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第9回ISOセミナーの概要

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外情報


海外レポート
[2001年1月]
 平成12年11月21、22日の両日、国際砂糖協定の事務局である国際砂糖機関(ISO)本部のあるロンドンにおいて、第9回 ISO セミナーが58ヵ国延べ270名の参加者を集め開催されました。当事業団では農林水産省食品流通局砂糖類課とともに、このセミナーに参加し、当事業団の海外調査委託先である LMC 社を訪れ、当セミナーにおける講演内容に対する見解を聴取したので、その概要を紹介します。今回のセミナーの講演内容は、価格、財務、テクノロジーそして政策と多岐にわたり、国際市場または WTO における各国の立場が浮き彫りにされる興味深いものでした。
 また、講演内容の全文については、当事業団企画情報部に所蔵しておりますので、お問い合わせください。

農産振興部・企画情報部


テクノロジーの進展
世界需給事情の将来
貿易の自由化


セミナーが開催されたCabot Hall セミナーが開催されたCabot Hall
第9回ISOセミナーが開催されたCabot Hall


テクノロジーの進展

 最初の演題は、砂糖業界におけるテクノロジーの進展についてであり、遺伝子組み換え (GM) ビートとさとうきびについて、ベルギーのモンサント・サービス社役員のダニエル・レイヒャー氏とブリュッセルにある消費者連合ヨーロッパ事務局のベアート・ケトリッツ氏による講演がそれぞれの立場から行われた。

 レイヒャー氏は、GM には懸念すべきことは何も無いと改めて出席者に主張し、次のように述べた。特にトウモロコシ、大豆、綿花に関する限り GM テクノロジーはもはや実用化されており、砂糖も今や研究開発の最前線に位置している。このテクノロジーの開発に携わるモンサント社は、高品質な種子の製造を行っているが、広範なライセンス取得戦略を進めている。
 GM ビートとさとうきびの大きな利点の1つに、農家の生産コストの削減がある。研究段階にあり解決しなければならない問題も数多くあるが、農家コストを15〜30%削減することが可能である。しかしながら、意思決定のプロセスにおいては、砂糖消費国がより一層重要な役割を果たすことになるだろう。

 一方、ケトリッツ氏は消費者の視点から一般大衆の不安と希望について次のように述べた。GM 食品に対して決して反対はしていない。健康に害は無いと言えども、GM に関する情報の提供、正しいラベル付けをし、消費者に選択権を与えるべきである。また、倫理的、社会的な問題を内包している現状を考えれば、安全性基準の世界的な調和が必要であるが、現段階ではそれをなし得るには人々の関心が十分とは言えず、国レベルでなんらかの合意に到達することは困難だろう。
 オランダでは GM 食品が受け入れられているが、イギリスでは消費者の拒絶反応が強い。オランダにおける最近のアンケート調査では、GM 食品に対する人々の容認度が、特にじゃがいもでアップしている。農業に大きく依存する国であるがゆえに、てん菜もすぐに同様の状況を生むであろう。

 この問題について、LMC 社は、市場が確立していないため、加工業者は農家に対して GM 作物を作らないよう指導している。事実、ヨーロッパにおいてはここ何年も作付けの計画はない。ヨーロッパにおける GM 食品の将来は暗いのではないかとコメントしている。

 引き続き、アメリカのブザネル・アンド・アソシエーツ社役員のピーター・ブザネル氏により、オーガニック・シュガーについて、次のような講演が行われた。
 GM 砂糖とは対照的に、オーガニック市場は急速に成長しつつあり、5年前にはたった2万トンだった生産量は、現在では5万トン前後に成長しており、うち70%がアメリカ、30%が EU 諸国で消費されている。オーガニック・シュガーのプレミアム価格が魅力的であるためであろう。アメリカでは、オーガニック・シュガーが1ポンド当たり2.00ドル (約494円/kg)、普通の砂糖は50セント (約123円/kg)である。一方、イギリスでは、オーガニック・シュガーが1kg当たり1.84ポンド (約302円/kg)、普通の砂糖が47ペンス (約77円/kg)となっている。
 両者の識別が不可能で、詐欺行為の可能性が高いことから、その信頼性を証明するシステムが求められている。一方、主な生産国であるブラジル、パラグアイ及びメキシコはその生産を拡大しつつある。ブラジルでは、97/98年には1,600トン足らずだった生産が、99/2000年には2万3,000トンにまで跳ね上がっており、今後4年以内に6万トンに達する計画だ。アメリカ市場への主な供給源であるパラグアイの年間生産能力は8,000トンであり、コスタリカ、ボリビア、ドミニカ共和国、アルゼンチン、そしてキューバ等の他のラテン・アメリカ諸国でも緩やかながら生産が増加している。さらなる生産増を実現するためには、環境及び食品の安全性、倫理観、そして新しいテクノロジーの食品生産への応用に対する懸念による需要増が必要であるが、EU の基準がアメリカでは基準に合わないなど、基準の国際的調和が最も重要な課題となっている。

