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地域だより[2001年5月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2001年5月]



札幌事務所



「シュガークラフト作品展」が札幌で開催
〜札幌に咲いた甘いアート〜

シュガーケーキと入場者
シュガーケーキと入場者
 4月5日(月から10日(火)まで、札幌市中央区の東急百貨店において、「シュガークラフト作品展」が開催された。この作品展は、10年、11年に続く3回目で、今回の来場者数は、6日間で1,000人を超えた。来場者は、砂糖の甘い香りのなか、本物と見紛うほど精巧にできている花々に見入っていた。
 シュガークラフトは、砂糖を材料にケーキの装飾を精巧・細密に作る工芸で、19世紀の英国で生まれた。当時は、貴重な砂糖を使った特別な祝祭のための豪華なものであり、王族・貴族たちの権力の象徴でもあった。
 今日では、誕生日などの記念日、結婚などのお祝い事のためのケーキの装飾のほか小物など様々なものが作られるようになっている。
 今回の作品展においては、ケーキの装飾として、バラ、スズラン、ユリ、スイートピー、ガーベラ、ポインセチアなどの花々、そして、ウエディングドレスのミニチュア、幼児用の靴など、どれも繊細な上に美しく、優雅さを秘めた見事な出来栄えのものが出品されていた。
 この作品展を開催したのは、北海道では数少ないシュガーアート教室を主宰している札幌出身・在住の穴田美佳子さんで、出品したのは、穴田さんと教室の生徒さんたちである。穴田さんによると、シュガークラフトの繊細な技術を紹介するとともに、その美しさ・楽しさを市民に知ってもらいたく開催したとのことであった。
 なお、材料の砂糖は、粉糖であるが、洋菓子店などで一般的に使われている固結防止のためコーンスターチを混入しているものとは違って、100%砂糖で装飾用であれば半永久的に保存でき、東京の精製糖メーカーから取り寄せているとのことであった。
 シュガークラフトは北海道においては、砂糖生産の現場であるにもかかわらず、まだまだ知られていない。これからもこうした作品展のような機会がもたれ、また、シュガークラフトを実際にやってみようと思う人が増えれば、砂糖消費の拡大につながってくるものと思われる。

シュガーデコレーション シュガードール
シュガーデコレーション シュガードール

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第26回国際食料・飲料展 (FOODEX JAPAN 2001) の開催

FOODEX JAPAN 2001  3月13日(火)から16日(金)の4日間、千葉市美浜区の幕張メッセにおいて第26回「国際食料・飲料展 (FOODEX JAPAN 2001)」(主催 : 日本能率協会等) が開催された。今回は、「“食” が担う地球の新世紀 − “食” の楽しさ再発見」をメインテーマに、国内展示ゾーンと海外展示ゾーンに国内企業617社、海外67ヵ国2地域から1,704社が出展し、4日間で9万人を超える入場者でにぎわった。会場は、「ヘルシーフードコーナー」、「FOODEX ORGANIC 21」、「日本の味 全国食品博」などのコーナーごとに展示内容を分類するなど来場者に分かりやすいように工夫が凝らされていた。
 特に、「FOODEX ORGANIC 21」のコーナーでは、約40社が出展し、オーガニック認証済み食品 (生鮮・原料・加工品) をはじめ、無・低減農薬栽培や自然栽培された素材・原料などが展示されていた。また、2000年6月10日に施行された改正 JAS 法や海外のオーガニックに関する情報コーナーが設置され、パネルやパンフレットで「有機 JAS 認定制度」について紹介されていた。
FOODEX JAPAN 2001  このコーナーには多くの来場者が詰めかけており、安心・安全な商品に対する消費者のニーズに企業関係者も高い関心を寄せているようであった。
 これまで、有機農産物の表示については、1992年に制定された「有機農産物等表示に関わるガイドライン」により表示の適正化が図られてきた。しかし、同ガイドラインは強制力を持たないため、有機肥料を使っているだけで「有機」表示するなど生産者によってマチマチであった。このため、一般消費者、生産者の双方から、より厳密に「有機」かどうかがわかる仕組みを求める声が高まったことから、農林水産省では、改正 JAS 法のもと、有機農産物及び有機農産物加工食品の JAS 規格を定め、農林水産大臣から認可を受けた登録認定機関 (第三者認証機関) が、農家などの生産行程管理者・製造業者・小分け業者・輸入業者を認定し、認定された生産行程管理者等が自ら格付 (その製品が JAS 規格に適合しているかどうかを検査し、判定すること) し、有機 JAS マークを貼付することとした。輸入農産物等の「有機」表示も国内産のものと同様表示規制の対象となり、「有機」表示のある輸入農産物等は、外国生産行程管理者・認定輸入業者が貼付する有機 JAS マークが貼付されていない場合は、「有機」表示を除去しない限り、販売することができなくなった。この表示規制は2001年4月1日から適用されている。
 オーガニック食品が注目される中、国際食料・飲料展においても昨年はオーガニックシュガーが出展されていたが、今回は黒糖などが出展されているのみであった。




