[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ
alic 独立行政法人農畜産業振興機構
砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 各国の砂糖制度 > 砂糖と健康 (体重コントロールにおける砂糖の役割)〜ISO 事務局ペーパー〜

砂糖と健康 (体重コントロールにおける砂糖の役割)〜ISO 事務局ペーパー〜

印刷ページ

最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外情報


海外レポート
[2001年9月]


  平成13年5月28〜30日にインド・ニューデリーにおいて開催された ISO 会合 (本誌7月号において紹介) の市場評価・消費・統計委員会において、ISO 事務局から砂糖と健康に関して欧州で実施された「CARMEN 調査」の結果が報告されました。この調査は、体重をコントロールする上で、砂糖とでん粉が同様な役割を果たすことを明らかにした最初のものとされています。以下、事務局ペーパーの概要を紹介します。

企 画 情 報 部


はじめに
体重過剰と肥満 ― 慢性病の危険因子
体重コントロールにおける砂糖の役割:カルメン (CARMEN) 調査


はじめに

 1997年にFAO/WHO (国連食糧農業機関/世界保健機関) 合同専門家グループの中間報告 「人間の栄養における炭水化物」 が発表された。この報告は、砂糖が30年以上にわたって栄養学者や医学関係者から攻撃されてきた「砂糖は人の健康に対して悪影響を及ぼすとする説」に対する総合的かつ権威ある反論であった。この報告は、また、特に栄養不良に苦しむ多くの途上国において、砂糖がエネルギーとおいしさを提供するという栄養面において果たしている重要な役割を認識している。
 本報告の結論は、砂糖の摂取は、バランスのとれた食生活にとって何ら害はないということである。また、砂糖やでん粉は、全エネルギーの摂取に寄与するだけで、肥満を助長促進するとみられる証拠は何ら発見されていないと述べている。
 FAO/WHO合同専門家グループのこうした結論にもかかわらず、砂糖はその後も一部の食品ジャーナリストや現場の栄養専門家から、「容易に代謝されて脂肪となり」、肥満に導くタイプの炭水化物であり、「見えないカロリー」 の供給源であるというレッテルを貼られている。

ページのトップへ


体重過剰と肥満 ― 慢性病の危険因子

 体重過剰と肥満は過去数十年で劇的に増加しており、世界中に伝播していく脅威すら呈している。
 体重増の結果、成人の相当割合が不健全な状態になったり、死亡したりするリスクを高めている。肥満は心臓血管障害、糖尿病、癌といった慢性病のリスク因子である。最近20〜30年間における体重過剰人口の増加は食生活における脂肪摂取割合の上昇、動かず座って生活する傾向の拡大、身体活動量の低下等ライフスタイルが大幅に変化したことの反映である。エネルギー消費が減少し、エネルギー収支がプラスとなっていく結果、ボディー・マス・インデックス (BMI) が適正範囲にある場合であっても、往々にして、体重が精々年1kg増というようにじわじわと、かつ、知らない間に増加していくことになる。この現象は忍びよる肥満と呼ばれており、例えば、英国政府が1991年から1998年にかけて女性の体重を追跡した結果によれば、平均体重は約3.5kg増加している。このような傾向が数年も続けば、体重は相当過剰になり、糖尿病、心臓血管障害さらにはある種の癌のリスクの上昇といった健康に対する有害な影響がもたらされる可能性がある。肥満者の増大は、社会経済的な問題にもなっており、肥満関連疾病に係る費用は EU 諸国の全保健関連支出の4〜7%となっている。

BMI=体重(kg)÷身長(m)2
BMIが20〜25は標準、25以上は肥満。

 各種栄養調査は、食生活で摂取する脂肪の量が体重を決定する主要な要素であることを見出しており、それを踏まえて、現在の食生活ガイドラインは、脂肪の摂取を低下させ、炭水化物の摂取を高めることに焦点をあてている。体重増加を予防するには、規則正しく運動し、脂肪の摂取を控えめにすることが推奨される。脂肪から摂取されるカロリーは炭水化物で代替することができるということである (表1参照)。