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世界需給事情の将来

 続いて、世界市場価格の低迷について、ISO 経済統計部長の A. C. ハンナ氏とリヒト社専務のヘルマット・アルフレッド氏が、世界砂糖市場の現状と将来像などについて講演を行った。

 A. C. ハンナ氏は、近年の価格低迷の状況を次のように分析している。1998〜99年に世界の砂糖市場価格が低迷した時期に消費量の成長率が半分 (1994〜97年の成長率2.9%、97〜98年1.2%、98〜99年1.4%) まで低下した点で特徴的である。(前回の価格低迷時 (1982〜87年) には、世界の消費量は価格に反応して、年間2.7%という高い平均成長率で増加した。)
 主な原因は次の2点である。第1に世界各国 (先進国のみならず発展途上国においても) で高関税を課すなど世界価格と絶縁された状況にある点である。第2に1997年半ばに始まったアジアの金融危機が消費量の成長を抑制した点である。
 長期的な消費量の成長は、アジアの金融危機の余波が解消されれば良好となり、年3.5%の成長を達成するものと思われる。将来的に遅かれ早かれ低価格時代が到来するものと思われるが、同時期に平価切下げや金融危機といったマイナス材料が重ならなければ世界消費が促進され、価格回復のプラス要因となるであろう。

 リヒト社のヘルマット・アルフレッド氏は、「水晶球の凝視〜価格回復の展望〜」と題し、砂糖の需給バランス及び価格について、短期的及び長期的に次のように予測している。
 世界の砂糖生産の増加は99/2000年度に停止したが、なお生産が需要を上回っており、余剰在庫はさらに増加している。しかし、こうした状況とは裏腹に99/2000年度の価格は上昇した。その要因として、(1)余剰在庫の分配、(2)2000/01年度の砂糖不足の予測があげられる。
 余剰在庫をみる際には、単純に世界の生産量と消費量を比較することは適切ではない。国別に余剰量を特定する必要がある。例えば、国ごとに収穫時期が違うので、ある時点での在庫量を数量化する際は、数字を非季節化する必要がある。また、各国ごとに構造的または財政的な理由から事情が違う。例えば、インドは99/2000年度の世界余剰在庫1,800万トンのうち約500万トンを占めているが、財政的、政治的な理由から、政府は100万トンしか輸出許可を与えなかった。このように世界余剰在庫の約半分しか輸出に供されなかったと推定され、世界砂糖価格に与える影響は、予測されるより小さかった。
 また、次年度の予測は、現在のファンダメンタルズより価格に大きな影響を与える。今年度 (2000/01年) は、
  1. 93/94年度以来初めて、2000/01年度の世界需給は、生産が需要を下回り余剰在庫量の減少を招く。
  2. ブレント原油価格 (欧州において原油の指標価格となっている) は、1998年の1バレル当たり12.81ドルから1999年には17.77ドルに急騰し、現在 (2000年11月) 約30ドルである。
と予測されており、世界砂糖生産量は、EUの生産割当ての削減 (2000/01年度478,000トン)、オーストラリア及びブラジルの輸出可能量の減少、タイの天候不順及び病害虫の発生等により99/2000年度の1億3,500万トンから1億2,900万トンに、余剰在庫は1,550万トンにそれぞれ減少するものと予測される。また、世界需給バランスをみる上で、アジアの動向は近年の状況をみても重要である。アジアは2000/01年度(1)石油価格の上昇、(2)経済の回復、(3)中国とパキスタンの需要増、(4)ブラジルとオーストラリアからの供給減等の要因から最大の変化を経験するであろう。
 ブラジルからアジア (韓国、インドネシア、シンガポール、フィリピン及びマレーシア) への輸出量は、近年増大しており、1997年の約1万4,000トンから1998年には約25万3,000トン、1999年には約50万トンとなっている。しかし、今年度のブラジルの輸出可能量は生産減のため40%減少する可能性があり、石油価格の上昇によってアルコールへの関心が再び増大するとともにアルコールの余剰量も枯渇していることから、政府はガソホール混合比率を24%から20%に削減させ、2000年末までにアルコール輸入関税を0にする状況にある。そのため、砂糖の生産量と輸出量は制限されるものと思われる。
