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地域だより[2002年1月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2002年1月]



札幌事務所



平成13年産てん菜の糖分

 てん菜の収穫は、10月中旬から始まり11月上旬にほとんど終了しており、工場の受入は12月中旬には終了する予定である。
 13年産のてん菜は、移植は例年より早く終わり、初期成育も順調であった。気候は全道的に、7月は雨が多かったが、8月は晴天が続き、根部の生育が旺盛であった。9月以降は寒暖差があり、糖分が十分に蓄積された。
 社団法人北海道てん菜協会のとりまとめによると、全道の平均糖分は平成13年12月10日現在で17.6%となっており、4年振りに17%台を回復し、最終的な糖分は昭和61年産の糖分取引開始以降2番目の水準になるとみられる。
 最近のてん菜の糖分は、10年産の16.6%、11年産の16.6%、12年産の15.7%と3年連続で低かった。13年産の生産に当たって、行政、糖業など関係者は、4年連続の低糖分を阻止するため、平成13年1月に 「てん菜低糖分解析検討会」 を設置し、3月末までに3回の検討会を開催して、低糖分の要因を解明するとともに、それに基づくパンフレットを作成し、各農協に配布するなど低糖分対策を講じてきた。
 13年産は、比較的天候に恵まれたこともさることながら、関係者の努力の結果、高糖分・高単収が期待されている。特に12年産に大きな被害をもたらした褐斑病に対して、適期防除の徹底が行われ、その結果、褐斑病の発生は小規模にとどまり、黒根病、そう根病等の大発生もなかった。

てん菜受入糖分の推移
年 産 昭和
61
62 62 平成
2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
糖分 (%) 17.2 16.9 17.3 17.0 16.4 17.6 17.6 18.0 15.6 17.3 17.6 17.6 16.6 16.6 15.7 17.6
(注) 13年産の17.6%は、平成13年12月10日現在の糖分。
(資料) 社団法人北海道てん菜協会

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特別展示 「お砂糖の週〜知っていますか?身近なお砂糖のこんなこと〜」 が農林水産省 「消費者の部屋」 で開催

 平成13年12月3日(月)〜7日(月)の5日間、農林水産省本館1階 「消費者の部屋」 特別展示室において、農林水産省主催による 「知っていますか?身近なお砂糖のこんなこと」 をテーマにした 『お砂糖の週』 が本年も開催された。
 今回は、「砂糖が白いのは漂白剤を使っているからである」、「砂糖は糖尿病の原因である」 といった砂糖に関する誤解を払拭するための各種ビデオの放映や資料の展示・配布を行うといった従前からの企画に加えて、大型ディスプレーを用いてテレビゲーム感覚で来場者に砂糖に関する知識を増やしてもらうゲームコーナーの設置や、先に行われた 「暮らしの中のお砂糖」 作品コンクールにおける農林水産大臣賞を初めとする各賞受賞者の絵画あるいはエッセイ等を展示するといった新たな企画も登場し、消費者に、より身近に楽しく砂糖を理解してもらおうとする主催者の努力が感じられた。
 特に砂糖によって人間関係が円滑になったことを描いたエッセイや砂糖を主人公にした物語などの受賞作品5点については、そのコピーが展示台に用意されており、多くの来場者が持ち帰っていた。
 会場を訪れた人たちからは 「黒い砂糖と白い砂糖はどう違うのですか」、あるいは 「砂糖が脳の栄養になるってどういうことですか」 といった質問が熱心に投げかけられていた。
 開催期間中2日間が雨天となったにもかかわらず総入場者数は1,226人に上り、砂糖に対する消費者の関心の高さがうかがえた。なお、12月4日には武部農林水産大臣も会場を訪れ、他の来場者とともに各展示を熱心に見学し、砂糖について高い関心を示していた。
「暮らしの中のお砂糖」作品コンクール受賞作品
「暮らしの中のお砂糖」
作品コンクール受賞作品
消費者にお砂糖の疑問を説明
消費者にお砂糖の疑問を説明
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柿ようかん 〜岐阜県〜

 日本特有の果物である柿、英語で kaki という場合はもっぱら甘柿を指しているようであり、柿の学名も Diospyros Kaki となっている。柿の原産については諸説あるが、日本では奈良時代以前から親しまれていた果物である。当時、柿といえば渋柿のことであり、甘柿は鎌倉時代に入ってから食べられるようになり、生柿と呼んで区別していたようである。
 岐阜県大垣市には、古くから伝わる菓子として、干し柿を使ったようかんがある。このようかんはあんを使わずに作られ、砂糖との関わりが特に深い。柿ようかんの生い立ちを柿羊羹本家槌谷取締役製造部長の宇佐美勝氏に伺ったので紹介する。

