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お砂糖豆知識[2000年5月]

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最終更新日:2010年3月6日

ALIC砂糖類情報
お砂糖豆知識

[2000年5月]
●てん菜のあれこれ ●砂糖のあれこれ


てん菜のあれこれ

省力栽培への道(1)

(社)北海道てん菜協会 前専務理事 秦 光廣

〔直播狭畦栽培(ちょくはんきょうけいさいばい)の狙い〕
 ビートの10a当たり稼働時間が、小麦を僅かに上回る5時間をきった例もみられたと、以前、省力栽培モデル農家の調査結果を紹介したことがあります。
 5時間をきるような例は特異なケースとは思いますが、多労作物といわれるビートも、直播栽培では他の畑作物と同水準まで労働時間を短縮することが可能です。しかし、移植に比べ栽培期間が短いだけに、気象による豊凶の変動が大きく収量面で劣るという欠点があります。
 勿論一方では、春先の繁忙期にビートの移植作業と重なり、常に遅れがちなじゃがいもの植え付けが、ビートを直播にすることで適期作業に変えられるという長所もあるなど、輪作(土壌病害の防止や収量・品質の向上等を図るため、ビート、じゃがいも、麦・豆類を輪番に作付け。)を組んだ作付体系の中で、単純な比較で速断してはいけないとの意見もあります。
 それにしても、移植栽培との収量差や年次ごとの豊凶変動が少ないに越したことはありませんので、収量較差の縮減と省力化を併せ狙ったのが、間引きを行わない直播狭畦栽培です。

〔農畜産業振興事業団の助成でテストを実施〕
 この栽培法は、播種畝幅を狭くして10aに1万粒ほどの種子をまき、8,000本以上の収穫を見込む欧州の栽培法を倣ったものです。移植ビートの10a当たり収穫本数は平均すると6,800本弱なので、生育期間が短く1個の大根が小さいという直播栽培のデメリットを、収穫本数を増やすことでカバーし収量を確保しようという栽培方式です。
 ハウスや移植機械等への投資、紙筒など消耗資材への出費を抑えることはもとより、労働時間の短縮とともに、コスト低減に結びつく一定収量の確保が可能かどうか、農畜産業振興事業団の助成を得ながらテストを続けています。
 30年余も試験研究の主眼を移植ビートに置いてきたわが国では、直播栽培に限るとその研究は欧州に比べ大幅に後れをとっていることは否めません。「直播栽培技術体系」は昭和40年代に示されたきりで、道の「平成12年営農改善指導基本方針」の畑作技術対策でも、多岐にわたって触れている移植栽培に比べ、直播についての記述は「石灰適正施用と早期播種」の2点のみという実態もこのことを如実に物語っていると思います。

〔優れた成果も限られた範囲に〕
 しかしながら、この間、一部の農家が自らリスクを背負いながら直播栽培に取り組み、中にはかなりな成果を収めている方もおります。ただ、残念なことに、この技術は極めて限られた範囲の農家にとどまったままです。
 数年前になりましょうか、道内でも有数の多雪地帯である羊蹄山麓で畑作を営むFさんの播種作業をみせて頂きました。
 日陰の農道にはまだ雪が残る春浅い日の早朝、Fさんは、施肥播種機の作業テストを小1時間もかけて繰り返し、綿密な調整(播種位置と覆土深、施肥位置など)を行っていました。近隣の移植と同じ畝幅なので、播種精度を向上しなければ栽植本数が確保できないとの考えからだそうですが、依頼をしてあった発芽揃いの通報を頂いて再度調査に赴いたところ、発芽率は97%とハウスの紙筒播種にも負けないような成績でした。勿論、適正な輪作年限の確保(Fさんは6年)もあってのことと想定できます。

〔直播で移植並みの実績〕
 また、過去に除草剤を使用して生育停滞を招いた経験を踏まえ、その翌年から除草は手取りに切り替え、特に、夏から秋にかけて結実雑草を取る「種草取り」に力を入れたと言います。普通は鎌を使う種草取りを、数年間徹底して抜き取り圃場外に排出を続けた結果、今では一度に6畦程を見ながら歩く「拾い草」程度のホー除草で済むようになったそうで、除草と並行して行っていた間引きも、勿論止めていました。
 F夫人は「ゴルフをする方がクラブを腰に体を捻りながらフェアウェイを歩くようなもので、除草というよりホーを担いだ散歩に近い。」と言い「じゃがいもや豆と違い、収穫後の選別や包装・市場出荷などがないのでビートは良い。」と続けました。
 Fさんのビートの収量・糖分は、周辺の移植栽培に比べ全く遜色のないもので、過去8年の実績を町平均のそれと対比した指数は、収量が97、糖分は100となっており、紙筒播種、育苗管理、移植と労働が続く近隣農家の羨望を集めていました。

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砂糖のあれこれ

日本における砂糖有害論形成の変遷(1)

精糖工業会

 今、砂糖のイメージアップに向けて、様々な方向から活動が行われていますが、現在でもいわゆる「俗説」を信じている人が少なからずいるようです。いわゆる「砂糖有害論」は他の国でも昔からあることですが、日本でも長い歴史があります。その内容も、日本独特の説や海外から流入した説など様々です。そこで、今回から、日本の砂糖有害論の歴史を振り返ってみたいと思います。

