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ドイツの砂糖産業の概要について

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外情報


海外レポート
[2003年12月]

 ドイツにおける砂糖産業は、EUの砂糖制度に基づいており、生産割当支持価格が定められています。また、東西ドイツの統一は、1990年代初期の砂糖産業に大きな影響を及ぼし、統一ドイツは、旧東ドイツから多くの小工場を譲り受けた結果、EUの他の産業に比べ、砂糖産業の急速な進歩を際立たせるものとなりました。
 こうしたドイツの砂糖産業の概要について、英国の調査会社LMC社からの報告をもとに、調査情報部でまとめたので紹介します。

調査情報部


生産状況
  需給バランス  ビートの生産状況
砂糖産業の現状
  ビート糖産業  精製糖産業  砂糖の流通  異性化糖
砂糖産業の現在の問題


生産状況

需給バランス
 ドイツにおける砂糖生産量は、毎年400万トンを超えている。90/91年度から2000/01年度の間には500万トン近くにまで達した年度もある。消費量は、約310万トン前後で推移し、約100万〜150万トンが輸出されている。
 また、ドイツは、EU加盟国の中で最大のビート栽培面積を有しており、過去5年間の平均栽培面積は約48万haである。しかし、ビート収穫量はフランスが上回っているため、ドイツは、EU第2位の砂糖生産国として位置付けられている。しかし、EUの中で最大規模の砂糖生産国であるにもかかわらず、砂糖生産量が農業総生産量に占める割合は、わずか5%にすぎない。
 国内の砂糖使用量は、家庭向けが、いずれの年も約20%を占めている。業務向けでは、飲料産業は25%、菓子製造業は20%等となっており、飲料向けが最大となっている。1人当たりの年間砂糖消費量は、1970年代後半には、41kgであったが、現在は38kg程度にまで減少している。

表1 砂糖の需給バランス (単位:1000トン、粗糖換算)
表1
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ビートの生産状況
 97/98年度には50万haをやや上回っていたビート栽培面積は、01/02年度には、約45万haにまで減少し、生産量も減少した。ドイツには50万戸のビート農家があり、平均10haの圃場で生産している。栽培面積のうち約3分の2は、旧西ドイツの小規模農家、残りの約3分の1は、旧東ドイツの大規模農家が所有している。
 ビート収穫量は、東西ドイツ統一後増加した。これは、主として旧東ドイツでのビート収穫量の増加によるものである。90/91年度には、1ha当たり35トンであったが、01/02年度には1ha当たり48トンになった。
 根中糖分についても、この10年間で上昇した。これは、収穫して間もない新鮮なビートを圃場で待機しているトラックに直接積み込む「適時(JIT)出荷システム」の導入によるものと考えられる。このJIT出荷システムの適用により、根中糖分は、0.2%上昇するという報告もある。
 また、圃場の窒素肥料の使用方法に関する分析も行われている。これまでは、窒素肥料を過剰に使用し、根中糖度に悪影響を及ぼし、生産量を低迷させてきた。しかし、最近の研究により、施肥量の減少が、生産量を向上させることを実証し、新しい施肥技術が開発された。これにより、施肥量は、10年間で50%近くまで削減された。殺虫剤の使用回数も従来の葉への3回から種子への1回へと改められた。

表2 ビート生産状況について
表2
資料: Wirtschaftliche Vereinigung Zucker, Deutsche Bundesbank月次報告書

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砂糖産業の現状

ビート糖産業
 ドイツで生産される砂糖は、ほぼ全て国内で栽培されるビートが原料である。糖蜜から生産される砂糖はごくわずかである。EUの砂糖制度に基づき、生産割当が定められていることから、収益増のためには、生産コストの削減以外には手段がない。その手段として、圃場レベルでは、収穫量の増加と原材料の効率的利用が挙げられ、工場レベルでは、地域間を問わず、資本の合理化、企業間の吸収合併等が挙げられる。また、砂糖生産量増加のため、販売諸経費及び固定製造経費の削減を行なっている。
 ビート糖工場の特徴は、大規模で最新設備を備えており、ショ糖の還元率は90%に達するなど非常に効率的である。しかし、年間90日間という短い操業日数が、稼動率の上昇を妨げている。製糖期間が短いのは、主として冬が寒く、12月以降にビートが凍結する危険があるからである。
 また、ここ10年間の工場数は、01/02年度までに30工場にまで減少したが、、工場別生産量は、90/91年度の6万トンから01/02年度には12万トンへ倍増した。機械化及びコンピュータの導入により、工場処理能力は合理化されたことに伴い、製糖期の従業員数は、92/93年度の約1万人から01/02年度には7,000人までに減少した。
 現在、ドイツの主な製糖企業は、Südzucker社、Nordzucker社及びPfeifer&Langen社の3社である。
 Südzucker社は、1988年に創立され、1991年にSuddeutsche Zucker-AG社及びZuckerfabrik Franken GmbH社と合併した。同社は、EUにおける大手の製糖企業のひとつであり、EU全体の9.4%に相当するドイツの砂糖生産割当量の約40%を負担している。また、同社は、旧東ドイツの13工場も買収している。この合併は、1989年におけるRaffinerie Tirlemontoise社(ベルギー)及びAgrana社(オーストリア)の主要株主の買収に続いて行なわれた。さらにその後もEU及びチェコ共和国、ハンガリー、モルドバ、ポーランド、ルーマニア、スロバキア等ヨーロッパ中東地域において事業の拡大を行い、2001年12月には、フランスの国営企業であったサン・ルイ・スクレ(SLS)社を買収した。これにより、Südzucker社は、これまでの同社の持つEU全体の生産割当量を21%から26%に増大させた。
 Nordzucker社は、Zuckerbund Nord社とZucker-AG Uelzen-Braunschweig社を吸収して1997年に創立した。各出資企業は、ニーダーザクセン、シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン、ザクセン・アンハルト及びメクレンブルク・フォアボンメルンの各州に、多くの小規模製糖工場を所有していた。しかし、次第に経営の合理化が進み、8工場(ビート処理能力8,000トン/日)にまで整理統合された。2003年3月、同社は、Union-Zucker社の所有するNordstemmen工場を買収した。最近では、フランスの製糖企業ベキャンゼ社の所有するハンガリーの3工場を買収した。
 Pfeifer&Langen社は、1870年に創立され、ドイツ国内企業の最大規模の一角を担うまでになった。Pfeifer&Langen社の所有する6工場のうち一部は、旧東ドイツのKonnern Diamant工場を経営する系列会社のDiamant Zucker社への委託により運営されている。Südzucker社及びNordzucker社の砂糖生産量の合計は、国内生産量の70%以上を占めている。これら2社は、生産規模だけでなく、原料処理量と砂糖生産量の比率(TB:TS)についても、高いレベルを維持している。

