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お砂糖豆知識[2000年7月]

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最終更新日:2010年3月6日

ALIC砂糖類情報
お砂糖豆知識

[2000年7月]
●てん菜のあれこれ
●砂糖のあれこれ



てん菜のあれこれ

省力栽培への道(3)

(社)北海道てん菜協会 元専務理事 秦 光廣

〔北海道の農業元気づくり事業〕
 北海道には、道産食材消費拡大の「北の大地のめぐみ愛食事業」、鹿肉活用を盛り込む「エゾシカ対策」、「農業クラスター活動支援」など、変わった名の農業関連対策があり、「北海道農業元気づくり事業」もその一つです。
 元気あふれる農家が、創意と工夫をこらした農業を展開し、その成果を地域に広げて農業の活性化に結び付ける、こんな取り組みに助成しようと1996(平成8)年にスタートしました。
 元気な農家の創意工夫ですから、取り組み内容は多岐にわたっていますが、十勝中央部の芽室町の元気農家は、平成10年度にビート直播狭畦栽培を取り上げました。「規模拡大を図ったものの多労働のビートが適正な輪作体系を阻んでいる」として、3戸で直播推進モデル組合を作り「北海道農業100年、21世紀に向けさらなる第一歩」をキャッチフレーズにビートの省力栽培を目指したのです。
・狭畦栽培により栽植本数を確保し、直播栽培での増収を図る(減収を少なくする。)。
・施用肥料をパワーハローで混和し、播種後の濃度障害回避と養分供給の効率化を図る。
・砕土の簡易化を図り、春先の風害を祖粒化土壌により防止する。
・機械作業を複合化し、作業効率の向上とあわせ走行回数減少で圃場踏圧を軽減する。
などが目標で、省力化による労働時間の短縮はいうまでもありません。

〔稼働時間農林水産省生産費調査の5分の1以下〕
 モデル組合の直播ビートの10a当たり労働時間は、1998・99(平成10・11)の両年とも3.4時間で、1998(平成10)年の農林水産省生産費調査による移植ビートの18時間に比べ、5分の1以下に短縮されています。労働時間が短い作物の代名詞に使われる小麦が、同調査では3時間ですから、この組合のビートは小麦と肩を並べる軽労働になったと言えます。
 1999(平成11)年は3集落の圃場11haに、畦幅50cm、株間21cm、栽植密度10a当たり9,523本の設定で播種をしました。生育後の株数調査では、高砂集落の圃場が8,030本、報国の圃場は7,800本、新生は7,720本で、通常目安とされる「8,000本以上の確保」をクリアできたのは残念ながら高砂だけでした。加えて、新生の圃場では土壌の低ph(酸類が多い)による生育障害が発生し、著しい減収となりました。
 芽室町は収量・糖分とも十勝ではトップの町ですが、町平均を100としてモデル組合のそれを比較すると、高砂と報国は平均で収量が91とそれなりの成績を収め、糖分も101と1ポイント上回りました。しかし、酸性矯正や株立数確保に手抜かりのあった新生では、糖分こそ99でしたが収量は60とかなり低く、3圃場を平均すると糖分は100になったものの、収量は80と見劣りのする成績を残してしまいました。

〔直播に取り組む農家を夫婦同伴で訪問〕
 元気農家達は、製糖所の地元町という同じ環境にある、近隣の本別町や遠く知床の斜里町まで夫婦で出向き、北海道糖業(株)やホクレンの助言を受けながら直播栽培に取り組んできた農家の話を直接聞き、今後への希望を得たそうです。そして、自らが工夫と研究を重ね、既存の機械を改良して直播栽培に取り組みましたが、初年目に瞭然となったネックは、改造した国産収穫機械の作業性能が劣ることでした。この隘路打開のために、ヨーロッパに行って地域に適合する2畦用のデンマーク製収穫機を見付け、兼ねて直播栽培の勉強をしてきたと聞いております。
 芽室町では、元気農家の直播が好成績を重ね、周辺に広げようとする際に地域農家が抱く第一の懸念は春先の霜・風害にあると見極め、地元の道立農業試験場、帯広の大学と共同で、耕地防風林と風食の調査研究を3年計画で行い、風害予測マップを作成することにしたそうです。

〔試験の充実と技術普及体制が今後の鍵〕
 北海道てん菜協会が直播を課題として提起して以来、試験研究機関は狭畦栽培や除草剤使用法、低ph問題など、直播関連の試験に取り組んでいますし、直播栽培体系の指導基準も制定準備中と聞きます。
 地域の気象条件、あるいは移植関係施設の残存耐用年数や処分法など、直播導入に当たり農家個々が検討しなければならない課題も多々あります。しかしながら、普遍的に移植対比10%程度の減収にとどめる栽培技術などが確立され、より的確な指導や助言を与え得る環境が整うと、先のアンケート調査の動向からみても、一定程度の農家に省力栽培が広がり、コストの低減に寄与するでしょう。

