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スペイン砂糖産業の概要

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外情報


海外レポート
[2000年9月]
 スペインはフランス、ドイツ、イタリア及びイギリスに次いでEU5番目の砂糖生産実績を持ちますが、生産量が安定している一方、消費量は着実に増加していることから純輸入国となっています。また、気象条件等からビート収穫時期が2つの時期に分かれ、ビートのみならず甘しゃ糖も生産している点で特徴的です。こうした、スペインの砂糖産業について、英国の調査会社 LMC International Ltd. からの報告をもとに企画情報部で取りまとめたので紹介します。
 なお、この報告は1999年12月現在のものであり、最新のデータについては巻末資料編を参照願います。

企画情報部


砂糖の需給バランス
ビート及びさとうきび生産実績等について
砂糖産業の現状  砂糖の消費量
異性化糖  砂糖の流通
砂糖産業における現在の問題


スペインの概要
スペインの概要


砂糖の需給バランス

 スペインの砂糖生産量は87/88年度以降、一時100万トンを割り込むまで減少したが、92/93年度以降回復し、近年は120〜130万トン(粗糖換算)で安定している。一方、消費量は着実に増加しており、現在は砂糖の純輸入国となっている(図1)。
 98/99年度のスペインの砂糖生産量は、EU12ヵ国の中でフランス、ドイツ、イタリア及びイギリスに次いで5番目であり、甘しゃ糖を生産している唯一の国である。スペインのA及びB割当は、白糖換算で100万トン(粗糖換算で110万トン)であり、これらの割当を超過して生産される砂糖はC糖として輸出補助金なしで輸出されなければならない。
 表1の貿易データ(EU加盟国及びEU域外諸国との貿易量を含む)によれば、25〜30万トンの砂糖が輸出され、そのうちのほとんどすべてがEU域外に販売されたC糖である。また、国内消費量と割当生産量のギャップを埋めるため40万トンがEU域内から輸入されている。

図1 スペインの砂糖生産量、消費量及び輸出量 図1 スペインの砂糖生産量、消費量及び輸出量

表1 スペインの砂糖需給バランス

(単位:1,000トン)
  95/96年度 96/97年度 97/98年度 98/99年度
生 産 量 1,196 1,305 1,243 1,259
消 費 量 1,266 1,309 1,316 1,319
輸入量 合計
    粗糖
    白糖
371
7
364
402
10
392
435
40
395
435
27
408
輸出量 合計
    粗糖
    白糖
163
0
162
295
0
295
253
1
252
256
0
255
在 庫 変 化 138 104 110 119
出典:CEFS、F. O. Licht

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ビート及びさとうきび生産実績等生産実績について

 ビートの収穫面積は95/96年度の17万2,000haから98/99年度には15万5,000haに減少したが、単収が増加したため、ビート生産量は増加し98/99年度には870万トンに達している(表2a)。スペインで生産されている甘しゃ糖は、全砂糖生産量の約6%とごく少量である(表2b)。
 98/99年度の1農場当たりの平均ビート収穫面積は、EU平均5.9haと比較し3.9haと狭く、EUの中でスペインより狭いのは、イタリアとギリシャのみである。ビートは、北部及び南部地域で栽培されているが、気候や土壌等の栽培条件が多様であるために、収穫期間は2つの時期に分かれている。北部地域は、穏やかな天候でビートは春(3月中旬から6月中旬)に植えられ、秋(9月下旬から1月初旬)に収穫される。南部地域は地中海性気候で、ビートは秋(7月〜9月)に植えられ、春(6月〜8月)に収穫される。中央部地域は、北部地域とほぼ同じ収穫期間(10月〜12月)となっている。
 ビート生産総額は、農業生産総額の3%(フランス3%強、ドイツ6%前後、イギリス約2%)を占めている(表2a)が、甘しゃ糖生産総額は、ごくわずかなシェアを占めるにすぎない。

表2a スペインのビート生産量及び産糖量等の推移

  95/96年度 96/97年度 97/98年度 98/99年度  平 均 
収穫面積(1,000ha) 172 160 155 155 161
ビート生産量(1,000トン) 7,611 8,173 8,725 8,725 8,309
単 収(トン/ha) 44.3 51.1 56.3 56.3 52.0
産 糖 量
(1,000トン、粗糖換算)
1,191 1,300 1,233 1,249 1,243
砂糖1トン当たり必要原料
(TB:TS)
6.4 6.3 7.1 7.0 6.7
ビート生産総額 (注1)
(1,000USドル)
477,217 512,455 547,066 487,208 505,986
農業生産総額
(1,000USドル)
15,593,432 16,527,736 15,110,300 15,641,888 15,718,339
農業生産総額に占める
ビート生産総額の割合(%)
3.1 3.1 3.6 3.1 3.2
注1)ビート生産総額は、農民がビート1トン当たりで受け取るビート価格に年間ビート生産量を
   乗ずることによって算出されている。
出典:CEFS、F. O. Licht、世界銀行

