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ウクライナの砂糖産業の概要について

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外情報

海外レポート
[2004年6月]

 ウクライナは、1991年のソビエト連邦崩壊以降、てん菜糖産業の落ち込みが続いています。また、てん菜の収穫面積及び生産量が年々減少しているにもかかわらず、消費量は微増傾向にあります。このような国内需要に対応するために、てん菜糖工場でも輸入粗糖の精製を行っています。
 こうしたウクライナの砂糖産業の概要について、英国の調査会社LMC社からの報告をもとに、調査情報部でまとめたので紹介します。

調査情報部


生産状況
  需給バランス  てん菜生産状況  製糖産業
  砂糖生産  砂糖消費  異性化糖及び代替甘味料
砂糖制度の概要
  砂糖産業の現状  砂糖の国内価格維持  生産管理
  市場アクセス  販売協定  農家と製糖業者の関係
  砂糖産業の現在の問題


生産状況

需給バランス
 砂糖生産量は、10年以上にわたり減少傾向となっている。一方、消費量は97/98年度以降比較的緩やかではあるが、増加傾向にあり、2000/01年度からは200万トン台で推移している。消費量の増加に伴い、輸入量も増加し、2003/04年度には約70万トンに達している。
 90年代前半までは、ウクライナは輸出国であった。しかし、今後再び輸出国に転じる可能性は低いと見られているものの、輸出は一部行われている。輸入甘しゃ糖を精製した後、菓子などの砂糖含有製品として再輸出される。輸出量は、5〜10万トンの間で推移しているが、実際はそれよりも大きく上回っているものと見られる。
 砂糖の消費は、ソビエト連邦解体後の経済情勢不安定期には低迷が続いたものの、その後は回復の兆しが見られ、消費量も上向いてきた。ウクライナでは、国内の需要の増加に対応するために、主として甘しゃ糖を輸入し、てん菜糖工場及び以前てん菜糖工場として使われていた4工場で精製糖の製造を行っている。

表1  砂糖の需給バランス (単位:1,000トン、粗糖換算)
表1

表2 砂糖と異性化糖の生産量、消費量、輸出入量の推移 (単位:1,000トン、白糖換算)
表2

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てん菜生産状況
 栽培面積と収穫面積は異なっている。大規模・中規模の農家では、単位面積当たりの収穫量が少ない農地や気候条件に恵まれない農地の処分を進めており、栽培面積の約10%が毎年処分されている。近年は、この処分率が高まっている。
 収穫面積は、過去5年間で約25%減少した。97/98年度には100万ヘクタールを超えていたが、02/03年度には76万5,000ヘクタールにまで減少している。収穫面積の減少に伴い、生産量も落ち込んでおり、02/03年度は1,370万トンにまで減少した。単収は、この10年間で極端に低下した。過去5年間の平均では、1ヘクタール当たり17トンにも達していない。
 また、同じく10年間で含糖率も低下した。気象条件に恵まれず、てん菜の栽培が行われているのが主な原因である。てん菜中の糖分やカリウムの含有率が低いが、アミノニトロゲンやナトリウムの含有率が比較的高い。単収当たりの産糖量も非常に低い。
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製糖産業
 砂糖生産量の減少に伴い、工場数も減少している。過去6年間で30%減少し、02/03年度には126工場となっている。過去6年間で工場1件当たりの生産量は、1日平均1,600〜2,100トンである。年間平均では約12,000トンとなっており、90年代初頭と比較すると、大幅に低下している。
 ウクライナの工場の特徴は、稼動期間が非常に短いことである。大半の工場では、稼働日数が年間60日にも満たず、中には20〜30日という工場もある。原因は、ここ数年の原料供給不足にある。この日数は、国際平均水準と比較しても極めて短く、同時に工場の設備稼働率の低さも示している。ただし、収穫期以外の時期には、輸入粗糖の精製を行い、設備稼働率の向上を図っている工場もある。  製糖工場では、毎年操業開始前に設備の拡充や補修を行っている。しかし、近年これがなされず、設備拡充や改修の質・量ともに大幅な低下が見られる。これに加え、生産工程における機械化もほとんど進んでいないことから、各工場における生産効率の低下に拍車がかかっている。