菓子処・北陸 〜石川県〜

 安土桃山時代以降の北陸地方は、入府した加賀藩藩祖前田利家が、茶の湯に熱心であり、まわりの武家もこれに影響を受けた。また、武家たちの熱心な誘いに多くの茶人が金沢を訪れ、侘わび茶のたしなみを伝えた。これを追うように菓子屋も金沢に進出し (実際に利家に従った菓子屋があった)、これ以降、北陸は金沢を中心に茶の湯とともに菓子も大きく発展したため、菓子処の多い地域となった。中でも石川県は「菓子処」として全国的に有名であり、県民、観光客に対して、菓子に関する各種情報の発信や菓子作りの場を提供している。
 石川県における菓子製造事業者数を全国と比較してみると、平成11年に全国で菓子製造組合に加盟している22,400社のうち、同県菓子工業組合に加盟している事業者数は534社である。人口1万人当たりの事業者数に換算すると、全国平均が1.78社であるのに対し、石川県は4.53社であり、全国平均の約2.5倍となっている。(北陸3県の平均は、4.03社)
 また、同県は10年に菓子文化会館を設立するなど、江戸時代から伝承されてきた菓子処の技を後人に引き継ぐための養成を行う工夫も凝らしている。
 甘味離れが懸念される中で、県内だけでなく他地域にわたって高い評価を得ている菓子は幾つかある。一般的に、和菓子といえば特に金沢市が有名であるが、今回、郊外で高い評価を受けている菓子を訪ねてみたので、当該地域で催される春祭りと併せて紹介する。

名古屋管内の菓子製造組合加盟数等
  加 盟 数 人口(万人) 1万人当たり
愛知県 1,136 687 1.65
岐阜県 566 210 2.69
三重県 613 184 3.33
東海計 2,315 2.14 3.33
石川県 534 118 4.53
福井県 327 83 3.95
富山県 399 112 3.55
北陸計 1,260 313 4.03
全国計 22,400 12,557 1.78
(注) 菓子製造業者の加盟数は、各県直近のものを使用した。人口は、平成7年国勢調査による。

小松市「月よみ山路」
 この蒸し羊かんは、嘉永5年、小松の近くにある那谷寺の門前で商われていた羊かんに始まるとのことであるが、昭和7年、9年の小松の大火で詳しい資料は消失したため詳細は明らかでないが、現在の形になったのは戦後になってからのようだ。
 原材料は国内産の小豆、栗、葛、白双糖のみを使っているが、羊かんのほとんどが栗で占められていることから、安定した品質の栗を調達することに最も気を使うという。竹の皮に栗を並べあんでくるみ、手で形を整えて包んだ状態で蒸し上げる。ほとんどが4人の手作業で行われるため、安定した品質を維持するためには、1人で作れる数は1日に800本が限度であるとのこと。

