砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 各国の砂糖制度 > オーストラリアの砂糖産業の概要

オーストラリアの砂糖産業の概要

印刷ページ

最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外情報


海外レポート
[2003年1月]
 オーストラリアは世界で第6位の砂糖生産国であり、世界第3位の砂糖輸出国であります(2002年10月現在)。近年、さとうきびの生産は世界砂糖価格の低迷及び病害、悪天候による生産量の減少で大きな打撃を受けています。
 こうしたオーストラリアの砂糖産業について、英国の調査会社LMC社からの報告及び当事業団で行ったオーストラリア糖業事情調査の報告をもとに企画情報部でまとめたので紹介します。なお、この報告は2002年8月現在のものであり、最新のデータについては巻末資料編をご参照下さい。

企画情報部


国内の需給バランス  その他の甘味料
砂糖制度の概要
  生産調整  販売制度  国内価格支持
  さとうきび生産者と製糖業者との関係  砂糖政策の見直し
砂糖産業の現状
  砂糖の流通  砂糖産業の現在の問題


国内の需給バランス

 オーストラリアの全7州のうち、Queensland(QLD)州、New South Wales(NSW)州、Western Australia州の3州でさとうきびから粗糖及び白糖を生産している。主なさとうきび栽培地域は、QLD州の北東部からNSW州の北部にかけての2,100kmにもおよぶ海岸地帯である。この地域でオーストラリア全体のさとうきび及び砂糖生産量の約99%を占めており、QLD州で約95%を生産している。さとうきび生産農家数は約7,000戸であり、主に30〜120haの中規模農場で生産されている。特にHarbert River/Burdekin地域と中央地域は熱帯雨林気候であり、さとうきびの栽培に最も適した地域となっている。
 産糖量は、1980年代には約350万トン(粗糖換算)で安定していたが、1990年代には、政策の改革、特にさとうきびの割当面積の規制緩和により500万トンを超えるまでに急増した。97/98年度には産糖量が590万トンに、消費量が110万トンにまで達したが、98/99年度以降、生産量は急激に減少している。これは、98/99年度にQLD州が洪水と台風の被害に襲われ、さとうきびが被害を受けたためであり、産糖量は前年度から14%減少して510万トンとなった。2000/01年度にも、98/99年度と同様に台風の被害を受けたうえ、国際糖価の低下により産糖量は21%減少の440万トンとなった。また、2000/01年度以降、QLD州北部ではさび病によりさとうきびの品質が低下しており、産糖量の低下のもう一つの原因となっている。
 国内で生産される砂糖のうち80%近くが輸出されており、産糖量の落ち込んだ2000/01年度は330万トンとなったが、それ以前には400万トン以上が輸出されていた。輸出される砂糖は、大部分が粗糖のままで輸出されている。 消費量は1980年代に比べると減少しているが、砂糖消費量の減少は、甘味料全体での消費量が減少したことによるものであり、代替甘味料への移行によるものではない。砂糖消費の内訳をみると、業務用向けが全体の80%近くを占めており、飲料部門での消費が40%以上と最も多く、次いで菓子部門が約12%となっている。飲料部門では、液糖も消費されていると見られる。
図1 オーストラリアの砂糖生産量及び消費量の推移 (1,000トン、粗糖換算)
オーストラリアの砂糖生産量及び消費量の推移

表1 砂糖の需給バランス
(単位:1,000トン、粗糖換算)
  97/98年度 98/99 99/2000 2000/01 01/02
生産量 合計
粗糖
白糖
5,895
4,645
1,250
5,073
4,076
997
5,542
4,385
1,157
4,400
3,236
1,164
4,800
3,569
1,231
消費量   1,098 931 1,025 1,050 1,082
輸入量 合計
粗糖
白糖
2
1
1
3
2
1
0
0
0
1
0
1
1
0
1
輸出量 合計
粗糖
白糖
4,400
4,247
153
4,645
4,578
67
4,368
4,236
132
3,250
3,135
115
3,800
3,650
150
在庫量の変化   +399 −500 +149 +101 −81

