[2003年1月]
[NY市場の動き]
【NY市場の動き】
2002年のNY砂糖市場は、砂糖の需給以外の要因に影響を受けた年であった。特に9月以降の値動きは、ブラジル、EU等主要生産国の増産により供給過剰傾向が強まっているにもかかわらず、株式市場からの資金の流入や粗糖現物のタイト感により上昇傾向で推移し、この結果、現物相場は、10月には14ヶ月ぶりに9セント台を回復するとともに、定期相場は、6月(7月限)の5セント台から10月(3月限)の7セント台に上昇した。
その流れを受け11月のNY砂糖市場は、定期相場(3月限)は、7日までは上昇傾向にあったものの、ファンド筋等の一部手仕舞い売りにより同日の7.97セントをピークに13日の6.75セントまで下落したが、中盤以降は概ね7セント台前半で推移した。このため、限月価格にプレミアムを加えた現物相場は、6日には9.43セントまで上昇したものの、13日には一転して8.17セントまで下落したが、中盤以降は概ね8セント台後半で推移した。
(単位:セント/ポンド) |
NY相場 |
現物相場 |
定期相場(当限) |
9月 |
10月 |
11月 |
9月 (10月限) |
10月 (3月限) |
11月 (3月限) |
最低 |
8.01 |
8.46 |
8.17 |
6.07 |
6.49 |
6.75 |
最高 |
8.95 |
9.10 |
9.43 |
7.12 |
7.36 |
7.72 |
平均 |
8.54 |
8.84 |
8.87 |
6.72 |
7.02 |
7.30 |
|
世界の砂糖需給のファンダメンタルズは供給過剰となっている中で、11月の市場価格が高値を維持した背景として、
(1) ファンド筋等の買い越しが依然として続いていること、
(2) 期近における粗糖現物の需給にタイト感があり相場の下支えとなっていること、
(3) ロシアの2003年分低関税輸入割当(395万トン)の買い付け期にあること、
(4) キューバの減産見込み
等が挙げられている。
今後の市場動向に関しては、F.O.リヒト社は11月に発表した需給見通しの中で、02/03年度の在庫率(49.58%)は過去10年以上の間で最高のものであり、国際糖価の持続的回復はほとんど望みがないとしている。また、米国農務省(USDA)は、世界的な経済不況が進んでいるため今後の消費は減退する恐れがあるとしており、どちらも長期的には悲観的な見方を示している。また、短期的には、米国の商品先物取引委員会(CFTC)が公表した資料によると、11月26日現在におけるファンド筋や投機筋によると見られる買い越し玉は76,208枚に及んでおり、これらの動向に注目が集まっている。
市場関係者によると、12月は米国における年度末決算期であることから、利益確定のために手仕舞い売りが行われるとの見方があるが、一方では、3月限の納会は来年2月末であることから、短期間で一斉に手仕舞われることはないだろうとの見方もある。さらに、10月にかけて7,000ドル台の記録的な安値となったNYダウ工業株価が、その後11月にかけて徐々に回復傾向にあるものの、株価の低迷は長期化する恐れがあるとも言われている。このような株式市場の動向を受けて、依然としてファンド筋の買い意欲は強いとの見方もあり、手仕舞うタイミングについては市場関係者の間でも見方が分かれている。
〔農産流通部〕
NY砂糖買い越し玉と株価の推移
NY.11の月別及び日別推移