山中町「娘娘 (にゃあにゃあ) まんじゅう」
 山中温泉で温泉宿のお茶請けとして出していたため、もともとは名前もなかったが、おみやげとして持ち帰りたいという声が多くなったことから、40年くらい前から販売するようになった。
 まんじゅうの名前の由来は、加賀言葉で若い娘さんを「にゃあにゃ」と呼ぶことから、この名前を付けたという。
 工場長によると、原材料は、小豆、白糖、黒糖、寒天、小麦粉であるが、創業当時から味はいっさい変えていないという話であった。
 小松市では5月13日(日)〜16日(火)のお旅祭り (春祭り) に、曳山子供歌舞伎などが催され、また、山中温泉では、温泉再興800年記念行事として、3月20日(火)から6月30日(土)まで毎日多くのイベントが催され、漆器とともに地元の特産品・銘菓が直売されるとのことである。
 このような地域の祭りなどにより各地の銘菓が、さらに全国に広まることが期待される。




落語「饅頭こわい」の饅頭ってどんなお菓子?
〜 大阪府生菓子青年クラブの「上方落語と和菓子の会」〜

 大阪府生菓子協同組合に加盟する和菓子製造業者の若手メンバーで構成する「大阪府生菓子青年クラブ」では、落語と和菓子を組み合わせた催し、「上方落語と和菓子の会」を年1回開催している。
 同クラブは、和菓子業界の発展と後継者育成を目的に昭和36年11月に創立された団体で、今年創立40周年を迎える。月1回の例会では、有機農産物、海洋深層水といった新しい食材に関する講演会や商品企画・パッケージングといった商品開発に関する勉強会等、様々な分野についての研修を行っている。また、和菓子の将来性について研究・考察し、その成果を創造・発表する会も実施するなど、和菓子業界の活性化を目指して幅広い活動を行っている。
 平成9年からはこうした活動の一環として、上方の伝統文化である落語と和菓子を融合し、それぞれの良さを引き立たせることによって、多くの人に和菓子のすばらしさを知ってもらおうという目的で年1回「上方落語と和菓子の会」を開催している。
 第4回目の昨年は、10月19日〜25日に大阪・梅田の阪神百貨店で開催された全国和菓子協会主催のイベント、「和菓子愉たのしむ展」における催事の一つとして1週間実施され、6代目笑福亭松喬 しょきょう一門の演ずる落語に多数の来場者が訪れた。
 この催しでは、来場者に落語を楽しんでもらい、同時に古典落語にちなんで同クラブが創作した和菓子を展示・販売 (販売を行ったのは、第4回目が初めて) している。
 全部で8種類用意された創作菓子は、いずれもユニークなものばかりで、古典落語の「饅頭こわい」という落語を題材にしたお菓子では、題目の「こわい」に着目し、イカスミ、黒ゴマを用いて、生地が黒く、中あんも黒という、「見た目はおどろおどろしいが、それでいておいしくヘルシーなお菓子」を作り上げ、来場者の好評を得ていたという。
 同クラブでは、今後も新しい和菓子を創作するための試みとして、こういった異文化と交流する催しを続けていきたい意向で、本年10月には第5回目の「上方落語と和菓子の会」を予定している。
 同クラブの岡本博之幹事長 ((資)駿河屋 社長室長) によれば、「『大阪名物のお菓子』 といえば昔ながらの粟おこしがあるが、最近はそれに並ぶ強力な名物菓子が出現していない。当クラブでは、『上方落語と和菓子の会』 などを通じて新しい和菓子のヒントをつかみ、いずれは大阪を代表する和菓子を考案できればと思っている。将来を見据えながら、こういった活動によって業界の活性化を図っていきたい」とのことであった。
 上方落語という伝統文化と和菓子が結びついた新しい和菓子が「大阪名物」として店頭に並ぶ姿が、現実のものとなる日が来ることを期待したい。

「千両みかん」の和菓子 「饅頭こわい」の和菓子販売風景
「千両みかん」の和菓子(千両あかん) 「饅頭こわい」の和菓子販売風景

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神戸の食文化を楽しむイベントの開催神戸の食文化を楽しむイベントの開催