柿ようかんの始まり
 今回紹介する柿ようかんは、天保9年 (1838年) 槌谷右助が大垣の柿を使ってようかんを作ったのが始まりである。
 現在では、岐阜以外でも日本各地で柿を使った色々なようかんが作られている。生の渋柿から直接作るもの、干し柿から作るもの、ようかんの中に柿の実を入れるもの、甘柿から直接作るもの、あんを使うもの使わないもの等様々である。また、干し柿の呼び方もそれぞれである。
 岐阜県特産で、渋柿の最高品種と呼ばれている堂上蜂屋どうじょうはち や 柿がきの干し柿を主原料に砂糖・寒天・水を加えて加工し、半割りの竹容器に流し込んだようかんは、他に例を見ない独特なものである。

柿ようかんの製造方法
 柿ようかんの製造は、まず干し柿作りから始まる。素材となる渋柿は47軒の契約農家から仕入れ、その量は年間に約60トンになる。これを11月から1月にかけて一気に処理し、1年分の干し柿を作る。柿は用途に応じて選別し皮をむく。11月になると、毎年この作業を担当する約10名が柿の皮をむきひとつひとつ竿に吊す作業を行う。ようかんに使う干し柿は、一連の紐に12個吊され、そのまま干し柿として出荷されるものは竹竿を使って横一列に架けられる。この作業は、機械化ができずすべてを人手に頼っている。吊す前の柿の重量は1個当たり約170〜200グラムであるが、干し柿になると柿の重量は元の柿の5分の1になる。
 この1年分の干し柿をようかんの製造に合わせて加工しながら使っていく。すりつぶして裏ごししたジャム状のものを1週間程度寝かせて使用する。
 糸寒天と白双糖を溶かしたものに干し柿のジャム状のものを練り込み、竹を使った容器に流し込んで24時間放置するとできあがる。製造後直ぐに食べるよりも1ヵ月くらい経ったものが竹の風味が馴染んで美味しいようである。
 ようかんを流し込む竹は、毎年1月から2月にかけて切り出して加工する。まっすぐな孟宗竹をふたつに割り、熱湯で油を抜いて1ヵ月ほど天日で乾燥させ、ひと節ずつ切って保管する。
 宇佐美氏によると、柿ようかんは天保年間からの製造方法にこだわり、1本のようかんには約1.3個の干し柿が必要であり、原材料は砂糖、糸寒天、柿のみを使用、着色料、保存料は使っていない。ようかんの品質は柿によって決まると言っても過言ではなく原材料の中で、柿の品質に1番気を使い、こだわる部分でもある。
 味の追求及び改良について、「創業250年になるが、味は消費者の嗜好に合わせて決めていく。単純な製造方法だけに奥が深く、ひとつ山を越えるとまた山が見えてくる。これの繰り返しである」 と宇佐美氏は語っている。

柿ようかんの環境
 柿ようかんを取り巻く状況は、近年の和菓子離れが進んでいること、歳暮・中元向けが中心となってきていて販売が平準化しにくいこと、良い柿が調達しにくくなってきていること等から、以前に比べて厳しくなっているようである。
 しかし、厳しい環境の中であっても、東京、名古屋の大手百貨店に販路を求めず、地元に密着した販売を行っていることに、伝統の味を守っていく姿勢が強く感じられた。
柿の皮をむく
柿の皮をむく
夕日に輝くようかん用の柿
夕日に輝くようかん用の柿
直接消費用の柿
直接消費用の柿
次々と充填されるようかん
次々と充填されるようかん
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和菓子 Revolution