表2b スペインのさとうきび生産量及び産糖量等の推移
  95/96年度 96/97年度 97/98年度 98/99年度  平 均 
収穫面積(1,000ha) 0.7 0.7 1.1 1.3 0.9
生産量(1,000トン) 49 69 109 123 87
単 収(トン/ha) 70.0 100.0 100.5 96.1 92
産 糖 量
(1,000トン、粗糖換算)
4 6 10 10 8
砂糖1トン当たり必要原料
(TB:TS)
11.3 11.8 10.7 12.5 11.6
出典:CEFS、F. O. Licht、世界銀行

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砂糖産業の現状

 98/99年度のスペインのビート工場の規模は小さく、15工場すべてが1日当たり圧搾能力で1万1,000トン以下である。しかし、平均規模は、91/92年度以降9工場が閉鎖され合理化が進行していることから、87/88年度の約4,000トンから98/99年度には6,700トンとなっている(図2)。

図2 スペイン砂糖産業の概要
スペイン砂糖産業の概要

 98/99年度には、15のビート工場すべてで白糖が生産されたが、そのうち3工場(Ciudad Real、Penafiel、Monzon de Campos)は、シーズン終了後の濃縮ジュースを処理する設備を持っている。さらに2工場(Guadalfeo、Valladoid)は、付属の蒸留酒製造設備を所有している。
 1970代半ばには、ビート工場所有社は、21社あったが、現在では、Azucarera Ebro Agricolas (AEA)、Sociedad Cooperativa Azucarera Onesimo Redondo (ACOR) 及びAzucarera Reunidas de Jaen S.A. の3社に集約されている(表3)。

表3 スペイン砂糖産業の概要

表3 スペイン砂糖産業の概要


 1998年には、砂糖産業最大の2社、Ebro Agricolas Compania de Alimentacion S.A. とSociedad General de Azucarera de Espania (SGAE) が合併して、新しい会社 AEA が設立された。この2社は、合併以前、スペインのビート原料処理能力のそれぞれ55%と26%を占めていた。合併後は、78万トンの生産割当を持ち、スペイン市場の4分の3強のシェアを占め、12工場を所有している。AEAは、現在、EUの中で5番目に大きな砂糖グループである。
 この合併は、スペインへの外国企業(特に1997年にフランスのGenerale Sucriereによって設立されたSaint Louis Sucre)の介入に対する懸念があったため、スペイン政府によって延期されていた。しかし、国有の食品グループ Alycesaと様々な地域の投資銀行が Ebro Agricolasのクウェート投資オフィス(KIO : Kuwait Investment Office)の株式の大部分を買収したことによって、スペインの株式所有割合が、総株式の30%以上になったため、この問題は解決された。Saint Louis Sucreは、フランスにおいて7カ所のビート工場を所有し、現在AEAの20.5%の株式を保有する最大の株主である。
 AEAは、北部地域の2工場(Venta de BanosとVeguellina de Orbigo)を閉鎖したが、それぞれ1998年の7月と8月に承認された。AEAによれば、この2工場の7,000トンの総原料処理能力(97/98年度)は、北部のAEAの他工場(主にPenafiel)に引き継がれた。その結果、Penafiel工場の原料処理能力は96/97年度の2,800トンから、98/99年度には7,500トンに拡充された。
 ビート工場は、主に国の北東部地域と南西部地域に所在しているが、南西部のビート工場は、暖かい地中海性気候のために、原料が工場へ搬入されてから24時間以内に加工しなければならないことから、裁断シーズンは比較的短い。
 イタリアと同様に、スペインのビート工場は、他のEU加盟国より工場への輸送中及び貯蔵中に温度が高いことから、ビートの劣化が進行するため、歩留りは低くなる傾向にある。
 スペイン南部のAzucarera del Guadalfeo S.A. 所有のさとうきび圧搾工場は1日当たり1,300トンの原料処理能力を有し、付属の精製糖工場を持つ。この工場の圧搾シーズンは3月から6月であるが、98/99年度の稼働期間は80日(EU平均87日)と比較的短い。

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砂糖の消費量

 砂糖の用途別消費量の内訳は、家庭用が国内消費量のおよそ29%を占めている。しかし、このシェアは、過去数年低下傾向で推移し、95/96年度の30.5%から98/99年度には28.7%になっている。飲料用は98/99年度には18.1%、次いで、焼き菓子用と砂糖菓子用が、それぞれ16.6%、14.1%を占めている。98/99年度の1人当たり消費量は、33.5kgであり、97/98年度のEU平均(35kg)にほぼ等しい(表4)。

表4 スペインにおける砂糖の用途別消費量(粗糖換算)

(単位:1,000トン、%)
  95/96 96/97 97/98 98/99
家 庭 用 387 30.5 377 28.8 379 28.8 378 28.7
工 業 用
 飲料用
 焼き菓子
 砂糖菓子
 乳製品
 缶詰及び保存食品
 その他(食品以外含む)