神戸の春の味覚・いかなごのくぎ煮
 神戸の春は、「いかなごのくぎ煮」の香りとともに訪れるとも言われ、毎年2月下旬頃から各港で水揚げされた新鮮な “いかなご” を砂糖 (中双糖が多い) と醤油などの調味料で煮こんだ佃煮「くぎ煮」(煮あがった姿が折れ曲がった “くぎ” のような形をしているところから、この名がついている) が各家庭で作られ、スーパーや市場の店頭を飾り、春の風物詩となっている。これに合わせて神戸21世紀・復興記念事業、神戸の食文化シリーズとして2つのイベントが開催された。

いかなごのくぎ煮コンテスト
 1つは、3月7日(水)いかなごを主人公にした、イベント「いかなごGO!GO!2001」が NPO 「輝(かがやき)たかまる」主催 (於:垂水勤労市民センター) で行われ、ここで、いかなごのくぎ煮コンテストを開催し20名が腕自慢を競い合った。材料は基本的には、取れたてのいかなご、砂糖、醤油、しょうがなどを入れて甘辛く煮詰めるが、作り方や調味料にそれぞれのこだわりがある。砂糖に関しては、中双糖を使用する人が多いが、中には三温糖の方が味がまろやかで良いと言う人もあれば、黒糖が泡立ちが少なく炊きやすいと言う人、照りを出すために、仕上げに水あめを使用する人もいた。この中から選ばれた上位10名が表彰され、うち6名が次に紹介するイベント「神戸の春を食する会」に出場し、腕前を披露することになった。この他、いかなごをイメージした詞を一般公募し、入選した詞に、曲や踊りを振り付けした「いかなご音頭」「いかなごソーラン」「くぎ煮ダンス」なども披露された。

神戸の春を食する会
 次に、3月21日(水)、28日(水)の両日、明石海峡大橋を見渡すシーサイドホテル舞子ビラで「神戸の春を食する会」が開催された。この会は、伝承料理研究家で神戸山手短期大学教授の奥村彪あや生お先生による神戸の食文化についての講演と「くぎ煮」など料理実演、ミニコンサートや食事会などが行われた。
 講演では、神戸の食材を活かしたくぎ煮の話や、蛸や鯛の甘辛煮、神戸ビーフにパンやお菓子の話など、神戸は新鮮な食材が豊富な上に、砂糖、醤油、味噌などの伝統的な調味料に、バターやスパイスが加わり、ヨーロピアン調でハイカラな味が神戸の真髄と語られた。
 当初この会は、各日とも250名の定員であったが、申込みが殺到したため、400名に拡大して開催された。食事会では、くぎ煮をはじめ神戸の食材を使用した料理が出され、参加者は春のひとときを楽しんだ。
 なお、“いかなご” の水揚げは昨年よりも今年は豊漁であり、関係者によれば中双糖の売れ行きも昨年をやや上回っている、と言われている。

K製菓でのかりんとう製造 T製菓本社工場のかりんとう製造工程
中双糖をふんだんに使う
いかなごくぎ煮腕自慢者
神戸ワインとくぎ煮を楽しむ食事会

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鹿児島県南西諸島 (屋久島を除く) のハーベスタ導入状況