 平成13年11月7日(水)から11月13日(火)にかけて、大阪なんば高島屋において、大阪府生菓子青年クラブによる 「和菓子 Revolution」 が開催され、連日、多数の入場者が訪れた。
 大阪府生菓子青年クラブは、大阪の和菓子業界の発展と後継者育成を目的に創立された団体で、大阪府生菓子協同組合に加盟する和菓子メーカーの若手メンバーで構成されており、今年は同クラブが創立40周年を迎えることから、記念事業としてイベント 「和菓子 Revolution」 が開催されることとなった。
同イベントは、「21世紀を迎えるこれからの和菓子は、もっと進化するための革命も必要であり、和菓子を通してメッセージを送ることにより、現代人の意識の中での食文化に対する和菓子のイメージアップを図る」 ことを事業目的として企画され、「〜21世紀、日本の食文化 『和菓子』 を世界に〜」 をコンセプトに、和菓子の実演・販売、盆景菓子及び工芸菓子の展示などが行われた。
 盆景菓子は、「大阪の再発見」 という観点から、「大阪の四季」 をテーマに作成され、各季節ごとに3点ずつ計12点、工芸菓子は 「愛するものへのメッセージ」 をテーマに作成された7点がそれぞれ展示された。これらは地元和菓子メーカーの職人が創意を凝らして作成したもので、足を止めて熱心に見入る来場者の姿が数多く見受けられた。
 会場では、展示された盆景菓子・工芸菓子の最優秀作品選考のため投票用紙が配布され、投票の結果、盆景菓子では 「御堂筋の銀杏並木」 (高砂堂) が、工芸菓子では 「錦秋」 (萬寿堂) がそれぞれ第1位を獲得した (投票総数2,802通)。
 また、会場内にはカフェが併設され、「ヨーロッパのカフェで出される和菓子」 をイメージして、各メーカーから趣向を凝らした和菓子が提供された。
 このような老舗和菓子メーカーの若い力によるイベントを通して、大阪の和菓子のさらなる発展と、砂糖需要の増進が図られることを期待したい。
展示された盆景菓子
展示された盆景菓子
御堂筋の銀杏並木
御堂筋の銀杏並木
錦 秋
錦 秋
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自然からつくられた砂糖の紹介
〜 中国四国農政局 「消費者の部屋」 から 〜

 平成13年11月1日(水)から16日(金)までJR 岡山駅近くにある中国四国農政局の 「消費者の部屋」 において、『まだまだある砂糖の魅力:あなたは正しく理解していますか?』 をテーマとした砂糖の展示が行われた。
 同局の 「消費者の部屋」 で砂糖に関する展示・紹介を行うのは今回初めてであり、砂糖に対する一般消費者の正しい知識や健康との関わりなどの理解を深めるため、同農政局と当事業団が共同で企画し、業界団体、精製糖メーカー及びの協力のもとに開催された。
 会場では、さとうきびの実物やてん菜の模型、輸入・国内産原料糖等のサンプル、パネルやパンフレット、ビデオ等が展示・紹介された他、県内の総社市新本しんぽん地区で生産されるさとうきびから製造された 「とろりん黒糖」 についてのコーナーも設置され、同地区におけるさとうきびの収穫風景の写真パネルや同黒糖の実物が展示されていた。
 砂糖の知識について紹介したパネルやパンフレットのコーナーでは、会場を訪れた岡山市在住の主婦が 「砂糖は料理に欠かせない大切な甘味料ですが、最近は砂糖が肥満や糖尿病の原因になると耳にする機会がありました。今回パンフレットやパネルを拝見し、砂糖はそういった病気などとは関係がないことが分かりました。砂糖の価値をもう1度見直したいと思います」 と話していた。
 また、ビデオのコーナーでは、会社員が 「仕事で疲れている時に、黒砂糖を食べると自然と意欲が出てくる感じです。運動する前に少し砂糖をなめると体の調子が良くなり、砂糖は本当に不思議な食べ物だと実感しています。今回、ビデオ (お砂糖耳より情報局!) を見ましたが砂糖と糖尿病の因果関係はなく、糖尿病を防ぐには普段から適度な運動を心がけ、規則正しい食生活が大切だと分かりました」 と感想を述べるなど、この展示のテーマである、『まだまだある砂糖の魅力:あなたは正しく理解していますか?』 を濃淡はあるが肌で感じた来場者も多かったようである。
消費者の部屋
さとうきび (現物) で迎える消費者の部屋
「とろりん黒糖」紹介コーナー
地域特産品 「とろりん黒糖」 紹介コーナー
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かごしまG・Cサウンド
〜 サトウキビのうたが聞こえますか 〜

