3月の市場は、月前半は、(1) 中国が国内糖価の高騰を抑えるために行っていた国家備蓄在庫の取り崩し数量が80から90万トンに上っていることから、そろそろ限界に来ている模様で、近々買い付けが見込まれること、(2) キューバが干ばつの被害の影響により減産見込みであること、(3) タイが病害虫と干ばつの被害の影響により減産見込みであること、(4) 原油の高値安定により中東諸国の買い付けが容易になっていること、等の強材料が支援要因となって現物価格は10セント台で推移した。
しかしながら、月半ばから後半にかけて、(1) 中国の買い付けが6月以降にズレ込む可能性が強くなってきたこと、(2) アジア諸国でアメリカの景気減速の影響を受けて砂糖を含む食品の消費減退を招いている可能性があること、(3) ブラジルの生産が上方修正されたこと、(4) インドの輸出が続いていること、等の弱材料に加え、特に、中国が天候不順による国内生産の不足から砂糖の買い付けを余儀なくされるとの見方がほとんどであったものの、国際相場が既に天井を打ったと見て、相場の低下を見込んで買い付けの動きを全く見せていないことが大きなマイナス要因となり、現物価格は8日に9.89セントとなり、30日には8.85セントと9セント台を割り込み、また、期近5月限価格も12日に8.83セントとなり、30日には7.75セントと8セント台を割り込むなど、前月に引き続き軟調に推移した。
このような状況の中で、現物価格は、最高値が6日の10.25セント、最安値が30日の8.85セント、月平均は前月に比べて0.62セント安の9.64セントとなった。また、期近5月限価格は最高値が6日の9.32セント、最安値が30日の7.75セント、月平均は前月に比べて0.61セント安の8.75セントとなった。
今後の市場動向に関して、国際砂糖機関 (ISO) は、2000/01年度の世界の在庫は約300万トン減少する見込みであるが、過去5年続いた余剰生産により在庫が1,600万トンまで積み上がっていることから、差し引き世界の年間輸出量の36%に相当する1,300万トンに上る在庫が、依然として圧迫要因になると予測している。
さらに、ED & F マン社は、緩慢な需要と荒い値動きが続く為替相場の影響で、引き続き弱気な展開が続くと予測している。
また、トレーダー筋は、ブラジルでのアルコール製造向けと砂糖向けのさとうきびの配分が決まっておらず、しかもさとうきびの収穫予想が干ばつの被害の影響により、当初の予想より下方修正されるなど、砂糖生産がどの程度増えるのか流動的な要素が強いことから、この辺りが夏相場の大きなポイントとなるだろうと予測している。