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地域だより[2000年9月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


地域だより
[2000年9月]
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名古屋事務所



おいしさに楽しさと夢を乗せて飴作り

 名古屋市内に飴作りを専門とするお菓子屋さんは80余りを数えるが、この度、食品産業新報社 長江龍城社長の紹介により砂糖を多く使用した手作りの飴を製造している2軒の飴工場を取材することができたので、飴作りの現場やその心意気などを紹介する。
 1軒目は、西区新道1丁目にある(株)歌舞伎飴本舗で、終戦直後新道界隈の復興と同時に飴の製造をスタートし、翌昭和21年に現社名に、今年創立54周年を迎えたという。ここで作られる飴は、金太郎飴というと良く知られていると思うが「切っても切っても同じ絵」が現れる細工飴である。社長は2代目の近藤博司氏で、創業者の先代が大の歌舞伎好きだったことから店の名前に「歌舞伎」を付けたそうである。もちろん作っている飴も歌舞伎の隈取(くまどり)を模した絵柄の飴が代表的なもので、名古屋で歌舞伎の興行が行われる「御園座(みそのざ)」の土産コーナーにはこの歌舞伎飴が販売されている。
 工場の中は、まるで蒸し風呂のようで、見学した日は夏の猛暑ではあったが更に暑く汗が吹き出るようにこぼれ落ちた。白い帽子に白い服姿の飴職人の方々が10人位忙しく動き回っておられた。
 工場の一番奥にある煙突を円く囲んだ6釜の直火鍋に飴が煮詰まっていた。飴作りはまず、1釜で20kgの飴が炊けるという鍋に砂糖(グラニュー糖)に水を加えて溶かし、水分がほとんど無くなるまで炊き上げる。職人の方は鍋の縁に砂糖が白く結晶化しないよう絶えず水を浸した布のようなもので縁を拭いている。砂糖がある程度煮詰まってくると水飴を加える。水飴の持つ吸湿性により砂糖の結晶化を防ぐため飴作りに水飴は欠かせないそうである。砂糖の配合割合は、細工飴の場合で65%、細工の無いもので80%だという。
 釜の横には大きく平らな飴冷却盤があり、炊き上がった飴は油を薄く引いた冷却盤に乗せられ、適当な硬さになるまで冷やされる。色のある飴は冷却盤の上で色素を混ぜて色を付ける。絵柄はいくつかの色の透明な飴と不透明な飴を組み合わせることにより現れるが、白色や不透明な色のものは柔らかい飴を引っ張っては伸ばすことを繰り返し、飴の中に空気を入れることにより白濁を付ける。これを引飴(ひきあめ)といい、管のようなものに飴を引っかけ手で引っ張るものと、飴引機械で引っ張るものの両方を見せてもらったが、引っ張りを繰り返すごとに飴は鮮やかな色に変わっていった。
 絵柄に合わせた数種類の色と太さの飴を重ね合わせ、最後に海苔巻きの様に外側を飴で巻く。出来上がった飴の塊は直径が40cm、長さ60cmのごろっとした巨大なものであるが、円筒状に形を整え、2人がかりで片方の端を引っ張って、直径2.2cmの細長い棒に延ばす。この間、固まらないよう絶えず熱を加えている。長さを30cmに揃え、切断機で切ると30粒もの見事な同じ絵柄の飴がばっと台の上に散らばる。見ていて思わず笑みが込み上げてくる。扇風機で風を送って飴を冷やし、1粒ずつ機械で包装する。
 この工場のグラニュー糖使用量は年間約120トンで、月当たりにすると10トンは使っているという。年間を通じての繁忙期は11月から12月で、この時期は年末・年始の買いだめもあるそうで、夏の今はどちらかというと暇な時期という。季節的には、3月のひな人形の絵柄の飴や京風ひな飴、9月の敬老の日の飴、正月用の干支飴(干支の絵柄)が挙げられる。細工飴の絵柄は注文されれば何でもできるので、限りが無く、最近ではロゴマークを入れた飴の注文も多くあり、毎月5種類から多い時で20種類の新柄が出てくるそうである。
 今までで飴の売行きがピークだったと思われるのは、昔ながらの飴からキャンディーへとファッション性が出てきた「ぺろぺろキャンディー」等の流行った昭和45年頃だという。
 近藤社長に飴作りの抱負を尋ねると、お菓子は人に楽しさと夢を提供するものであること、そして安全な菓子を作るということを常に考え、この飴を多くの子供達に食べてもらうことを願っているという。毎年5月に市内の小学校の校外学習として工場見学を受け入れているが、飴作りを実際に見た子供達は「見ていてとても楽しい。」という素直な感想や「飴は1人ではできないんだ。」という製造の大変さに対する感想などを話してくれるという。目の前できれいな飴ができる瞬間にはどの子の目もきらきらと輝き、その時が嬉しいと思う瞬間であるという。大切に作り続けてきた飴菓子に対する抱負や見学した子供達の表情を聞きながら、近藤社長の暖かい人柄が感じられた。

