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地域だより[2001年8月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2001年8月]

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無人ヘリコプター防除試験

 無人ヘリコプターによるてん菜の病虫害防除試験が11年から、 北海道てん菜協会により実施されているが、 今年も千歳市に292aの試験ほ場が設置され、 6月22日、 第1回目の農薬散布が始まった。
 畑作農家の経営面積の拡大、 老齢化などに伴い労働条件が悪化しているなかで、 省力的かつ効率的な病害虫の防除法として、 同協会による無人ヘリコプターによる少量・高濃度の農薬を散布する技術の試験が開始された。 この方法は、 水田などでは実用化されているところもあるが、 てん菜畑ではまだ散布する農薬の効果などを試験しているところである。
 すでに農薬登録済 (農薬取締法) で一般的に使用されている農薬でも、 使用方法 (薬剤濃度等) が変わると、 改めて農薬登録が必要となるため、 現在、 試験で効果が確認された殺虫剤の1つについて登録申請中である。
 試験当日、 曇天、 微風のなか、 散布バーを取り付けた無人ヘリコプターは、 1区画80a (200m×40m) 当り僅か6、 7分で薬剤散布し、 試験は20分程度で終了した。 散布状態を確認するため試験ほ場の各所に置かれた黒色プラスティック版をチェックしたところ、 ほぼ万遍なく均一に散布されていたようである。
 今回の試験に使用した無人ヘリコプター (富士重工 RPH2型) は、 機体の全長4.1m、 高さ1.8mのもので、 プロポと呼ばれる操縦コントロラーで遠隔操縦される。 農薬散布の場合、 農薬60kgの搭載が可能である。 今回の試験では16 l/haの散布を行っており、 同程度の農薬を満載した場合、 1回で約3.75haの散布が可能になる。
 省力化の観点からてん菜栽培において今後の実用化が期待される。

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地道な努力、 優良品種への道
〜てん菜輸入品種検定試験等現地調査〜

 7月2日(月)、 3日(火)の両日、 社団法人北海道てん菜協会の主催によるてん菜の系統適応性検定試験及び輸入品種検定試験並びに予備試験に係る現地調査が、 独立行政法人農業技術研究機構北海道農業研究センター、 道立十勝農業試験場 (以上芽室町)、 道立北見農業試験場 (訓子府町)、 日本甜菜製糖 (帯広市)、 ホクレン農業協同組合連合会 (女満別町)、 北海道糖業 (本別町) の各試験ほ場において、 行政、 研究機関、 てん菜糖業者等の参加で実施された。
 農業において品種は農家の経営を左右する重要なものであるが、 優良品種が決まるまでの苦労はあまり知られていない。 現場関係者の地道な努力により、 優良品種認定に必要な、 予備試験、 検定試験等が実施されている。
 現在北海道で栽培されているてん菜の品種は、 予備試験として、 国内育成品種は北海道農業研究センター (旧北海道農業試験場) が研究開発の後有望な品種を選定し、 輸入品種はてん菜糖業者が海外から輸入された品種を選定している。 これら予備試験で選定された品種は、 収量、 糖分、 特有の能力性質などを従来の品種と比較し優劣を判定する品種検定試験、 品質の良否、 抽苔ちゅうたい (花をつけるための薹とうが立つこと) の有無、 耐病性、 耐湿性、 栽培特性を検定する特性検定試験、 各地の気象条件や土壌条件などに対する適応性について判断する現地検定試験を経て試験結果の優秀な品種が優良品種に認定されている。
 今回の調査は、 これら予備試験及び検定試験が適切な管理・栽培が行われているか、 湿害や干ばつの影響を受けていないかについて行われたものである。 試験品種は国内育成5系統、 輸入品種9系統で、 調査したほ場は何処も適切に栽培管理されており、 生育も良好であったことから精度の高い試験が期待できる。

道立十勝農業試験場(芽室町)
道立十勝農業試験場(芽室町)
道立北見農業試験場(訓子府町)
道立北見農業試験場(訓子府町)

