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地域だより[2002年5月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2002年5月]

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札幌事務所



育苗ハウスを訪ねて

 てん菜の農作業は雪のまだ深い3月上旬、ペーパーポットの播種作業から始まる。3月下旬、北海道糖業魔フ本別製糖所の育苗ハウスを訪ねた。ここでは、高齢等により苗を作れない農家への供給用や、災害時の補植用苗を育苗している。
 ハウスは24間(約1.8m)×4.5間の大きなもので、5棟連なっている。1棟のハウスでペーパーポット660冊分9万2千本余りの苗が収容されており、およそ11ヘクタールのほ場を賄うことができる。 ペーパーポットの播種は3月上旬に行われ、それからハウスの中で40から50日育てられて、移植(定植)されるのが一般的である。
 移植栽培用の苗作りは、ペーパーポットに殺菌消毒した土と肥料を混合した育苗土を詰め、播種板を使ってペーパーポット1筒に、種を1粒ずつ播き、覆土するところから始まる。そして、播種されたペーパーポットを育苗ハウスに移して育てるのである。
播種後28日の苗
写真1 播種後28日の苗
 ペーパーポットに播種された種は、9日くらいで小さな芽を出してくる。写真1は播種後28日で、子葉が出揃ったところである。
 農家にとってはペーパーポットに土詰めし、播種するまでの作業も重労働であるので、育苗センターなど共同で機械化しているところを利用するケースが増えている。ペーパーポットは蜂の巣状に並んでおり、20列×70段=1,400本が1冊になっている。播種後の重さが、1冊あたり60キログラムにもなるので、苗の移動が大変な作業になっている。
 播種作業の後も発芽までは、播種後3日目くらいに1冊につき10リットル程の散水が必要であり、育苗期間の大きな負担となっている。その後、芽が出るまではシートを被せて、必要に応じ暖房して、夜間10℃を維持する。発芽してからは日中20℃を超えないようにして、徐々に低温に馴らしていく。3月下旬には、晴天の日中ではハウスの中では汗ばむくらいの陽気であるので、ハウス側面のビニールをはずして通気をよくし、夜間には温度が下がり過ぎないようにビニールを戻す作業が日課になっている。
 育苗のポイントは、専用の移植機に適合するように同じ大きさの苗を育てることが重要である。苗が大きくなり過ぎると移植機に詰まってしまうので、大きくなり過ぎないように成長抑制剤を使用したり、床ずらしをしたり、根切をしたりしているが、大きくなり過ぎた場合は、葉を切って調整することもある。
 こうしてできた苗は通常4月下旬から5月上旬にかけて移植が行われるが、今年は、例年になく雪解けが早いので、移植の時期も早まりそうな状況である。
育苗ハウスの内部
写真2 育苗ハウスの内部
美瑛会場
写真3 共同育苗ハウス