表2 オーストラリアのさとうきび生産量及び産糖量等の推移
  97/98年度 98/99 99/2000 2000/01 01/02
収穫面積 (1,000ha) 111 410 457 458 417
さとうきび生産量 (1,000トン) 41,079 40,256 40,055 31,282 32,496
単 収 (トン/ha) 98 98 88 68 78
産糖量 (1,000トン、粗糖換算) 5,895 5,073 5,542 4,400 4,800
さとうきび生産量/産糖量 (TC:TS) 7.0 7.9 7.2 7.1 6.8

表3 砂糖の用途別消費量
(単位:1,000トン、粗糖換算)
  97/98年度 98/99 99/2000 2000/01 01/02
家 庭 用 22.3% 22.1% 22.2% 22.2% 22.3%
業 務 用
 飲 料
 焼き菓子
 砂糖菓子
 乳製品
 果物及び食品
 その他 (食品以外の利用を含む)
小計

40.5%
8.7%
12.1%
5.4%
7.8%
3.2%
77.7%

40.5%
8.9%
12.1%
5.5%
7.7%
3.2%
77.9%

40.5%
8.8%
12.2%
5.5%
7.7%
3.2%
77.8%

40.3%
8.8%
12.2%
5.5%
7.8%
3.2%
77.8%

40.2%
8.8%
12.2%
5.5%
7.8%
3.1%
77.6%
合 計 (1,000トン、粗糖換算) 1,098 931 1,025 1,050 1,082
1人当たり消費量 (kg/人) 59.1 49.6 51.9 54.6 55.6
ページのトップへ

その他の甘味料
 オーストラリアでの異性化糖の生産は、砂糖の消費量の1%未満に過ぎず、輸入も行われていない。Manildra社はオーストラリアで異性化糖を生産している唯一の会社であり、国内産小麦を原料として異性化糖を生産している。生産された異性化糖は、全て国内で消費されており、主に、栄養ドリンク、自社ブランドの飲料及びアルコール飲料の生産で使用されている。異性化糖の市場は比較的小さく、また、国内の砂糖価格も比較的低いことから、異性化糖の生産は競争力が弱く、今後も異性化糖の生産はあまり増加しないと思われる。
 高甘味度甘味料であるアスパルテームとサッカリンは人気が高く、2001年には、それぞれ、総甘味料使用量の7%及び2.5%であった。アセスルファム−kは1990年以降、使用されているが、その他の甘味料に比べると使用量ははるかに少ない。
 新甘味料に関しては、生産調整制度は存在していないが、国内での発売前には政府の許可を得なければならない。

表4 砂糖及び異性化糖の生産量の推移
(1,000トン、砂糖換算)
  97/98年度 98/99 99/2000 2000/01 01/02
生産量 砂糖
異性化糖
異性化糖の割合 (%)
5,895
4
0.1%
5,073
4
0.1%
5,542
4
0.1%
4,400
4
0.1%
4,800
4
0.1%
消費量 砂糖
異性化糖
異性化糖の割合 (%)
1,098
4
0.4%
931
4
0.4%
1,025
4
0.4%
1,050
4
0.4%
1,082
4
0.4%
輸入量 砂糖
異性化糖
異性化糖の割合 (%)
2
0
0%
3
0
0%
0
0
0%
1
0
0%
1
0
0%
輸出量 砂糖
異性化糖
異性化糖の割合 (%)
4,400
0
0%
4,645
0
0%
4,368
0
0%
3,250
0
0%
3,800
0
0%

