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お砂糖豆知識[2001年8月]

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最終更新日:2010年3月6日

ALIC砂糖類情報
お砂糖豆知識

[2001年8月]
●てん菜のあれこれ   ●砂糖のあれこれ


てん菜のあれこれ

てん菜の病害 2

(社)北海道てん菜協会

褐斑病
 褐斑病は菌糸類による葉部の病害であり、 てん菜が栽培されているほとんどすべての国で発生している。 最初に命名されたのはイタリーで、 ちょうどドイツで誕生したてん菜糖業がヨーロッパ各地に広まった1872年である。 その後もてん菜が導入された多くの国でごく初期の段階から発生し、 重要な病害となっている。
写真1
写真1 近年における褐斑病の激発畑
 日本においても、 明治時代に伊達および札幌でてん菜が栽培されるとほぼ同時に褐斑病が大発生している。 大正9年より十勝で栽培が再開されると、 毎年のようにヨトウガとともに褐斑病の被害を受け、 収量、 糖分の低下を招いてきた。 昭和初期における褐斑病の記載を読むと、 現在では想像できないような激発である。 最近では発病は8月上旬頃から始まり、 9月に入って進行し、 発生の多い年では9月下旬に外葉から中葉にかけて枯れ落ちる (写真1) が、 普通の年では一部の葉が枯れる程度で終息する。 しかし、 昭和初期には発病が7月上旬より始まり、 8月末に全葉が枯死し、 その後再生した葉が再感染し、 収穫時にも葉が枯れると言った年2回の発生が記載されている。 現在では病気が年に2回も発生するようなことはないが、 当時の状況であれば枯れた葉に火がつくのでビート畑ではたばこを吸うべからずと言う様な話も嘘ではないように思える。
 褐斑病は葉面に4mm前後の褐色の円形斑点 (写真2) が多数生じる病害である。 斑点は初めは1個か2個であるが、 次第に数を増し、 葉全体に拡がっていく。 斑点が密になると斑点間の組織も枯れ、 最終的には葉全体が縮れるように枯れあがる。
写真2
写真2 褐斑病の病斑(円形の斑点)
 個体単位で見ると、 最初は1、 2葉に斑点が生じることが多く、 条件が整うと直ちに全葉に広がり、 激発の場合にはすべての葉が枯れ落ちる。 てん菜にとって、 葉は砂糖の生産工場であり、 葉が枯れると生産がストップし、 糖分の蓄積が止まる。 また、 新しい葉が再生するためには、 根に蓄えられていた砂糖がエネルギー源として消費され、 糖分が著しく減少する。
 8月から9月上旬に被害を受けると根部の肥大も影響を受け、 根重も低下する。
 昭和初期のような激発の場合には根重と糖分の両方の低下により糖量が健全なものの半分以下になる。
 褐斑病の発生は気温と降水量に左右され、 高温と多雨が重なった年に多発する。 褐斑病は月平均気温が18℃以上で、 かつ月間降水量が40mm以上の地帯で発生しており、 どちらかの条件が欠けると発病が抑制される。 例えばアイルランド、 フインランド等では気温が低いために、 またアメリカなどのかんがいが必要な地帯では降水量が少ないためにほとんど発生していない。
 北海道では、 7、 8、 9月のいずれの月も降水量は40mmを上回ることが多いので、 気温の高低が発生を左右している。 特に7、 8、 9月の3ヵ月の月毎平均気温の積算値が高い年ほど発生が多い。 3ヵ月の積算値が、 50.8℃以下の年は発生が少なく、 57.2℃以上の年は発生が多い。
 褐斑病の感染は、 前年の罹病葉、 あるいは汚染された種子の外殻 (果実) にできた胞子が飛散し、 葉面上で発芽して気孔から侵入することにより生じる。
 感染後、 褐斑病菌は葉の組織より栄養を吸収する。 寄生された組織が弱り、 死ぬと目に見える褐色の斑点となる。 斑点上には多数の胞子が形成され、 これが病源となって新しい葉に感染する。 1個の胞子から1つの斑点ができ、 斑点自体が拡大することはなく、 斑点上にできた胞子より次の斑点が生まれる。 この繰り返しにより斑点が増加していくが、 斑点上に形成される胞子の数は一度に数万個に及ぶので繰り返されるごとに斑点の数は激増する。 この感染から新しい胞子ができるまでの期間が褐斑病のライフサイクルである。 およそ1日の平均気温の積算で200℃程度で完了する。 1日の平均気温が20℃であれば10日であり、 20℃より高い日が続くと短い期間でライフサイクルが進行することになる。 生育期間中にライフサイクルが多く繰り返されるほど多発生となる。 7、 8、 9月を通して気温が高い年に多発するのはライフサイクルが繰り返される回数が多いためである。
 昭和初期に褐斑病が多発した原因としては、 気象条件の他に種子が汚染されていたこと、 防除薬剤や機具なったこと、 品種が弱かったことなどが挙げられる。 昭和12年には駆除対象病害に指定され、 農薬の無料配布、 集団防除が実施されていた。 防除機としては一部の地域ではあるが既に畜力型車載動力噴霧機が使用されていた。 品種の育成に当たっても、 褐斑病耐病性を付与することが必要条件であり、 「本育192号」、 「導入2号」 などの褐斑病に強い品種が主力となった。 導入2号については野生種との交配により誕生した品種であり、 防除が不要とまで言われていた。 昭和40年代より薬剤による防除体系が確立したため、 収量性のよい品種が栽培され、 褐斑病に対する耐病性はほとんど考慮されなくなった。
 種子については採種畑での徹底防除により、 現在では保菌率は0%で、 種子からの持ち込みはなくなった。 また、 効果の高い農薬の開発、 高性能防除機の普及などにより防除体系が確立したことから、 今日では以前のように激発することはなくなった。
 しかし、 平成12年は20年ぶりとも言われるような多発年となり、 褐斑病よる被害が低糖分の要因の1つとなった。
 農畜産業振興事業団助成事業として、 ここ3年の低糖分の要因解析を行うために道、 糖業、 中央会等のてん菜関係の技術者が中心となったてん菜低糖分解析検討会が設置された。 この検討会にて作成されたパンフレット 「てん菜の低糖分対策」 が北海道てん菜協会よりが発行され生産者に配布された。
 この中で、 12年度に褐斑病が多発した要因と今後の対策がまとめられている。
 過去に比べると近年は防除法が確立し、 被害を受けることはほとんどなくなったが、 12年度のような高温でかつ多雨の気象が今後とも続くとなると、 褐斑病は要注意病害として対処する必要がある。
 防除の決め手は的確な発生予察情報に基づく、 適期の防除である。 しかし、 天候、 地域によっては適期に防除作業が行えない場合があり、 被害を受けることがある。
 13年度には褐斑病耐病性品種 「スタウト」 が優良品種として認定された。 この品種は導入2号より耐病性が強いと評価されており、 12年度においていずれの試験地でも慣行品種に比べ褐斑病の発生は少なかった。 上記したような適期防除が難しく褐斑病が発生しやすい地帯ではこの様な品種が必要となるので、 褐斑病耐病性品種の育成は今後の重要な課題である。