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東京事務所



シンポジウム「何故、和菓子は健康的なのか」
〜全国和菓子協会によるこころみ〜

 平成14年3月29日(金)、東京都新宿区の京王プラザホテル・コンコードボールルームにおいて、和菓子振興会、全国和菓子協会の共催により、「何故、和菓子は健康的なのか」 と題したシンポジウムが開催された。主催者によれば、和菓子は最近とみに健康的であると注目を集めているが、和菓子を実際に製造・販売している当事者であっても、和菓子と健康との関わりについては、抽象的な理解にとどまっているのが実情であるという。こうした中、同シンポジウムは、和菓子屋自身が和菓子の主要原料である 「小豆」 と 「砂糖」 について、栄養面での特性を科学的に理解し、自信を持って販売できるようにすることを目的に開催された。当日は、和菓子屋の店主や販売員を中心に430名程の参加があった。
シンポジウムの模様
シンポジウムの模様
 シンポジウムは、久野和菓子振興会会長、細田全国和菓子協会会長の挨拶に続き、小豆と砂糖の栄養面等における特性や砂糖に対する誤解について、拓殖大学北海道短期大学環境農学科教授の相馬暁氏と浜松医科大学名誉教授の高田明和氏に対して、全国和菓子協会専務理事の藪光生氏がインタビューする形式で行われた。
 第1部の小豆については、インタビュアーの 「小豆がなぜ健康食品なのか?」 との問い掛けに対して、相馬教授は、「小豆は良質のタンパク源であるとともに、必須アミノ酸、ビタミンB1、B2、E、葉酸、カルシウムやマグネシウム等のミネラル、最近話題のポリフェノール等をバランス良く含んだ健康的な食品であり、生活習慣病の予防には効果的である」 とコメントした。
 第2部の砂糖では、インタビュアーより 「砂糖は体に必要なエネルギー源であるにもかかわらず、悪者論があるのはなぜなのか?」 との問いについて高田名誉教授が、「砂糖を食べると太る、糖尿病になる、キレるなどの誤解があるが、砂糖は脳にとって重要な栄養源であるブドウ糖をすばやく補給できる食品であり、記憶力UPや精神を安定させる効果がある」 とコメントした。
 さらに、「日本人は、ある食品が体に良いといえばたくさんとり、体に悪いといえば全くとらないという極端な行動をとる傾向がある。どのような食品もたくさんとればよいというものではないし、全くとらなければよいというものでもない。様々な食品をバランスよくとることが重要である」 と締めくくった。
 参加者からは、「砂糖が炭水化物で、体内に入るとブドウ糖となり、ご飯や麺類と何ら違いがないことを知り、認識を新たにした」 等のコメントもあり、3時間におよぶシンポジウムは盛況理のうちに終了した。

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お菓子の市民サミットの開催
〜かわさき名産品の明日をみんなで語ろうよ〜

 3月27日(水)、川崎市・川崎商工会議所・同市観光協会連合会主催による“お菓子の市民サミット”が、同商工会議所講堂で開催された。
このサミットは川崎市内で作られたお菓子の名産品を掘り起こし、「かわさきの銘菓」 として指定・育成するとともに、川崎のイメージアップと商業や観光産業の活性化を図ることを目的に開催され、約600名の入場者で賑わった。  午後5時から開催された試食・即売コーナーには、同市内の和洋菓子店(29店)が自慢のお菓子を出展し、入場者に対しては、川崎のお菓子試食アンケート調査票、市内ガイドブック及び事業団制作のパンフレット(砂糖のあれこれ、やさしさとうれしさ、砂糖は安心な自然食品)が配布された。
 会場には、仕事帰りのOL、子供連れの主婦や婦人グループなど多数の女性がつめかけ、それぞれ各店のお菓子を試食しながら同調査票に記入し、お気に入りのお菓子を買い求めていた。
 午後6時からは主催者による基調講演とパネルディスカッションが行われた。
 基調講演では、マーケティング総合研究所の池田主席研究員が、「名産品アンケート結果と名産品づくりの課題」 と題して、昨年実施された川崎の名産品に関するアンケート調査の結果をもとに、川崎のお菓子の現状と今後の課題について述べた。この中で同研究員は、全国的に知られている銘菓や最近有名になった東京の菓子・銀座のカレーパンなどの成功事例を紹介し、今後は伝統を大切にしながらも、川崎のお菓子の独自性を追求して新しい姿での情報を発信し、イメージを刷新していくことの必要性を訴えていた。
 引き続き「明日の川崎銘菓を考える」と題したパネルディスカッションが地元和洋菓子経営者を含む5名のパネラーにより行われ、各パネラーから以下のような意見が出された。
 和菓子店経営の岩瀬代表取締役は、江戸時代の菓子文化、川崎宿場の話題等に触れ、昔から食べられてきた和菓子の主要原料である 「小豆」、「砂糖」 は栄養面でも、十分に効用があるにもかかわらず軽視されている現状を憂いていた。
 洋菓子店経営の松永取締役専務は、お菓子も満足に食べられないほど重度のアトピーに苦しむ少年との出会いをきっかけに、自ら何度も試行錯誤の結果、アトピーの人にも安心して食べられるお菓子を創り出した経験をもとに、環境・健康問題を考えて安心・安全なお菓子作りが必要であることを強調していた。
 地元でミニコミ誌を発行している庄司代表は生活者の視点から、地域のコミュ二ティ作りにおいては、生活に彩りをそえたり、ゆとりを与えてくれるお菓子は欠かせない存在であり、川崎独自のお菓子創作が必要であると述べた。
 関東一円に店舗を展開しているスーパー・マーケットの高橋加工食品部長は、スーパーにおける最近の菓子市場の傾向について、商品の少量化が進み、消費者からは美味しさへの欲求と安全・安心・健康へのこだわりが強いと述べた。また、限定商品(地方名産品、デパ地下)の必要性や商品採用のポイント等などお菓子の販売戦略についても説明した。
 最後に、機械メーカーの宇野取締役営業本部長は、札幌、東京、浜松、福岡などの全国的に有名な菓子の試作機の製作段階での苦労話や成功例を紹介し、機械を製作する場合にしても地域への思い入れや自分の感性を信じ独創性へのこだわりが必要であることを強調していた。
 最後まで熱心に聞き入っていた聴衆からは、地域の活性化を図ろうとする姿勢が感じられた。この催しを契機に今後の川崎のイメージアップが図られ全国的に有名な銘菓が育つことを願いたい。
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甘い贈り物 『おさとうのくに』 〜愛知県〜

