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お砂糖豆知識[2001年2月]

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最終更新日:2010年3月6日

ALIC砂糖類情報
お砂糖豆知識

[2001年2月]
●てん菜のあれこれ   ●砂糖のあれこれ
●オンラインショップにおける砂糖の販売価格


てん菜のあれこれ

てん菜の特徴

(社)北海道てん菜協会

てん菜の起源
 てん菜はさとうきびとともに砂糖の原料となる植物である。この他に甘みのある植物としては砂糖楓 (サトウカエデ)、砂糖蜀黍 (サトウモロコシ)、砂糖椰子 (サトウヤシ) などがあり、独特の風味を持つ天然甘味料として利用されるものもある。かつてこれらの植物からも砂糖を取る企てはあったが、実用には至らなかった。  砂糖は世界で年間1億3千万トン程生産されているが、その7割がさとうきびからの甘しゃ糖で、3割がてん菜を原料としたてん菜糖である。特徴を比べれば、さとうきびとてん菜は対照的な作物である。
 さとうきびは熱帯地帯を代表する作物であり、てん菜は寒地の作物である。砂糖を蓄える部位もてん菜が土の中の「根」であるのに対してさとうきびは地上部の「茎」である。また、てん菜は誕生して200年位であるが、さとうきびはその10倍以上の歴史を持っている。日本においても、奈良時代から砂糖が珍重され、江戸時代には各地で生産されるようになったが、原料はすべてさとうきびである。そのため、砂糖と言えば、甘しゃ糖を指しており、大正時代から北海道で生産されているてん菜糖は「北海道の特殊な砂糖」というイメージが強かった。てん菜も北海道では基幹作物としてよく知られているが、全国的な知名度は低い。
 てん菜の特徴をシリーズで紹介することにより、砂糖原料として世界で700〜800万haの栽培面積を持つビッグな作物に親しんでいただければと願っている。
 てん菜はアカザ科フダンソウ属の植物で、秋に真っ赤に色づくアッケシソウ、雑草ではアカザ、野菜ではホウレンソウなどが近縁である。
 日本には明治3年(1870年) に初めて導入され、呼び名も古くは「砂糖蘿蔔 (サトウフラク)」、「糖菜 (トウサイ)」などとまちまちであったが、明治10年代半ば頃からは「甜菜 (テンサイ)」と呼ばれるようになった。現在では、単にビート、あるいはサトウダイコンなどと呼ばれることがある。
 仲間には飼料用ビート、食用ビート (ビーツ、火焔菜(かえんさい))、フダンソウなどがある。これらの学名はすべて Beta vulgaris (ベタ ブルガリス) であり、種としては同一で互いに掛け合わせると種子ができる。
 ここでは砂糖用ビートを「てん菜」と呼び、てん菜を含めた飼料用ビート、食用ビート、フダンソウなどの栽培種全体を指すときに「ビート」を使用する。
 ビート (Beet) は属名の「Beta」から転じた英語で、属名はケルト語の「赤い色」という言葉が語源とされている。
 事実、食用ビートの根は真っ赤で、品種によっては茎や葉まで赤いものがある。また、ビートから取り出した赤色素が、天然色素として販売されている。北海道でも一時色素を取るために赤ビートが栽培されたことがある。てん菜は赤ビートの中から生まれた「白いビート」でもある。
 日本には Beta属の植物は栽培種のみで、野生種は知られていない。
てん菜の野生種
てん菜の野生種
原図:Report of a working group on beta (IPGRI)
 ビートの発祥の地である地中海沿岸には多くの野生種が生育しているが、根部がてん菜のように肥大するタイプはない。これらの野生種の中で、先祖型に近いものが「浜フダンソウ」(Beta maritima) である。 学名の意味が「海のビート (sea beet)」であるように、浜フダンソウは海岸性植物であり、その分布の中心は地中海東沿岸から中央アジアにわたる地域であるが、ヨーロッパ大陸の海岸線をイギリス大西洋沿岸から南部スウェーデンまで北上している。草型はビートに似たものから、アカザに近いものまであるが、根は太らない。生育習性も1年生、2年生、多年生など変化に富んでいる。
 てん菜の遠い先祖の姿を想像すると沿岸のやせた乾燥地に根付き、厳しい環境にも負けず力強く生育している、根の赤い植物が浮かんでくる。
 てん菜はこれらの先祖の性質を引き継いでおり、食塩の成分であるナトリウムを好み、塩害に強い植物である。移植栽培では0.5%の食塩を加えた土壌でも正常に育つ。また、この性質を利用し、イラン、中国では他の植物が育たない塩害地での栽培や、てん菜により塩類を吸い上げ、排除する研究などが行われている。