 鹿児島県農業農村整備情報センターと鹿児島県は、県内の小・中学生を対象にして、ふるさと鹿児島や農業農村への関心を深めることを目的に平成7年から毎年、作詞・作曲コンクール、通称 「かごしまG (グリーン)・C (クリーン) サウンド」 を行っている。
 作詞コンクールは、身近にある農業や農村を素材にして、普段の生活の中で感じたり発見したことを歌詞ではなく自由な詩で表現してもらうものであり、作曲コンクールは、あらかじめ課題詩を用意し、その詩にふさわしい曲を作ってもらうものである。
 今年度については昨年の8月から9月にかけて作品募集を行い、多数の応募作の中から入賞作品が選ばれ、10月21日(日)に優秀作品の表彰と朗読・演奏会が鹿児島市民文化ホールで開催された。
 今回の作詞コンクール小学生部門のグランプリは、「ぼくの庭のピーマン」、同中学生部門のグランプリは 「ソラマメ」 と題された作品であった。同コンクールには、鹿児島県の代表的農産物であるさとうきびを題材にした作品も寄せられており、作詞コンクール小学生部門で努力賞を受賞した鹿児島市草そ牟む田た小学校6年生の上園航大君の作品 「サトウキビ」 を紹介する。
 なお、草牟田小学校は小学生作詞部門で学校賞を受賞しており、学校をあげての熱心な取り組みが高く評価されている。
 また、中学生作曲部門の課題詩はふたつあり、ひとつは 「キャンプ」、もうひとつは 「キビ物語」 である。「キャンプ」、「キビ物語」 ともに多くの作品が寄せられ、グランプリは 「キャンプ」 に曲をつけたものが、金賞に 「キビ物語」 に曲をつけたものが選ばれた。
 なお、課題の詩を作詞した岡田哲也氏はコンクールの作詞部門審査委員長を務めた詩人である。
サトウキビ
   草牟田小学校6年 上園 航大
サトウキビ
さとうはこれから
作るけど
さとうにするのは
たいへんだ
サトウキビ
たくさんはえている
徳之島
畑はほとんど
サトウキビ
山にもはえてる
サトウキビ
おってなめたら
アメの味
店の中
黒ざとうが
たくさんだ
[作曲部門 中学生課題詩]
キビ物語
   作詞 岡田 哲也
さとうのふるさと 知ってます?
生まれは南の 島育ち
ウギと呼ばれる サトウキビ
光のシャワー あびました
風のパンチも あびました
だけどカヤでは ありません
そしてタケでも ありません
大きくなって かりとられ
汁をしぼられ 煮つめられ
黒いさとうに なるのです
固くて黒い 黒ざとう
さらさら白い 白ざとう
ふたりもともと 兄弟です
さとうだいじに してますか
ふるさとだいじに してますか
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さとうきび作と畜産、施設園芸等を取り入れた複合農家の紹介 (宮古島から)

 今回は、先月号に引き続き、宮古島からさとうきび作と畜産、施設園芸等を取り入れた宮古島下地町の寄川(よせかわ) 孝(たかし)氏と平良市の宮里(みやざと) 徳一(とくいち) 氏の複合農家を紹介する。

1. 宮古島下地町の寄川 孝氏の事例
〜さとうきび作を中心に野菜・果樹等を組み合わせて所得の向上に努める農家〜

 寄川氏はさとうきびを中心に、アロエベラ、パパイヤ、スイカを生産する畑作専業農家である。多種の作物を栽培するなかで、作業が一時的に集中しないようにさとうきびを中心に他作物との組み合わせを行っており、またパパイヤの収穫は他者に委託するなど作業時間が重複しないように工夫している。アロエベラは4月に植え付け、翌年の10月以降に収穫を行うが、比較的収穫期間が長いため一時的に作業量が増大することはないようであり、また時期的にもさとうきびや他作物と作業が競合することは少ないようである。パパイヤについては青果卸商と販売契約を結んでおり、収穫は青果卸商が適期を見計らって寄川氏に代わって行っているとのことである。スイカは夏植えさとうきびとの期間輪作で栽培しており、作付面積が1haと大きく、夏場に重いスイカを収穫する作業は骨が折れるようである。スイカの収穫期に干ばつが起こると、さとうきびへのかん水が欠かせず、収穫作業とかん水作業が重なって長時間の重労働となるようである。
 寄川氏のさとうきび作に対するこだわりは、土作りとかん水、病害虫防除と除草への徹底した取り組みに現れている。土作りは鶏糞 (ペレツト状に加工されたものを購入) や製糖工場から譲り受けたフィルターケーキ、バガスなどの有機肥料を畑に投入して地力の維持、増強に努めている。下地町は地下水が豊富なため、かん水は自身で掘った井戸水を使用してホース等を用いて行っている。病害虫防除と除草については他の作物との作業時間の割り振りを考えながら適期を逃さず行い、植え付け時の苗は害虫駆除と発芽率を高める目的から、薬剤や水に浸してから植え付けるなどの工夫をしている。
 現在は夏植え主体でさとうきび作を行っているが、今後は徐々に春植えを増やして収穫面積を増加して行きたいとしている。また収穫作業はすべて手刈りによっているが、将来は全茎式プランターや小型ハーベスタによる機械化を進め、併せて作付面積の拡大を図っていきたいとしている。
寄川 孝氏の経営規模
表1 さとうきび
さとうきび 9年産 10年産 11年産 12年産 13年産
見込み
収穫面積合計 (a) 300 220 300 230 300