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県特産品・西条柿を使用した新しい菓子

 島根県は県の振興作物として西条柿の生産を各地に奨励している。 栽培面積は約600haで全国第1位であり、 生産量も年々増加傾向にある。
 一方、 全国的に菓子処として知られる島根の菓子業界では、 この地域特産品である西条柿を使用した菓子の新製品づくりにチャレンジし、 開発に成功している。 取り組んだのは島根県菓子工業組合青年部会であり、 8年より新製品開発に着手、 10年度には県の補助事業の地域資源等活用化事業を活用し、 11年3月に成果の発表会を開催するに至っている。
 従来、 菓子原料として干し柿はよく使用されていたが、 生の状態のものは変色や渋みの発生が著しいため使われることは少なかったが、 同部会では、 近年西条柿の1次加工品として開発されている生の西条柿をピューレ状にしたものや、 干し柿の乾燥時間を短くして含有水分を高く仕上げたあんぽ柿等を使用し、 西条柿の色や風味を生かした新製品を開発した。
 構想から完成まで3年の歳月を費やし、 この間、 日常の仕事が終了してから試作品を作り、 試食会、 ディスカッションを夜遅くまで何度も重ね、 その新製品をより完成した物とするために、 試食による市場調査を実施し、 消費者にどの程度受け入れられるか、 また改良点等に関して今後の開発の参考となる基礎データを集め、 分析した。 その結果を踏まえてさらに開発を重ね、 最終的に蒸し、 焼き、 流し物、 あん物の4種類の作品を完成した。 現在では3種類が製品として販売されている。 今回、 同組合の紹介によりその内の1軒 「柿あんぽ」 を販売している老舗の和菓子屋を取材した。
 「柿あんぽ」 は、 砂糖、 白あん、 あんぽ柿、 生柿のピューレを練り合わせた中身を砂糖ともち米を混ぜた牛皮で包み、 オブラートの粉末を塗したお菓子である。 試作の段階で苦労した点は、 「戻り渋」、 「色焼け」、 「柿をたくさん使わないと味がしない」、 「柿をたくさん使うとコストがかかる」、 等で試行錯誤を繰り返して現在の製品に至り、 単に柿が使ってあるだけでなく、 食べて美味しいものを作ることを心掛けたとのこと。 販売期間は季節の先取りの9月から干し柿が出る1月末までの限定販売。 創業者の社長と2代目夫婦で1個1個丁寧に作られている。 あんには、 上割あん (てぼ豆1:砂糖1)、 中割あん (てぼ豆1:砂糖0.8) 並割あん (てぼ豆1:砂糖0.6) があるが、 近頃は甘い物離れしていて並割あんを使うことが多い。 砂糖は味にクセのない白ザラを使っている。 社長さんは 「最近の若い人は、 砂糖本来の良さ、 味を知らないから砂糖離れしている」 と嘆かれておられたのが印象的であった。
 開発に当たった島根県菓子工業組合青年部会では、 ホームページも開設しており、 昨年10月に東京で開催された全国菓子工業組合連合会青年部全国大会に参加するなど、 積極的な活動を行っている。

柿あんぽ製作作業
柿あんぽ製作作業
西条柿を使用した「柿あんぽ」
西条柿を使用した「柿あんぽ」
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歴史と伝説がふれあう街に砂糖の工芸菓子を展示