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砂糖のあれこれ

糖度・糖分計測の"誤解"

精糖工業会

 学生は夏休みの真っ只中。 暑い季節は冷たい飲料が欲しくなります。 そこで、 この季節、 小学校などの自由研究でよく行われるのが、 「清涼飲料の糖分を計ろう」 という実験です。 また、 消費者センターなどの勉強会では、 飲料以外でも、 様々な食品について同じような実験が行われることがあるようです。
 この際、 用いられるのが、 持ち運びが楽で、 一般の方でも簡便に計ることができる 「糖用屈折計」 という器具です。 これは、 計測の対象となる砂糖 (ショ糖) の光の屈折率を利用するものですが、 実は、 この計測方法には大きな 「落とし穴」 があり、 場合によっては全く誤った認識をもってしまう場合があります。 今回は、 この計測方法のしくみを通じて、 何故、 このような誤りが起こるのかご説明したいと思います。

醤油の糖分が30%?
 「醤油の糖分を屈折計で計ったら、 糖度が30もあった。 醤油にはこんなに砂糖が使われているのか?」
以前、 工業会に、 消費者団体からこのような質問があったそうです。 でも、 これは塩分やアミノ酸などの、 醤油中に溶けている成分の"屈折率"によるもので、 その値が糖度や糖分 (正確にはショ糖分) を示しているわけではありません。 では、 きちんと計っているにもかかわらず、 何故、 このようなことが生じるのでしょうか?

