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地域だより[2000年5月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


地域だより
[2000年5月]
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東京事務所



○第15回和菓子講演会の開催について

 第15回和菓子講演会(主催:新明和製糖(株)、協賛:岡常商事(株))が、4月13日(木)に東京都中央区のロイヤルパークホテルにおいて開催された。これは、新明和製糖(株)の主製品である白双糖のユーザーである和菓子業界の発展に供するため行われ、和菓子業界や砂糖業界等の関係者約300名が参加した。
 今回の講演会は、第1部の「和菓子振興会設立にあたって」と「砂糖制度改革と糖価引下げの見通し」の講演と、第2部の「和菓子・現在何が求められているのか〜21世紀に向けての提言〜」をテーマにしたパネルディスカッションが行われた。
 全国和菓子協会会長であり和菓子振興会名誉会長の細田安兵衛氏が和菓子振興会の設立について、和菓子が21世紀にどうあるべきか、和菓子業界独自でやっていくのではなく、砂糖や製粉等の業界とともに発展していくことを目的に、本年2月23日に設立総会を開き92者の会員で設立したと説明した。
 次に、精糖工業会会長で和菓子振興会会長の久野修慈氏が、粗糖関税が4月1日から無税になった経緯と、本年10月からの砂糖制度改革により日経建値がさらに10円下がり113円位になることを説明した。
 パネルディスカッションは、全国和菓子協会専務理事の藪光生氏の司会で(株)仙太郎の田中護社長、(有)一炉庵の池田功専務、料理研究家の杵島直美氏、新明和製糖(株)の櫻井嘉彦社長の4名のパネリストを迎え、21世紀に向けて若者に合う和菓子について活発な意見交換が行われた。その中で、田中社長は「手作りで良い食材を使い、若者に啓蒙することが必要である。」池田専務は「和菓子を一時的な流行物にしたくない。小さい頃から良質な和菓子を食べ親しむことが大事だが、その味をつなげる和菓子屋が少なくなった。」、杵島氏は「子供が和菓子を食べる機会が少なくなったため、機会を増やしていくことが必要である。また、対面販売が重要であるので和菓子屋の店員は商品知識を豊富にしてほしい。」と発言された。21世紀を生き抜くための討論において、田中社長は「100年前に現在を予想できなかったように予測はできないし100年後も変わらないと考える。良い食材を使うため小豆等を自分で栽培する。」、池田専務は「和菓子作りに大量生産は無理がある。嗜好を満たすものを作り、それを求める人には価格が高くても売れる。また、正しい作り方を後世に継承していく。」と発言された。
 休憩時間には、白双糖と上白糖をそれぞれ使った餡と飴が用意され、味比べのアンケート調査が行われた。

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横浜事務所



○今後とも砂糖の正しい知識の啓蒙活動を
  ―横浜さとうのふるさと館・アンケート調査から―

 横浜ベイブリッジから大黒ふ頭を経由し、大黒大橋を渡って左折するとすぐ、砂糖の情報発信基地「横浜さとうのふるさと館」(塩水港精糖(株))に着く。ここから「みなとみらい21」に向かって望む横浜港のパノラマは絶景だ。
 すでに本誌(平成10年4月号)で紹介しているので、詳細は省くが、ここ横浜さとうのふるさと館では、原料糖倉庫ステージやシュガーハウスをはじめ各種見学コースを設置して一般消費者に広く開放し、草の根的な砂糖の啓蒙普及活動をしている。
 そこで、このたび同館を訪ね、先日同館が行ったアンケート調査の結果をもとに、最近の消費者の砂糖に関する意識等について聴いてみた。
 今回の調査は平成11年10月に開催された「鶴見区健康展」及び神奈川県企業博物館連絡会主催「特別展」の主旨に同館が賛同して、砂糖を出展した折に一般の来場者を対象に行ったもので、120人から回答を得た。
 これによると、まず全体像として、「甘いものは好きである」(77%)が、しかし「砂糖を摂る量は控えている」(64%)ことが浮かび上がる。
 砂糖に対するイメージでは、最近のテレビ、ラジオ及び新聞等の宣伝の効果の表れを思わせるように、「脳を活性化させる」「疲れを癒す」「食生活上なくてはならないもの」など砂糖の機能等を評価するものがかなりみられた。しかし、半面「太る」「カロリーが高い」「虫歯になる」「白よりも茶色の砂糖の方が身体に良い」などの回答も少なくなく、依然として、砂糖への認識不足、誤解といった傾向が払拭されていないことが分かる。
 テレビCMを見たと答えた人は全体で45%と比較的高い数字を示し、中でも「砂糖は脳のエネルギーである」のCMは半数を超える53%に達した。
 砂糖について知りたいことについては、「本当に太らないか」「脳を活発にするので老人には特に良いと聞いたが、どうしてか」「身体に良いのか悪いのか」など砂糖に対するイメージの真偽の確認を求めるようなものが多く寄せられ、また一方で、「国内の砂糖産地は」「様々な砂糖作りの歩み、歴史」「黒砂糖はなぜ黒い」などのように興味、疑問からの質問もあり、消費者の砂糖に対する幅広い関心がうかがわれる。
 以上、調査結果をみて、同館では一般消費者に対する砂糖の正しい知識の啓蒙活動の必要性をあらためて認識するとともに、今後とも地道に活動し続けたいとしている。
 以下は、アンケートの結果である。

