委任により、農協等が代理人となって審査申請のとりまとめを行うとともに、交付金交付の代理申請・受領を行うことができます。
 代理申請を行う農協等は、地域におけるさとうきびの製糖工場への売渡し開始1カ月前までに交付申請計画を機構に届け出ることとしており、さとうきびの製糖工場への売渡し後3カ月以内に交付金の交付申請を行うこととしています。
 交付金交付申請は、原則として国内産糖製造事業者にさとうきびの売渡しをすべて完了した後に行うこととしていますが、収穫期間中に交付金の交付を概算払いで受けようとする場合は、概ね10日ごとに、その間の売渡し実績に基づき交付金交付申請および概算払請求を行うことができます。
 この場合、地域におけるすべてのさとうきびの売渡し終了後に売渡完了報告の提出と精算払請求を行うこととしています。
 また、精算払い請求の際に対象要件の充足を証明する書類(受託作業の実施証明書等)の提出が必要であり、また、生産者は環境規範チェックシートの保管(機構から要請があるときは提出)が義務付けられています。
 なお、てん菜については、品目横断的経営安定対策として、国から交付金が支払われることとなります。また、その財源の一部は機構が徴収した調整金が充てられることとなっています。

(3)企業交付金(国内産糖交付金)の交付
 生産者に対し直接支払い制度を導入することにより、これまで国内産糖製造事業者へ一括して支払われていた交付金については、生産者への支払い分と切り分け、製造事業者への支援として、機構予算の範囲内で交付されることとなっています。
 具体的には、国内産糖の原料代と砂糖製造のコストの合計のうち、砂糖の販売価格を持っては賄えない部分について、これら国内産糖製造事業者に対し、国内産糖交付金が支払われます。この国内産糖交付金を受け取ることができる国内産糖製造事業者については、法律等に基づき、(1)国内産糖の効率的な製造に必要な一定の設備を有していること、(2)甘味資源作物の生産者に支払う原料代について、砂糖の販売収入を適正に分配することにより決定する旨をあらかじめ約定していることに加え、(3)生産性や財務内容の健全性の向上を内容とする経営改善計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けていること、が必要となります。
 交付金の交付を受けようとする国内産糖製造事業者は、予め機構に対してこれらの条件を満たしていることについて、国内産糖交付金交付対象者要件審査申請書を提出し機構の確認を受けることが必要となります。確認を受けた後、四半期別の交付金交付申請計画数量を機構に届け出るとともに、販売数量に応じて毎月の上・下期ごとに国内産糖交付金交付申請書を提出して行うこととしております。
 なお、新制度においては、砂糖の規格検査等については、国内産糖製造事業者により自主検査がが行われます。

3 終わりに

 今回の制度改正におけるいちばんの大きな改正は、なんといっても約2万9千戸のさとうきび生産農家および約1万1千戸のかんしょ生産農家に対し直接交付金を支払うこととなったことです。
 機構は、昨年6月以来、農林水産省をはじめ生産者や生産者団体、国内産糖製造事業者等の関係者の皆様にご指導・ご協力をいただき準備を進めてまいりました。この制度のスタートに際し、円滑かつ的確に交付金交付業務が実施できるよう万全を期してまいりました。また、今後の手続き等に関しては常に見直しを行い、なお一層の効率化、簡素化を進めてまいりたいと考えています。
 新制度において、市場シグナルを反映した価格形成、国内産糖およびでん粉についての更なるコスト削減が図られることを期待したいと思います。

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