[2003年2月]
札幌事務所
平成14年産てん菜の生産と受渡し実績
14年産のてん菜の収穫は、昨年の10月中旬から始まり11月中旬に終了し、工場の受入は12月25日に終了した。
社団法人北海道てん菜協会のとりまとめによると、平均糖分は17.8%で、5年産の18.0%に次いで2番目となり、昨年に引き続き高水準となった。また、1ha当たりの平均収量は61.60トンで、10年産の59.49トンを抜いて最多となった。この結果から14年産は過去最高の水準となった。
その要因としては、昨年は平年より融雪が早く、高温少雨により移植作業が早く進み、活着と初期育成が良好であったこと。また、移植後、一部の地域で降雹や干ばつなどの影響を受けたほ場もあったが、全体的に生育は順調に推移し、6月下旬から8月末にかけては、比較的冷涼な気候であったことや適切な防除が行われたことにより、褐斑病などをはじめとする病害虫の被害が少なかったことなどがあげられる。
てん菜の平均糖分当たりha当たり収量
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東京事務所
ビートから甘いシロップができたよ!
〜大田区立高畑小学校におけるビートシロップ製作実習〜
大田区立高畑小学校(松元永光校長)の4年生(2クラス=80人)は、昨年の夏より総合学習の課題の一つとして「砂糖」についての勉強を続けている。(本誌2002年9月号に掲載)
同校の年間計画では、児童達自らが植え付け・栽培したさとうきびを原料にして冬場に砂糖を製作するつもりであったが、植付けの時期が7月中旬と遅かったことに加え、小型の植木鉢では糖汁が絞れるほどにきびを大きく育てることが難しかったこと等もあって、当初の予定は断念を余儀なくされた。そこで代案として浮上したのが、北海道で収穫されたビートを取り寄せビートシロップを製作することであった。その理由は、さとうきびよりも容易に糖分を抽出できそうだと考えられたことと、児童達から本物のビートを見たいとのリクエストが出されたことによるものである。授業でビート糖を作ることに決めはしたものの、個人レベルでの製作手順に関して当事業団にも知識や経験がなかったため、ビート業界の方々にお知恵を拝借しながら、試行錯誤で実施した次第である。また、高畑小学校の先生方が事前段階において入念な準備や実験を行っていたことも今回の実習授業に大いに役立つ結果となった。
さて、児童達によるビートシロップの製作は平成14年12月12日、13日の両日、延べ8時間分の授業枠を使用して行われた。実施した手順は、以下のとおりである。
【製作手順】 |
1.ビートをよく洗い、(先生が)包丁で1/4にカットする。 |
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2.カットしたビートの外皮をピーラーで取り除き、残った部分を同じくピーラーで薄く削いでいく。 |
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3.削ったビートを鍋に入れ、原材料が浸る程度にぬるま湯を加えた後、弱火で約1時間煮る。 |
3.削ったビートを鍋に入れ、原材料が浸る程度にぬるま湯を加えた後、弱火で約1時間煮る。 |
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5.煮汁のみを鍋に戻し、中火で2時間程度煮詰めて水分を飛ばし、粘り気が出たところ で火を止める。 |
☆ ビートシロップの完成!! |
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このようにして児童達は自らの手でビートからシロップを作り上げた。
今回の実習から学んだノウハウを参考として紹介する。
イ. ビートをカットする際は、包丁で軸切りにするよりもピーラーで薄く削いだ方が安全であるし、糖分抽出においても溶け出す表面積が大きくなるので一石二鳥である。
ロ. ビートから糖分を煮出す際は、削ったビートに最初から70℃位のお湯を加えるようにする。これは甘みを減少させる酵素の働きを押さえるためである。
ハ. 煮汁から不純物を取り除く方法として石灰を加えることが一般によく言われているが石灰の入手が困難であったため代替品として先生方が “炭酸マグネシウム” を使用して実験したところあまり上手くいかなかった。
そこで、キッチンタオルを “ろ紙” 代りに使用したところ期待した効果が得られた。
ニ. 今回は16個のビートを使用してシロップを作成したが、高糖度なシロップを作り上げるとなるとかなりの時間を要する。そこで、粘りが出始めた時点の比較的水分割合の高い状態のシロップにゼラチンを加えてゼリーにすると、味見に適した形状にできる上に実習時間の短縮にも繋がることとなる。