 また、ブラジルの砂糖の品質は糖度99.7度であり、オーストラリアの標準98度より上質である。これもブラジルからアジアへ輸出が増大した要因だが、クィーンズランド砂糖公社は、製糖業者と協力し、より高い糖度の原糖を製造する方法を確立したと述べている。
 アジアでは、供給量がオーストラリアの天候不順により減少するほか、タイの生産量が増加することも期待できない。その反面、輸入需要は増大している。中国政府は、過剰設備を削減する計画を続行し、1999年にビート工場と甘しゃ糖工場を約150ヵ所閉鎖し、2000年にも同数の工場が閉鎖される予定である (1998年の中国には、甘しゃ糖工場408工場、ビート工場87工場が存在した)。また、サッカリンの生産を1999年の2万トンから2000年には1万6,000〜1万8,000トンまで減少させると中国の公式筋は述べている。パキスタンは99/2000年度には悪天候のため生産減となり、政府は輸入関税を大幅に削減し、大量の砂糖を輸入した。2000/01年度は生産が増加するものと思われるが、国内需要を満たすものではないことから、パキスタンも輸入市場の1つの要因となると思われる。
 このようにアジアの状況は、数年間の絶望的な状況を脱することから、砂糖価格は2000年初頭の低値から回復した状況を維持するものと思われる。
 しかし、長期的にはオーストラリアの生産は良好な天候によって記録的な水準に回復する可能性があり、ブラジルのさとうきび生産量も2000/01年度の2億5,500万トンから2001/02年度には3億トン、2005年度には4億トンを超える可能性がある。これは砂糖用に供される比率を通常の40%とすると2005年には600万トンの砂糖生産増を意味することとなり、オーストラリアやタイの生産増を加えると2002/03年度には再び低価格時代が到来することも考えられる。
 国連の統計学者は、世界人口は2000年の61億人から2050年には46%増加して、89億人になると予測している。現在の1人当たり消費量を維持するためには、4,700万トンの砂糖が新たに必要となり、EU 等のビート糖は、(1)主要な生産地域における人口の減少、(2)保護と補助金の削減、によってそのシェアは大きく減少するものと思われる。インドはより自由な国内砂糖政策と世界の保護貿易主義の解体によって大手の輸出国になる可能性は有しているものの、増加し続ける人口に対応するにとどまるものと思われる。
 こうした世界の人口増に対応できる国は、ブラジル、オーストラリア、タイ、グアテマラ及びベトナムであろうが、コスト的にも潜在能力としても最も優れた生産国であるブラジルが将来の供給へのカギを握っている。

 カギを握るブラジルの状況について、ブラジルの業界紙、データグロ社社長のプリニオ・ナスタリ氏が次の内容の講演を行った。
 ブラジルの低コスト生産をさとうきびから生産されるエタノールへの補助金と結びつけるのはナンセンスであり、低コストは生産性向上への努力の表れである。含水エタノールの生産性について言えば、1975年から1999年の間に1ha当たり2,204リットルから5,500リットルにまで向上している。1985〜1997年の間、砂糖及びアルコール価格を管理していたとき、平均生産コストを下回る水準で価格設定されており、これに対応するため生産を拡大しコスト低減を図った。
 1988年以来、業界は劇的なまでに自由化され、政府政策による干渉は、最低限のレベルにまで弱まり、貿易を歪曲しないようにしている。収穫コストを40%削減した収穫の機械化や港湾施設への投資も行われている。このようなことから、ブラジルの低コストが実現された。
 ブラジルの当面の目標は以下の項目である:
  • 砂糖及びエタノールの海外市場の拡大
  • 燃料用エタノール使用の国際化
  • 砂糖及びエタノール貿易における輸出補助金や貿易を歪曲する国境措置、非関税障壁、市場制限などの障壁の撤廃