飴を炊き上げる直火鍋
1
飴引機械で鮮やかな色に
2
数種類の色・形の飴を揃える
3
組み合わされた飴の塊
4
ひまわりの絵柄の飴
5
直径2.2cmまで引き伸ばす
6
楽しさ一杯の細工飴
7
歌舞伎飴本舗
1 飴を炊き上げる直火鍋(飴を20kg炊ける)。右奥に見えるのが飴冷却盤
2 飴引機械により鮮やかな色に変わる。
3 絵柄に合わせて数種類の色・形の飴を揃える。
4 組み合わされた飴の塊(SAYANのロゴいり)
5 ひまわりの絵柄の飴
6 直径40cmから2.2cmまで引き伸ばす。
7 楽しさ一杯の細工飴

 もう1軒は、北区福徳町4丁目にある(株)オリエンタルで、東洋の中の日本を意識して「オリエンタル」という名前を付けたという。社長の岩澤俊一郎氏は創業者で、昭和29年から個人で起業、合名会社を経て49年に株式会社となった。はじめは、串の先に飴を刺した「フラワーキャンディー」が主体だったが、49年からは現在の高級手作り飴(昔懐かしい飴で黒飴、茶飴、べっ甲飴、ハッカ飴、豆飴、梅干飴など)を作るようになったという。ここの飴は、砂糖(グラニュー糖)の割合の多い最高級の飴といわれているが、製法・手法は岩澤社長が独自に開発、築き上げたものだそうだ。砂糖の配合を9割と可能な限り多くするため、出来上がった飴を床に落とすと粉々にぱっと割れるという。
 こちらの工場も中は茹だるような暑さで、飴作りは大変きつい仕事だと身をもって感じた。工場の一番奥に釜があり、柄杓状の鍋で炊きあげる飴の量は多くても7kgまでで砂糖の配合が多いものは5kgが限度という。直火炊きの飴はおいしいといわれているが、これは砂糖の融点(180度)と関係があり、直火だと高温で十分に炊き上げることができるという。鍋のすぐ横に冷却盤があり、ちょうど黒飴が適当な温度になるまで冷やされていた。黒飴の場合は黒砂糖を入れるため砂糖の割合は7割という。作る飴は空気を入れない透明度のある飴で、飴の塊から引っ張って直径2cm程度の棒状に延ばし、長さ30cmに揃え、これを4本、溝が20以上ある手押飴玉切断機に平行に乗せ、蓋で押さえながら2〜3回スライドさせると飴が切れて丸い飴玉ができあがり、ぱっと台の上に散らばる。扇風機で冷やし、底に乾燥剤を入れた袋に飴を1つずつ入れて封をし、きれいなひもで袋を結わえて出来上がりである。
 この工場では、年間約40トンのグラニュー糖を使用、月当たりにすると3,500kg使っているという。年間通じての緊忙期はここでも11月から12月という。これまでで最も売れた時期は昭和50年代前半ではないかという。出荷先は、主体である百貨店向けが約6割、他は小売店向けであるという。砂糖をたくさん使い、直火鍋でじっくり炊き上げたどこを捜しても無い飴を作っているという自負があり、また、それが認められた結果、百貨店などで扱ってもらえる商品になったという。
 岩澤社長は飴作りの抱負として、自分が築き上げた飴の製法・手法を生かして飴作りをいつまでも続けたいと話してくれた。飴にはおいしさに楽しさが加わり人の心を癒す力があるという。今まで、肥り過ぎや糖尿病など甘いものが体に悪いという間違った風評に対しきっぱりと否定し、文献などの裏付けのもと、糖分は脳にとって欠かせないものであることを機会あるごとに説明してきたという。砂糖の消費はこのような信念に基づいた地道なPRにより支えられてきたのであり、また、こういうことがこれからの砂糖の需要拡大に重要な力となるのではないかと思った。