表3 ビート工場の技術的能力指標
表3

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砂糖生産
 砂糖全体の生産量は、ほぼ横ばいで推移している。その内訳は、てん菜糖生産の減少、輸入粗糖からの精製糖製造量の増加傾向が表れている。精製糖の占める割合は、98/99年度には14%であったが、現在は30%にまで上昇している。
 ウクライナ産のてん菜糖の品質は、決して高いとは言えない。年初に生産されるものは、ICUMSA色価が80程度となっているが、年度末には120にまで低下する。

表4 砂糖生産内訳 (単位:1,000トン、粗糖換算)
表4

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砂糖消費
 ほぼ毎年、家庭用消費量が全体の60%前後を占めている。これ以外は、工業生産用として使用されている。工業生産用の用途はさまざまであるが、菓子・パン類用の消費量が最も多い。国民一人あたりの砂糖消費量は、2000/01年度から40kgを超えている。これは、ソビエト連邦解体後の情勢不安期を過ぎてから、GDP(国内総生産)が回復に転じたことと連動している。

表5 砂糖消費内訳の推移 (単位:1,000トン、粗糖換算)
表5

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異性化糖及び代替甘味料
 異性化糖は生産・輸入ともに行われていない。人工甘味料については、かつて販売が禁止されていたが、90年代初頭に販売禁止法が撤廃され、市場で販売されるようになった。
 1997年の時点では、サッカリンの消費量が圧倒的に多く、アスパルテームがこれに続いている。チクロやアセスルファムKなど、その他の低カロリー甘味料の消費量はごくわずかである。

表6 砂糖及び代替甘味料等の消費量の推移 (単位:1,000トン、白糖換算)
表6

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砂糖制度の概要

砂糖産業の現状
 砂糖産業に関する法律は、「砂糖の生産・販売への国家的規制について」(1999年6月施行)及び政令の「砂糖の生産・販売への国家的規制に関する諸問題について」(2002年2月施行)の2つである。ただし、これらの法令に示されている大部分が形骸化されていることから、有効に機能しているのは、ごく一部のみである。したがって、実施された政策もわずかとなり、「生産割当制度の再開」及び「てん菜及び砂糖の最低価格制度の導入」の2つが挙げられる。
 1995年には、製糖工場が195工場あった。その多くが小規模であり、てん菜の収穫量が減少したことなどから、産業全体の合理化が必要となった。
 ここ数年、てん菜の供給不足により、工場の中でも最も資金力の低い工場が操業中止に追い込まれた。その後、工場を所有する企業の統合・合併が行われ、民間業者が複数の工場を買収する事態も見られた。近年は、てん菜の総生産量の50%を大企業が生産している。ただし、販売業者(地方販売業者を含む)の数は依然として20件前後にとどまっている。
 02/03年度の時点で、128の製糖工場が稼動している。生産能力は33万6,000トンで、1日平均の生産能力は、てん菜約2,600トンで、国際平均を下回っている。生産合理化後、03/04年度には稼動工場は90工場となっている。工場の稼動期間は、例年9月第2週から12月第2週までで、稼働日数は90〜110日である。ここ数年は、てん菜の供給不足により、稼働日数が大幅に短くなっている。これは、工場内にてん菜を冷凍保存する設備がないことから、稼動期間が冬までとなってしまうためである。
 精製糖工場については、2002年にBerditschski工場が閉鎖されたため、生産工程に自動設備のある工場は、4工場のみとなった。その中で最大規模の工場は、Krasnovesdenski工場で、1日に約1,000トンの製造能力がある。なお、全国のてん菜糖工場の多くが、輸入粗糖の精製を行っている。
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砂糖の国内価格維持
 砂糖の価格維持政策は、生産割当制度と輸入割当制度の2つである。
 てん菜及び砂糖は、ともに最低価格が設定されている。法律では、「てん菜の購入価格は、生産者の平均生産経費を上回る価格でなければならない」とされている。02/03年度の最低価格は、てん菜が165グリブナ(31米ドル)/トン、砂糖が2,370グリブナ(447米ドル)/トンとなっている。
 また、砂糖の市場販売価格についても、最低価格が設定されており、販売業者がこれを下回る価格で販売することは法律で禁止されている。市場販売価格は、通常最低価格を上回っているが、実際には最低価格を下回る卸売価格で取引されることが多い。政府による監視が十分に行われていないため、このような状況が続いているものとみられる。
 さらに、価格の変動が激しいことも問題となっている。01/02年度は変動幅が20〜25%であった。価格が不安定であることから、農家や製糖工場にとっては、長期事業計画の策定が難しいとみられている。
 政府による国内供給量の管理及び価格維持が難しくなっているのは、(1) 砂糖を輸入する際、免税特別経済区域(Free‐Economic Zones)経由で迂回輸入を行う業者が多いこと (2) ウクライナ周辺諸国からの非合法輸入が増加していることの2点が挙げられる。
 政府は、この2つの問題に対応するために、市場に介入し、砂糖の買い上げを行い、価格の維持を図ってきた。しかし国家予算が不足し、政策効果が上がっていない。02/03年度については、当初30万トンの在庫を国が買い上げる予定であったが、実際には2万5千トンしか買い上げなかった。