a.回答者の概要
年 齢 10代 9人  20代 24人  30代 21人  40代 15人
50代 24人  60代 18人  70代 4人  80代 1人
性 別 男性 40人  女性 69人
未既婚 未婚 32人  既婚 69人
職 業 会社員 49人  パート・アルバイト 7人  主婦 35人  自営業 3人
学生 12人  その他 9人
(注)回答者120人との差は無回答。

b.甘いものはお好きですか。
 好  き  どちらともいえない  嫌  い 
92人 (77%) 27人 (22%) 1人 (1%)

c.砂糖を摂る量を控えたことがありますか。
  あ  る     な  い  
77人 (64%) 43人 (36%)

d.これまで、 あなたが砂糖に対して持っていたイメージをお聞かせ下さい。
(原文のまま掲載) 
・なくてはならないもの(64歳主婦他2名)
・太ることが多いと思っていた(65歳主婦他8名)
・好きなもの、おいしい(40歳主婦)
・甘みだけという気がしていたが、脳細胞にも働くということを知りました(57歳主婦)
・甘党で砂糖が大好きでやめられません(59歳女性)
・身体が疲れたときに砂糖をとるといやされると思う(70歳主婦他5名)
・食べると虫歯になる(21歳男性会社員他3名)
・調味料の1つくらいにしか思っていなかった(55歳女性他1名)
・色の茶色の方が身体に良い(主婦)
・幸せ、太っちゃう、糖尿病(36歳主婦)
・こころの安心(39歳主婦)
・おいしいが太る、心が休まる(19歳男子学生)
・甘い、太る、綿菓子(22歳女子学生、32歳男性会社員)
・とりすぎは良くない(33歳・49歳男性会社員)
・頭に良い、疲れたときの回復(56歳主婦)
・多量に体内に入れると糖尿病になるかと心配(45歳男性会社員)
・歯をとかす(52歳主婦)
・料理に使うときれいに仕上がる(32歳未婚女性会社員)
・甘くておいしいけれど食べ過ぎない方がいい(16歳男子高校生)
・お菓子に利用(44歳男性会社員)
・コーヒー紅茶に入れるものとしか考えていなかった(46歳男性)
・ねばっこい(64歳男性会社員)
・脳の働き、エネルギー(26歳女性会社員、67歳女性)
・カロリーが高い、虫歯になりやすい(53歳主婦)
・身体に良い、太らない、疲れがとれる(24歳女性会社員)
・炭水化物(19歳女子学生)
・甘い、カロリー高い、朝は脳の動きを活発にする(24歳女性会社員、30歳主婦)
・あまり白いのより三温糖、黒糖を選んでしまう(30歳女性会社員)
・砂糖は適当にとらなければならない(55歳主婦)
(注)重複する回答を含め約60人近くが回答を寄せた。

e.次のことをテーマにしたテレビCMをご覧になったことがありますか。
 テーマ   見   た   見ていない   分からない 
「砂糖は脳のエネルギーである」 63人 (53%) 42人 (35%) 12人 (12%)
「砂糖は炭水化物である」 30人 (28%) 55人 (51%) 23人 (21%)
「砂糖は安全な食品である」 35人 (32%) 50人 (46%) 23人 (21%)

