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エジプトの砂糖産業の概要

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外情報


海外レポート
[2002年10月]
 エジプトの砂糖産業は、甘しゃ糖とビート糖の両方を生産していること、また、生産量が消費量を下回るため輸入で補っていることが日本と類似しています。
 こうしたエジプトの砂糖産業について、英国の調査会社LMC社からの報告をもとに企画情報部でまとめたので紹介します。なお、この報告は2002年3月現在のものであり、最新のデータについては巻末資料編をご参照下さい。

企画情報部


国内の需給バランス   砂糖制度の概要   砂糖産業の現状
砂糖の流通   現在の問題点    


国内の需給バランス

 エジプトは、中東最大の砂糖消費国であり、消費量の約3分の1を海外より輸入している。国内では日本等と同様にさとうきびとビートの両方から砂糖を生産しており、80%がさとうきびから生産されている。近年、ビートからの産糖量を増加させる努力がされている。
 さとうきびは、主に上エジプト地域で栽培されており、この地域ではかんがい設備が整っているため夏の猛暑にもかかわらず生育は良好である。さとうきびの生産量は約1,000万トン前後であり、農業総生産額の約18%を占めている。
 ビートは、冬季農作物として、年々、作付面積が増加している。特に、ナイルデルタ地域やカイロ北部等の土壌がやせ、他の作物の栽培に適さない地域で作付が増加しており、新たに開墾された土地でも生育が良い。ビートの生産量は、97/98年度の150万トンから2000/01年度には320万トンにまで増加しており、農業総生産額の5.2%を占めるまでになっている。
 さとうきびの価格は作付け後に政府により設定されるが、ビート糖の製糖企業は作付け前にビートの価格を設定するため、農家にとって市場リスクが低いことが生産量の増加の一因とされている。
 産糖量は、96/97年度の120万トンから2000/01年度には140万トンにまで増加しており、うち100万トンが甘しゃ糖、40万トンがビート糖である。しかし、国内需要を満たすためには輸入が必要であり、粗糖及び白糖をキューバ、ブラジル等から輸入している。粗糖と白糖の輸入量の割合は、世界白糖市場でのプレミアム価格及び税制により変動している。
 消費量は96/97年度から01/02年度の間に190万トンから200万トンに増加している。消費の内訳では、家庭消費が約80%を占めており、実需者向けは約20%で、主に飲料及び菓子に使われている。1人当たりの消費量は年間で30kg程度と、西ヨーロッパおよび北米に比べると少ないが、アフリカでは比較的多くなっている。

図1 エジプトの砂糖生産量及び消費量の推移 (1,000トン、粗糖換算)
エジプトの砂糖生産量及び消費量の推移

表1 砂糖の需給バランス
(単位:1,000トン、粗糖換算)
  96/97年度 97/98 98/99 99/2000 2000/01 01/02
生産量 1,222 1,225 1,156 1,276 1,336 1,380
  ビート糖 169 230 255 334 355 367
甘しゃ糖 1,053 995 901 942 981 1,013
消費量 1,861 1,911 1,961 1,980 2,000 2,020
輸入量 合 計 869 1,310 1,187 1,112 800 634
粗 糖 473 848 443 402 380 434
白 糖 396 462 744 710 420 200
輸出量 合 計 88 265 1 0 65 0
粗 糖 0 0 1 0 60 0
白 糖 88 265 0 0 5 0
在庫量の変化 +142 +360 +381 +408 +71 −6

表2 エジプトのさとうきび生産量及び産糖量等の推移
  97/98年度 98/99 99/2000 2000/01
収穫面積 (1,000ha) 111 105 103 103
さとうきび生産量 (1,000トン) 9,960 9,975 9,785 9,400
単 収 (トン/ha) 90 95 95 91
産糖量 (1,000トン、粗糖換算) 995 901 942 981
さとうきび生産量/産糖量 (TC:TS) 10.0 11.1 10.4 9.6
さとうきび生産量総額 (1,000US$) 287,032 287,032 267,889 257,349
農業粗生産額 (1,000US$) 1,400,800 1,509,600 1,614,720 1,609,802
農業粗生産額に占めるさとうきび生産総額の割合 (%) 20.5 19.0 16.6 16.0