授業中における児童達の様子を見ていると、全員が本物のビートと接するのが初めてであったためか、新鮮な驚きと興味を示していた。また参考教材として当事業団所有のビート模型(実物大)を展示したところ、ほとんどの児童が手に取って葉の付いたビート全体の大きさを体感し、形状からビートが “ほうれん草” の仲間であるということを納得している児童も若干名見受けられ、児童達の知識欲の旺盛さに感嘆させられた。さらに実習の過程ごとに数回の味見を行ったこともあって、そもそもビート自体に天然の甘み成分があり、不純物を取り除き濃縮するだけで砂糖になっていくという工程を自らの体験から理解してくれたようである。児童達が今回の授業をそれぞれの記憶にとどめ、今後大人になっても砂糖に対する正しい知識を持ち続けてくれることを心より願うものである。
ビートシロップ おいしいよ!! |
ビートの模型に大喜び |
名古屋事務所
砂糖のキャンバスに自由に描こう
〜愛知県犬山市〜
一般から寄せられた“糖絵文”の数々 |
愛知県犬山市には地元菓子メーカーが運営する 「お菓子の城」 というテーマパークがある。テーマパークは昭和61年にオープンして以来、毎年約25万人の観光客で賑わっている。なかでも昨年オープンした 「さとうのくに」 はシュガーアートが展示されており、その普及のために一役買っている。この概要については本誌2002年5月号で紹介したところであるが、今回一般の人を対象にした 「糖絵文(とうえふみ)コンテスト」 が1月11日〜5月25日の間に開催されているので紹介する。
「糖絵文」 という聞きなれない言葉だが、一般に葉書など紙に描かれる 「絵手紙」 を紙の代わりに砂糖で作られたキャンバスに描いたもので、同テーマパークが名づけた。キャンバスは粉砂糖、卵白、水飴に水を混ぜてこね、伸し、乾燥させたものである。出来上がったキャンバスは意外と丈夫であるが、大きなキャンバスを製作するためにはさらに厚くする必要がある。キャンバスは材料の配合によって光沢の度合いが違うが、水飴を多くすると光沢が増すそうだ。キャンバス(B5版) は同テーマパークで販売されており、 出来上がったキャンバスに食用色素(原色7色)を用いて字や絵を自由に描くことができる。
同テーマパークには昨年11月30日〜本年1月9日までに募集をした約400点が展示されており、コンテストは来場者の人気投票によって行われ、上位の受賞者は表彰されることとなっている。
山路智恵氏のコーナー |
また、絵手紙界では有名な山路智恵氏が描いたコーナーが設けられており、「名古屋祭り」 「犬山城」 「東山公園」 など愛知県を表現したものも多数あり、どれも目を見張るものがある。同テーマパークが同氏に描いてもらえるよう話をしたところ、初めのうちはためらい気味であったそうだが、作品を製作するにつれ徐々に砂糖のキャンバスに深い興味を持つようになったという。
今回話を伺った同テーマパークの支配人和泉達雄氏によると 「砂糖は食するだけではなく、さまざまな使い方があることをたくさんの人に知ってほしい。特に糖絵文は自分で描くといった体験から、より砂糖に興味を持ってもらえるのではないか。砂糖のキャンバスが広く知られるようになることを祈念したい」 と語っていた。
同テーマパークはお菓子の材料である砂糖を目で見て楽しむこともできることを上手に表現しており、小さな子供から大人までも十分楽しむことができる。食することはもちろん、砂糖の使い方にはまだまだたくさんの可能性を秘めているのではないだろうか。
大阪事務所
「砂糖は太るの誤解」
〜砂糖と食文化講座を大阪市で開催〜
講座の模様 |
1月17日(金)、当事務所主催・大阪府消費者団体連絡協議会の後援による 「砂糖と食文化講座」 を大阪市で開催した。
当事務所としては第1回目の開催となる今回の講座は、同協議会傘下の各団体から募った参加者を対象とし、浜松医科大学名誉教授で医学博士の高田明和氏を講師に招き、「砂糖は太るの誤解」 と題して講演を行った。
高田氏は、「米・そば・砂糖などの炭水化物のカロリーはどれもほぼ同じであり、体内では等しくブドウ糖となって全身に送られていくこと」、「肥満の割合や糖尿病患者の数が、減少傾向にある砂糖の消費量とは相反する数値を示していること」、「脳の唯一の栄養源であるブドウ糖をアルツハイマー病患者へ投与した時に記憶力を改善する効果があること」、などについて白板を用いて時折ユーモアを交えながら詳しく説明を行い、聴講者も熱心にメモをとりながら聞き入っていた。