f.砂糖について知りたいことがあればお書き下さい。
(原文のまま掲載)
・他の成分(油、たんぱく)に比べてどれだけ太るの、太らないとパンフにあっても今までのイメージがすてられない(36歳主婦)
・1日の量、カロリーについて(39歳主婦、22歳女子学生)
・様々な砂糖作りの歩み、歴史(32歳男性会社員)
・1日について食べても安全な量(45歳男性会社員)
・日本国内の産地(42歳男性会社員)
・砂糖って身体にいいの(16歳男子学生)
・てんさい(大根)の生産状況はどうなっているの(64歳男性会社員)
・CMでは見ていませんが、脳を活発にするので老人には特に良いと聞きましたがどうしてでしょう(53歳主婦)
・本当に太らないのか(24歳女性会社員)
・どのくらいの量を1日に摂取するのが適当か知りたいです(19歳女子学生)
・砂糖の作り方(28歳女性会社員)
・設問のCMをぜひ見てみたい(30歳女性会社員)
・身体にいいのか悪いのか(64歳主婦)
・黒砂糖はなぜ黒いの(21歳男性会社員)

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○名古屋 「新道」 菓子卸の今昔

 名古屋市西区新道界隈は、「お菓子の街」と言われるほど菓子製造工場や菓子問屋など菓子関連業者が集まっているところである。その数は300とも400ともあると言われ、業界紙に広告掲載の数を拾っただけでもガム、キャンディー、飴、キャラメル、ラムネ菓子、ケーキ、昆布菓子、ピーナッツ菓子、せんべい、羊羹、最中、大福など様々な菓子製造が20軒以上、菓子卸が30軒以上、砂糖や添加物などの原料関係が10軒以上あり、さらに周辺地区へ輪のように広がっている。
 この地区の菓子製造業の起こりは徳川家康の命による名古屋城築城の時までさかのぼると言われ、城の西隣のこの地区で街道沿いに城の造営にかかわった人々に対し菓子を作って売る店ができたという。
 明治、大正の頃のこの辺りは美濃街道や津島街道の名古屋の入口に位置し、枇杷島に青果市場があった関係で大八車が行き交う人通りの多い交通の要所で、岐阜や伊勢方面から買い出しに来る人が多かった。近くには当時名古屋の3大盛り場といわれていた円頓寺(えんどうじ)の繁華街があり、このような立地から各地に散在していた菓子業者が集まり製菓地帯ができた。
 新道の菓子産業が隆盛を迎えたのは関東大震災の時で、当時壊滅的な打撃を受けた首都圏への菓子の供給を担ったのがこの地区の菓子製造業だったという。この時に初めて名古屋ブランドの菓子が箱根を越えたという。
 戦災により「金の鯱ほこ」で有名な名古屋城の天守閣は焼け落ち、名古屋の町は焼け野原となったが、戦後まもなく新道界隈も復興を示した。戦後生活の落ち着きとともに甘いものに飢えていた人々はお菓子を求め、菓子製造や卸が新道に再び集まり現在の菓子の街ができあがったという。名古屋駅から歩いても15分位、すぐ近くの堀川の景雲橋には瀬戸電(今の名鉄瀬戸線)の堀川駅があり、交通アクセスが非常に良かったこともその理由に挙げられる。
 新道の「中京菓子玩具卸市場」は昔懐かしい『駄菓子』の卸売りを行っている店が多く集まった市場で、中に入るとカラフルで楽しい玩具菓子が溢れていた。近年は駄菓子に子供の頃のロマンを求める個人のファンも多く名古屋の名所となっていたが、建物の老朽化やテナントの高齢化などから本年3月末で閉鎖された。市場閉鎖を惜しむ声が新聞などで盛んに取り上げられた。
 同市場は、昭和26年に約60軒の菓子の卸業者が集まって開設された。当時は1間ほどの間口の店舗を求めて登録希望者が殺到したそうである。この市場の卸の形態は『座売り』と言われるもので、店を構え、各地から直接買いに来る小売店(駄菓子屋)や買継商を対象として様々な種類の菓子を卸した。決済は現金払いが主なのでキャッシュ&キャリーのはしりといえる。(商品の菓子の仕入れは大手の菓子問屋からであるが、中に餅菓子やういろうなど生菓子を扱う店は製造直結で、工場で夜から朝にかけて作った菓子を製造メーカーが朝早くに納品に来たという。)車の利用が盛んになる前は風呂敷きで包んだ大きな菓子の荷物を背中に背負った人たち(担ぎ屋)で大変賑わったようである。相当遠くからも仕入れに来ており、三重県の松阪市からも仕入れに来ていたという。
 開設当初から約半世紀ここで商売を続けてきた同市場組合長の岩田温雄さん((資)三ツ井屋)は「昭和26年から昭和40年代までは菓子を求める客が多く、商売も繁盛し、忙しい時には朝食を食べ損なうと夜まで食べられないことがよくあった。」という。市場が面する狭い道に納品する車や出荷する車などがあふれて喧嘩が絶えないほどだったともいうが、昭和50年代以降は徐々に市場へ来る客の数は減ってきたという。