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貿易の自由化

 1999年11月30日〜12月3日に開催されたシアトル WTO 閣僚会議について、 ISO のリンゼイ・ジョリー氏は 「シアトル、その後の1年」 と題し次のように述べた。
 シアトル WTO 閣僚会議の失敗の主な原因の1つは、発展途上国側が会議の意思決定プロセスから排除されていると認識していることだと結論付けている。輸出補助金や国境措置等の不満以上にそれが大きかった。つまり、発展途上国 (138の WTO 加盟国の大半を占めている) は組織の運営により積極的に関わることを望んでいる。
 シアトル以降、世界的規模の話し合いは持たれていない。しかし、砂糖が新ラウンドの農業交渉の焦点となり、砂糖政策にも変化が起こるであろう。砂糖貿易の完全自由化の鍵は EU とアメリカの政策が握っている。

 全米砂糖協会経済学者のジャック・ローニー氏は 「アメリカの砂糖政策は WTO と NAFTA のもと生き残れるか」 と題し、カギを握るアメリカの砂糖政策の現状と将来像について次のように講演した。
 ローニー氏の結論は、アメリカの砂糖政策は生き残るだろうというものだった。アメリカの砂糖産業が抱える貿易上及び国内の課題に対して様々な圧力はあるものの対処可能であると述べた。アメリカの農民は有能であり、適正な条件で世界の他の国々と競争することを歓迎するであろうが、当面は、補助金で守られた海外からの輸入品に対抗するため、政策によって保護する必要があるだろう。変化する国内及び国際情勢に適応したアメリカの砂糖政策は採択される可能性があるし、また採択されるだろう。

 また、クイーンズランド砂糖有限会社 (QSL) 役員のウオーレン・メールス氏とフィジーの EU 大使イシケリ・マタイトガ氏らが、砂糖貿易の自由化について生産国の立場から講演を行った。
 メールス氏は 「砂糖貿易の改革と自由化に向けた世界同盟 (グローバル・アライアンス)」 の立場と所見を述べた。「グローバル・アライアンス」 は、1999年11月シアトルにおいて結成された主要輸出国の組織で、ブラジル、オーストラリア、南アフリカ、タイ、そして中央アメリカの数ヵ国とカリブ海沿岸諸国がこれに加盟 (現在13ヵ国) している。2000年10月、同盟は要求を発表し、「WTO の農業交渉には積極的、進歩的、そして有意義な世界砂糖政策の改革を盛り込むべきだ」 というメッセージを発信した。
 要求の主なポイントは、(1)輸出補助金の漸次廃止、(2)国境措置は貿易を歪曲してはならない、(3)市場アクセスの改善である。

 マタイトガ氏は、ACP 砂糖委員会議長としての立場で ACP 諸国の見解を示した。現在、世界市場価格は生産や砂糖の価値を反映したものではなく先物市場の作用で成立し激しく変動している。
 ACP の砂糖供給国はすべて経済規模が小さく、世界的な貿易環境の中で一層の困難に直面している。EU-ACP 砂糖協定は、ACP の砂糖業界が自らの生き残りと将来をかけた特恵協定であり、EU での市場アクセスに大きく依存している。

 また、EU の拡大について欧州委員会砂糖部門のフランツ・エンプル博士が講演を行った。東欧諸国が EU 加盟を希望しており、EU としての砂糖管理体制の将来像を示すことが非常に重要だ。しかしながら、拡大した EU が世界市場の中で大きな位置を占めることはないと思われる。拡大により委員会の改革が助長されると信じる者もいれば、そうでないとする者もいる。

 EU 拡大に対する LMC 社の見解は、東欧諸国が加入することによって基本的に政策変更はありえない。しかし、各国間の所得格差が生じ、砂糖制度を現状のまま継続することは困難を来すであろう。国内価格 (白糖介入価格) の20〜35%の引下げ、割当を譲渡可能とするなど、環境変化が EU 委員会の制度改革への口実となる可能性があるというものである。

 その他の講演として、ジョナサン・キングスマン氏による価格に対するファンドのインパクト、コムダック社のロビン・ショー氏によるインターネットの影響 (これまでのところ最小限)、ラボバンクのロジャー・ブラッドショー氏によるトレード・ファイナンシング、クレジット・スイス・ファースト・ボストンのチャーリー・ミル氏による EU 製糖会社が直面する戦略的課題に関するもの等があり、いずれも、砂糖業界に影響を及ぼす重要なテーマを簡潔に論じている。

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