 鹿児島県南西諸島 (屋久島を除く) のさとうきび作は、地域経済を支える重要な農作物であるとともに、同諸島においては、農業粗生産額の30%前後を占める地域農業の基幹作物でもある。しかし、近年、生産農家の高齢化や労働力不足などの問題がある中、鹿児島県や各島の糖業関係者の間では、コスト削減を図るため規模拡大や収穫作業の機械化など、さとうきび作の改善に向けた取り組みが積極的に行われている。その1つとして、鹿児島県農政部は国の事業を活用して、ハーベスタの計画的導入を行っている。
 この計画はハーベスタの本格的な導入がなされ平成3年から始まり、その後も農家の要望が強かったことから、7年から11年までを期間とする事業として引き継き行われることとなった。この事業は11年度で第2回目も終了したが、各島で営農集団を中心にハーベスタ導入のニーズが依然として高いことから、同県農政部は同事業を13年度以降も継続する方針としている。
 11年度までのハーベスタの導入台数は176台で、さとうきびの収穫面積に占めるハーベスタ収穫面積の割合は鹿児島県農政部農産課によると35.1%である。12年度の同割合は38%とみており、13年度の同割合は41%を目指している。
 ハーベスタの導入台数は徳之島、種子島で多く、南西諸島全体の7割近くを占めており、各島の11年度のさとうきびの収穫面積に占めるハーベスタ収穫面積の割合は、鹿児島県農政部農産課によるとそれぞれ35.4%、48.0%である。ハーベスタの台数が多い種子島の場合は、農業生産組合に加え、種子島内の市、町の農協が7年から高齢化が進む中、持続的に農業を存続させるため、農業公社を設立し、毎年のようにハーベスタを導入し、さとうきび収穫作業の効率化を図ってきたためと言われている。
 機種別では種子島、沖永良部島で全量小型のハーベスタが占めているように、ほとんどが小型ハーベスタとなっている。小型ハーベスタの普及率が高いのは、中型ハーベスタに比べて重圧による株出の生育に支障が少ないこと、さとうきび畑の畝幅が小型ハーベスタに概ね適合しており、性能が年ごとに改良されてきていることなどがあげられている。
 なお、12年度に導入したハーベスタはすべて小型で、また、13年度に導入を予定しているハーベスタも小型だけとなっている。

ハーベスタ導入状況 (補助事業導入分)
(単位:台)
市町村名 年度別導入状況 機種内訳   年度別導入状況
3〜8 9 10 11 合 計 中 型 小 型 12 13 (予定)
西之表市 11 0 1 2 14 0 14 1  
中種子町 18 3 1 4 26 0 26 1
南種子町 8 0 2 1 11 0 11 2
種子島計 37 3 4 7 51 0 51 4 1
名 瀬 市 0 0 0 0 0 0 0 0  
大 和 村 0 0 0 0 0 0 0 0
龍 郷 町 1 0 0 1 2 0 2 0
笠 利 町 3 2 1 0 6 3 3 0
宇 検 村 0 1 0 0 1 0 1 0
瀬戸内町 0 0 0 0 0 0 0 0
住 用 村 0 0 0 0 0 0 0 0
奄美大島計 4 3 1 1 9 3 6 0 1
喜界町(島) 8 1 5 2 16 9 7 4 4
徳之島町 18 3 2 1 24 6 18 1  
天 城 町 13 5 2 3 23 2 21 3
伊 仙 町 14 3 3 2 22 4 18 3
徳之島計 45 11 7 6 69 12 57 7 8
和 泊 町 11 1 1 1 14 0 14 1  
知 名 町 11 1 1 1 14 0 14 1
沖永良部計 22 2 2 2 28 0 28 2 2
与論町(島) 3 0 0 0 3 0 3 0 1
県 計 119 20 19 18 176 24 152 17 17
(注1) 鹿児島県農政部農産課糖業係調査による。
(注2) 平成12年度のハーベスタ導入状況は鹿児島県農政部農産課糖業係での聞き取りである。
(注3) 右欄「13 (予定)」は平成13年度さとうきび生産振興計画 (案) による。>

MCH-15 Toft-3850
小型ケーンハーベスタ MCH-15(I類) 中型ケーンハーベスタ Toft-3850(III類)
資料:名瀬農業改良普及所 さとうきび大規模経営体育成マニュアルより

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画像処理等を応用した新たなトラッシュ測定法開発への取り組み