ページのトップへ

砂糖制度の概要

 1982年から1992年にかけての連邦政府の経済改革の推進により、農業政策は段階的に規制緩和が進められた。1989年まで、オーストラリアの砂糖産業は、Commonwealth/ Queensland砂糖協定によって管理されており、Sugar Board及びSugar Cane Price Boardにより、粗糖の輸入禁止措置、輸出の管理、さとうきび栽培面積の制限、粗糖の生産割当の配分が行われていた。協定が失効した後は、それぞれの州で独立して砂糖を販売することになった。
 QLD州では砂糖協定の多くを維持する形で、1991年に砂糖産業法として制度化し、Queensland Sugar Corporation(QSC)を設立して、さとうきびの生産、粗糖の輸出、粗糖販売等を規制していた。
 その後、1995年に砂糖産業調査委員会(SIRWP)を設置し、砂糖産業の競争力を高めるために、生産調整、産業界販売制度の変更、輸入関税の撤廃が検討され、1996年にこの検討会による勧告が行われた。勧告を踏まえて、砂糖産業法(1999)によりQSCに集中していた規制管理権限は分離され、QSCの業務も民間企業であるQueensland Sugar Ltd.(QSL)に移行する等の改革が行われた。

生産調整
 土地割当及び出荷割当制度は、砂糖産業の規模と立地を規制する目的で、1915年に導入された。土地割当制度は、さとうきびが栽培される土地とさとうきびを納入する工場を定めている。割当地以外で栽培されたさとうきびは、全て「反則さとうきび(penalty cane)」と呼ばれ、低い価格で買い取られていた。さとうきび栽培地域の拡大は、政策に大きく左右され、1970年代半ば及び1980年代の初め等、世界砂糖価格の高騰後に許可される傾向にあった。
 QLD州では、砂糖産業法(1991)による改革の一つとして、割当面積を1995年まで、毎年、最低2.5%増加するとした。1989年と1990年にそれぞれ拡大が許可された5%と8%を合わせると、1989年から1996年の間にQLD州の割当面積は、36万haから48万haにまで拡大した。この拡大は、特に、収量が高くかんがいの行われているBurdekin地区で行われ、同地区では1992年から2000年の間にさとうきび栽培面積が31%増加した。
 1996年に砂糖産業調査委員会で、さとうきび栽培面積の拡大は地域毎にさとうきび生産委員会を定めて決定すべきだと結論された。これを受けて、1999年に砂糖産業法(1999)が制定され、さとうきび栽培面積はQSCによる全州一括管理から地域の実状に合わせて生産者と製糖工場の間で交渉することとなった。
ページのトップへ

販売制度
 オーストラリアで生産される砂糖は、粗糖、精製糖とも全てSugar Boardが販売していたが、1989年にNSW州で生産される砂糖は、同州の砂糖産業が自由に販売できるようになった。QLD州では、精製糖は自由に販売できるようになったが、粗糖の販売権はSugar BoardからQSCが引き継ぎ、粗糖の価格もQSCが決定していた。実際には、国内での粗糖の販売はQSCが直接行い、輸出に関してはCSR Ltd.によって代行されていた。
 2000年にQSLが設立され、それまでQSCが行っていた粗糖の国内販売業務及びCSR Ltd.の粗糖の輸出代行業務をQSLが引き継いだ。QSLは政府からの出資や補助金を受けず、運営費用は粗糖の売買による収益で賄っており、民間企業として位置付けられる。業務内容としては、QLD州産粗糖の一元販売の他に、バルクターミナルの運営、さとうきびプール価格の決定等を行っている。
 QSLが販売した粗糖の売上は、販売費用、バルク使用及び保管費用、管理費などQSLの運営費用関連賦課金を差し引いた後、粗糖生産量に基づいて製糖工場に支払われている。さらに、製糖工場は、収益配分協定に基づいてさとうきび生産者への支払いを行っている。