世界一のシュガーウエディングケーキ
高さ14.2メートル
「世界一のシュガー
ウエディングケーキ」
 3月20日(水)、愛知県犬山市に日本で唯一のお菓子と砂糖だけをテーマとした施設 『おさとうのくに』 がオープンした。同施設は同市内の製菓会社が昭和61年に設立した 『お菓子の城』 に隣接して建てられた。シュガーアートを普及・発展させるための砂糖関連の施設としてはめずらしい、この施設の概要及び設立意義等を支配人の和泉達雄氏に伺ったので紹介する。
 はじめて訪れた入場者が『お菓子の城』の扉をくぐると、城のスタッフ制作による世界一高いシュガーウエディングケーキ(高さ14.2メートル)を目にする。このケーキの制作にも携わった和泉氏によると、「アイシング(糖衣 (とうい) :粉糖に水や卵白を混ぜ溶かし、お菓子、ケーキ等に塗りつけるもの)等でケーキのパーツを先に作ってから、下から順に重ねて行くが、最後に最上部を仕上げる作業は本当に怖かった」 と大規模なシュガーアート制作の苦労を語っていた。
 城の2階には、童話の一場面等をモチーフとした約150点のシュガーアートが常設展示されているほか、シュガーアートやクッキー作り等の体験型イベントコーナーもあり、親子で砂糖の世界を満喫できる施設となっている。
 『お菓子の城』の見学を終えると今回オープンした 『おさとうのくに』 へと続いている。和泉氏によると、「『おさとうのくに』 は、シュガーアートを普及・発展させるために構想されたものであるが、元々の思想は、日常何気なく使われている砂糖の良さや砂糖は食べるだけではなく創るといった楽しみがあることを伝えて行きたい」 とこれからの抱負を語ってくれた。
 現在、同施設では、3月20日(水)から5月20日(月)までの間、施設内にあるシュガーアート博覧会会場で、第1回ジャパンシュガーアートコンテストが開催されている。このコンテストはシュガーアートの発展を目的として、シュガークラフト愛好家を対象にプロ・アマを問わず自由資格で募集したとのことである。
 展示品目はテーマごとにブースが区切られ、参加のシュガーアート約280点が展示されており、展示作品のスケールと精巧な技術は思わず息をのむものがある。本コンテストの目的がシュガーアートの発展にあるため、出品は専門家のものだけでなく、子供から大人まで幅広い年代からの出品が見受けられる。期間中、これらの作品は審査員による審査のほか、一般入場者による人気投票も行われ、得票上位の作品は別途表彰されることとなっている。
橋本仁博士の開会挨拶
お菓子の城 「ノイシュヴァンシュタイン城」
(主な材料:粉砂糖330kg、グラニュー糖10kg、
コーンスターチ8kg、ゼラチン2.2kg、卵白4kg 他)