○参考資料「世界糖業文化史」関野唯一著 (1955)、「甜菜」細川定治著 (1980)




砂糖のあれこれ

コーデックス規格と砂糖(1)

精糖工業会

 昨年2月号の当欄で「砂糖の規格」について紹介しました。そこで、「FAO/WHO 国際食品規格」の概略について紹介しますが、これはいわゆる“コーデックス”規格と言われるものです。そこで、今回と次回の2回にわたり、コーデックスとはどういうものかについて、砂糖との関係を織り交ぜながら、少し詳しく紹介したいと思います。

コーデックスとは?
 コーデックス規格の設置は1962(昭和37)年にさかのぼります。同年、FAO (国連食糧農業機関) /WHO (世界保健機関) 合同で、国際的な食品規格を作ることが決められ、その実施機関として国際食品規格委員会 (Codex Alimentarius Commission、CAC と略されます) が置かれ、1963(昭和38)年に、第1回の総会が開かれました。現在、世界的に通用する食品規格はコーデックス規格だけと言えます。
 CACの活動は、CAC Procedural Manualと呼ばれる手順書で規定されています。その中の「コーデックス規格の一般原則」では、「…これらの食品規格は、消費者の健康を保護し、また食品貿易の公正な慣行を確実にすることを目的としている…」と記載されており、そのためのガイドライン策定や勧告的な手段を含む規定の策定を目的としています。
 CAC には委員長はおらず、FAO、WHO双方の事務局長との協議において運営されています。最高機関の総会は2年に1回、総会を補佐する執行委員会は毎年開催されています。執行委員会は CAC総会議長、各地域の代表で構成されます。地域はアジア、ヨーロッパ、近東、アフリカ、ラテンアメリカ・カリブ海、北アメリカ、南西太平洋の7地域です。
 CACの組織は以下の部会により構成されています (図参照)。

(1) 世界規模全般食品規格部会
 コーデックス規格全般にわたる問題 (例:食品添加物、食品表示、食品衛生など) を取り扱う。
(2) 世界規模食品規格部会
 個々の産品についてコーデックス規格を策定する。
(3) 地域調整部会
 世界を6つの地域に分け、それぞれの地域問題を検討する。
(4) 特別部会
 1999(平成11)年に決められた、4年間の時限部会。

 各部会にはそれぞれホスト国が置かれ、CAC の事務局担当者がこれを補佐して運営されています。
 図を参照していただければ分かるとおり、砂糖に関する問題は、食品規格部会の「糖類部会」で議論されることになります。また、特別部会の中の「バイオテクノロジー・応用食品部会」は近年関心を集めている“遺伝子組み換え食品”に関する国際的な基準、指針、勧告等が付託事項とされており、2003年に報告書を提出することとなっており、全部会の中で唯一、日本がホスト国になっています。同部会の第1回会議は昨年3月に千葉で開催され、今年も東京で3月に部会開催が予定されています。

図 国際食品規格委員会の組織図
国際食品規格委員会の組織図
拡大図(24k)

コーデックス規格はどのようにして作られるか
 コーデックス規格を策定する際には、基本的に以下の8つの段階 (ステップ) を経ることになっています。

ステップ1:部会による策定の意思を CAC総会で承認すること。策定のための部会等が指定される。
ステップ2:草案を作成する。
ステップ3:最初の草案を加盟国及び関連機関に提示し、コメントを求める。
ステップ4:最初の部会会議を開催し、草案を訂正し、総会に推薦する。
ステップ5:ステップ4を受け、CAC総会で承認される。
ステップ6:再度加盟国等に草案を提示し、コメントを求める (ステップ3と同)
ステップ7:再度部会会議を開き、承認が得られれば、ステップ8に挙げる。
ステップ8:CAC 総会での最終論議。