国内価格支持
 オーストラリアでは産糖量の80%近くが輸出されているため、他の国ほど国内価格支持は重要ではなく、国内砂糖価格は政府によって直接的には支持されていない。
 輸入関税は1991年3月に1トン当たり76豪ドル、1992年7月に55豪ドルと段階的に引き下げられていたが、砂糖産業調査委員会の勧告に従って、1997年7月1日に撤廃された。さらに、国内市場での粗糖販売価格の決定では、QSLは独占権を持っておらず、国内の粗糖価格は世界市場での販売価格に為替レートを連動させて決定されている。同国の砂糖産業が優遇価格で販売できる砂糖は、関税割当によって米国に輸出される粗糖のみであり、現在、8万7,402トンがオーストラリアに割当てられている。また、精製糖に関しては、精糖工場が自由に価格を設定できる。
 オーストラリアの砂糖産業は、GATTウルグアイラウンドにおいて、ミニマムアクセスや輸出補助金に関して約束を行う必要がなかった。すでに関税も撤廃されているため、今後は関税の引き下げも要求されない。
 1998年度まで、QLD州の砂糖産業はプール価格制度を実施していた。粗糖の生産に関しては、生産者と工場には 「peaks」 と呼ばれる生産割当が割り当てられており、割当内で生産された粗糖は第1プール価格で販売され、割当外で生産された粗糖には第2プール価格が定められていた。反則さとうきび(さとうきび生産割当外で生産されたさとうきび)から生産された砂糖は、トン当たり1豪ドルとされていた。このプール価格制度の目的は、新しく砂糖産業に参入した生産者や生産を拡大した生産者は、最低の収益の出る砂糖価格によるさとうきび価格しか受け取れないようにすることであった。実際に、これらの生産者は割高な国内価格や特恵輸出価格から算出されるさとうきび価格では販売できず、世界市場価格から算出されるさとうきび価格で販売していた。
 砂糖産業調査委員会の結果、プール価格制度は第1プール価格と第2プール価格との間の価格差を漸次縮小し、1999年度からは単一の平均プール価格のみにされた。現在、国内市場価格と世界市場価格との間に価格差がないため、この制度は、米国向けの特恵価格での輸出が制限される他には、ほとんど意味がない状況にある。

表5 現在の貿易政策に関する情報
  粗 糖、白 糖
現在の関税率 0 豪ドル/トン
GATT の義務
 関 税
   基本関税
   最終関税率
 ミニマム・アクセス (トン、粗糖換算)
 輸出補助金削減
   数 量 (1,000トン)
   率 (%)
最終期限


140 豪ドル/トン
70 豪ドル/トン
適用なし

適用なし
適用なし
2000/01年度
ページのトップへ

さとうきび生産者と製糖業者との関係
 さとうきび生産者は、製糖工場に対してさとうきびの収穫についての責任を負っている。しかし、さとうきび生産者は、1週間続けて圧搾するための臨時雇用に必要な人件費の補償として、工場から収穫手当てとして財務支援を受けることもある。
 さとうきびの運搬に関しては、さとうきび生産者は農場から工場のさとうきび運搬路にある受け渡し地点まであるいは工場までの運搬責任がある。受け渡し地点から工場までの運搬費は、工場が負担する。中には工場に直接納品するさとうきび生産者に対して、生産者と工場との交渉によって決めたさとうきび運搬費を支払っている工場もある。これは、受け渡し地点から離れた場所に新しい栽培割当地を設置する場合の支援策として、さとうきび運搬路を整備する代わりに支払われることもある。
 QLD 州では、収益分配協定が適用されている。この協定では、さとうきびの価格はさとうきびの品質と工場の効率を勘案する計算式によって算出される。結果として、生産者の受け取る配分は一定ではないが、近年では60〜65%の間を変動している。この収益配分の対象になるのは粗糖の販売による収益のみであり、精製糖や糖蜜、さとうきびの絞りかすから得る収益は、工場の収益になっている。この結果、98/99年度から2000/01年度の平均さとうきび価格はトン当たり24USドルであった。

表6 さとうきび及び砂糖の価格 (98/99〜2000/01年度平均)
(単位:US$/トン)
  さとうきび 白 糖 粗 糖
さとうきび価格 24 - -
卸売価格
 国内販売
 特恵販売
 自由市場