232
200
170
92
105
81

18.3
15.8
13.4
7.2
8.3
6.4

241
208
177
95
110
101

18.4
15.9
13.5
7.3
8.4
7.7

240
215
183
98
113
89

18.2
16.3
13.9
7.5
8.6
6.8

239
219
186
99
114
84

18.1
16.6
14.1
7.5
8.6
6.3
小 計 880 69.5 932 71.2 937 71.2 941 71.3
合 計 1,266    1,309    1,316    1,319   
1人当たり消費量(kg/人) 32.3    33.3    33.5    33.5   
出典:CEFS、LMC

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異性化糖

 スペインは現在年間約8万3,000トンの異性化糖をコーンスターチを原料として生産、消費している。また、生産量のすべては、42%ものである。主な需要先は、飲料、砂糖菓子、缶詰食品及び保存食品であり、総消費量の75%を占めている(表5)。
 スペインには3つの異性化糖工場があるが別会社によって所有され、東部及び北東部地域に所在している。総原料処理能力はおよそ15万トン、生産量は約8万3,000トン(EU内におけるスペインのA及びB割当の水準)になっている(表6)。

表5 スペインにおける異性化糖と砂糖の生産量及び消費量

(単位:1,000トン、粗糖換算/固形換算)
  95/96年度 96/97年度 97/98年度 98/99年度
生 産 量 砂  糖
異性化糖
異性化糖の占める割合(%)
1,196
77
6.0
1,305
82
5.9
1,243
83
6.2
1,259
83
6.2
消 費 量 砂  糖
異性化糖
異性化糖の占める割合(%)
1,266
77
5.7
1,309
82
5.9
1,316
83
5.9
1,319
83
5.9
輸 入 量 砂  糖
異性化糖
異性化糖の占める割合(%)
371

0.0
402

0.0
435

0.0
435

0.0
輸 出 量 砂  糖
異性化糖
異性化糖の占める割合(%)
163

0.0
295

0.0
253

0.0
256

0.0
在庫変化   138 104 110 119
出典:CEFS、 LMC

表6 スペインの異性化糖工場の概要(97/98年度)
(単位:トン、固形換算)
企業名 場 所 地 域 能 力 割当A+B
Amylum Iberica SA Zaragoza 北東部 77,000 43,560
Cerestar Iberica SA Barcelona 北東部 32,000 23,026
Roquette Laisa Espana SA Valencia 東 部 40,000 16,414
合  計   149,000 83,000
出典:F.O. Licht 年鑑 (98/99年度)

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砂糖の流通

 スペインの砂糖工場が地理的に広く分布しているため、顧客に砂糖を供給するには都合が良い。
 スペインの砂糖産業は、EUと同様、家庭用及び工業用の需要を満たすために、氷砂糖、液糖、ブラウンシュガー等の様々なタイプの砂糖を生産している。
 砂糖産業は、販売キャンペーンを積極的に行っており、1998年には、印刷物、ラジオ及びテレビを通して広告キャンペーンを実施している。

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砂糖産業における現在の問題

 EUの砂糖産業が直面している主な課題は、間近に迫った砂糖制度の改革である。2000年7月に始まる2000/01年度から、EU委員会は、WTO協定に従うため、砂糖制度の改革を実行しなければならない。そのため、国内の生産割当の削減をもたらし、長期的には輸出補助金額も引き下げなければならなくなるであろう。
 こうした状況下、スペインも将来の利益を維持するために、積極的に生産コストを下げようと努めている。ビート部門においては合理化が進んでいるものの、依然として平均工場規模は小さく、シーズンはEUの他の多くの国より短い。しかし、1998年のEbro AgricolasとSGAEの合併によるAEAの設立は砂糖産業の合理化に向けた先がけとなり、今後の工場数の減少と平均規模の拡大に期待が持てる。
 ビート農場の平均規模が4ha未満である等の構造的限界の中で、Ebro Agricolas、SGAE並びに農民組合(Confederacion Remolachera、ASAJA及びUPA)間の異業種間協定の締結(1998年)は、前進へ重要なステップであった。この協定は、スペインのさとうきび産業とビート産業を再編するための基礎を確立することを目指すものであり、製糖期間、輸送経費の支払方法及び原料受入センターの運営等の基本的な規則を規定している。この協定の締結は、AEAの2工場の閉鎖を規定した開発議定書(Development Protocols)の基礎となるものであった。
 AEAは、EU域内において砂糖生産量を増加させることの限界を認識し、チリのSociedad de Inversioes Campos Chilenos S.A. (同国のビート糖会社IANSAの43%の株式を保有する投資会社)の52%の株式を取得した。EU域外への投資は、中央及び東部ヨーロッパに投資する他のEUの砂糖会社とは異なった戦略である。AEAがスペイン語圏の中からチリを選択した理由は、能率的かつ低コストの砂糖生産国であり、ビートから砂糖を生産している南アメリカ唯一の国であるためである。

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