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砂糖のあれこれ

砂糖と健康に関する科学的検証(1)

精糖工業会

 前回、前々回と、砂糖有害論の流れについてご紹介してきました。そこでも触れたように、もちろんこれらの俗説は科学的に根拠のないものですが、それを言明する場合には、その根拠となる科学的な検証によって裏付けられたものである必要があります。そして、それはできるだけ、客観的な立場からの検証であることが望ましいと言えます。
 砂糖については、皆さんもご存知の通り、米国FDA(食品医薬品局)による検証と、FAO(国連食糧農業機関)/ WHO(世界保健機関)による検証がその代表と言えます。
 今回からは、これらの検証の内容や背景についてご紹介したいと思います。

FDAの検証
 これまでも述べてきたように、FDAによる検証が行われたのは1986(昭和61)年です。しかし、それ以前に、その基となる検証がすでに行われていました。それは、1976(昭和51)年に砂糖のGRAS物質評価の一環としてまとめられた「食品成分としてのショ糖(砂糖)の健康面の評価」という報告書です。GRAS物質とは“Substances generally recognized as safe”の略で直訳すれば「一般的に安全と認められる物質」です。
 これは、1958年、連邦食品医薬品化粧品法の大幅強化に際し、その時点以前から食品中で使用していた物質をGRAS物質として認定したことに由来します。その後、1969年に当時の大統領がGRAS物質の再評価を指示し、それに基づいてまとめられたのが前述した1976年の報告書です。
 この報告書の中では「現在の使用量と使われ方では、虫歯以外にショ糖が公衆に害を及ぼしていると断言できる明確な証拠はない」と結論付けられています。これを受け、FDAではショ糖をGRAS物質としての地位確認を提唱しています。
 1986年のFDAの検証は、この1976年の報告書と結論は変わっておらず、いわば確認と言っても良いと思われます。しかし、公的機関が「砂糖」という1つの食品に対して確固とした見解を発表した、という点での意味は大きいと言えるでしょう。
 FDAの検証を著した報告書は正式名を「EVALUTION OF HEALTH ASPECTS OF SUGARS CONTAINED IN CARBOHYDRATE SWEETENERS(砂糖類の健康面における評価)」といい、FDAの糖類研究班(Sugars Task Force)が査定したものです。
 当時の研究班の長であったAllan Forbes氏(Director of the Office of the Nutrition and Food Science)は、この調査研究の目的を
1) 10年前のGRAS物質評価の報告書以来、砂糖類と健康の問題について、多くの研究がなされていること
2) 砂糖類の安全性の問題について、確固たる決定を求める市民団体の要求があったこと
と述べています。また、Forbes氏はマスコミの取材に対し「我々は、これまで行われたもののどれよりも砂糖について幅広く見直しを行い、世界中の約1,000の科学研究の検討を行った」と述べています。
 なお、報告書名が“砂糖類”となっているように、その対象はショ糖(砂糖)だけではなく、ブドウ糖、水あめ、異性化糖、蜂蜜、また天然物中(果実など)に存在する糖類なども対象となっています。

文献検討に当たっての基本姿勢
 同報告書では、糖類消費の健康への影響を検討する際に留意すべき重要点として、(1)食物として摂る糖類はm通常重要なエネルギー源であること (2)甘味付けや他の技術的目的で添加する糖類は、食品の本来の成分である糖類と同じ代謝経路に入ること、を挙げています。つまり、糖類摂取については、それ自身が有害ということではなく、摂取する量、消費吸収率、摂取する全体の食物構成及び食物選択の習慣、他の食品成分の代謝の影響などが問題となる、としています。また、正常な人以外に、糖尿病等の疾病や糖類代謝に欠陥がある人等の特定集団を扱った研究も検討する必要がある、と述べています。
 また、特に糖類摂取と異常行動を関係付ける仮説については、明確に診断されていない「低血糖症」や、脳伝達物質の代謝に影響する特定の成分とを観念的、思弁的に関連付けており、定義があいまいであるとして、厳密に批判しています。
 ここで取り上げられている主な健康上の問題は、虫歯、糖耐性(Glucose Tolerance)、糖尿病、脂質代謝への影響、冠動脈病、高血圧、動脈硬化症と心臓病、異常行動、肥満などです。そして、その結論は、1976年のGRAS物質に関する報告書同様、「現在(1986年当時)の糖類の消費水準及び使用法で、虫歯の発生以外、公衆に有害であることを示す証拠はない」としています。
 次回は、今回取り上げたFDAの検証について、個々の問題に関する考察に触れた後、1997年のFAO/WHOの報告についてご紹介したいと思います。

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