飴を炊き上げる直火鍋
1
飴引機械で鮮やかな色に
2
数種類の色・形の飴を揃える
3
オリエンタル
1 柄杓形の直火鍋。釜の温度は1,000度に達するという。
2 黒飴の塊から棒状に引き伸ばし、左手の手押飴玉切断機で飴玉となる。
3 様々な種類の飴
  〜黒飴、茶飴、べっ甲飴、ニッキ飴、ハッカ飴、梅じそ飴、落花飴、豆平糖〜

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お菓子のおかしな話 〜大阪市消費者センターくらしの連続講座〜

 7月4日(火)、6日(木)、14日(金)の3日間、大阪市中央区船場中央にある大阪市消費者センター他において、同センター主催による「くらしの連続講座 お菓子の歴史と秘密〜お菓子のおかしな話〜」が開催された。
 同センターでは、消費者向けに様々な講座を開催しているが、今回は現代の食生活に関わりが深いお菓子に注目し、その歴史や効果に関する講演、製造過程の見学、事業者との懇談等を通じ、お菓子について詳しく学ぶ目的で講座が開催され、約50名の消費者が参加した。
 講座の具体的な内容は、下表のとおりである。

月 日 内 容 講 師 時 間
7月4日(火) お菓子の歴史 中小企業診断士
南山 豊 氏
午後1時30分〜
午後3時30分
7月6日(木) グリコピア神戸の見学 午後0時〜
午後5時30分
7月14日(金) 甘味の話 精糖工業会事務局長
三木 健 氏
午後1時30分〜
午後2時45分
事業者懇談会 江崎グリコ(株)お客様相談室長
寺本 龍平 氏
午後3時〜
午後4時

三木健氏の講演
精糖工業会事務局長 三木 健氏の講演
 このうち、精糖工業会の三木事務局長による「甘味の話」と題した講演は、甘味と砂糖に関する基礎知識について行われた。
 同講演の内容は砂糖の由来、製法、特性や砂糖以外の甘味料等、砂糖の歴史から現代における話題まで、お砂糖の専門家ならではの広範囲にわたるもので、スライドを交えながら60分間にわたって行われた。
 また講演の中で「ノンカロリー」、「ノンシュガー」、「砂糖不使用」等、最近よく見られる甘味に関連する表示の意味についても触れ、「『砂糖不使用』イコール『ノンカロリー』ではない」ことなどが、消費者に分かりやすく解説されていた。
 なお、同講演用の資料の一部として、事業団の助成事業の一環として製作された「お砂糖一番BOOK」、「脳一番BOOK」、「朝一番BOOK」(いずれも砂糖を科学する会発行)が配布された。
 三木氏による講演のほか、「日本のお菓子の歴史」、「世界の洋菓子」、「駄菓子」などについての南山氏による講演、お菓子に関する消費者からの質問に答える形で「お菓子の役割」、「甘さのもとと効用」、「お菓子の食べ方の注意」などについて行われた寺本氏による講演など、いずれのプログラムも受講者にとって興味深い内容の講座であった。
 同センターの担当者によれば、「お菓子は日常の食生活に関わりが深く、誰でもある程度の知識は持っていると思うが、今回の講座を通じて、参加者にはより深い認識を持ってもらえたと思う。食生活に関連するテーマについては、今後も取り上げていきたい」とのことであった。
 砂糖、お菓子に関して、科学的な見方による正しい情報を伝えるこのような場が、今後も数多く開かれることを望みたい。