 スーパーマーケットやコンビニエンスストアの出現による小売業の様変わりから、昔は町内や小学校の近くに必ず1軒はあった駄菓子屋が消えていくとともにこの市場に菓子を仕入れに来る人たちもだんだんと減り、市場閉鎖の時は店舗数が開設時の3分の1にまでなってしまった。座売りという卸の業態が時代の流れに取り残された感を否めない。
 最後まで残った20軒のうち約半数は近くに店舗を見つけて商売を続けるが、半数は市場の閉鎖とともに菓子卸から撤退するという。撤退する岩田さんは「年齢が60代であればまだ続けると思うが、70代ともなれば外に打って出るという訳にはいかない。時代の一区切りだと思う。」と話す。市場は惜しまれながらその半世紀の歴史を閉じたが、近くで商売を続けられる方々の今後の発展を祈りたい。
 この新道界隈に足を踏み込むと菓子の甘い香りがぷーんとする。この辺りで作られる菓子の種類の多さに驚くが、菓子卸業の業態も菓子玩具卸市場のような座売りのほか、例えば各地の集散地向けに卸す地方移出専門問屋、全国へ発送される菓子のダンボール箱が山ほど積まれたゲーム機用景品向け菓子卸問屋、キャッシュ&キャリーのため無いものは無いというほどあらゆる品揃えをしている問屋などいろいろな形があり、各問屋には菓子卸業での生き残りを賭けた新しい取り組みがみられる。
 ここ、新道の1丁目に菓子総合卸の最大手と言われている(株)種清(たねせい)がある。新道に明治43年に開業した老舗で、もともとは焼菓子の製造を行っていたが、大正になってから菓子卸を行うようになった。現在は、取り扱う商品のアイテム数は3万を数え、そのうち定番となるものが約3,000あり、年間売上げは500億円に達しているという。
 同社では、商品や売場の企画開発を大きな柱とし、毎年2回開催する展示会では売れる商品の提案を積極的に行い、全国の小売店、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、土産物店などを対象に販売先を獲得している。今年も2月23日、24日の両日、名古屋市吹上ホールで春季見本展示会を開催、テーマを「2000年 魅力ある商品・魅力ある売場」とした。155社の菓子メーカーが出品し、各社のブースには自信の商品と売れ筋ベスト5が掲示され、見る側としてはどんな菓子が売れているのかが良く分かるようになっていた。種清の企画提案コーナーでは、ひな祭りから夏祭、お盆菓子まで月別の催事を菓子で構成したもの、北海道・信州・北陸・京都・九州の地方色豊かな菓子、「体にやさしい」自然・健康志向の菓子、子供向け売場の「駄菓子屋」などがあり、それぞれのがバイヤーの目を引いていた。2日間の来場者は約2,000名だったという。
 日持ちの長い菓子(生菓子を除く)においても賞味期限が3分の2以上過ぎたものは返品対象というように商品の管理が重要な問題となっている。同社では商品の管理について、その改善に昭和63年から着手し、昨年の12月には菓子卸の業界では初めてISO9002(品質マネジメント)の認証をとり、その後商品の鮮度管理が飛躍的に向上しているという。
 商品管理の現場である同社の中部流通センター(小牧市)は、新道の交通地獄脱出のため、昭和48年に完成したもので、物流の拠点として同社の発展に大きく寄与してきた。名神高速に近く車の便の良い所にある。定番の約3,000アイテムの商品を同センターで扱っており、スーパー向けやコンビニエンスストア向けはそれぞれ600から700アイテムあるという。入庫した商品はすべてラベルで管理され、出庫間違いのないよう出庫検査に万全を期している。全国からのオーダーは、センターのパソコンに毎日定刻に入力されるようになっており、オーダーに基づいて商品がセンターの倉庫からデジタルピッキングにより出荷先ごとに集められ発送される。コンビニエンスストアなどで同社の名入りの折りたたみコンテナをよく見かける。在庫の管理もパソコンにより行われ、必要数量が自動的に発注されることになっている。同センターで扱う商品の8割がこのようにオンライン化されているという。取扱数量の増大から平成元年には名古屋港の近くにも物流センターを開設し、物流の分散を図っているという。
 展示会やセンターの倉庫で見た菓子は、その種類の多さに驚くばかりであったが、一方でその商品管理が大変な業務であること、また、それがこれからますます複雑化していくのではないかと感じさせられた。
 今回紹介した座売りの菓子卸と商社機能を持った最先端の菓子卸はどちらもそれぞれのやり方で今商売を行っており、それはわれわれの目に菓子卸の形の今と昔を物語っているように映った。
 取材に当たって下記の方々にご協力いただいた。
中京菓子玩具卸市場 組合長  岩田温雄氏((資)三ツ井屋)
(株)種清 代表取締役社長  広瀬美貴夫氏
     中部流通センター物流管理部長  渡辺清治氏
食品産業新報社 社長  長江龍城氏

