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豪州 「OUTLOOK 2000」 における世界の砂糖需給見通し

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外国内情報


事業団から
[2000年5月]

 わが国の主要な輸入先国であるオーストラリアの各産業の最新供給見通し等について討議される「The outlook conference(見通し会議)」は、同国において最も重要な会議のひとつである。この会議は、独自の市場経済調査の権威として国際的に有名なオーストラリア農林水産省農業資源経済局(ABARE;Australian Bureau of Agricultural and Resource Economics)によって主催され、毎年、首都キャンベラで開催されている。
 今年は2月29日から3月2日の日程で開催されたが、今回の会議において初めて工業やサービスに関する分野まで論点の範囲が広められた。このことによって経済に影響を与える全産業の政策論点を知ることができるとともに、主要な分野に共通する論点をより総括的に考察することが可能になった。
 29日午後に開催された砂糖部門の会議において、ABARE砂糖部門アナリストのAdrian Kemp氏による講演が行われたので、その講演の中から世界需給見通し及び主要各国の供給見込みについて紹介する。

企画情報部


1.序 文
2.世界の砂糖需給見通し
  (1)供給見通し  (2)供給見込み
3.各国別生産見通し
 (1)ブラジル   (2)アジア   (3)インド   (4)EU   (5)オーストラリア

1. 序 文

 99/2000年度から2004/05年度までの6年間にわたって、世界の砂糖生産量が消費量を上回り、在庫量が記録的な数字に増加することから、国際糖価は、98/99年度から16%値下がりして、99/2000年度には平均6.1USセント/ポンドになるものと予測される。その後は、世界消費量の増加が生産量の増加を上回ることにより、在庫量が減少し始めるため、2004/05年度までに約11USセント/ポンドまで回復するものと予測される。

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2. 世界の砂糖需給見通し

(1) 供給見通し
 国際糖価が未曾有の低値であるにもかかわらず、世界の砂糖生産は99/2000年度には134万トンまで増加することが下記の4つの要因により予測される。
(a) 世界市場の水準を超えた国内価格を維持しているEU及び米国の高度に統制された砂糖の市場システムにおいては、 それらの国の生産者は国際糖価の変化にほとんど反応しない。
(b) 多年生作物であるさとうきびから生産される砂糖が世界の砂糖生産量の70%強を占めているため、国際糖価の変化に生産者が対応しようとする時に、さとうきびの植え付け及び生産決定の関係で、数年間遅れる国がある。
(c) EUにおいて99/2000年度の栽培面積が減少しているにもかかわらず、良好な天候条件により、予測より高い産糖量をもたらしている。
(d) 1999年の通貨引き下げにもかかわらず、ブラジルの砂糖収益性が、国際糖価の未曾有の低値によって、ブラジルの砂糖生産量を維持することを可能にしている。
 2000/01年度は、ブラジル、インド及び中国の生産量の減少を反映して、世界の生産量は約2%減少し、1億3,150万トンになるものと予測される。これらの国はすべて、さとうきびの生産及び加工部門においてかなりの債務を抱えており、国際糖価の値下がりによって利息の支払いも困難な状況となっている。ブラジルについては、エタノール需要の増大と2000/01年度までに予測されるエタノールの収益性の改善によって、かなりの割合をエタノールに加工することが予測される。
 2001/02年度以降は、世界のさとうきび生産者が国際糖価の持ち直しに反応することから、見通し期間の残りの部分においては、徐々に生産量が増加することが予測される。生産量増加のほとんどは、ブラジル、タイ、オーストラリア、キューバ及びメキシコで生じるものと予測される。しかし、米国、EU、日本及びロシア、中国などの主要輸入国の政策は、世界の砂糖市場に大きな影響を与えることになろう。例えば、米国、EU及び日本において、市場動向を反映した砂糖政策を導入する動きがあれば、国際糖価、生産量及び消費量に大きな影響を与えるであろう。