 旧山陽道に沿った吉備路は、 岡山市、 総社市、 倉敷市、 山手村、 清音村、 真備町にまたがり、 大和地方と九州地方そして出雲地方と結ばれ、 それぞれ異なった文化の交流の中から、 この地方独特の新しい吉備文化を生み出したといわれている。
 このように祖先の豊かな暮らしをしのばせる貴重な文化遺産が散在している吉備路が 「桃太郎」 伝説の発祥地であり、 多くの地元の人々や観光客に親しまれている。
 この桃太郎のモデルになった吉備津彦命きびつひこのみことを奉る神社が吉備津神社であり、 年間約20万人の参拝客でにぎわいをみせている。 この神社は室町時代初期に建立されたものであり、 本殿及び拝殿は国宝に指定され、 本殿の高さは約13m、 幅約17.99m、 床面積約263.9m2 の大きさを誇っている。
 この本殿の脇に 「吉備津神社本殿」 と題し、 実物の縮尺1,000分の1の大きさで砂糖約150kgを使用した工芸菓子が展示されており、 参拝客や観光客の話題になっている。 岡山市内などからの小学生が社会科見学や遠足で同神社を訪れた際は、 神社の関係者が 「砂糖には食としての楽しみばかりでなく鑑賞する楽しみもある」 ことなどを児童に説明しているという。
砂糖で作った工芸菓子
砂糖で作った工芸菓子
 この砂糖を使用した工芸菓子は、 3年に岡山国際ホテル調理部前シェフの上村弘士氏が中心となって製作し、 吉備津神社に寄贈したものである。 上村氏はこの他に、 岡山県の著名な建築物である岡山城、 総社市備中国分寺の五重塔、 岡山市西大寺町の観音寺本殿等をモデルとした工芸菓子を製作し、 毎年年末には同ホテルのロビーに展示して、 宿泊客に鑑賞してもらい同ホテル製菓スタッフの高い製菓技術を紹介している。
  「吉備津神社本殿」 の建物には粉砂糖、 石畳には中双糖を使用し、 砂糖の種類を使い分けている他、 本殿の簾すだれにはスパゲティーの麺を使用するなど細かく丁寧に作りあげている。 また砂糖を含めた材料である食品のイメージを大切にするため、 着色は行わず、 この他にも接着剤としては、 屋根の軒下には卵白とレモンジュースを混ぜたものを使用したり、 柱には粉砂糖とゼラチンを混ぜたものを使用するなど細かい工夫が感じられる造作になっている。 また、 軒下の桟や柱の本数を本物と同一にすることと、 本殿の特徴である比翼母屋造りで作られている桧皮葺きの大屋根を壮大で優美な姿で形どった部分は非常に苦労した点で、 これらの箇所を製作する際には上村氏自身自宅で就寝後、 目を覚ましてはホテルに舞い戻って製作に没頭したことも幾度となくあったという。
 最後に、 同氏は 「砂糖には甘みを出す楽しみと工芸菓子として鑑賞する両方の楽しみがあります。 最近ダイエットブームなどによって日本では甘みを押さえたお菓子やケーキが開発され一部の消費者に好まれています。 これに対し、 外国の消費者は甘くないとお菓子ではないという考えがありますが、 外国人全部が太っている訳でもありません。 日本人も本来の食を見直して砂糖の甘味を楽しんでもらいたいですし、 それとともに工芸菓子として鑑賞する楽しみを味わって頂きたいと思います」 と熱っぽく語ってくれた。

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さとうきびバガスの効能調査結果について
〜徳之島用水農業水利事業所の取り組み〜

 九州農政局徳之島用水農業水利事業所は、 土砂流出防止対策の一貫としてさとうきびのほ場にバカス (さとうきびの絞りかす) を投入して、 土壌にどのような影響を与えるかの調査・試験を11年度から12年度まで実施した。
調査・試験方法
 この調査・試験は、 5t/10a、 10t/10aのバカスを投入した土地と全くバカスを投入しない3つの試験地を設け、 11年度には新植さとうきび、 12年度は株出しさとうきびについて土壌の変化などの調査が行われた。
調査・試験内容
 調査・試験の内容は土壌の物理特性試験 (土壌の団粒化が促進され保水力が上昇するかを検証)、 透水試験 (土壌の団粒化が促進され透水性が向上し、 表面土砂流出を軽減出来るかどうかを検証)、 堆砂量調査 (土砂量の測定)、 水質調査 (調査対象ほ場降雨濁度調査)、 糖度 (さとうきびの砂糖の割合調査)と収量 (各試験地さとうきび重量を製糖会社から聴き取り調査) など多岐にわたって行われ、 バカスがさとうきびの生育や土壌にどのような影響を及ぼすかを見たものである。
調査・試験結果
 結論として、 バカスを投入したことによる土壌への効用は、 土壌内に空隙を作り、 透水性を上昇させ、 ほ場の表面侵食を軽減し、 土砂流出防止効果があるとし、 加えて、 バカスのたい肥としての効果により、 さとうきびの増産が見込まれている。 また、 バカスの投入量は5t/10a、 10t/10aいずれも同じような効果があるされており、 投入量は経済効率性から5t/10aでも十分足りるとされている。
 しかし、 バカスを投入して1年以上経過すると、 さとうきび刈り取り作業によるハーベスタ等の重機類の往来や除草作業等のほ場管理により地表面の締まり等で、 バカスによる土砂流出の抑制の効果はなくなるという結果が出ている。
 土砂流出の抑制の効果は、 バカス投入1年目の深耕直後の裸地状態で最も効力を発揮し、 1年以上経過するとバカスの直接的な効力よりも、 さとうきびの生育などで畑面が安定化することにより土砂流出が見られなくなる効果が大きいと報告されている。 このため、 春植え、 夏植えのように新しく植え付けをするさとうきびのほ場にバカスを投入すると、 1年目から土壌は安定化し、 さとうきびの生育にも効果があると思われる。