-
-
-

298
-
298

211
443
177
小売価格
 国内販売

-

711

-

ページのトップへ

砂糖政策の見直し
 連邦政府は、財務省内に産業委員会を設置し、定期的に業界の見直しを行うことにより、政府の方針の変更に関する決定を行っている。1977年以降、砂糖産業での大幅な見直しは11回行われており、特に政府の影響力が大きい生産および及び販売制度を調査してきた。
 最近の見直しは、1995年に産業委員会が設置した、砂糖産業調査委員会による見直しである。砂糖産業代表者、砂糖ユーザー、政府からなる同委員会は、1996年に見直し案を政府及びQLD州に勧告として提出した。
政府が方針を決定する際には、さとうきび生産者及び製糖工場の利益が関係団体によって主張される。代表的な団体として、NSW州とQLD州のさとうきび生産者によるCANEGROWERS及びオーストラリアさとうきび農家協会、30の製糖工場によるオーストラリア製糖業者協議会がある。
 政府の方針は、連邦政府レベルと州政府レベルにおいて執行される。連邦政府(特に財務省または基幹産業エネルギー省)は、砂糖関税の撤廃や他の税制の変革等、経済面の方針を実行し、QLD州政府は、特に基幹産業エネルギー省がQSLを経由して方針の詳細を執行している。
 2000年に、連邦及び州政府は、砂糖生産が減少し、世界価格の低迷にも苦しむ砂糖産業を支援するために、転作ローン(5万豪ドル以下)及びさとうきび生産ローン(10万豪ドル以下)の金利補助等を行った。当初、この支援には総額8,300万豪ドルを予定していたが、実際には6,000万豪ドルが支援された。また、連邦及び州政府は02/03年度にも砂糖産業に対し、総額1億5,000万豪ドルの支援を実施し、そのうち1億2,000万豪ドルを連邦政府が、3,000万豪ドルをQLD州政府が支援するとしている。具体的には、さとうきび農場の統廃合や転作への補助、さとうきび生産を辞める農家への一時金の支払い等が発表されている。
ページのトップへ

砂糖産業の現状

 現在、オーストラリアの製糖工場は、30工場が12社に所有されており、そのうち10社26工場がQLD州にある。同国の製糖業界は、外国企業の参入により変化しつつある。12社のうち最大のものはCSR Ltd.であり、2000年までは、8工場を所有し、年間で、同国の総生産量の約40%に当たる、200万トン以上の砂糖を生産していた。しかし、同社は2000年半ばに、Western Australia州にあるOrd River工場の株を韓国のCheil Jedang Co.に100%売却した。2番目に大きいのは、Bandaberg Sugar社であり、2001年初めにSouth Jhonstone工場を買収し、生産量は同国の総生産量の18%に達しているが、同社は、2000年半ばにベルギーのFinasucreグループに買収されている。
 また、2002年にはMackay Sugar Cooperative Association Ltd.がコスト削減のためにQLD州のPleystowe工場を閉鎖している。
 現在、稼動している精糖工場は、3社が所有する4工場であり、Yarraville 工場以外の3工場は製糖工場に付属している。精糖業界は1989年の改革により、精糖業者の自由が増大され、新しい設備への投資が推奨されたため、精糖企業数、工場数ともに増加した。

砂糖の流通
 オーストラリアでは、砂糖は一般的に、産業部門向けにはバルクあるいは液状で、卸売部門向けには1〜1.2トンあるいは25kgの袋詰めで、小売市場向けには25kg以下の袋詰めで流通している。国内生産量のうち、16%が卸売部門向けの袋詰めで、22%が小売市場向けの袋詰めで流通していると推定される。
大手の砂糖ユーザーは通常、砂糖を精糖企業から直接受け取っている。精糖業者の多くが、顧客が発注後24時間以内に砂糖を受け取れることを保証する「Just-in-time」受け渡しを実施している。そのため、精糖業者は、顧客に近い地域倉庫あるいは集荷所に砂糖を保管している。また、精糖業者は、大手のスーパーなどに対しても直接販売している。
粗糖の輸出に使用されるバルクターミナルは、東海岸に7ヵ所あり、合計200万トン以上の収容能力がある。バルクターミナルはQLD州政府が所有し、QSLが管理、運営していたが、1998年5月に、同政府は所有権を、さとうきび農家と製糖工場が株を保持するSugar Terminal Ltd.(STL)に譲渡した。現在、STLはQSLと賃貸契約を結んでおり、ターミナルの管理運営は以前どおりQSLが行っている。
Sugar Australia社は、BIBOと呼ばれる白糖のバラ積み輸送船を所有しており、これで輸送するバラ積みの精製糖を保管するためのバルクターミナルも所有している。
ページのトップへ

