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ISO会合の概要

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外情報


海外レポート
[2002年1月]
 昨年11月26〜30日にかけて、国際砂糖機関 (ISO) 本部 (ロンドン) において、第12回世界ビート・さとうきび生産者協会 (WABCG)・ISO理事会非公式意見交換会、第10回 ISO セミナー、市場調査、消費及び統計委員会 (MECAS) 等の一連の会合が行われました。当事業団 (増田、脇谷) は、農林水産省生産局特産振興課に随行して参加したので、同セミナーの模様を中心に概要を紹介します。

企画情報部


1.全体の日程
2.セミナーの概況  ア 全般的な傾向
  イ 中国及びブラジルからの報告   中 国  ブラジル


1. 全体の日程

11月26日  9:00〜13:00
第12回 WABCG・ISO 理事会非公式意見交換会 (WTO 閣僚会議後の情勢について意見交換)
11月27日  9:30〜17:30
第10回 ISO セミナー1日目 (世界砂糖情勢の分析)
 19:00〜
レセプション
11月28日  9:30〜17:30
第10回 ISO セミナー2日目 (世界砂糖情勢の分析)
11月29日  9:30〜
MECAS (北米及び南米における各種貿易協定と砂糖貿易、砂糖と健康問題等)
 14:30〜
ISO 運営委員会
11月30日  9:30〜
第20回 ISO 理事会

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会場となったキャボットホール
ISOセミナーの会場となったキャボットホール

2. セミナーの概況

 今回のセミナーは “Movers and Shakers -The Impact on the World Sweeteners Market” (「砂糖業界の大立者」) と題し、世界の砂糖業界に影響力を持つ主要10ヵ国 (EU、米国、メキシコ、豪州、中国、インド、タイ、ロシア、キューバ、ブラジル) からの講演が行われた他、トレーダー (ザーニコウ社) や金融関係者 (ラボバンク) 等による世界の砂糖情勢の分析等、多様な報告が行われた (参加は60ヵ国270名)。

ア 全般的な傾向
 今回のセミナーの中で、多くの国々がとりあげた話題は、(1) WTO を中心とする世界各国間の砂糖貿易に関する取り決めと (2) バイオ燃料への取組みであった。
 (1) については、11月9日〜14日にカタールのドーハで行われた第4回 WTO 閣僚会議の結果、交渉スケジュールを中心に今後の交渉の大枠が決定され、「輸出補助金の段階的撤廃を視野に入れた削減」 が閣僚宣言に盛り込まれたこと等から農業交渉の行方に各国の関心が集まった。また、EU の EBA (後発開発途上国からの輸入を優先させる措置) について、その対象とならない開発途上国側から、この措置により不利益が生じるのではないかとの懸念が出された。
 この他、中国の WTO 加盟は、その市場規模が大きいだけに同国のWTO約束の履行状況と世界砂糖市場への影響が注目された。
 (2) については、世界の砂糖供給が過剰気味であること、京都議定書の制定をはじめ環境対策の必要性が高まる中でクリーンエネルギーへの関心が高まっていること等を受けて、各国 (EU、豪州、インド等) が砂糖を原料としたエタノール生産に関するプロジェクトについて言及した。

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イ 中国及びブラジルからの報告
 参加者の関心が特に高かった中国とブラジルの講演要旨は次のとおり。

中 国 (ブリティッシュ・シュガー・オーバーシーズの商業開発主任、Chen Xiaoming 氏。同氏はシェフィールド大学で博士号を取得した後、1994年から同社に勤務し、99年から現職を勤めている。)