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地域の文化に親しむ 〜和菓子作り体験〜

和菓子作り風景
熱心に取り組む和菓子作り風景
 島根県松江市は、お茶の消費量が全国平均の5倍、1世帯あたりの和菓子購買量は全国平均の1.5倍といわれ、京都・金沢とならぶ茶処、和菓子処として全国的に知られている。このように茶の湯文化が日常生活に根ざしたのは、大名茶人といわれ、号を 「不昧 (ふまい)」 と称した松江藩7代目藩主・松平治郷 (はるさと) に負うことが大きいといわれている。当時、不昧公が参勤交代の折、江戸の茶文化を持ち帰り、地元の和菓子を作らせたのが松江和菓子隆盛のきっかけとされている。その後、茶の湯が盛んになるにつれ、優美な姿と繊細な味わいを持つ銘菓が次々と誕生した。
 この松江の文化である茶文化に少しでも親しんでもらうため、松江観光協会では、13年10月から14年3月まで「松江味わい体験」と称した、観光体験コースを企画した。今回、その中から和菓子づくり体験である 「カラコロ工房」 コースを取材した。これは、旧日本銀行の建物を修復し製販一体型体験施設 「カラコロ工房」 にて、老舗和菓子職人指導のもと2種類の和菓子をつくり、職人が作った1品とあわせて持ち帰ることが出来るコースである。実演時間は1時間程度で、定員は2〜20名であり、あらかじめ、中餡と外餡は用意されており、その外餡に色付けをし、練ったり、漉してそぼろにしたりして、生菓子の形に仕上げていく。餡を練りきるのに一般的に3年は要するといわれているが、職人の指導のもと、参加した体験者たちは、熱心に取り組んでいた。中には餡作りから始めたいと希望する体験者もいるが、「豆を水につけ、茹で、砂糖とあわせ練るという作業は見た目は簡単そうであるが、熟練した職人でないと固さや味など、素人には中々難しい。それよりも、和菓子作りを体験することにより、1個、1個手作りで作られているということを知り、身近に感じることで、より和菓子に親しんでもらいたい」 と職人は今回のねらいを語ってくれた。
完成した和菓子
完成した和菓子
 ここで、参加した体験者に甘いものや砂糖に対するイメージを、聞いてみたところ 「甘いものは、美味しく気持ちを和やかにしてくれる。しかし、太るのを気にして少し控えている」、「虫歯になる」 などの感想に混じって、「砂糖は漂白しているの?」 と質問をされたので、誤解を解くために砂糖の正しい知識を説明したところ、興味深そうに耳を傾けてくれた。
 松江観光協会の催す体験コースには、他に老舗和菓子店での和菓子作りコースや、茶道体験、筒茶碗作りなどがある。同協会では、「今後も試行錯誤を重ねながら、松江の文化を目で、体で、心で味わって頂けるよう努力したい」 と熱っぽく語っておられたのが印象的であった。
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宮古島におけるさとうきび側枝苗の新たな取り組み