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(2) 供給見込み
 見通し期間にわたって予測される世界の経済成長によって、消費量は2004/05年度には約141万トンまで増大することが予測される。アジアとロシアが、消費量増加の主要な牽引力になるものと予測される。
 1998年の経済不況以前は、アジアは世界でも砂糖消費量の増加率が最も高い地域であった。例えば、89/90年度から97/98年度における砂糖消費量は、年間3%強の平均成長率で増加した(世界年間平均成長率は1.7%)。しかし、アジアの消費量は、98/99年度には人口増加率(1.6%)をわずかに上回る2%弱で増加した。OECDに加盟していないアジアの経済成長率が見通し期間のほぼ全体を通して年間平均5〜6%であると推定すると、アジア地域については砂糖消費量の大きな回復を予測することができる。
 98/99年度に520万トン強を輸入している世界最大の砂糖輸入国であるロシア経済の成長を仮定すると、見通し期間にわたって、消費量の増加が予測される。同国の1人当たり消費量は、1990年にはほぼ51kgであったが、1990年代に消費者所得が低下したことから砂糖消費量の減少をもたらし、1998年の1人当たり消費量は35kgに減少している。

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3.各国別生産見通し

(1) ブラジル
 ブラジル砂糖生産量の急速な増加は、近年の世界砂糖市場に最も大きな影響を与えていた。90/91年度には世界砂糖輸出量の約4%であったが、98/99年度には26%強を占めるに至っている。
 ブラジルでは、さとうきびは砂糖と国内燃料用エタノールの生産に用いられているため、エタノール価格はブラジルの砂糖生産量に影響を与えている。これはまた、ブラジルが砂糖とエタノールの相対市場収益の変化に即座に対応できることを意味する。
 世界の原油価格が1999年に約2倍になったため、エタノール燃料を使用する自動車需要がブラジルでは増加した。製造業者が燃料をガソリンからエタノールに切り替えているため、政府もまた、エタノール価格の値上がりを抑制するために、エタノール在庫を販売している。さらに、民間のエタノール在庫のメンテナンスに対する補助金も撤廃されている。したがって、在庫販売によるエタノール供給の増加によって、エタノール需要が増加しているにもかかわらず、砂糖生産は99/2000年度には比較的魅力を持ったまま推移することが予測される。
 エタノール価格が2000/01年度から値上がりすることが予測されるため、エタノールに対する砂糖の収益性が低下して、砂糖生産量が減少することが予測される。残りの見通し期間については、世界の砂糖価格が回復し、エタノールに対する収益性が向上するため、ブラジルの砂糖生産量は増加するものと予測される。

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(2) アジア
 アジア地域の主要砂糖生産国(インドと中国)が生産量を減少させるため、アジアの砂糖生産量は2000/01年度には減少することが予測される。しかし、インドと中国の輸入需要への影響は小さいであろう。
 中国では2年連続して砂糖の生産量が消費量を超えているため、在庫量が増加し、国内糖価を引き下げており、砂糖の輸入需要を制限している。政府は、国内の砂糖需要を促進するために、99/2000年度の砂糖生産量を削減し、人工甘味料(サッカリン)の生産を2万4,000トンに制限することを計画している。この政策は、2000/01年度も継続することが予測される。現在の国内砂糖在庫量の水準を考慮すると、中国の輸入需要は、見通し期間の終了時まで回復するとは思われない。

(3) インド
 インドの砂糖生産量は、周期的になる傾向があり、生産量が消費量を上回る数シーズンの後に、国内生産者が国内糖価の値下がりに反応して生産量が消費量を下回る数シーズンが続いている。製糖業者が大量の砂糖の在庫量を持っている場合には、砂糖価格の値下がりによって、製糖業者はさとうきび生産者への支払いが困難になる。現在の砂糖価格の値下がり及び製糖業者の支払困難の可能性を考慮すると、インドの砂糖生産量は、2000/01年度には減少することが予測される。