屈折計のしくみ
 先程も申し上げましたように、 屈折計とは、 砂糖 (ショ糖) の光の屈折率を利用し、 その含有量をブリックス (溶液100g中に含まれる量をgで表わしたもの) で示すものです (例:溶液100gに砂糖が10g溶けていれば、 ブリックス度は10)。 この屈折計は、 砂糖 (ショ糖) の屈折率を対応したブリックスの目盛が付されているもので、 いわゆる 「糖度計」 とは別物です。 「糖度」 という用語は、 ショ糖の光学的特性である偏光特性を利用した糖度計 (検糖計) で測定した場合にのみ用いることができます。 屈折計の場合は、 砂糖 (ショ糖) 以外でも水溶性の物質であれば光を屈折します (物質により屈折率は異なります) ので、 ブリックスの値が計測されてしまいます。 ですから、 純粋なショ糖液であれば、 「糖度」 にほぼ一致する値が期待できますが、 ショ糖以外のものが含まれていれば、 当然それらの影響も受けることになります。
 従って、 上述した醤油の件については、 食塩やアミノ酸が、 それぞれの屈折率に基づいて、 ブリックスの値として、 計測されてしまったというわけなのです。 「糖度を計る」 ということで、 「糖分のみを計測する」 と誤解されているこのような例が非常に多いのです。
 下記の表1は、 ショ糖のブリックスと屈折率の関係を、 表2は、 食塩のブリックスと屈折率の関係を示したものです。 比較していただければ分かる通り、 ショ糖と食塩の屈折率は、 同じ含有量 (g/100g) の場合、 食塩の方がショ糖よりも屈折率は高く、 その分、 ブリックスは食塩の方が高めに出るという結果になります。
 さらに言えば、 清涼飲料には、 転化糖、 ブドウ糖、 果糖などが使われることがありますが、 屈折計の目盛の基準は砂糖 (ショ糖) ですから、 その清涼飲料中の糖分を屈折計で計測する場合には、 下記の表3〜表5に示した補正値により、 ブリックスの補正をする必要があります。 よく、 これらの砂糖以外の糖についても、 屈折計の値を見て 「砂糖が○○g入っている」 という言い方をされる場合がありますが、 この言い方は誤りです。 言い換えれば、 純粋なショ糖以外の糖類の溶液では、 屈折計で得られるブリックスの値は正確な糖分の値を示すものではなく、 目安の値にしか過ぎないのです。

正しい値は専門機関で
 ですから、 屈折計を使う場合は、 このような特徴を良く知っておく必要があります。 例えば、 農家が、 収穫した同種類の果物 (みかんやりんごなど) の糖度を毎年経時的に計測する、 といった使い方であれば、 ある程度の目安になると思われますが、 含有成分のはっきりしない食品についてランダム的に計測することは誤解につながる場合もあると思われます。 このような場合には、 専門機関に依頼されるのが良いでしょう。


表1 ショ糖のブリックスと屈折率の関係 (抜粋)
(測定温度 20℃)
ショ糖 (g/100g)ブリックス(%)屈折率補正値
001.33300
10101.34780
20201.36380
30301.38110
(注) ブリックス0 (%) の部分は、 水の屈折率である。


表2 食塩のブリックスと屈折率の関係 (抜粋)
(測定温度 20℃)
食塩 (g/100g)ブリックス (%)屈折率
001.3330
1011.71.3505
2022.71.3684
2528.11.3778
(温度が20℃の場合、 食塩の飽和濃度は26.38g/100gである。)
(注) ブリックス0 (%) の部分は、 水の屈折率である。


表3 転化糖のブリックスと屈折率の関係 (抜粋)
(測定温度 20℃)
転化糖 (g/100g)ブリックス (%)屈折率補正値
001.33300
109.911.3477+0.09
2019.791.3635+0.21
3029.641.3805+0.36
(注) ブリックス0 (%) の部分は、 水の屈折率である。


表4 ブドウ糖のブリックスと屈折率の関係 (抜粋)
(測定温度 20℃)
ブドウ糖 (g/100g)ブリックス (%)屈折率補正値
001.33300
109.951.3478+0.05
2019.841.3636+0.16
3029.671.3805+0.33
(注) ブリックス0 (%) の部分は、 水の屈折率である。


表5 果糖のブリックスと屈折率の関係 (抜粋)
(測定温度 20℃)
果糖 (g/100g)ブリックス (%)屈折率補正値
001.33300
109.891.3477+0.11
2019.701.3633+0.30
3029.541.3803+0.46
(注) ブリックス0 (%) の部分は、 水の屈折率である。



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