砂糖産業の現在の問題
 オーストラリア農林水産省(AFFA)が実施した砂糖産業独立評価(2002年6月出版)において、砂糖産業の様々な分野が調査された。その結果、次のことが示され、既に着手されはじめている。
(1) 保護を受けている欧州、米国、アジア市場へのアクセスを獲得するために、官民ともに継続的な運動が必要である。
(2) 収益向上のために、さとうきび及び粗糖の商品の多様化をさらに推奨すべきである。
(3) 業界は電力の熱電併給システム導入を検討すべきである。
(4) 連邦政府による現行のバイオ燃料研究に、エタノールの市場アクセスと価格設定のモデルを追加すべきである。
 近年、さとうきびの生産はさび病の被害を受けており、QLD州のMackay地区では生産量が40%減少した。この原因としては、気象条件とさとうきびの品種の2つが考えられる。Mackay地区の生産者は、従来からQ124という品種を好んで生産しており、この品種が特にさび病に弱かったために被害が深刻なものになっている。新品種の登用も、生産量の増加が見込めない限り受け入れられないのが現状である。
 また、2002年4月〜11月の8ヵ月間は雨量が非常に少なく、Victoria州の半分とQLD州、NSW州のほとんどで雨不足となり、さとうきびにも干ばつの影響がでている。このため、政府は前項に示したような支援策の実行を決定している。
 ガソリンの価格が不安定であるため、自動車用エタノールの生産に対するメディアの関心が高まっており、QLD州にあるBP(英国の石油会社)のエタノール計画に対して、政府は880万豪ドルの資金提供を行うと発表している。さらに、2010年には交通手段として使われる燃料消費量のうち2%を、エタノール等の環境に優しい燃料で供給できるようにするために、さとうきび等の農産物からのバイオ燃料の生産を促進することが考えられている。
 製糖工場での余剰電力を一般電力網に供給する、電力コージェネ化についても関心が高まっている。これまで、製糖工場から電力網に電力を供給することは、政府の規制によって妨げられていた。最近、規制が変更され、電力網への供給が可能となり、さらに一部の団体がこのgreen powerを使うことを奨励している。製糖工場からの電力供給能は、さとうきび圧搾期間にはかなり大きいと予想され、製糖工場及びさとうきび生産者の収益の増加にもつながると考えられる。

表7 製糖工場の現状
表7 製糖工場の現状

表8 精糖工場の現状
企業名 Sugar Australia Bundaberg Sugar
Company Ltd.
Manildra Harwood
Sugars
創立年 1998 1880 (1) 1988 (2)
工場数 2 (3) 1 1
工場の
所在地
Yarraville Refinery
(Melbourne, Wester Australia州)
Racecourse Refinery
(Mackey, QLD州)
Bundaberg Refinery
(Bundaberg, QLD州)
Harwood Refinery
(Harwood, NSW州)
精糖期間 年中 年中 年中
注 1. 1880年設立のFairymead Mill & Plantationが始まりである。精糖は後に始められ、1992年に設備が増強された。
注 2. 1988年に数社の工場組合として設立された。
注 3. この数時には CSR Ltd. に属する液糖工場を含まない。
ページのトップへ


BACK ISSUES
「海外レポート」インデックスへ


海外情報INDEXSUGARのトップへALICのページへ