お砂糖の疑問
精糖工業会
第6回「砂糖が白いわけ」
砂糖に関しては、私どもも様々な機会を通じ、正しい知識の啓発に努めておりますが、根強い誤解の一つに「白砂糖は漂白している」という説があります。
今回は改めてこのことについてお話します。
砂糖は光合成でできる
砂糖の主な原料は、さとうきび(甘蔗)とてん菜(ビート)です。砂糖は、これらの植物が蓄えているものなのです。
植物は、葉中の葉緑素で、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を原料に、光のエネルギーを利用して炭水化物(糖)と酸素を生成します。これを化学式で表すと、以下のようになります。
6CO2 + 12H2O + 光エネルギー
→ C6H12O6 + 6H2O + 6O2
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このC6H12O6が糖です。以前は「ブドウ糖ができる」という言い方をしている場合もありましたが、実際は様々なかたちの炭水化物が生成されます。ただし、実際に植物の葉を調べてみると、ほとんどの場合、「デンプン」もしくは、砂糖の甘味成分である「ショ糖」ができています。これは、生成された炭水化物がデンプンやショ糖になって蓄えられていることを示しています。
さとうきびやてん菜などの植物も、空気中の二酸化炭素、水、太陽エネルギーといった、自然界に存在するものから砂糖(ショ糖)をつくりだし、茎や根に蓄えているわけです。ですから、砂糖は「自然の力が生み出したもの」と言うことができます。
砂糖をつくるって?
今お話したように、砂糖の甘味成分であるショ糖は、原料であるさとうきびやてん菜などにそのままの状態で蓄えられています。これを使用できる形で取り出すことが「砂糖をつくる」ことです。その際、ショ糖分以外のものを取り除き、できる限り純粋なかたちで結晶として取り出したものが「精製糖」と言えます。
今、申し上げたように、精製糖は砂糖の成分であるショ糖をそのままの純粋なかたちで取り出したものですから、それ以外の成分、そして色や匂いを取り除くわけです。ですから、結晶そのものに色はなく、無色透明になるわけです。
白砂糖(精製糖)についての根強い誤解の一つが「漂白している」というものですが、これは全くの誤りです。もともと無色透明な結晶を漂白する必然性は全くありません。また、「染料で白く染めている」という人がいますが、もしそうであれば、結晶そのものが「白い」はずです。砂糖の結晶を見て頂ければ、これが誤りであることも一目瞭然です。
砂糖が“白い”のは、結晶が光を乱反射するために白く“見える”ためです。結晶が細かいほど、反射度は大きくなりますから、上白糖やグラニュー糖のような細かい結晶ほど白く見え、逆に結晶が大きい氷砂糖は透明度が増すわけです。氷が大きな塊だと透明で、かき氷だと白く見えるのと同じ原理です。
ミネラルがないのは体に悪い?
白砂糖についてもう一つ言われることが、“精製しすぎていて栄養がない”、“エネルギーだけしかない”という言い方です。
しかし、砂糖の摂取の仕方を考えてみれば、それ単体を主食として摂取することはありません。通常は、料理やお菓子の調味料として使われるいわば「脇役」であり、摂取量自体、全体の栄養摂取の中では少量です。その砂糖について、ごく微量成分としての無機質(ミネラル)を期待するよりは、野菜、果物、海藻など、ミネラル豊富な食品を充分摂取する方が効率的と言えます。砂糖はこれらの食品の調理においても、食べにくい食品の味を和らげたり、見た目の美味しさを引き立てたりする役割を持っています。上手にお使い頂きたいと思います。
そして、このことに関連して「白砂糖より三温糖の方が自然に近く、健康に良い」という消費者の方のお話を多く耳にします。実はここにも大きな誤解があるのです。これについては次回、詳しくお話します。