市場の通り
昭和30年頃の喧噪が懐かしい市場の通り
種清春季見本展示会
(株)種清春季見本展示会の全景
(吹上ホール)
閉場を数日後に控えた市場内
閉場を数日後に控えた市場内
(数件の店が市場で最後の商売をしていた)
中部流通センターの情報管理部
パソコンが並ぶ中部流通センターの情報管理部
(全国からのオーダーがここに集まる)
デジタルピッキング
デジタルピッキング
(注文の商品がオンラインで集められ、出荷される)

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○さとうきび収穫機械の稼動状況(その2)

 前月号では、鹿児島県南西諸島におけるさとうきび収穫機械の稼動状況を紹介した。
 ここ数年(平成8年産以降)を見るとハーベスタの使用割合が増加しているし、ハーベスタはこれからも増える傾向にある。ハーベスタの使用が増えているのは、刈り取り作業と脱葉・搬出作業のいずれにも利用できることに加えて、ハーベスタによる踏圧、トラッシュ(さとうきびの夾雑物)の増加などの問題に対し、逐次、改良が加えられていることによるものと思われる。今月号と来月号では2回に分けて島別のさとうきび収穫機械の稼動状況を紹介する。
 表は、平成6年産から平成10年産までの5年間のさとうきび収穫機械の稼動状況である。平成10年産の種子島におけるハーベスタ稼動台数は43台で鹿児島県南西諸島の中では徳之島に次いで2番目の普及率となっている。これは、農業生産組合に加えて、種子島内の市、町の農協が平成7年から高齢化が進む中持続的に農業を存続させるため、農業公社を設立し、毎年のようにハーベスタを導入し、さとうきび収穫作業の効率化を図ってきたからと言われている。一方、収穫作業に占めるハーベスタ使用状況は、全収穫面積の43.7%、全収穫量の41.7%とともに4割を超え、徳之島の36.1%、28.6%をしのぎ鹿児島県でトップとなっている。また、脱葉作業では、全収穫面積の19.7%、全収穫量の20.6%を機械が占めている。なお、平成11年産におけるハーベスタの導入状況は、51台となり、ここ数年増加傾向にある。
 奄美大島における平成10年産のハーベスタの稼動台数は8台で、全収穫面積に占める割合は20.0%、全収穫量に占める割合は21.9%となっている。脱葉機及び拠出機の普及状況は両者で全収穫面積、全収穫量の30%を超えハーベスタを上回っている。なお、ハーベスタによる採苗を平成8年から実施しており、平成10年産においては植付けの約2割の種苗を供給し、調苗作業の省力化を進めている。
 喜界島の平成10年産のハーベスタ稼動台数は11台で、全収穫面積の25.3%、全収穫量の23.7%を占め、営農集団を中心に増加傾向にある。ハーベスタ以外では脱葉機と搬出機がよく使われており、この両者を使って全収穫面積の49.5%、全収穫量の50.4%の脱葉・搬出作業が行われている。