表3 エジプトのビート生産量及び産糖量等の推移
  97/98年度 98/99 99/2000 2000/01
収穫面積 (1,000ha) 50 55 60 72
ビート生産量 (1,000トン) 1,500 2,340 2,550 3,150
単 収 (トン/ha) 30 43 43 44
産糖量 (1,000トン、粗糖換算) 230 244 334 355
ビート生産量/産糖量 (TC:TS) 6.5 9.1 7.6 8.9
ビート生産量総額 (1,000US$) 40,202 42,882 68,343 84,424
農業粗生産額 (1,000US$) 1,400,800 1,509,600 1,614,720 1,609,802
農業粗生産額に占めるビート生産総額の割合 (%) 2.9 2.8 4.2 5.2

表4 砂糖の用途別消費量
(単位:1,000トン、粗糖換算)
  1998年 1999年 2000年
家 庭 用 1,532 79.8% 1,546 79.7% 1,577 79.6%
実需者向け
 飲 料
 焼き菓子
 砂糖菓子
 乳製品
 缶詰及び保存食品
 果物及び食品
 その他 (食品以外の利用を含む)

103
58
88
52
19
48
19

5.4%
3.0%
4.6%
2.7%
1.0%
2.5%
1.0%

105
59
89
53
19
49
18

5.4%
3.0%
4.6%
2.7%
1.0%
2.5%
0.9%

109
61
92
55
19
50
18

5.5%
3.1%
4.6%
2.8%
1.0%
2.5%
0.9%
小 計 387 20.2% 392 20.3% 403 20.4%
合 計 1,919 100% 1,938 100% 1,980 100%
1人当たり消費量 (kg/人) 30.8   30.5   30.5  

その他の甘味料
 異性化糖は、民間企業のNational Company for Maize Products(NCMP)でのみ生産されており、2000/01年度の生産量は8万7,000トン(固形換算)であり、うち約6万8,000トンが55%もの、残りが42%ものとなっている。55%ものはほとんどが清涼飲料に使用されるが、42%ものはジャム、ゼリー、アイスクリーム、パン及び缶詰等、様々な用途に使用されている。
 また、人工甘味料は、サッカリンが約5,000トン(砂糖換算)、アスパルテームが約4,000トン(砂糖換算)使われているだけであり、砂糖市場にはほとんど影響を及ぼしていない。

表5 砂糖及び異性化糖の生産量の推移
(1,000トン、砂糖換算)
  96/97年度 97/98 98/99 99/2000 2000/01
生産量 砂糖
異性化糖
異性化糖の割合 (%)
1,222
78
6.0%
1,225
79
6.1%
1,156
79
6.4%
1,276
84
6.2%
1,336
87
6.2%
消費量 砂糖
異性化糖
異性化糖の割合 (%)
1,861
79
4.1%
1,911
81
4.1%
1,961
84
4.1%
1,980
86
4.2%
2,000
89
4.3%
輸入量 砂糖
異性化糖
異性化糖の割合 (%)
869
1
0%
1,311
2
0%
1,187
5
0%
1,112
2
0%
800
2
0%
輸出量 砂糖
異性化糖
異性化糖の割合 (%)
88
0
0%
265
0
0%
1
0
0%
0
0
0%
65
0
0%

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砂糖制度の概要

生産規制
 エジプト、特に上エジプトにおいてさとうきびの生産は雇用面、経済面の両面で重要な産業となっており、政府はさとうきび生産を推進している。
 しかし、栽培地域では土地及び水の競争が拡大しており、また、さとうきび圧搾能力にも制限があることから、さとうきびの増産は難しいとみられる。政府は、灌漑用水を10億立方メートル節水するために、さとうきび栽培面積と特に水の消費を縮小する目標を示した。この目標によりさとうきび生産は制限されると見られるが、政府はさとうきび生産の継続も奨励しており、政策が相反している。