表3 ビート糖工場の現状 td>
表3

表4 ビート糖工場の生産処理能力の推移 (単位:トン/日)
表4
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精製糖産業
 精製糖企業は、エネルギー消費量について大幅な改善を行なった。それは、過去10年間のエネルギー消費量を約30%削減することに成功したことからも明らかである。この大幅な削減は、旧東ドイツ地域における工場の改修及び新設によるものである。新工場では、ビートパルプの乾燥用に再生した蒸気を利用しており、今後も消費エネルギーの更なる低減を図ることとしている。
 ドイツ産のビートパルプは、ほとんどが圧縮加工したものか、糖蜜を添加した固形状のもののいずれかである。圧縮加工されたビートパルプの大半は、農家に戻されるが、糖蜜を添加したビートパルプは、ペットフード産業等の他の業者に販売される。

表5 砂糖の用途別消費量 (単位:1,000トン、粗糖換算)
表5
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砂糖の流通
 ドイツ国内における家庭の砂糖消費量は、全体のわずか20%にすぎない。一部の工場では、業務用のみの生産しか行なっていない。業務用砂糖は、包装形態の工夫で、ユーザーの要望に応える形で出荷されている。輸出用の場合、50kg用のポリエチレン袋もしくは1トン用の袋で出荷される。市場の小売部門においては、一般的に500g用の小売用袋に袋詰めされ、出荷されている。

異性化糖
 ドイツの異性化糖平均消費量は、約11万トンで、そのうち半分は輸入されている。異性化糖生産量は、砂糖と異性化糖の総生産量の1%にすぎない。ドイツ国内で異性化糖を生産する企業は、Cargill社及びCerestar社の2社である。EUにおける異性化糖の生産量は、割当制度によって規制されており、白糖換算で約3万5,000トンに制限されている。異性化糖の製造は、デュッセルドルフ近くのクレフェルドの工場で行なわれている。

表6 砂糖及び異性化糖生産量の推移 (1,000トン、粗糖/固定換算)
表6
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砂糖産業の現在の問題

 ドイツの砂糖産業の直面している問題は、EU加盟国全体の問題でもある。WTOドーハラウンド交渉、共通農業政策(CAP)に関する2013年までのEUの総支出額の実質的凍結、EBA協定(武器以外全ての産品への無税・無枠措置)及び西バルカン協定の及ぼす影響について等が挙げられる。政策の変化が、今後の砂糖産業に何らかの影響を及ぼすことは明らかである。生産割当量と支持価格の低下に対し、製糖企業は、収益維持のために、コストの削減を継続的に行っていく必要がある。
 ビート栽培農家にとっては、EUの生産割当が重要な問題である。過去3年間は、いずれの年も一時的あるいは恒久的に割当の削減措置が講じられた。99/2000年度及び01/02年度の一時的削減措置(EUの補助金付き輸出額が、WTO協定の上限を超えないための措置)は、ビート栽培農家にほとんど影響を与えなかった。また、2000/01年度における削減措置は、恒久的措置であったにもかかわらず、削減量が比較的少なかったため、生産レベルの大勢に影響はなかった。現段階で、これ以上の削減措置が講じられる見込みはないものの、砂糖産業としては、一時的な削減が例外ではなくなるのではないかとの懸念を持っている。そのため、多くのビート栽培農家は、栽培計画の変更を考えており、将来ビート糖生産量が減少する可能性が高いものと見られる。
 ビート栽培農家にとっての課題は、生産コストの削減である。これに対し、今後、経営面の合理化とビート収穫機械の導入が進むことにより、実現できるものと見られている。
 製糖企業の課題は、工場処理能力の増大及び工場の整理統合である。Sudzucker社は、EUの協定により、これ以上の統合化が不可能であるが、工場処理能力に関しては、改善の余地が残っている。また、Nordzucker社及びPfeifer&Langen社は、処理能力の合理化以外に、工場の整理統合を行うか、又は他の分野へ進出し、業務の多様化により、既存の割当量の消化計画を会社の方針として決める必要がある。
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