種子島
(単位:台)
年産 ハーベスタ  刈取機   脱葉機  脱葉搬出機  搬出機   運搬車 
平成6 17 1 363 81
7 29 1 370 80 11
8 41 2 349 77 2
9 44 347 77
10 43 351 74
出典:鹿児島県農政部農産課発行「さとうきび及び甘しゃ糖生産実績」より

奄美大島
(単位:台)
年産 ハーベスタ  刈取機   脱葉機  脱葉搬出機  搬出機   運搬車 
平成6 1 1 127 1 77 2
7 2 1 133 2 82 1
8 4 1 125 2 79 1
9 7 2 119 2 78 1
10 8 1 119 2 74
出典:同上

喜界島
(単位:台)
年産 ハーベスタ  刈取機   脱葉機  脱葉搬出機  搬出機   運搬車 
平成6 4 8 496 7 487
7 6 61 490 4 494
8 9 6 484 5 507
9 9 5 479 4
10 11 2 443 5 479 7
出典:同上

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関門出張所



○家庭における砂糖に関するアンケートについて

 家庭における糖種別消費状況、購入先、特売の利用状況、子供の砂糖摂取に対する親の意識等の実態を把握し今後の情報業務の参考に資するため、昨年9月〜11月に西日本製糖(株)の工場見学に参加した小学生の家庭を対象に、砂糖に関するアンケート(別表)を実施したので、その結果を紹介する。なお、アンケートの回答状況は、499世帯に対して、389世帯の回答があり、回収率は78.0%であった。
 
1.家族構成について
 この質問に対しての回答は、389世帯に対して、369世帯(94.9%)の回答があり、残り20世帯は無回答であった。この結果は表1のとおり、4〜5人家族の家庭が約70%を占めていた。

表1 家族構成

人  数 回答数 構成比(%)
2人家族 6 1.6
3人家族 36 9.8
4人家族 141 38.2
5人家族 122 33.0
6人家族 42 11.4
7人以上家族 22 6.0
369 100.0

2.家庭に常備している砂糖について
 表2の結果のとおり、上白糖を常備していると回答した家庭が一番多く、次に三温糖、グラニュー糖と続き、その他の回答で、黒砂糖、きび砂糖、てんさい糖などが見られた。

表2 家庭に常備している砂糖(複数回答可)

種   類 回答数 割合(%)
上  白  糖 301 81.6
三  温  糖 229 62.1
グラニュー糖 198 53.7
角  砂  糖 31 8.4
その他の回答 44 11.9
その他の内訳 黒砂糖 11 3.0
きび糖 16 4.3
てんさい糖 4 1.1
オリゴ糖 3 0.8
パルスイート 3 0.8
氷砂糖等 7 1.9
803
(注) 割合は、 回答数369に対する割合

3.家庭での使用量の多い砂糖の用途及び年間使用量について
a.上白糖及び三温糖の用途は特に料理が多く、約8割を占めていた。
b.次に、表4の1世帯当たりの年間使用量では、使用度の一番多い上白糖でも、10kg以下が約60%を占め、さらに表5の砂糖の世帯別使用量では、全体の70%以上を占める4〜5人世帯においても、10kg以下が最も多かった。