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(4) EU
 98/99年度にブラジルに次いで第2位の砂糖の生産国であったEUは、国内生産者に大きな価格補助を提供する厳しく統制された砂糖市場を持っている。この価格補助は、3部からなる割当制度によって制限されている。A割当とB割当の生産者は、高い水準の補助を受けているが、C糖の生産者は直接的な補助を受けていない。生産されているすべての砂糖が価格補助を受けているわけではないため、EUは世界の価格変動から部分的に保護されているにすぎない。
 補助の水準を考慮すると、(98/99年度の砂糖生産量の約83%を占めていた)A割当とB割当の生産者は、世界価格の変動に特に反応することはない。したがって、99/2000年度の未曾有な国際糖価の値下がりは、EUの砂糖生産量を劇的に減少させるものとは予測されていない。99/2000年度の栽培面積は減少したが、良好な栽培条件が今シーズンのEUの砂糖生産量を増加させるものと予測される。
 A割当とB割当の99/2000年度の割当数量は従来の水準に維持されているが、2000/01年度にはWTOの要件を満たすために、これらの割当を削減する圧力がかけられている。A割当とB割当の削減は、見通し期間の終了までにEUの砂糖生産量を減少させるものと予測される。
 チェコ共和国、エストニア、ハンガリー、ポーランド及びスロベニアからなる(EUの砂糖生産量の18%増加を表す)中央ヨーロッパと東ヨーロッパ諸国を含むEU拡大の第1段階は、見通し期間の終了までに行われるであろう。いつ拡大が行われようと、世界砂糖生産量と価格への影響は加盟国の砂糖政策に依存するであろう。政策のシナリオには、これら諸国の全砂糖生産量をA割当とB割当へ統合することがある(追加される生産増分は、世界市場価格になる)。あるいは、例えば、国内消費量のみをA割当とB割当に統合するという、ほとんどあるいはまったく補助金付きの割当制度に組み込まない方法である。

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(5) オーストラリア
 オーストラリアの砂糖生産量は、99/2000年度の水準から2.7%増加して、2000/01年度には560万トンに達するものと予測される。これは、98/99及び99/2000年度のさとうきび生産量及びショ糖含有率等がサイクロン・ロナと広範囲にわたった洪水による被害のために低下したが、その後は北クイーンズランドの栽培条件が正常に戻るという予測による。しかし、国際糖価の値下がりは、さとうきび栽培面積のさらなる拡張を思いとどまらせている。見通し期間における正常な栽培条件を仮定すると、オーストラリアの生産量は、2004/05年度までにほぼ650万トンに達するものと予測される。
 99/2000年度には、(北部地域を除いた)すべてのクイーンズランド地域のショ糖含有率等は、正常に戻っている。北部では、前シーズンからの天候被害を受けているショ糖含有率は、比較的低いままであった。クイーンズランドの平均含有率は、バーデキン地域と中部クイーンズランド地域の増加によって、前シーズンの12.2%から、99/2000年度には約13.5%まで増えている。中期的には、北クイーンズランドのショ糖含有率は、約12.4%の長期的平均値を回復するであろう。
 予測されている見通し期間における国際糖価の改善によって、特にバーデキン地域と中央クイーンズランド地域のさとうきび栽培面積が増加して、生産量を増加させることが予測される。クイーンズランドの砂糖生産量は、2004/05年度までに590万トンまで増加するものと予測される。
 99/2000年度に予想された湿潤条件及びそれに伴う低いショ糖含有率水準と歩留まりが、ニュー・サウス・ウェールズ地域の砂糖生産量を減少させた。州の生産量は、99/2000年度には約10%減少して26万1,000トンになっているが、栽培条件の回復によって、2000/01年度には約30万トンまで増加するものと予測される。
 オード川地域では、黒穂病の被害を受けたことによる収穫面積の減少及びいくつかの地域における歩留りの低下によるさとうきび生産量の減少にもかかわらず、砂糖生産量は99/2000年度には5万2,000トン(98/99年度から15%の増加)という記録的砂糖生産量が達成されている。砂糖生産量の増加は、99/2000年度に平均13%(前シーズンより11%の上昇)であったショ糖含有率の上昇を反映している。
 黒穂病によりさとうきびの植え付けが遅れたことによってさとうきび生産量は減少し、オード地域の砂糖生産量は、2000/01年度には4万8,000トンまで減少することが予測される。栽培面積は、(オード灌漑プロジェクトの第2段階のために)中期的には増加することが予測されており、オードの砂糖生産量は2004/05年度までに20万トン強まで増加するものと予測される。

注1:世界需給見通しの年度は9月〜8月であり、オーストラリア需給見通しの年度は7月〜6月である。
注2:期末在庫量の過去の推定値は、個別国の生産量、消費量、貿易量及び在庫量の推定値に基づいている。個別国の統計の過小・過大報告の可能性を考慮して、毎年の世界期末在庫量の変化は、世界の生産量と消費量の差に等しくなるとは限らない。
注3:99/2000年度以降はABARE予測
出典:オーストラリア統計局、F. O. Licht、クイーンズランド砂糖法人、ABARE

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