近畿地区における白双糖・中双糖の販売実績について

 近畿地区における上白糖、グラニュー糖の販売数量は全国の約2割だが、白双糖・中双糖は約3割を占め、全国で最も多いのが特徴的である。当事務所では砂糖の需要動向等を把握するうえでの参考に資するため、昭和63年から平成9年度にかけての近畿地区における白双糖・中双糖の販売数量についてとりまとめたのでその概要を報告したい。
 近畿地区における白双糖の販売数量は、平成2年度の16,363トンから平成9年度には12,709トンとなり22.3%と大幅に減少しており、全国においても平成3年度の53,223トンから平成9年度には、44,700トンとなり16.0%と大幅に減少している。また同地区における中双糖の販売数量は、平成元年度の15,727トンから平成9年度の13,044トンと17.1%の大幅な減少で、全国でも昭和63年度の57,562トンから平成9年度の50,996トンと11.4%の大幅な減少となっている。減少の割合が中双糖に比べて白双糖が大きいが、主要な需要先が中双糖においては佃煮メーカー、煮物メーカー等広範囲に及んでいるが、白双糖においては老舗といわれる高級菓子メーカーを中心とする限られた範囲となっており、特に最近は高級菓子の市場が縮小する傾向がみられるといわれている。
 近畿地区には高級菓子メーカー、佃煮メーカー、煮物メーカー等の大手メーカーが多いことや、個人消費においては、大阪湾から播磨灘沿岸一帯にかけてみられる早春の風物詩といわれる「くぎ煮」の製造が白双糖と中双糖を使って一般家庭でも盛んに行われるが、この季節を迎えると白双糖と中双糖の需要量は急激な増加をみせる等この地区ならではの需要変動がみられる。
 近年砂糖の需要量は、長引く不況や加糖調製品の輸入増勢、また、消費者にみられる甘味離れ等の要因から減少傾向となっているが、白双糖、中双糖の需要量についても同様に減少傾向となっている。白双糖、中双糖の販売先についてみると、取引相手先が特定用途として限られている関係もあって、上白糖やグラニュー糖のような大きなシェアを持たないことから市場の影響を直接受けやすいといわれている。

白双糖・中双糖の販売数量

単位:トン、%
年 度 全   国 うち近畿地区 対 全 国 比
糖 種 別 合 計 糖 種 別 合 計 糖 種 別 合 計
白双糖 中双糖 白双糖 中双糖 白双糖 中双糖
数 量 数 量 数 量 数 量 数 量 数 量 数 量 数 量 数 量
昭和63年 51,052 57,562 108,614 15,519 15,232 30,751 30.4 26.5 28.3
平成元年 52,660 57,133 109,793 16,303 15,727 32,030 31.0 27.5 29.2
2  52,914 54,606 107,520 16,363 14,162 30,525 30.9 25.9 28.4
3  53,223 54,909 108,132 16,288 14,346 30,634 30.6 26.1 28.3
4  53,153 54,857 108,010 16,105 14,280 30,385 30.3 26.0 28.1
5  51,368 52,955 104,323 14,975 13,810 28,785 29.2 26.1 27.6
6  48,684 53,351 102,035 14,415 13,208 27,623 29.6 24.8 27.1
7  46,949 52,002 98,951 12,859 13,370 26,229 27.4 25.7 26.5
8  47,390 54,010 101,400 13,395 14,610 28,005 28.3 27.1 27.6
9  44,700 50,996 95,696 12,709 13,044 25,753 28.4 25.6 26.9
注)出典は精糖工業会「砂糖統計年鑑」