夏植え (a) 300 220 300 230 250
春植え (a) 0 0 0 60 50
株出し (a) 0 0 0 0 0
生産量合計 (トン) 290 208 260 170 240
10a平均収量 (トン) 9.7 9.5 8.6 7.4 8.0
平均甘しゃ糖度 (度) 15.4 13.2 15.5 14.7  
表2 他の農作物
作 物 品 目 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度
見込み
アロエベラ 作付面積 (a) 10 10 10 10 10
生産量 (トン) 7.2 7.2 7.2 7.2 7.2
パパイヤ 作付面積 (a) 10 10 10 10 10
生産量 (トン) 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0
スイカ 作付面積 (a) 100 100 100 100 100
生産量 (トン) 30.0 30.0 30.0 30.0 30.0

2. 宮古島平良市の宮里徳一氏の事例
〜さとうきび作を中心に果樹・畜産を組み合わせて生産性の向上に努める農家〜

 宮里氏はさとうきびを中心にメロン栽培と子牛生産を営む複合農家である。メロンは2.5a のビニールハウス6棟を使用して栽培している。農協系の食品会社との契約栽培で、通常は年に2回栽培し出荷している。毎年10月に植え付けて1月初旬に収穫し、正月の需要期に出荷されるものと、4月に植え付けて7月に収穫し、お盆用として出荷されるメロンの栽培を行っている。ハウス内に点滴かん水チューブを設置して肥培管理を行っていることから、さとうきびとの作業時間の重複は比較的少ないようであるが、10月の植え付け後に台風が来た場合は、短時間でビニールの撤収を行って台風被害を最小限にくい止めるなど、一時的に作業量が多くなることもある。
 畜産は規模が小さく母屋の敷地内に牛舎があるため、さとうきびやメロンとの作業時間の競合は少ないとのことである。草地での牧草の収穫は農作業受託組織に委託して行っており、普段はこれを牛に与えているが、さとうきびの収穫期は牧草に代えて梢頭部を給餌している。甘みがあるためか母牛、子牛がともに好んで食べるようである。また、牛糞は堆肥にしてさとうきび畑へ施肥しており、さとうきび作と畜産は相乗的に良い効果をもたらしているとのことである。
 宮里氏のさとうきび作に対するこだわりは、徹底した土作りと適切なかん水などの肥培管理によって夏植えから春植え、株出しへと作型を徐々にシフトしていくことにある。これを行うことによって、単収の向上と収穫面積の拡大を図り、生産量の増加につなげたいとしている。土作りは自家の牛糞堆肥と製糖工場から譲り受けたフィルターケーキを畑に投入するとともに、夏植えの畑にはさとうきび収穫後に緑肥作物を栽培し、さとうきびの植え付け前にこれを収穫して畑に鋤き込み地力の増強を図っている。かん水は肥培管理の重要な手段として捉えており、豊富な農業用水と整備されたスプリンクラーによって、植え付け期などの適期に充分な量のかん水を行っている。春植えは夏植えと比較して7月から8月頃に襲来する台風の影響を受けやすい面もあるが、上記のような肥培管理を行うことにより、さとうきびは気象災害に対して抵抗性が増し丈夫に生育することから、今後は収穫面積の拡大に向けて春植え面積を増やしていきたいとしている。
 また、宮古島はアオドウガネやハリガネムシなどの土壌害虫が多く、株の不萌芽によって株出しが困難な地域とされているが、徹底した肥培管理と害虫の早期防除を行うことにより、株出しの萌芽性が良くなることから、今後は株出し面積の増加にも努めていきたいとしている。
宮里徳一氏の経営規模
表1 さとうきび
さとうきび 9年産 10年産 11年産 12年産 13年産
見込み
収穫面積合計 (a) 170 150 170 150 210


夏植え (a) 150 120 150 110 95
春植え (a) 20 30 20 15 95
株出し (a) 0 0 0 25 20
生産量合計 (トン) 130 103 134 139 170
10a平均収量 (トン) 7.7 6.9 7.9 9.3 8.1
平均甘しゃ糖度 (度) 14.4 14.4 13.9 13.6  
表2 他の農作物
作 物 品 目 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度
見込み
メロン 作付面積 (a) 15 15 15 5 15
生産量 (トン) 2 2 2 0.7 2
表3 畜  産
畜産 (子牛生産) 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度
見込み
飼養頭数 (繁殖めす牛) (頭) 3 3 3 3 3
出荷頭数 (子牛) (頭) 1 1 1 2 1
草地面積 (a) 40 40 40 40 40



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