 現在、(社)沖縄県糖業振興協会によって、画像処理等を応用したトラッシュ (さとうきび原料に含まれる夾雑物:梢頭部、葉、枯死茎、蔗根、土石等) の新たな測定法の開発が進められている。
 現行のさとうきび品質取引制度は平成6砂糖年度から実施されており、甘しゃ糖製糖企業が農家からさとうきびを買い入れる際、トラッシュを除去した清浄原料の重量と清浄原料に含まれる砂糖分 (甘しゃ糖度) を基に、さとうきびの価格が決定され取引が行われている。甘しゃ糖度測定のためのサンプリングは、トラックごとに4〜7トンの原料からコアサンプラーによって5kg 程度の少量を抽出して行っている。近年は収穫の機械化が進展しハーベスタ収穫率が向上してトラッシュが増加するなど、制度導入当時と状況が大きく異なっており、現行のコアサンプラー (少量サンプル) によるトラッシュ測定方法について、当事者間で精度向上面から改善の要望が大きく、製糖企業では、手作業によるトラッシュ除去に多くの人員を必要とするため、企業のコスト低減の面からもトラッシュ測定法の改善の期待が高まっている。
 このような状況を背景に、12事業年度から同協会によって画像処理等を応用した、トラッシュ測定法開発事業が実施されている。画像処理等を応用した新たなトラッシュ測定法の大きな特徴の1つは、トラック1台ごとに 200kg程度の大量のサンプルを用いることであり、2つ目の大きな特徴はサンプルが人の手に触れることのない状態で、高精度デジタルカメラ等を用いてサンプル画像をコンピュータで画像解析を行ってトラッシュ率を測定することにある。この方法による測定法が開発、実用化された場合、トラッシュ率測定に関して測定精度のさらなる向上や省力化、低コスト化につながるものと考えられている。
 画像処理による測定法は高精度デジタルカメラで撮影した画像から、色の違いによって原料茎とトラッシュ、背景 (サンプル台) を区分し、原料茎やトラッシュ等の画像を構成する画素 (画像粒子) 数を計算してトラッシュ率を測定する方法である。原料茎の画素数を正確なものとするため、さとうきびの品種ごとに原料色フィルターを作成し (万一サンプルの品種が変更となった場合でも即時にその品種のフィルターに取り替え可能な装置を開発している)、同様に背景色フィルターを作成してコンピュータでの画像解析の精度を高める方法がとられている。
 また、原色フィルターを用いた色調のみでは区別が難しい原料茎と梢頭部や枯死茎、稚茎の識別ついては、糖分の量によって反射率が異なる性質を利用して識別できる近赤外線干渉フィルターを併用する方法がとられている。これらのフィルターを使用した場合、コンピュータ画像にはフィルターを通った原料茎のみが現れ、より精度の高い画素数の計算が行えることとなる (図1、2)。
 同協会は今年の2月から3月にかけて、石垣島製糖(株)の品質測定室で現行の品質取引制度によるコアサンプラーで抽出されたサンプルを対象に、画像処理等の実験装置を用い約300点のデータを蓄積し、現在はこれらのデータ解析を行うとともに、画像処理方法や装置の改善等について検討を行っているところである。データの解析を行うなかで、原料茎の実測重量と画像処理等による画素数との相関関係が極めて高い結果となっており、画素数をもって重量を算定することが可能であるものと考えられている。また、データ蓄積の際、ハーベスタ、手刈り無脱葉、手刈り脱葉の3種類の原料別にトラッシュを構成する梢頭部、葉、枯死茎、蔗根、病鼠害茎、土石等の割合を併せて調査しており、これらが製糖歩留り等品質に及ぼす影響や、清浄原料搾汁液と病鼠害茎等トラッシュを含んだ原料搾汁液との甘しゃ糖度の相違等について、比較検証し分析を行いたいとしている。
 同協会はさらに画像処理等によるトラッシュ測定法の研究を重ねて、トラッシュ測定の精度向上や省力化を図りたいとしている。
〔参考〕
トラッシュ画素率=(全画像画素数−背景画素数−原料画素数)÷(全画像画素数−背景画素数)>


図1 画像処理等によるトラッシュ測定実験装置のイメージ図



図2 全画像とフィルターを通した画像
デジタルカメラで撮影した全画像
1. デジタルカメラで撮影した全画像 2. 原料色フィルターを通した画像
 原料茎だけが写し出される
デジタルカメラで撮影した全画像
3. 背景色フィルターを通した画像
 背景だけが写し出される

(参考)現行の品質測定法

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