表7 てん菜、白糖の平均価格(98/99〜02/03年度)
(単位:US$/トン)
  てん菜 白 糖
  35
卸売価格
 ― 国内
 ― 特恵輸出
 ― 世界市場輸出





399

190
小売価格
 ― 国内


478

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生産管理
 ウクライナの生産割当制度は、供給量を管理するということではなく、生産効率の低い工場への生産割当数量の配分制限を行い、工場の閉鎖を進めていくことが目的だと考えられている。
 政府は、国内需要に見合った供給量を確保するため、国内市場への供給目標数量を設定している。これを「A割当」としている。02/03年度の「A割当」は、180万トンであった。この割当には、前年度からの繰越在庫量や、輸入見込数量も含まれている。しかし、非合法取引による輸入がなされているために、国内需要を満たすだけの必要な供給量の予測が困難となっている。


市場アクセス
 砂糖の輸入関税は、現在50%(300グリブナ以上/トン)となっている。国内需要に見合った供給量を確保するために、特別関税率割当(TRQ)を毎年設定している。2003年5月には、02/03年度の甘しゃ糖の輸入割当を2つ設定し、割当数量の合計を56万トンとした。この割当は、9月15日まで適用された。その内訳は、割当1が20万トン、割当2が36万トンであった。
 特別関税割当で砂糖を輸入する場合、輸入関税は免除される。しかし、輸入者には入札による輸入許可証の取得が義務付けられている。2003年度の輸入許可証の価格は、割当1が77グリブナ、割当2が59グリブナであった。この割当で甘しゃ糖を輸入する場合、割当1が81%、割当2が39%の関税が課されることになる。
 なお、輸入制度の変更が国会で可決されたことに伴い、2004年度には、2つの割当を一本化し、12万5千トンに設定することになった。この割当では、2004年9月15日までは30グリブナ/トンの輸入関税が課されることになる。
 また、粗糖を精製した後に再輸出する目的で輸入した場合に限り、輸入関税を免除する特例措置が設けられている。しかし、国内市場価格が高いことや、輸出管理制度の不備などにより、この制度を適用して輸入、精製した砂糖が再輸出できないという問題もある。

表8 輸出入関税 (単位:US$/トン)
  粗糖 白糖
 現行関税率 50%(0.3Euro/kgを最低) 50%(0.3Euro/kgを最低)
 GATT譲許 該当なし 該当なし
資料: LMC、WTO
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販売協定
 国内の販売活動に対しては、政府の規制管理は現在行われていない。国会で砂糖について審議を行う機関では、砂糖卸売業者に免許取得を義務づける制度や、砂糖市場を規制管理する国家機関の創設などが検討されているが、依然として実現されていない。
 また、卸売業者に対する免許制度が存在しないことから、国内の在庫の把握及び国内需要見合う年間生産割当量の適正な設定が難しくなっている。