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鹿児島県南西諸島における認定農業者数

 鹿児島県農政部は、同部が作成した「県農業・農村ビジョン」の中で2001年12月末の鹿児島県における認定農業者数の確保目標を設定している。
 認定農業者とは、平成5年に制定された農業経営基盤強化促進法に基づいて、効率的で安定した魅力ある農業経営を目指す農業者が自ら作成する5年後の経営目標を示した農業改善計画を市町村から認定された者で、今後、農業を職業として選択していこうとする意欲ある人であれば性別、専・兼業の別、経営規模の大小などを問わず認定の対象となっている。また、認定農業者に対する支援措置として、農業委員会による農用地の利用集積の支援、税制上の特例及びスーパー総合資金等の制度資金の融通などがある。
 表は鹿児島県農政部が発表している認定農業者数を、当事務所が鹿児島県南西諸島分(屋久島を除く。以下同じ)を抜粋し整理したものである。鹿児島県南西諸島の2000年3月末の達成率は、鹿児島県平均の75%には及ばないものの、同諸島はこの年大きく伸びており、この時点で既に2001年12月末の目標を達成した町村もある。今後、同諸島ではこの地域の市町村等関係機関・団体の農政担当者や農業改良普及員を中心に候補者の掘り起こしを進め2001年12月末にはすべての地域で目標を達成したいとしている。

鹿児島県南西諸島の認定農業者数

単位:人(経営体)
  1999年
3月末
2000年3月末 対前年
増加数
2001年
12月末目標
目標達成率
(%)
   さとうきび
西之表市 78 104 6 26 144 72.2
中種子市 71 82 10 11 112 73.2
南種子市 44 57 3 13 104 54.8
名 瀬 市 3 15 1 12 30 50.0
大 和 村 3 3 0 0 6 50.0
宇 検 村 5 5 1 0 5 100.0
瀬戸内町 11 15 0 4 14 107.1
住 用 村 2 3 1 1 4 75.0
龍 郷 町 1 4 1 3 8 50.0
笠 利 町 25 34 10 9 52 65.4
喜 界 町 58 88 38 30 85 103.5
徳之島町 36 54 11 18 60 90.0
天 城 町 28 65 9 37 138 47.1
伊 仙 町 39 60 21 21 60 100.0
和 泊 町 137 161 7 24 263 61.2
知 名 町 94 142 2 48 210 67.6
与 論 町 43 60 0 17 60 100.0
管 内 計 678 952 121 274 1,355 70.3
注) さとうきびは専作農家
資料 鹿児島県農政部より

 認定農業者の目標数は、沖永良部島の和泊町、知名町で200名を超え、種子島の西之表市、中種子町、南種子町、徳之島の天城町でそれぞれ100名を超えている。これらの地域は農業が盛んなこともあって、耕種や畜産などの生産額を合計した農業粗生産額は鹿児島県南西諸島のトップクラスに位置している。さとうきびの栽培においても徳之島の天城町では同町の農業粗生産額の半分以上を、種子島の中種子町で3割以上を占めている。また、西之表市、南種子町、和泊町、知名町では2割前後を占めており、いずれの地域においてもさとうきびの生産額は、それぞれの地域で農業粗生産額の上位を占めている。さとうきび以外では肉用牛の育成、花卉、芋類、野菜類などの栽培が盛んで、農家によってはさとうきびとこれらを組み合わせた複合経営が行われている。また、さとうきびは肉用牛の育成や花卉、芋類、野菜類などの栽培にも多くの影響を与えており、同地域の農業にとって、さとうきびは欠くことのできない作物となっている。
 次に、名瀬市、瀬戸内町、笠利町、喜界町、徳之島町、伊仙町、与論町の認定農業者の目標数は、いずれの市町村とも2桁となっている。笠利町、喜界町、徳之島町、伊仙町、与論町における農業粗生産額は鹿児島県南西諸島のほぼ中位に位置している。この地域のさとうきびの生産額は農業粗生産額の4割から5割を超えており、さとうきび栽培は、この地域の農業を維持していくうえで不可欠な作物であり、喜界島、徳之島、与論島においては島の経済を支えていくうえにも重要な役割を果たしている。名瀬市、瀬戸内町では認定農業者の数は比較的少ないが、たんかん、ポンカンなどの果実類の栽培や豚、肉用牛などの家畜の飼育が盛んで、さとうきびの栽培はあまり盛んではない。
 奄美大島の住用村、字検村、大和村、龍郷町の認定農業者の目標数は数人程度となっている。この地域の農業粗生産額は鹿児島県南西諸島でも低い、さとうきびは龍郷町の一部で栽培されている以外はあまり作られていないが、この地域では黒糖などさとうきびを使った特産品が見られる。