表1
総摂取カロリーに占める脂肪のカロリーの割合を
38%から23%へと減少させた場合の効果
調査名 調査期間 (週) 中間体重変化 (kg)
プスカ他 (1983)
シェパード他 (1991)
フンヌンハケ他 (1993)
カシム他 (1993)
レヴィツキー及びシュトルップ (1994)
シャン他 (1994)
6
26
9
13
6
26
△ 0.7
△ 3.2
△ 1.4
△ 3.4
△ 0.9
△ 4.4
出典:ILSI Europe (欧州国際生命科学協会)「健康的なライフスタイル−栄養と身体活動、2000」

ページのトップへ


体重コントロールにおける砂糖の役割:カルメン (CARMEN) 調査

 最近発表された 「カルメン調査」 によれば、体重過剰者の食生活における脂肪と炭水化物の役割がよりよく理解できる。砂糖について未だにポピュラーな風評とは反対に、この調査は、砂糖が体重をコントロールする上で有効な手段であることを指摘している。「カルメン調査」が注目される点は、体重コントロールにおいて単純な炭水化物 (砂糖) が複雑な炭水化物 (でん粉) と同等の効果を持つことを示したことであり、この結果はこれまで直接的に証明されたことはなかった。従来の通説に反して、摂取カロリーに占める砂糖のカロリーの割合と肥満との間に、明白な逆比例関係のあることが証明された。さらに、砂糖とでん粉の満腹効果には、差がみられなかった。

(注) カルメン調査
カルメン調査 (CARMEN とは CARbohydrate (炭水化物) Management (管理)・in・European (欧州)・National (各国)・diets (規定食) の略語) は、5つの研究所 (オランダ、デンマーク、英国、ドイツ及びスペイン) で実施された。肥満傾向のある体重過剰者を被験者として、脂肪の摂取を低下させ、単純な炭水化物 (すなわち砂糖) または複雑な炭水化物 (でん粉) の摂取を増加させることが体重及び血中脂肪 (コレステロール、トリグリセライド) に及ぼす影響について、6カ月間にわたって調査された。
参加した研究所は:
マーストリヒト大学 (オランダ)、コペンハーゲン王立獣医農学大学 (デンマーク)、MRC ダン臨床栄養センター (英国・ケンブリッジ)、及びドイツ、スペインの研究所であった。
 本調査は EU 委員会及び欧州砂糖産業の支援を得て行われ、調査結果は国際肥満誌 (2000) 24, 1310-1318に掲載された。

 「カルメン調査」は、体重過剰者のボランティアを被験者として、脂肪を砂糖に置き換えた低脂肪食と脂肪をでん粉に置き換えた低脂肪食の効果を比較したものであり、その目的は、体重増加を予防するための科学的根拠に基づく、実現可能な方策を見出すことにあった。
 欧州5カ国から募集された300人の体重過剰者のボランティアを被験者として、6ヵ月間にわたりその摂食状況が調査された。年齢20〜55才の男女からなる被験者達は、現地の食品を組み合せて栄養的に同等とした食品を受け取った。
 第1の対象グループは、総摂取カロリーの約40%を脂肪から摂取する通常の食生活を継続した。
 第2グループは複雑な炭水化物グループと名付けられ、脂肪から摂取するカロリーを10%低下させ、その分のカロリーをパン、じゃがいも、パスタ等のでん粉食品から摂取した。
 第3グループは単純な炭水化物グループと名付けられ、第2グループと同様に脂肪からのカロリーを10%削減し、その分をでん粉質食品並びに砂糖及び砂糖を多く含む食品 (低脂肪ヨーグルト、お菓子、砂糖付きシリアル等) の双方で代替した。
 被験者は自宅で居住し、研究所が指定した食品店から必要な食品 (60〜100種類の通常の品目が受け取り可能) を受け取った。彼らはまた、若干の生鮮食品 (パン、果物、野菜及び肉) を通常の方法で購入した。特別に開発されたコンピューターシステムによって、各グループ毎に食物状況が観察された。
 第1グループと第3グループの全カロリー摂取量 (2,460と2,490kcal) は類似であり、第2グループはそれより幾分少ない2,200kcalを摂取した。第2グループ及び第3グループの炭水化物摂取増加分は全カロリーの各6%及び10%で、全カロリー摂取量に占める炭水化物の割合は52%及び56%であった。3つのグループの繊維分摂取は同等であり、ビタミン及びミネラル摂取は減少していなかった。
 この調査の主要目的は体重変化の分析であったが、体質成分と血中脂質の変化についても調査された。
 6ヵ月にわたる試験の結果、第1グループでは体重が微増したが、第2、第3グループ (低脂肪食) においては、体重が明らかに減少 (1〜2kg) した。(各グループでは、摂取総カロリーが制限されなかったから、大幅な減量は想定されていなかった。)
 より詳細な分析を行った結果、これらの体重減は脂肪の減少であり、脂肪を含まない肉 (大部分筋肉) は減少していなかった。特に第3グループでは微増さえした。
 一方、血中脂肪レベルについては、トリグリセライド (中性脂肪)、HDL コレステロール (通称「善玉」コレステロール) 及び LDL コレステロール (「悪玉」コレステロール) は3グループ間でこれといった差はなかった。この結果は興味深い。なぜなら、低脂肪・高炭水化物食は、時として、共に心臓血管障害のリスク因子であるトリグリセライドと善玉コレステロールを減少させ、血中脂肪に悪影響をもたらすことがある。しかしながら、被験者の自由な摂取が許されている場合、このような悪影響が大きく低下することは、米国コレスチロール教育プログラムが行った各種研究結果の分析 (メタ・アナリシス) により確認されている。事実、「カルメン調査」の結果、HDL コレステロールまたはトリグリセライドへの好ましからざる影響は、ともに観察されなかった。つまり、本調査は、低脂肪・高炭水化物食が心臓血管障害のリスクなしに、長期的に体重を維持することを可能にするという非常に重要な証拠を提供している。