農家と製糖業者の関係
 製糖工場が原料を調達する際には、てん菜の代金支払の60%が現物による支払いを行っている。一般的に、工場が生産した砂糖の約30%が農家へ支払われている。政府は、製糖工場が農家へ現物ではなく、金銭で原料代を支払うように指導している。
 最近は、資金力のある大企業が進出し、農家への支払いが金銭で行われることも多くなってきた。農家に原料代を金銭で支払うことのできる企業は、肥料、燃料、種苗、農薬などの購入資金を出資して、農業経営にも進出し、工場生産の原料となるてん菜の調達を確保している。
 しかし、財政状況の苦しい工場は依然として多いことから、今後も現物での支払いが続くものと考えられる。
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砂糖産業の現在の問題
 ん菜糖の生産量は、1990年の500万トンから02/03年度の158万トン(粗糖換算)にまで落ち込んだ。ロシアなどの旧共産圏諸国がウクライナ産のてん菜糖を購入しなくなり、国際市場から粗糖を輸入し、自国で砂糖を製造するようになったためである。これにより、余剰在庫が生じた。この結果、多くの農家は国際市場で安く販売するより、収益性の高い他の農産物(ヒマワリ、トウモロコシ、小麦等)の栽培へ転換した。このため、製糖工場では、設備投資の停滞を招き、さらには原料の供給不足によって著しい生産能力の過剰を招くこととなった。
 ウクライナの工場の設備稼働率は、国際水準を大きく下回っている。98/99年度〜02/03年度の稼働日数は、わずか45〜60日程度である。工場の生産コストを下げるためには、今後さらなる合理化が必要だと見られる。
 92/93年の旧ソビエト連邦解体以降、ウクライナでは農家の資金力不足が大きな問題となっている。十分な資金調達ができないため、種苗、肥料、除草剤等の農業に必要な物資を確保できない状況で栽培を行っている。その結果、てん菜、砂糖ともに単位面積当たりの生産量が激減した。
 製糖工場から農家への原料作物の代金の支払いが遅れがちなことも、農家の立場を苦しくさせている要因のひとつである。糖度含有率やてん菜の重量計測結果をめぐり、工場と農家の見解が異なり、多くの対立が見られる。これらの要素が重なり、てん菜栽培に欠かせない物資を農家が調達できない事態を招いている。また、ソ連解体後、国内での外貨使用の制限により、外国製品より質の劣る国産品を選ぶことにつながり、生産量を減少させる要因となる。
 ウクライナの国家予算が深刻化しており、農家助成金を直接支給できなくなっていることや、国の政策に一貫性や透明性が欠けていることなども、農業の発展を妨げている要因となっている。
 周辺諸国への砂糖菓子再輸出量が増加しているが、周辺諸国にとっては、この再輸出によって自国砂糖業者の市場が奪われることになるため、輸入制限措置が採られたものとみられる。ロシアでは、2001年5月、ウクライナ製のキャラメル及び砂糖菓子に対して特別輸入関税を課した。2002年には約20万トンの糖蜜を輸入したが、ウクライナ産の糖蜜も含まれていたことから、ロシアでは粗糖よりも低関税の糖蜜の関税率を、白糖と同水準にまで引き上げた。また、2003年5月、ロシアは、糖蜜の関税率を45%にすると公表した。ウクライナ経由の輸出入の増加を防ぐために、このような措置がなされたと考えられる。
 ウクライナでは、大量の粗糖を輸入しながらも、てん菜及び砂糖の国内価格及び国内産業の保護政策を維持しなければならず、政府は砂糖産業に対して規制策の導入に努めようとしている。生産割当制度など、すでに実施されているものもあるが、その成果は芳しいものとは言えず、市場の安定確保を実現する手段とはなっていない。
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