表3 糖種別使用状況(複数回答可)
種 類 用 途 回答数 構成比(%)
上  白  糖 料理 226 76.4
お菓子 27 9.1
コーヒー・紅茶 43 14.5
その他 0 0
296 100.0
三  温  糖 料理 106 85.5
お菓子 7 5.6
コーヒー・紅茶 11 8.9
その他 0 0
124 100.0
グラニュー糖 料理 3 33.3
お菓子 3 33.3
コーヒー・紅茶 3 33.3
その他 0 0
9 100.0
角  砂  糖 料理 2 50.0
お菓子 0 0
コーヒー・紅茶 2 50.0
その他 0 0
4 100.0
その他 料理 17 65.4
お菓子 5 19.2
コーヒー・紅茶 4 15.4
その他 0 0
26 100.0
表4 糖種別使用量(複数回答可)
種 類 使用量 回答数 構成比(%)
上  白  糖 〜10kg 145 59.9
10kg〜15kg 56 23.1
15kg〜20kg 21 8.7
20kg〜25kg 8 1.7
25kg〜30kg 4 2.1
30kg〜 5 2.1
無回答 3 1.2
242 100.0
三  温  糖 〜10kg 77 63.6
10kg〜15kg 29 24.0
15kg〜20kg 7 5.8
20kg〜25kg 4 3.3
25kg〜30kg 0 0
30kg〜 0 0
無回答 4 3.3
121 100.0
グラニュー糖 〜10kg 12 70.6
10kg〜15kg 3 17.6
15kg〜20kg 0 0
20kg〜25kg 1 5.9
25kg〜30kg 0 0
30kg〜 1 5.9
無回答 1 5.9
17 100.0
角  砂  糖 〜10kg 2 100.0
10kg〜15kg 0 0
15kg〜20kg 0 0
20kg〜25kg 0 0
25kg〜30kg 0 0
30kg〜 01 0
無回答 0 0
2 100.0
その他 〜10kg 14 82.4
10kg〜15kg 2 11.8
15kg〜20kg 1 5.9
20kg〜25kg 0 0
25kg〜30kg 0 0
30kg〜 01 0
無回答 0 0
17 100.0
表5 砂糖の世帯別使用量(年間)
  2人世帯 3人世帯 4人世帯 5人世帯 6人世帯 7人以上世帯
〜10kg 4 26 105 71 21 7 234
10kg〜15kg 1 9 24 30 8 7 79
15kg〜20kg 0 1 6 12 6 2 27
20kg〜25kg 1 0 1 5 2 3 12
25kg〜30kg 0 0 0 1 1 2 4
30kg〜 0 0 0 2 3 0 5
無回答 0 0 5 1 1 1 8
6 36 141 122 42 22 369

4.使用している砂糖の購入先、特売の利用状況について
a.砂糖の購入先については表6のとおり、スーパー及び生協87.0%、贈答でもらうが10.3%、小売店が2.7%であった。
b.特売の利用状況については、表7のとおり約60%の家庭が利用していた。

表6 砂糖の購入先(複数回答可)
購 入 先 回答数 構成比(%)
小  売  店 11 2.7
スーパー及び生協 354 87.0
贈答でもらう 42 10.3
407 100.0
表7 特売の利用状況
回答内容 回答数 構成比(%)
利用する 222 60.2
利用しない 37 10.0
無回答 110 29.8
369 100.0

5.砂糖入りのお菓子を子供に与えているかと食べさせない理由について
a.砂糖入りのお菓子を子供に与えているかどうかについては表8のとおり、「よく食べさせる」が58.8%、「あまり食べさせない」は39.3%であった。

表8 お菓子を子供に与えているか

回答内容 回答数 構成比(%)
よく食べさせる 217 58.8
あまり食べさせない 145 39.3
食べさせない 1 0.3
無回答 6 1.6
369 100.0

b.次に、「あまり食べさせない」、「食べさせない」理由については表9のとおり、「虫歯になりそうだから」などの回答が多く、また、その情報源については、表10のとおり新聞・雑誌、テレビ・ラジオなどのマスコミ関係によるものが、約60%を占めていた。

表9 お菓子を食べさせない理由
回 答 内 容 回答数 構成比(%)
太りそうだから 38 21.8
虫歯になりそうだから 78 44.8
糖尿病等になりそうだから 18 10.4
そ  の 他(注) 40 23.0
174 100.0
(注)その他の理由:健康のことを考えて甘いものを好まない、骨がもろくなる、適量を超えると身体に良くない、おやつの時間がとれないなど
表10 虫歯原因の情報源
回 答 内 容 回答数 構成比(%)
テレビ・ラジオ 46 27.9
新聞及び雑誌・書籍 57 34.5
医師・歯科医 31 18.8
口コミ 19 11.5
そ の 他 (注) 12 7.3
165 100.0
(注)その他の理由:その他の理由:看護学校で習ったなど

6.農畜産業振興事業団配布の「砂糖のあれこれ〜お砂糖Q&A」について
a.事業団発行のパンフレット「砂糖のあれこれ〜お砂糖Q&A」に対しての感想は、表11のとおりであった。