有害論の始まり
 日本において、砂糖有害論が出始めたのは昭和初期と言われています。これのもとになったのが、海外の某学者が唱えた「食品の酸性・アルカリ性」説です。当初、この説は明治維新後流入してきた洋食(肉食)の排撃の根拠として利用されていました。
 この「食品の酸性・アルカリ性」説をもとに現れたのが「砂糖はカルシウムを奪う」という説です。この説は、昭和10年代、某大学教授によって提唱されました。この説には、戦時中で物資不足であり、「ぜいたくは敵だ」という風潮があった当時の時代背景にも合致したものであった、と指摘する人もいます。ただ、この当時は、対象となる砂糖が供給不足であり、特に一般国民が今のように口にすることはできませんでしたから、大きな影響を与えたということはないように思います。
 この説が広がるのはむしろ戦後です。この教授は戦後すぐ亡くなりましたが、この説は多くの人達に受け継がれ、昭和50年代には、マスメディアにより大きく取り上げられました。現在でも、この説は未だに言われ続けています。
 その後に現れたのが、心臓病と砂糖の結びつきです。これは、ロンドン大学の某教授が昭和32(1957)年に、医学誌に発表したものです。その後、この説は日本にも“輸入”され、昭和40年代から50年代にかけて、いくつかのメディアに取り上げられました。また、昭和53(1978)年には、この教授の著書が翻訳され、出版されました。日本の大学教授の中にも、この説を支持する人が現れたようです。

「砂糖とカルシウム」についての真実
 先に述べた砂糖とカルシウムの問題についての説は、「砂糖は酸性食品であり、過剰摂取すると血液が酸性になる。すると、体内でこれを中和しようとして骨のカルシウムが溶け出し、カルシウムが体内から奪われる」という理論です。「砂糖は骨を弱くする」、「牛乳に砂糖を入れると、牛乳中のカルシウムが無駄になる」といった説も、全く同じ理論です。一見、説得力があるようにもみえます。
 しかし、この説は栄養学の世界では明らかな誤りであることは昔から知られています。1986年には、朝日新聞で酸性食品・アルカリ性食品という考え方が迷信であるとする「アルカリがよいってほんと?」と題した連載記事が掲載されました(11月16日〜18日)。さらに、1987年に出版された国立栄養研究所(現・国立健康・栄養研究所)監修の「酸性食品・アルカリ性食品の誤り」(山口迪夫 著)の中で、このことが以下のように理論的に説明されています。

1) 食品によって体が酸性やアルカリ性になることはない
 人間の体は、pH(酸性やアルカリ性の度合い)を調節する機能を兼ね備えています(人体の恒常性)。ですから、重度の腎臓病等、よほどの重病でない限り、食物によって血液が酸性になったりアルカリ性になったりすることはありません。また、「代謝の過程でできる乳酸が酸性だから骨が溶ける」という人がいますが、砂糖とでん粉など他の糖質とを比較して、砂糖ゆえに乳酸ができやすいということはありませんし、代謝のサイクルが正常に働いていれば、乳酸が異常蓄積することもありません。ましてや、「骨を溶かす」なんてもってのほか。食品の代謝と骨の代謝は機構が全く別のものです。

2)「酸性食品・アルカリ性食品」の分類は意味がない
 今でも、よく「酸性食品、アルカリ性食品」といった区別をして、「肉は酸性食品だから、肉を食べたら、アルカリ性食品の野菜を食べたほうが良い」などと言うことがあります。しかし、このことは、栄養バランスの良い食事という面では間違いではありませんが、それは「酸性食品、アルカリ性食品」ということとは全く関係ありません。ですから、現在の栄養学では食品を「酸性食品、アルカリ性食品」と区別する説は誤りとされ、教科書や専門書からも外されていますし、中央のマスコミでも問題にされていません。
 さらに言えば、「砂糖は酸性食品である」というのも誤りです。もともと、酸性食品、アルカリ性食品という区分は、食品を燃やして灰にしたとき、酸性のもとになる物質(リン、硫黄など)が多いのは酸性食品(肉や魚など)、アルカリ性のもとになる物質(カリウム、カルシウム、ナトリウムなど)が多いものがアルカリ性食品(果物や野菜など)という方法で区分しています。これに当てはめれば、砂糖は燃やすとほとんどが水と炭酸ガスになってしまうので、酸性ともアルカリ性とも言えません。
 また、この説と関連して、「砂糖を摂るとビタミンB1が消耗する」という説を唱える人がいますが、これも栄養学の常識として、明らかな誤りとされています。確かに、砂糖が代謝されるとき、補酵素としてビタミンB1が必要なことは事実ですが、これは糖質全体に言えることで砂糖が特別にビタミンB1を多く必要とするわけではないからです。
 カルシウムの話でだいぶ長くなってしまいました。しかし、砂糖についての“バッシング”が最も強かった時期は実はこの後、1980年代に入ってからです。全く別の有害論も登場してきます。先に触れた心臓病と砂糖の関係については、次回、1980年代以降の流れを紹介する中で触れていきたいと思います。

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