価格支持
 国内の砂糖価格は輸入関税により支持されている。2002年1月現在、粗糖及び白糖に対する輸入関税はそれぞれ5%、10%に設定されており、WTO協定での最終税率に比べて低くなっている。しかし、政府は特例として頻繁に輸入関税率を変更する。また、関税は砂糖の輸入価格に対して決定されるのではなく、白糖では1トン当たり760ドル、粗糖では720ドルに設定された最低価格に基づいて決定される。また、シロップや糖みつなどの液体状の砂糖に対する輸入関税は30%、製菓用の砂糖に対する輸入関税は40%に設定されている。
 1999年には、世界砂糖価格が非常に低下したので国内価格を保護するために、粗糖及び白糖の関税率を一時的にそれぞれ24%、26%に上昇させた。
 エジプトは国連機関による石油食料プログラム(UN Food for Oil Program)に基づいて、イラクに推定6万5,000トンの精製糖を輸出している。
 さとうきび、ビートともに農家と製糖業者間の収益配分に関する協定は存在しない。
 さとうきびの価格は、政府によって決定されており、その価格は比較的高く設定されている。そのため、さとうきびは同国において利益率の高い作物となっている。また、ビートの価格は、農家と製糖業者間での協議によって自主的に決定されている。
 98/99〜2000/01年度におけるさとうきび及びビートの平均価格は、さとうきび1トン当たり約28USドル、ビート1トン当たり約27USドルと高価格であった。砂糖の国内卸売価格は比較的安定しており、トン当たり約346USドル、小売価格はトン当たり461USドルであった。

販売協定
 政府は、国家配給制度によって、砂糖の消費を助成している。配給制度に充てられる砂糖の比率は低下しており、99/2000年度には約52万トン、2000/01年度には約50万トンの白糖が配給に充てられた。食糧省は、配給用の砂糖を製造コストを下回る1トン当たり1200エジプトポンド(346USドル)の固定価格で購入し、差額は食糧省が補填している。
 砂糖の配給価格は、最初の0.5kgまでは1kg当たり0.5エジプトポンド(14USセント)、さらに0.5kgから1.0kgまでは1kg当たり0.8エジプトポンド(23USセント)となっている。政府が管理する販売店では、配給外の砂糖も販売されており、1kg当たり1.3エジプトポンド(37USセント)と、民間の商店での小売販売価格である1kg当たり1.6〜2.0エジプトポンド(46〜58USセント)を下回っている。現在のところ、政府が砂糖を助成対象品目から除外することはない思われる。

表6 現在の貿易政策に関する情報
  粗  糖 白  糖
現在の関税率 5% 10%
GATT の義務
関 税
 基本関税
 最終関税率

30%
20%

50%
40%
ミニマム・アクセス (トン、粗糖換算) 適用なし
輸出補助金削減
 数 量 (1,000トン)
 率 (%)

適用なし
適用なし
最終期限 04/05年度

表7 さとうきび、ビート及び砂糖の価格 (98/99〜2000/01年度平均)
(単位:US$/トン)
  さとうきび ビート 白 糖 粗 糖
さとうきび、ビート価格 28 27
卸売価格
 国内販売



404

346
小売価格
 国内販売



461


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砂糖産業の現状

 甘しゃ糖の生産は、国営企業であるSugar & Integrated Industries Company(SIIC)の独占事業である。政府は、1963年に既存の8ヵ所の製糖工場を国有化し、SIICを設立した。SIICのさとうきび圧搾能力は同国で生産されるさとうきびの約80%にすぎず、残りのさとうきびはそのまま消費されるか、さとうきびジュースとして店頭で販売されている。

