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お砂糖豆知識[2000年12月]

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最終更新日:2010年3月6日

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お砂糖豆知識

[2000年12月]
●てん菜のあれこれ  ●砂糖のあれこれ


てん菜のあれこれ

てん菜の取引制度

(社)北海道てん菜協会

糖分取引の実施(1)
〔天候にも恵まれ順調なスタ−ト〕
 糖分取引実施の推進機関である(社)北海道てん菜協会の設立は、取引開始目前の9月下旬となり、業務の準備期間は少なかったが、北海道のてん菜担当係をはじめ、農業団体や糖業者など多くの関係者の協力を得て、「原料てん菜測定要領」や「原料てん菜立会人服務要領」など必要な諸規程を整備するとともに、立会人の委嘱などが進められた。
 また、各製糖工場に設置された糖分測定機器類について、北海道の試験場の協力を得て、操業前点検を実施するなど、取引開始までにすべての準備が整えられた。糖分取引初年度の昭和61年(1986年)産てん菜は、幸いにして気象条件にも恵まれ、買入糖分の平均は、これまで例を見ない17.2%の高い成績となったことから、総生産量の88%が基準価格糖分帯(16.3〜16.9)以上となり、心配された農家の平均手取価格も、予想水準を上回る結果となった。また、産糖量も63万トンを超えて過去最高を記録し、産糖歩留の平均は16.3%と重量取引時には想定できなかったような好成績をあげた。
 このような恵まれた状況は翌年も翌々年も続き、てん菜の糖分取引は、直接の当事者である生産者や糖業者の理解と協力に加え、移行当初の気象条件に恵まれたことも追い風となって、順調な滑り出しを見せた。

〔順調な滑り出しを支えた新品種〕
 てん菜の品種については、昭和50年代の中頃から、糖分取引に備えて、当時の主流であった根重型品種を改善するために、中間型もしくは高糖性品種の開発・導入を目指した試験研究が積極的に行われた。その結果、糖分取引移行までに、国産品種の「モノヒカリ」や輸入品種の「ダイヒル」「モノエ−ス」等が優良品種となって普及に移され、「モノヒル」等の根重型品種に置き替わって栽培された。
 また、63年(1988年)には、国産・輸入合わせて7品種が優良品種として認定され、品種の切り替えが一段と進んだ。

〔糖分向上栽培は生産費の低減にも効果〕
 てん菜の栽培面については、高収性を維持しながら糖分向上を図るための技術として、栽植密度と窒素肥料多用の是正が最重点課題であり、試験場を中心に実施された試験結果や実証展示ほの設置などにより生産農家に対する普及啓発に努めてきた。
 このような関係者あげての取り組みにより、糖分取引移行と同時に、生産者の長年にわたる栽培慣行は大幅に改善され、株立本数はha当たり6,900本程度に、また、窒素施用量は10ア−ル当たり16〜17kgと目標に近いものとなった。
 栽培改善の実践は、根中糖分の向上や収量の安定とともに、表で示したように肥料施用の縮減による生産費の低減に大きな効果をもたらしている。
 糖分取引移行後の数年間のてん菜の生産者価格は2割近く引き下げられているが、生産費の低減により所得はほぼ変わらないという結果となっている。  てん菜の糖分取引が、予想を上回る高糖度だったため好成績でスタ−トできたのは、恵まれた天候に加え、品種改良や栽培改善など関係者の努力が実を結んだものと考えられる。

てん菜生産費等の比較

取引制度 砂糖年度 てん菜10a当たり生産費等(円) てん菜
生産者価格
(円/トン)
全算入
生産費
左のうち
肥料費
粗利益 所得
重量取引 S56〜59
(平均)
102,806
(100)
28,547
(100)
107,394
(100)
42,511
(100)
21,020
(100)
糖分取引 H3〜7
(平均)
91,032
(88.5)
19,159
(67.1)
95,946
(89.3)
41,626
(97.9)
17,500
(83.3)

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砂糖のあれこれ

精糖工業会への問い合わせに関して

精糖工業会

 前回、この項で、精糖工業会の広報活動についてお話しましたが、様々な制作物や啓発活動と並ぶ重要な仕事が、色々な問い合わせに対する対応です。これらには、一般消費者の方々からの質問もあれば、砂糖を使用する企業の皆さんからの問い合わせ、学校の先生や栄養士の方からの質問など、多種多様にわたるものが寄せられます。今回はこれを内容毎に説明しながら、最近の傾向について、みていきたいと思います。
「安全」に関するもの
 まず、砂糖の「安全」に関するものです。これは一般消費者の方からの質問がほとんどで、やはり最も多いのが「保存方法」に関するものです。これは、昔も今も変わらない傾向だと思います。
 ご承知のとおり、砂糖には品質保持期限(賞味期限)の表示義務はありませんので、基本的な答えは変わりませんが、それぞれのケースで、保存方法や砂糖の状態はすべて異なりますから、我々は問い合わせを受けた方にできるだけ詳しく状況をお伺いするように心掛けています。もちろん、砂糖そのものが原因で人的被害が起きたことはありませんし、PL 法施行後も、砂糖に関する訴訟はありませんが、体の中に入る食品であることは間違いないわけですから、まれに、一般的な答えだけでは解決が難しいようなケースであると判断される場合は、実際に製品を作られたメーカーと情報交換していくことを、会員間で確認しています。今年は、食品の衛生管理に関する事件が多く発生した年でした。また、以前ここでもお話したように、JAS法の改正など、食品に関する情報の表示義務が強化されています。これは、一般消費者の食品の「安全性」に対する関心が高まった結果と言えるでしょう。
健康に関するもの
 砂糖と健康に関する情報は、俗説も含め、様々なメディアから発言されており、それらに関する質問の多く寄せられます。お砂糖“真”時代や、助成事業「砂糖消費拡大推進事業」などの広告や啓発活動に触れられて、その詳しい内容をお尋ねになるケースもありますが、一方で、テレビや雑誌、本などで目にしたいわゆる「俗説」を信じておられる方が、その真意を尋ねられる場合も少なくありません。電話だけのお話で、すべてについて理解を頂くことが難しい場合ももちろんありますが、資料をお送りして、さらにそれについての疑問にお答えするなど、できる限りのフォローをしたいと思っています。ただ、もともと、当会にまで問い合わせを頂く方は、それだけ、砂糖についての「真実」を知りたいと思われている方ですから、ほとんどの場合は理解を頂いております。また、最近ではお砂糖“真”時代や、助成事業の活動が少しずつ広がっているように思われますし、今年開催された「砂糖と健康・東京フォーラム」では、砂糖とストレスの関係など、新たなプラス面の研究もなされつつあり、砂糖について一定のご理解を頂いている方からの問い合わせも頂いています。
 とはいえ、砂糖と健康の問題については、今後も新しい研究がなされる可能性もあり、その啓発には終わりはないものだと思いますし、今後も大きな関心が持たれることと思います。我々としては、決して行き過ぎた宣伝にならぬように、科学的に研究された事実を常に把握し、分かりやすく伝えられるようにしていかなければと考えています。それに加えて、肥料や糖尿病との関係など、従来からの砂糖と健康に関する問題についての啓発も、粘り強く続けていかなければなりませんし、さらに、砂糖が優れた甘味を持つ食品であり、その「甘味」が精神的に安らぎや生活に潤いを与える素晴らしいものであるという基本的なことも、具体的な使い方等も含めて、様々な方法でPRしていきたいと思います。