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荒蕪地こう ぶ ち がさとうきび畑に復活
〜収穫面積確保に向けた翔南製糖鰍フ取り組み〜

 沖縄県のさとうきび収穫面積は、 農家の高齢化による耕作放棄や他作物への転換等によってここ10数年来減少して推移している。 同県全体で見た場合、 最近の2〜3年は宮古や八重山などの離島地域で作型の一部が夏植えから春植え、 株出し体系にシフトするなど、 やや増加していることもあって収穫面積の減少に歯止めがかかった状況となっているが、 本島においては依然として減少傾向が続いている (表1参照)。
 本島中南部を原料集荷区域とする翔南製糖鰍ヘ、 ここ数年来収穫面積の減少に歯止めをかけ、 少しでも多くのさとうきびを確保しようと次のような取り組みを行っている。
 即ち同社では、 毎年製糖が終了した後に、 荒蕪地となったさとうきび畑を農家の了解を受けて、 農家に代って社員が総出となって荒蕪地を耕し、 さとうきびの植付けを行っている。 この農家は生育したさとうきびを収穫するとともに、 その一部を苗用として別の近隣農家に無償で提供することとしている。
 収穫後の畑は、 この農家が引き続き株出しにより栽培を継続することとなるが、 この農家がさとうきび作を継続しない場合は、 農業委員会等を通じて後継農家を確保するなど、 継続してさとうきび畑しとて使用されるように取り組んでいる。 この苗は近隣農家の人気が高く、 また荒蕪地の地主農家が、 引き続いてさとうきびを栽培するケースが多く見受けられるようになっている。
 この様な翔南製糖鰍フ最近4年間の取り組み状況は、 表2のとおりとなっており、 12年で見た場合、 この採苗ほから翌年度に提供される苗は、 植え付け面積換算で80haから100ha程度 (植え付け面積を採苗ほの6〜7倍とした場合) となり、 翌年度の株出し面積は14ha増加することになる。
 一方、 沖縄県農林水産部ではさとうきび生 産法人育成の推進を通じて、 農地利用集積による規模拡大や遊休地、 荒蕪地の解消による収穫面積の増加を図るための取り組みを行っており、 また (社)沖縄県糖業振興協会でも、 地域ごとにさとうきび糖業者と一体となつて、 さとうきび・糖業活性化事業を通じて遊休地の解消、 収穫面積の拡大に向けた様々な取り組みを行っているところである。
 翔南製糖鰍竕ォ縄県等によるこれらの取り組みが相まって、 荒蕪地の解消に効果があがり、 収穫面積の増加につながることが期待されている。
参考:荒蕪地(こうぶち)=遊休地

表1 沖縄県のさとうきび収穫面積の推移
(単位 面積:ha、 指数:%)
 沖縄県全県本 島翔南製糖滑ヌ内
収穫面積指 数収穫面積指 数収穫面積指 数
平成3年産18,941100.08,387100.04,077100.0
8年産14,59877.15,02359.92,35157.7
10年産13,53671.54,31351.42,07851.0
11年産13,48671.24,16449.62,06750.7
12年産13,54571.54,06348.42,03950.0
(注1) 3年産における翔南製糖滑ヌ内の収穫面積は、 合併前の中部製糖、 琉球製糖及び第一製糖の合計である。
(注2) 指数は3年産の地域ごとの収穫面積を100とした場合の各年産の比率である。

荒蕪地
荒蕪地
荒蕪地風景
荒蕪地から生まれ変わったさとうきび畑での植付け風景

表2 翔南製糖鰍フ荒蕪地利用状況
 荒蕪地 (筆)苗植付ケ面積 (ha)作業延人数 (人)作業延日数 (日)
平成10年度8614.3836710
11年度6010.2537010
12年度8014.0064020
13年度春植え実績406.0037010
13年度夏植え予定 6.00  
(注) この表には、 翔南製糖鰍ェ他に委託して実施したものは含んでいない。


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