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お砂糖豆知識[2003年4月]

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最終更新日:2010年3月6日

ALIC砂糖類情報
お砂糖豆知識
[2003年4月]

お砂糖豆知識

全国和菓子協会 専務理事 藪 光生

 全国和菓子協会では 「幼稚園児の給食(おやつ)に和菓子を取り入れてもらうための試験事業」 として全国約1万3千人の幼稚園児に和菓子を提供して好評を得ているが、この事業を実施して驚かされることのひとつに “アレルギー疾患” を持つ幼稚園児が多数いることが挙げられる。
 アレルギー疾患とは、いわゆる過敏症であり、健康な人にとって何等問題のない食物からも発症するものだけに理解されにくい面もあるが、症状を持つ人にとっては大変なことである。
 場合によっては死に至る可能性もあるし、人によっては舐める程度の極微量のアレルギー物質によってアナフィラキシー症状が惹起され、発症することもある。
 当然、食品を製造する側の立場としては、事故が発生しない様に表示に万全を期すわけだが、はたして昔からこんなに多くのアレルギー疾患があったのかと考えさせられる。
 調べてみると、アレルギー疾患と言われる人は年々増加の一途をたどっているらしい。
 原因として環境の変化や食物など様々な理由が挙げられるが、その中のひとつに免疫性と抵抗性の低下を指摘する声もある。
 実はこの免疫性と抵抗性の低下はかなり深刻だという声も聞いた。
 最近流行の 「滅菌」 「抗菌」 の氾濫もこれに一役買っているらしい。
 確かに 「抗菌○○」 はいたるところで目にする。いまではボールペンはもとより台所で用いる布巾やスポンジにまで広がっている。
 こうして雑菌と接することが少なくなることで、免疫性や抵抗力の無い人が増え続け、近い将来大きな問題になる心配もあるという。
 前置きが長くなったが 「人間が歯を磨くようになってから虫歯が増えた」 という新説?珍説?を聞いたからである。
 折しも幼稚園のお母さん達の会で和菓子の話をした後に、甘い物と虫歯について指摘があり、私は 「砂糖や甘い物が虫歯の原因とされることが多いが、糖分と歯垢が影響を与えると言われている。しかし、そうした食べ物の摂取量と虫歯の関係よりも、躾との関係に目を向けるべきである。アメリカ人は平均して日本人の1.6倍の砂糖を食べるが虫歯になる率は日本の半分にもならない。オーストラリア人なら2.5倍の砂糖を食べるが虫歯は日本人の4割程度である。砂糖は人間にとって大切な食べ物であり、虫歯予防は砂糖を食べないことなどと短絡せずに、むしろ歯を磨くことをうながす躾の問題である。」 といって皆さんの納得を得たが、その後で新説いや珍説を聞かされたのである。
 歯磨きなどしなかったと思われる江戸時代以前の人々の歯の強さ、現代の未開の地で暮す人々の歯の強さなど、様々に例を挙げて熱心に言い募っていた。
 明確な根拠も無しに 「歯を磨くようになって虫歯が増えた」 とは、とても言えるものではないし、食や家庭環境の変化など様々に考えなければならない虫歯について、そのように短絡することはできない。
 しかし、「抗菌○○」 の氾濫と抵抗力低下の話を思い浮かべてみると、何やら妙に説得力のある話と考えさせられた。