[1] 国家及び砂糖産業の概要
 2000年の中国国内における国勢調査によれば、同国の人口は、12億6,000万人。国民1人当たりの GDP は800USドルで、GDP 成長率は年8%とされている。
[2] 砂糖産業の概要
 中国の砂糖生産能力は、年900万トンで、産糖量は600〜800万トンである。年間消費量は800万トンで、1人当たりの消費量は6.3kg/年とかなり低くなっている。
 また、ケーン糖とビート糖の生産割合は、85:15であり、現在はケーンの生産量が増加しつつある。
 生産コストはトン当たり300〜400USドルであり、甘味資源作物の栽培者数は2,000万〜3,000万人で、以前に比べて減少している。
[3] 政府の砂糖政策
 1990年の初めから、市場経済の中で中国の砂糖産業はある程度うまく機能してきたが、甘味資源作物の豊凶の差が大きく、全てを市場経済に委ねると国内需給のバランスが崩れやすいため、適切なレベルでの政府介入は必要と認識されている。
 政府としては (1) 80〜85%の自給率の設定、(2) 総供給量のコントロール、(3) 生産の合理化を基本政策としている。
 (1) については、中国の WTO 加盟を計算したうえで設定されている。
 また、(2) の一環としてサッカリンの消費量をピーク時 (年13キロトン、白糖換算で400〜500万トンに相当) の25%にまで抑制し、WTO 加盟後に輸入される砂糖が国内で消費される余地を残しておく措置が取られている。
 (3) については、小規模工場や赤字国営企業を積極的に閉鎖することとしているが、2000年の閉鎖目標値150ヵ所に対し、2001年までに44ヵ所の閉鎖が確定している他、35ヵ所は清算作業中であるが、65ヵ所はなかなか閉鎖が進まない。
[4] WTO の影響
 WTO 加盟により、下記の関税割当 (TRQ) が約束され、国内砂糖価格が世界市場の価格変動の影響を大きく受けることになるため、中国の砂糖業界にとっては大きな影響が及ぶと思われる。
2000 2001 2002 2003 2004
関税割当量 (トン) 160万 168万 176万 185万 194万
(注) 関税は、関税割当の範囲内では白糖:30%、粗糖:20%、関税割当外の数量:75%となる予定
 また、トウモロコシの TRQ は450万トン (2000年) から720万トン (2004年) への拡大が設定されており、関税も1%となるため、トウモロコシの国内価格は米国からの輸入価格に対抗するためには、25%の引き下げが必要となる。
 この結果、異性化糖の生産コストは著しく下がることが予測され、農家はトウモロコシを引き続き栽培するかどうかについて検討を迫られることになろう。
[5] 消費の動向
 ここ10年間 GDP が驚異的な伸びを示しているにもかかわらず、中国国内の1人当たり砂糖消費量は横ばいで推移し、甘味料で伸びを示しているのはサッカリンである。その理由は、人口の多くが存在する農村部の所得の低さにある。1999年における農村部の平均所得は1人当たり266ドルで、都市部の705ドルとは大きな格差がある。多くの人がサッカリンに比べて高価な砂糖を購入するのに十分な所得を得ていないため、砂糖の消費が伸びなかったといえる。
 2000年における都市部と農村部とのデータを比較すると下表のとおりとなる。
  都市部 農村部 合計/平均
人口 (百万人) 455.94 807.39 126.323
人口比率 (%) 36.1 63.9 100
1人当たり砂糖消費量 (kg) 13 2.5 6.3
消費形態 食卓調味料+
加工食品・飲料
食卓調味料  
 90年代の終わりから政府の政策として都市化が進められ、都市部の人口は毎年3%ずつ増加している。毎年の人口増加率を1%と仮定すると、2020年の総人口は15億人となる。都市部の人口が60%を占めると仮定し、1人当たりの砂糖消費量を都市部で17kg、農村部で5kgとすると、国内総消費量は1,800万トンに達することになる。
[6] 今後の見通し
 今後砂糖の生産量を拡大していくためには、需要の増加が必要である。これは、
(1) サッカリンの消費量のコントロール
(2) 単一制度の中で、砂糖とでんぷん糖のバランスを保つこと
(3) 原料作物の単収と糖分を向上させることによる原料コストの大幅な削減
等いくつかの条件を整えることによって可能になるであろう。

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ブラジル (Datagro 社社長 Plinio Mario Nastari 氏。同氏はアイオワ州立大から農業経済学の博士号を取得しており、ブラジル国家エネルギー委員会、エネルギー発生源委員会等において技術委員会の委員を務めた。)

[1] エタノールの経済的価値等
 通常さとうきびから得られる糖蜜 (約17%) については、砂糖価格の10%〜15%の価格しか得られない。  これに対しブラジルにおいては、エタノール市場の発達により、糖蜜も含め、さとうきびから得られるすべての砂糖分について砂糖価格並みの価格が得られる。
[2] エタノールの潜在的需要と砂糖
 現在世界では1日当たり1,820万バレルのガソリンが消費されており、2020年には3,040万バレルの消費量が見込まれている。消費されるガソリンの3分の1に10%のエタノールを混入すると仮定すると、エタノールの必要量は1日当たり60万バレルとなり、20年後には1日100万バレルとなる。
 このエタノール量を砂糖の年間生産量に換算すると、6,100万トン分に相当し、20年後は1億200万トンにも相当する数字となる。
[3] エタノールの生産、消費状況
 ブラジルは世界最大のエタノール生産国であり、消費国でもある。
 ブラジルの1日当たりエタノール生産量は、18万8,000バレルで、将来的には28万バレルとなる見込みである。
 これに対し、ブラジルにおける燃料エタノール使用量は、2001年で10億6,800万リットルであり、ガソリンも含めた全燃料消費の36.5%を占める。世界第2番目の燃料エタノール消費国である米国における比率1.3%と比較すると、ブラジルにおけるエタノール需要の多さが分かる。
[4] エタノール需要の砂糖市場への影響
 ブラジル、米国、フランスといった国々では、それぞれの甘味料市場とエタノール市場が相互に関連しており、各国のエタノール市場が活発になった結果、甘味料市場は拡大した。
 また、甘味料市場は、エタノール需要の増加に伴い、ガソリン、メタノールといった燃料関連製品市場に影響を受けるやすくなる。
 特にブラジルではエタノールが砂糖に及ぼす影響は大きい。2002/03年の見通しでは、ブラジルのさとうきび生産量は3億900万トンであり、エタノールのガソリンへの混合比率が22%で推移した場合、砂糖の輸出可能数量は1,205万トンと推定されるが、混合比率が24% (最近農業相がその可能性について言及) まで引き上げられた場合、砂糖の輸出可能数量は1,060万トンまで低下する。
 さらに、燃料用エタノールの在戦略的在庫量がエタノール消費2ヶ月相当分にまで引き上げられた場合、輸出可能数量は960万トンとなる。
 こういった混合率と戦略的在庫量の変化は、ブラジル市場に対し強力な調整メカニズムとして働く。ブラジルの輸出依存度はもともと相対的に低いことから、こういった要素が世界の砂糖需給バランスにますます大きな影響をもたらすことになる。01/02収穫年の産糖量のうち、砂糖とエタノールの形で輸出されたものは25.5%に過ぎないが、ブラジルは両方の世界市場において最大のシェアを占めている。
[5] まとめ
 ブラジルにおける砂糖、エタノールに関する状況は次のとおりである。
(1) 活発なエタノール市場の存在により、砂糖市況が悪化してもそれに対する適応能力が大きい。
(2) 国家としての競争力は向上している。
(3) エタノール生産によって得た経験を世界に積極的に広める方針である。

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