鹿児島県南西諸島における台風6、8号について

 台風6号は7月27日から28日にかけて奄美大島と沖永良部島の間の海上に停滞し、29日になってようやく奄美諸島は暴風雨域から抜けた。台風6号による風速・雨量は表のとおりである。

台風6号の風速と雨量

表単位:m/s、 mm
  種 子 島 奄 美 大 島 喜 界 島 徳 之 島 沖永良部島 与 論 島
瞬間最大風速 24.1 32.9 22.5 22.2 23.0 27.5
平均最大風速 11.9 25.2 16.0
雨  量 30.0 56.5 71.4 175.5 207.5 595.5

台風8号の風速と雨量
表単位:m/s、 mm
  種 子 島 奄 美 大 島 喜 界 島 徳 之 島 沖永良部島 与 論 島
瞬間最大風速 21.8 18.0 36.0 52.6 50.0
平均最大風速 16.4 10.5 24.7 36.9 30.0
雨  量 2.0 0.6 264.5 384.0 171.0

 台風6号は奄美大島、徳之島付近を停滞しながら通過したことから、さとうきびの被害は奄美大島、喜界島、徳之島に集中的に現れ、さとうきびの倒伏や一部に塩害、耕土の流出が見られた。種子島、沖永良部島、与論島ではほとんど被害らしいものは見られなかった。
 強い台風8号は8月7日から8日にかけて沖縄本島と与論島の間の海上をゆっくりと北上し、8日の午後になって奄美地方南部は暴風雨域から抜けた。台風8号による風速雨量は表のとおりである。
 台風8号は勢力が大きかったこともあり、種子島以外の全域で被害を受けた。奄美大島と喜界島では台風6号に続けての台風8号の襲来であったため、さとうきびへの直接の被害はあまり見られなかったものの、風が強かったことにより、これからのさとうきびの生育阻害や塩害などが心配される。徳之島、沖永良部島、与論島では、ほとんどのさとうきびに葉部裂傷や蔗茎折損などの被害に加えて、一部には塩害なども懸念されているため、これからのさとうきびの生育に影響を与えるものと思われる。

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沖縄県におけるさとうきび収穫機械稼働状況

 さとうきびの生産性向上、コスト低減を図るうえで、(1)担い手への農地利用集積による経営規模の拡大と農作業受委託の推進及び(2)地域の事情に即した機械化一貫体系の確立に向けた機械・施設の導入が、重要な課題となっている。
 最近の沖縄県における農地の利用集積については、本誌7月号で概要を紹介したところであるが、ここ最近のさとうきび収穫機械稼働状況は、総収穫面積に占める機械収穫面積の割合(元 砂糖年度(SY):11%→11SY:30%)及び総収穫量に占める機械収穫量の割合(元 SY:10%→11SY:29%)がともに増加する状況となっている(表1)。

表1 さとうきびの収穫機械稼働状況の推移

沖縄県農林水産部資料 (単位 面積:ha、収量:トン、 比率:%)
表1 さとうきびの収穫機械稼働状況の推移

参考 ハーベスタの分類
沖縄県農林水産部資料
  機 関 出 力 総 重 量 畦幅の条件
大  型 230馬力以上 10トン以上 150cm以上
中  型 130〜230馬力 10トン未満 140cm以上
小  型 80〜130馬力 8トン以下 130cm以上
小型(粗脱葉) 80馬力未満 6トン以下 120cm以上

 機械収穫率を地域ごとに見た場合、沖縄本島の中部及び南部は増加傾向にあるものの、やや低い状況となっており、この地域において小規模経営農家が多いこともその一因と考えられている。一方、大規模経営農家が多い南北大東島はハーベスタ導入時期が早く、元SYの機械収穫率が南大東島で90%、北大東島で74%と既に高い水準となっており、ここ数年は南北大東島がともにハーベスタによる収穫が、100%近い率となっている。また、石垣島は5〜6年前から機械収穫率が上昇し、ハーベスタでの収穫がここ数年50%を超える状況となっている。
 収穫面積及び農家戸数が少なく、1戸当たりの面積が比較的大きな伊平屋島は、早くからドラム脱葉機等の機械稼働が高く、ここ数年はハーベスタ稼働率が高まり、11SYはほぼ全量がハーベスタでの収穫となっている。一方、島の規模が小さい粟国島はここ数年、刈取機やドラム脱葉機等の稼働率が高い状況となっている(表2)。