表2 飲食物成分及び観測された体重変化
グループ名 食   事   内   容 体重変化
(kg)
摂取エネルギー量
(kcal)
タンパク質
(%)
脂 肪
(%)
炭 水 化 物
合 計 (%) 複雑な炭水
化物(%)
単純な炭水
化物(%)
第1グループ
(対象グルー
プ・通常食)
2,460 15.2 36.5 45.5 23.8 21.4 +0.8
第2グループ
(複雑な炭水
化物)
2,200 17.9 27.8 51.8 32.6 8.8 △1.8
第3グループ
(単純な炭水
化物食)
2,490 15.8 25.5 55.5 25.5 29.5 △0.9

図1 食事内容別6ヵ月後の体重と脂肪の重さの変化 食事内容別6ヵ月後の体重と脂肪の重さの変化グラフ

 カルメン調査は、体重過剰な人々の増大を抑制する上で、重要な貢献を行った。きびしいカロリー制限を強いることなく、単に摂取する食品を選択するという方法により、体重コントロールを実現することができるのである。これは、脂肪の摂取量を減らし、その代替として、単純な炭水化物であれ、複雑な炭水化物であれ、炭水化物の摂取を増やすことにより、長期的に体重コントロールが可能であることを示した最初の調査である。被験者は、全カロリー摂取量を減少させることなく体脂肪の減少という形で、体重を明らかに減少させた。
 この調査はまた、体重過剰な人々にとって、5〜10%の減量が肥満に関係する疾病を減少させ、健康状態を改善するという最近の研究結果からみても、非常に重要な意味を持つ。
 さらに、通常のダイエット方法ではリバウンドが一般的に発生するが、食生活をこのように改善することにより、減量後の体重維持にも有効なことが証明できる。低脂肪・高炭水化物食に砂糖を用いても、これら体重及び血中脂肪レベルに及ぼされる有益な効果が打ち消されることはない。
 低脂肪・高炭水化物食の肥満治療における安全性と効果、さらには血中脂肪と心臓血管障害に与える潜在的影響については、学会において意見が割れている。この点においても、カルメン調査は、体重過剰な人々の食生活における脂肪と炭水化物の役割に関して、より良い理解をもたらした。
 このように、「カルメン調査」の結果は、健康上の理由によって、砂糖へ加えられている攻撃に対し重要な科学的反証を提供している。砂糖を摂取することは、単に活動的なライフスタイルの主要な部分を占めるのみならず、体重をコントロールし、肥満を治す方法でもある。

ページのトップへ



BACK ISSUES
「海外レポート」インデックスへ


海外情報INDEXSUGARのトップへALICのページへ




このページのトップへ

Copyright 2016 Agriculture & Livestock Industries Corporation All rights Reserved.