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お砂糖豆知識[2004年3月]

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最終更新日:2010年3月6日

ALIC砂糖類情報
お砂糖豆知識
[2004年3月]

お砂糖の疑問〜第7回「白い砂糖と茶色い砂糖」

精糖工業会

 前回は、「白砂糖は漂白している」という誤解について述べましたが、今回は大きな誤解のもう一つ「白砂糖より三温糖の方が自然に近く、健康に良い」といわれていることについて、詳しくお話します。
 
色がついていると体に良い?
 最近、食品について「自然のものの方が健康に良い」というイメージが非常に強いように感じられます。砂糖についてもこのことを強く信じている方が少なからずいらっしゃるようです。
 “三温糖は茶色いので、あまり精製していなく、自然のもので体に良い”このような話をきいたことはないでしょうか。
 この考えと対比する形で言われる“白砂糖は精製しすぎているので体に悪い”あるいは“白砂糖は化学薬品で漂白しているので良くない”といった考え方の誤解については前回お話しました。
 では、三温糖は白砂糖と比較して本当に「体に良い」と言えるのでしょうか。今回はこの点についてみていきます。

製法の誤解〜三温糖は精製糖
 「三温糖は体に良い」と言われる方のお話を更に聞いてみましょう。
 “・・・だって、三温糖は茶色いでしょ?つまり、精製度が低いわけで、自然の形に近いことになる。これを精製すると白砂糖になるわけだから、三温糖の方が体に優しくて、ヘルシーなのよ・・・”これは全くの誤解です。このことを説明するために、砂糖の製造方法を今一度確認してみましょう。
精製糖製造工程の流れ(一例)
図 精製糖製造工程の流れ(一例)
 上記の図は、精製糖の製造工程の流れです。紙面の都合上、細かい製造法については触れませんが、精製糖をつくる場合は、サトウキビの原産地(海外及び鹿児島・沖縄)で、その搾り汁からつくる半製品の「原料糖」をつくり、精製糖メーカーがそれを仕入れるところから始まります。
 精製糖メーカーは、その原料糖に含まれる砂糖(ショ糖)以外の成分や、色、匂いを様々な工程を経て丁寧に取り除きます。そうして出来るのが、図の一番上にある「ファインリカー」と呼ばれる透明な糖液です。
 この糖液を濃縮し、粉砂糖のような細かい砂糖の粒を加えて結晶缶で加熱すると、その粒を核にして、糖液中に結晶が出来てきます。つまり、結晶缶の中は、結晶と糖液が混合した状態になるわけです。それを遠心分離機(脱水機と同じ原理)で、結晶と糖液を振り分け、結晶は製品になります(図の「一番糖」)。
 では、もう一方の糖液(図の「一番蜜」)はどうなるのかですが、この糖液にはまだ充分な砂糖分(ショ糖分)が残っていますので、これは結晶缶に戻し、先程と同じように結晶をつくる作業を繰り返します。こうして出来るのが図の「二番糖」、「三番糖」・・・であり、そのときの糖液が「二番蜜」、「三番蜜」・・・なのです。
 そして、その過程の中で、一番目、二番目といった早い段階でできるものほど純度の高いお砂糖になり、「もうこれ以上は砂糖ができない」という最終段階にできるのが三温糖などの色のついたものなのです。
 その「色」は、結晶缶での加熱を繰り返したために糖が分解してついたもの、つまり、砂糖を焦がしてつくる「カラメル」と同じ原理でついたものなのです。
 ですから、「三温糖を白くしたのが白砂糖」なのではなく、「白砂糖をとった残りの糖液からできるのが三温糖」で、全く逆の順番なのであり、基本的な製法は同じなのです。

成分の誤解〜数字のマジック
 今お話したように、三温糖は、最終段階で出来るものなので、糖液に微量に残った灰分(ミネラル分)をどうしても一緒にすくってしまいます。そのため、成分表上は、灰分の値が他の精製糖と比べて高くなるのです。
 ただ、これも、100%中、0.01%と0.22%というものであり、前回お話したように砂糖そのものの摂取量から判断すれば、「ミネラルを補給できる」というレベルではないのは明らかです。「白砂糖より三温糖の方がミネラルは多い」のは数字上事実ですが、これは自然に近いからではありませんし、多いと行っても大きな意味はないと言えると思います。ですから、あくまでもその風味、また使用する素材に合わせて使い分けるのが賢い使用法と言えるでしょう。