表2 地区別さとうきび機械収穫率の推移

(単位:%) (単位:ha、 戸)
表2 地区別さとうきび機械収穫率の推移

 稼働している機械、機種の推移を見た場合、年々刈取機やドラム脱葉機等から収穫能力の高いハーベスタへと移行しており、元SYに337台稼働していた刈取機や脱葉機等は、11SYには74台に減少し、元SYに38台であったハーベスタは11SYには184台まで増加している(表1)。
 また、大型ハーベスタは4SY以降増加がとどまり、これに代わる形で収穫能力は大型に劣るものの、大型に比べて小回りが利くなど機動性に優れ、比較的に小規模なほ場にも適した、中型及び小型ハーベスタが増加する状況となっている(表3・表4)。

大型ハーベスタによる収穫作業   大型ハーベスタによる収穫作業
大型ハーベスタによる収穫作業

表3 ハーベスタ稼働状況(台数)及び収穫面積の推移
(単位:台、ha)
  元 SY 4 SY 7 SY 10 SY 11 SY
台 数 面 積 台 数 面 積 台 数 面 積 台 数 面 積 台 数 面 積
大  型 27 1,320 38 1,984 36 2,185 36 2,100 36 2,018
中  型 11 97 41 374 93 1,577 104 1,861 113 1,605
小  型 0 0 7 61 12 52 21 172 35 278

表4 収穫機1台当たりの稼働状況
(単位:ha、トン)
  9 SY 10SY 11SY
台 数 面 積 収穫量 台 数 面 積 収穫量 台 数 面 積 収穫量
ハーベスタ 大 型 36 52.1 2,799 36 58.3 3,297 36 56.1 4,192
中 型 107 16.4 907 104 17.9 1,067 113 14.2 870
小 型 22 5.4 267 21 8.2 501 35 7.9 427
刈 取 機 18 3.5 230 15 5.1 255 12 6.2 368
脱 葉 機 ドラム 90 1.8 107 93 1.4 87 46 2.2 129
中脱機 15 0.7 43 9 1.0 70 6 0.6 44
その他 18 1.4 93 13 1.4 107 10 1.4 102
合  計 306 13.1 718 291 15.0 951 258 15.9 1,068

 しかし、11SYは収穫期に過去にもあまり見ない長雨が続き、収穫のほとんどをハーベスタによっている南北大東島やハーベスタでの収穫率が50%を超える石垣島は、雨でほ場がぬかるみ10トン程度の重量があるハーベスタがほ場に入ることができない日が多かったことから収穫が遅れ、製糖が10日から1ヵ月程度遅れることとなった。
 このため、雨天時の対応が課題であり、ハーベスタの軽量化や仕様変更(タイヤからクローラへの変更等)の他、小型ハーベスタや全茎刈取機等の軽量収穫期に適合した栽培・収穫体系が沖縄県等において検討されている。具体的には、早期高熱性品種を密植栽培し、収穫時期を早めて通常より茎長が短い状態で収穫する方法が検討されており、この方法によれば比較的降雨の少ない時期に収穫が可能となり、かつ、出力の小さな軽量収穫機においても充分適応できるものと考えられている。また、早期収穫が可能となった場合、収穫後の春植えや株出しなど栽培管理の面からも有益であるものと考えられている。
 さとうきび作をとりまく環境は、従事者の高齢化や労働力不足等から収穫面積及び生産量が減少傾向にあるなど厳しい状況となっている。このため、さとうきびの生産振興を図るうえで、収穫作業の機械化の促進が重要な課題となっている。さとうきび農業の状況や機械化の進展の度合いは、地域によってまちまちであるが、今後は集中脱葉施設と連携した刈取搬出型収穫機械体系の導入や、小・中型ハーベスタ体系の導入、あるいはこれらを組み合わせた体系の導入など、地域の実情に即した機械化体系の導入・促進が望まれているところである。

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