 宮古島ではここ最近、さとうきび側枝苗に関して新たな取り組みが行われている。同島では、農家自らが側枝苗を増殖し、苗を採取して育苗し、植え付けを行っている例が見られる。沖縄県内の側枝苗はそのほとんどが沖縄本島南部と石垣島に所在する側枝苗生産企業によって供給されいるが、側枝苗の増殖技術等については、当事業団のさとうきび種苗供給安定化対策事業(平成9年度から11年度にかけて実施)等によって開発が進められ、現在も前述の2企業等によってさらにレベルアップが図られている。
 一方、側枝苗によるさとうきび栽培技術もマニュアル化されて、各地域の農業改良普及センター等が農家に対してその普及や指導に当たっており、側枝苗を用いる農家は年々増加傾向にある。
 しかし、側枝苗の増殖や母茎からの集合苗の採取、根基を残した状態での集合苗の切り取りなど、これらの作業を適切に行うことについては、熟練した技術が必要とされることから、農家自身が側枝苗を増殖し、苗を採取して育苗することは稀なことであった。
 平良市のさとうきび作農家宮里徳一氏は、沖縄県農業試験場宮古支場や宮古農業改良普及センターの指導を受けながら、側枝苗の増殖から植え付けまでを独自で行っている。写真1(3月7日撮影)は13年12月中旬に植え付けられた側枝苗であり、畑面積は20a程度である。13年6月下旬に生育途中のさとうきび畑(12年夏植え)の一部約200本のさとうきびの梢頭部をカットし、そこから側枝苗を増殖させている(側枝苗用以外のさとうきびは14年1月に収穫)。11月に側枝苗を採取してセルトレイに挿芽した後、12月にかけてビニールハウスで育苗し、12月中旬に植え付けている。ビニールハウスは簡易なもので(写真2)、かん水は乾電池式の特殊なタイマーを使用して自動的、定期的に行っている。ハウスに掛かった費用はタイマーを含めて5万円程度である。
側枝苗の育成状況
写真1 去年12月中旬に植え付いた
側枝苗の育成状況
宮里氏改良の側枝苗育苗ハウス
写真2 宮里氏改良の側枝苗育苗ハウス
 植え付けは農家が管理作業等に使っている15馬力の小型乗用トラクタに側枝苗専用植え付け機を連結した機械を使用し、普及センター等の応援を得て行っている。側枝苗の植え付け機は前述の事業団事業実施時に、沖縄県農業試験場と北海道の農機具メーカーによって自走式の専用植え付け機が開発された。今回使用の機械は、さらに県農試宮古支場が植え付け部分を独立させて小型乗用トラクタに取り付け可能となるように改良を加えて開発し、北海道の農機具メーカーが製品化したもので、価格は25万円程度(他に輸送費が約5万円)である。植え付けには小型乗用トラクタの運転手と、側枝苗を機械へ送り込むための作業員計2名を要するが、作業性能に優れており、10aの植え付けに要する時間は1時間半程度で極めて省力的、効率的である(写真3)。
 宮里氏によると、去年3月に植え付けた側枝苗(沖縄本島南部の側枝苗生産企業から供給されたもの)が今年3月初旬に収穫され、10a当たりの収量は9トンとなっており、宮古島の春植えの平均的な収量5トン程度に比べて高収量となっている(写真4)。側枝苗は植え付け直後に充分なかん水をする等適切な肥培管理を行えば、活着率が高くて欠株が極めて少ないことから収量が高く収益性に優れている。
側枝苗植え付け作業
写真3 専用械による側枝苗植え付け作業
さとうきびの収穫
写真4 去年3月に植え付いた側枝苗による
さとうきびの収穫
 これから農家における自家増殖の技術が高まり、1本の母茎から50本の側枝苗を安定的に採取することができれば、苗面積は二節苗に比べて10分の1となり(1本のさとうきびからの二節苗の採苗数は5本程度)、収穫面積の増加や種苗コストの低減につながることになる。
 宮里氏は今後において、側枝苗の植え付け時期を10月から11月に早めたいとしており、この場合においても5月の増殖から11月の植え付けまでの期間は、他の果樹栽培等との作業時間の重複は少なく、側枝苗の増殖や育苗作業に充分な対応ができるとしている。また、宮古支場や普及センター等の指導を得ながら増殖や採苗等の技術を高めていきたいとしている。
母木にストレスを与えた側枝
写真5 母木にストレスを与えた側枝
 一方、宮古支場では側枝苗植え付け機の改良の他に、母木にストレスを与えて側枝苗の増殖率を高める試みを行っている。露地栽培による母茎の上部から5節目以下の茎にナイフ等で傷を入れると、傷を加えないものに比較して5節より下部の節に側枝が多く発生している(写真5)。特に縦傷のケースにこの傾向が顕著に現れており、1母茎の側枝発生数は縦傷茎が概ね60本、横傷茎が50本、傷を加えないものが40本程度となっている。宮古支場の研究員によれば、植物の芽は上部から出て順に下部に発芽する頂芽優勢という共通した性質があるそうで、傷のストレスによって何らかのホルモン等の状態に変化が現れて、傷以下の部分に頂芽優勢が抑制されているのではないかと推測されている。研究員はこの実験を継続してデータを蓄積し、さらに分析を行っていきたいとしている。
 この技術が確立されれば、側枝苗の増殖率が向上しコストダウンにつながることから、多くのさとうきび関係者の関心を集めている。

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