 最終論議で議論が紛糾した場合は、投票による採択となる場合もあり、過半数の賛成により採択されます。
 最近の動きとしては、「キムチ」の規格について、韓国が規格策定の提案を行い、昨年9月、加工果実・野菜部会において総会の採択に付すことが合意されています。また、日本が中心となって「インスタントラーメンヌードル」の規格策定に向けての動きもあり、昨年の執行委員会で「インスタントヌードル」として規格を策定することで承認されており、今後、アジア地域調整部会で検討されることになっています。
 今回は概略を紹介しました。次回は、砂糖について論議されている「糖類部会」について、紹介したいと思います。



オンラインショップにおける砂糖の販売価格

名古屋事務所

 現在、インターネットユーザーは急速な勢いで延びている。これらのユーザーは公式統計を合計するだけで2千万人(注1)を超えている。日経ネットビジネス資料(注2)によると、オンラインショッピングの経験者は5割を超えており、残りの未経験者のうちオンラインショッピングをしてみたいという潜在ユーザーの割合は2割以上となっている。
 オンラインショップの多くも、大手のインターネットモールや検索エンジンに登録されているショップサイトを合計すると1万を超えているので、今回、これらのオンラインショップにおける砂糖価格の調査を行った。
調査時期: 平成12年12月6〜8日
調査サイト: 大手インターネットモール及び検索エンジンに登録されている11,651店から、砂糖を取り扱っている29店舗 (内訳 精糖メーカー1店舗、食品問屋1店舗、小売店27店舗) を選んだ。
調査対象: 単価が極端に高くなるギフト用を除き、家庭において通常使用されると思われる商品を対象とした。
その他: 有店舗販売に比較して、オンラインショップでは、1袋当たりの内容量にばらつきがあるため、1kg当たりに換算して比較した。砂糖の種類が、従来のものに分類できない商品は、商品の性格と価格帯の最も近いブラウンシュガーとして取り扱った。また、シロップ系甘味料については、対象外とした。

オンラインショップにおける砂糖の種類と価格
(1) 砂糖の種類
 有店舗販売において最も多く取り扱われている砂糖の種類は、ナショナルブランド(注3)の上白糖、グラニュー糖、三温糖の3種類である。ところが、調査したオンラインショップにおいては、黒糖が19店舗、ブラウンシュガーが16店舗、オーガニックシュガーが4店舗と多く、有店舗販売で主力である3種類は、それぞれ5店舗、6店舗、8店舗となっている。
 これらショップの主力商品は、いずれも「自然」、「健康」、「風味」をキーワードとして売られている。そのため、取り扱っている商品は、一般に売られているナショナルブランドよりも、自分の店で仕入れ袋詰されたオリジナルブランドなどの商品が中心となっている。
(2) 砂糖の価格
 砂糖の販売価格は、概ね高めとなっている。この背景としては、オンラインショップにおいてオリジナルブランドで販売されている (自由に価格設定ができる上に価格面でユーザーに受け入れやすいと考えられる)ものの他、海外から直接輸入販売していることをセールスポイントにしている商品が多いことにあると考えられる。

(注1) 財団法人ニューメディア開発協会資料 (インターネット会員数等)
NTTドコモ資料 (iモードユーザー数)
(注2) 日経ネットビジネスによるインターネット・アクティブ・ユーザー調査 (オンラインショッピングユーザー数等)
(注3) 広く一般に知られている製造業者ブランド

オンラインショップにおける砂糖の種類及び販売価格等
(単位:kg 換算/円)
砂糖の種類 上白糖 グラニュー糖 三温糖 白ザラ 中ザラ 黒糖 角砂糖
取扱店数 5 6 8 3 4 19 7
平均価格 183 280 326 617 479 940 1,042
高値 220 571 525 857 840 2,400 1,833
安値 148 185 198 260 225 500 300
ナショナルブランド
の占有率(%)
100 67 63 67 50 0 29
砂糖の種類 オーガニック
シュガー
粉砂糖 ブラウン
シュガー
スティック
シュガー
コーヒー
シュガー
てん菜含
みつ糖
 
取扱店数 4 3 16 2 2 4
平均価格 1,119 659 486 1,544 835 712
高値 1,800 900 800 1,700 1,000 1,320
安値 450 526 184 1,388 670 400
ナショナルブランド
の占有率(%)
67 50 50 50 25
その他
 赤砂糖1店舗1,300円、粗糖1店舗937円、氷砂糖1店舗314円、果糖1店舗700円である。

参考
スーパーの小売価格
(平成12年10月事業団調査)
(単位:kg/円)
上白糖 グラニュー糖 三温糖
208.6 235.5 247.9



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