表11「砂糖のあれこれ〜お砂糖Q&A」の感想

回 答 内 容 回答数 構成比(%)
参考になった 282 76.4
参考にならなかった 42 11.4
無回答 45 12.2
369 100.0

b.最後に、「砂糖のあれこれ〜お砂糖Q&A」に対しての意見は次のとおりであった。また、この冊子により消費者の砂糖に対する誤解が少しでも払拭されれば幸いである。

寄せられた感想として
・砂糖の工程等を楽しく読むことができた。
・三温糖を漂白されたものが上白糖と誤解していたが、正しいことが色々分かり安心して砂糖を食べることができる。
・簡潔にまとめられて読みやすかった。
・砂糖の効果が参考になった。
・子供の成人病の原因は砂糖だと誤解していた。
・砂糖は身体に良くない物と思い込んでいたが、色々と正しいことが理解できた。
・砂糖の大切さが分かった。
・甘いものは太るという考えを改めなければいけないと思った。

要望等について
・砂糖についての情報を生活に密着させてほしい。(袋に豆知識のようなものを印刷することなど。)
・砂糖の良さを消費者の目につくところでアピールして多くの人に知ってもらいたい。
・料理による使い分け方を知りたい。

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○さとうきびの総合利用
 ―バガスとフィルターケーキ等の有効利用の紹介―

 甘しゃ糖の製造工程で、さとうきびを圧搾した後に生じる副産物のバガスは、製糖工場の稼働燃料として有効に利用されているだけでなく、燃料用に充てた後の余ったバガスは、さとうきび搾汁糖液の洗浄濾過工程で、石灰を加えて洗浄汁と沈殿物に分離された後の沈殿物(フィルターケーキ)とともに有機肥料として有効利用されている。
 一般的には、バガスとフィルターケーキは混合されて、有機肥料としてさとうきび畑等に還元されているが、畜産が盛んな石垣島などの地域では畜産農家等とタイアップして、更にこれらに牛糞等を加えて堆肥を生産し、さとうきび作農家等に供給している。これらの肥料は地力が向上するなど施肥効果に優れており、農家から高い評価を得ている。
 また、さとうきび集中脱葉施設がある沖縄本島中南部や石垣島等の地域では、集中脱葉施設から排出されるさとうきびの葉柄を畜産農家の牛舎の敷き藁(使用後は堆肥原料)や、野菜、果樹のマルチ栽培用のマルチ(防風、保温、施肥効果)としても利用している。
 一方、特徴的なものとして伊是名島では、免疫性を高める成分が含まれるとして人気があるアガリクスタケの栽培培地としてバガス半熟堆肥を用いており、関係者によればこのバガス堆肥は好気性に優れており、アガリクスタケの生産に最も適した培地であるとのことである。
 また、沖縄本島南部の苗生産企業では、さとうきび側枝苗育苗用ポットの培地として赤土とフィルターケーキ、バガスを混合、熟成して使用しており、苗生産者によるとこの混合培地は土のみの培地に比較して、さとうきび側枝苗の発根、成長に極めて優れているとのことである。
 このように、甘しゃ糖製糖工程で生じる副産物としてのバガスやフィルターケーキ等は、ほとんど捨てられることなく燃料や肥料等として有効利用されており、省エネルギーや環境保全の観点からも優れて高い評価を得ているところである。

さとうきびの総合利用 さとうきびの総合利用

○沖縄県黒砂糖協同組合の設立

 任意団体の沖縄県黒砂糖工業会が、法人格を有する事業協同組合である「沖縄県黒砂糖協同組合」として、3月30日に沖縄県から設立認可された。
 最近の沖縄県産黒砂糖は、輸入含みつ糖や再生黒糖の増加に加え、一般消費者の需要の伸び悩み等もあり、消費量の動向が思わしくない状況にあり、沖縄県の黒砂糖製造者7社(農協)による共同販売体制の確立や新商品開発、流通・販売ルートの整備等が課題とされてきた。
 今回、法人格を持つ組合が設立されたことにより、組合関係者は共同販売体制の確立や品質の向上、消費者ニーズに即した新商品開発に向けて更に努力し、消費の拡大を図っていきたいとしている。
 なお、沖縄県黒砂糖協同組合加盟会社(農協)は、次のとおりである。
 伊平屋村農業協同組合
 栗国村農業協同組合
 宮古製糖(株) (多良間工場)
 小浜糖業(株)
 西表糖業(株)
 波照間製糖(株)
 与那国町農業協同組合

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