ビート糖業
 ビート糖製糖工場はDaqahlia工場とDelta工場の2工場あり、いずれも民間企業でカイロ北部に所在している。 ビート糖の生産は増加傾向にあり、エジプトの総砂糖生産量におけるビート糖の割合は97/98年度の18%から2000/01年度には約27%にまで増加した。この、急速なビートの生産増加に対しては、Daqahlia工場で処理能力いっぱいに稼動すること、EI-Fayoum行政地区において新しい工場を稼動したこと、及びさとうきび圧搾工場であるAbu-Qurkas工場の一部をビート糖生産に利用することで対応している。

表8 ビート糖業の現状
工場 工場所在地 ビート処理能力 (トン/日)
Daqahlia Sugar Co.
Delta Sugae Co.
Cairo
Cairo
8,400
6,000

甘しゃ糖業
さとうきび圧搾工場は8工場あり、全て国営工場でSIICが所有しており、上エジプトのナイル地域に所在している。これらの工場のほとんどが、1920年代に建設された工場であり、水、土地等の問題と重なり、増産は不可能となっている。

表9 甘しゃ糖業の現状
工場 工場所在地 さとうきび圧搾能力 (トン/日)
Abou-Qorkas
Armant
Nag Hamadi
Deshna
Edfou
Guirga
Kom Ombo
Kous
Menia
Menia
Kena
Kena
Aswan
Sohag
Aswan
Kena
4,500
9,000
12,000
8,000
8,000
6,000
12,000
12,000

精製糖
 エジプトでは、現在、3ヵ所の精糖工場が稼動している。そのうち2ヵ所はさとうきび圧搾工場に併設されており、残りの1ヵ所は独立して存在している。
 輸入した粗糖の大部分は、ギザ地区のKena行政地区にある独立系のHawamdia工場(処理能力:2,000トン/日)で精製されている。さとうきび圧搾工場に併設しているGuirga工場及びKous工場では、圧搾工場で生産される粗糖に加えて、わずかではあるが輸入粗糖も精製することで精糖能力を100%活用している。
 また、圧搾工場においては推定で90万トン分の精製能力が余っており、このうち約40万トン分を使用して輸入粗糖を精製している。

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砂糖の流通

 砂糖は、卸売の段階では黒色の25kgバック詰めで、小売の段階では25kgあるいは小袋詰めで流通している。国内の小売市場向けの砂糖は、大抵の場合において品質が非常に低く、色度がICUMSA 150程度と低品質なブラジル産結晶糖を販売している。実需者向け、特に製薬向け及び食品加工向けの砂糖は、通常、国内産糖よりも高品質な輸入糖である。

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現在の問題点

 砂糖産業の最大の課題は、輸入への依存度を低減することである。さとうきびの圧搾能力やかんがい用水に限りがあるため、今後、さとうきび栽培面積が増加する可能性は低い。そのため、さとうきびの生産量を増加させるためには、単収の増加が要求される。同国の農業省の砂糖作物機関は、現在、高収量で害虫及び病害に強く、乾燥した気候にも適したさとうきびに関する研究を行っている。
 現在、エジプトは輸入価格ではなく、非常に高額な基準価格に基づいて関税を設定しており、実際には高い関税を課している。そのため、関税率はWTO(世界貿易機構)で設定している最終関税率を下回っているが、このような政策をWTOが長期的に認めるとは考えられない。輸入価格に基づいて関税を設定した場合、国内の砂糖価格は低下するため、さとうきび及びビートの栽培を継続することは困難であると思われる。
 また、特にQina地区においてはサビ病が大きな問題となっている。サビ病は98/99年度に初めて発生し、被害面積も18ヘクタールと影響は小さかったが、その後急速に拡大し99/2000年度には840ヘクタール、2000/01年度には4,200ヘクタールが被害を受け、さらに他の地域にも広がりつつある。農業省はサビ病に対する支援をおこなっており、1ヘクタール当たり206USドルの処理費用を負担している。Qina地区のさとうきび生産量は、サビ病の影響により大幅に減産すると予想されている。

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