質疑応答では、「砂糖の1日当たりの摂取量はどのくらいが適量なのか。また、その摂取量は個人の体重により異なるのか」 という質問が出されたのに対して高田氏は、「成人の場合、食事による摂取とは別に、コーヒー・紅茶・デザートなどの嗜好品で摂取する砂糖の量は、1日に40グラムを下回らない量が目安である。1日40グラムであれば体重の大小にかかわらず、摂取量として多すぎることはない。ただ、砂糖に限らず摂りすぎは良くないので注意が必要である」 というアドバイスをした。
講演後に実施したアンケートでは、「砂糖が人間の身体にとって大切なものだと分かった」、「直接、砂糖によって引き起こされる弊害がないことを知り安心した」、「病気と砂糖との関係についての話がとても参考になった」 といった回答が見られた。また、今後もこのような講座の実施を希望する声も多く、一般消費者に対して砂糖と食についての正しい知識を継続して伝えていくことの重要性を感じた。
講座の模様 |
高田明和氏 |
神戸事務所
江戸時代からの伝統を未来に向けて
〜姫路菓子同業組合の活動〜
兵庫県姫路市は、世界文化遺産でもある姫路城の城下町として古くから様々な文化を育んできた。とくに江戸時代の後期からは、藩主酒井家の歴代の当主が教養人であり、茶の湯を好んだことや、天保年間になって窮乏した藩財政を再建するため、家老の河合道臣が産業振興の一環として和菓子づくりを奨励し、職人を江戸、京都、長崎まで派遣して製造技術を習得させたことから、菓子生産は姫路の地場産業として定着した。
同市では、茶用の菓子だけでなく、「かりんとう」 などポルトガル、オランダ船から長崎に伝えられた油菓子をルーツとする駄菓子の生産も盛んで、現在では全国の約60%のシェアを占めている。
このような姫路の菓子産業の発展への取り組みの中心的存在となっているのが、姫路菓子同業組合である。同組合は昭和27年に設立され、現在加盟企業数は50社である。
主な活動としては、
(1) 原材料確保のための共同購入
(2) 技術、品質等に係る講座、講習会の開催
(3) 博覧会、見本市への出展及び販路の開拓
(4) 情報の収集及び交換
(5) 会員相互の親睦、その他製菓業の振興に必要な事業
等を行っている。
現在における最大の課題は後継者の確保で、後継者不足の問題が加盟企業数の減少(最盛期は150社以上が加盟)にも現れてきている。
同組合の内藤厚徳理事長によれば、「若い世代の 『組織離れ』 は、当組合に限ったことではなく一般的な傾向であるが、何とか知恵を絞ってそういった人たちにも魅力のある組合にしていきたい。」 とのことであった。こうした課題の克服に向け、特に近年は姫路地域の菓子産業を活性化し、後継者を確保するねらいで、
(1) 姫路の菓子産業について「兵庫県の地場産業」としての認知の確立
(2) 姫路市職業訓練センターにおける製菓衛生士養成講座の実施等、製菓技術者を養成するための環境の整備
(3) 姫路城近辺における姫路特産菓子の専門販売スペースの確保
2008年菓子博開催決定時の模様 |
に力を注いでいるとのことで、(1)、(2)については、既に実現済み、(3)についても今春には一定の方向性が出る見込みという。
なお、同組合に関係する最近の話題として、次回全国菓子大博覧会の姫路市開催の決定が挙げられる。同組合が兵庫県菓子工業組合 (山田義雄理事長) に働きかけて誘致運動を進めてきたもので、昨年11月に熊本市で開催された第24回全国菓子大博覧会の全国菓子業者大会で決定された。
主催は兵庫県菓子工業組合、兵庫県、姫路市、姫路商工会議所等が中心になって構成する同博覧会実行委員会で、開催時期は姫路城築城400年に当たる2008年の4月18日〜5月11日の24日間、入場者数は60万人を予定している。
姫路菓子同業組合としても、同博覧会に「兵庫県らしさ」を出せるよう準備活動に積極的に参加していきたいとのことであった。
江戸時代からの伝統を活かし、2008年の一大イベントに向かって前進する、同組合の今後の発展に期待したい。
福岡事務所
さとうきび収穫作業の安全対策に向けた取組み
〜ハーベスタオペレーター研修会を開催〜
室内研修を受講する参加者 |
この時期、鹿児島県南西諸島では、さとうきびの収穫作業の最盛期を迎えて、生産農家、甘しゃ糖企業をはじめとする糖業関係者は、年間を通じて最も忙しい日々を送っている。
現在、鹿児島県農政部では、さとうきび生産の維持・増大に向けて、労働時間の過半を占め、かつ、重労働である収穫作業の省力化を図ることを最重要課題として位置づけ、具体的には、国庫補助事業を活用し、計画的なハーベスタの導入を推進しているところであり、今後、更にハーベスタ稼動台数及びハーベスタ収穫率は増加することが見込まれる。
これに伴い、ハーベスタオペレーターの収穫技術の向上と安全対策に向けた取組みは、ますます重要性が高まりつつある。
◆鹿児島県南西諸島のハーベスタ稼動台数および収穫面積割合の推移
(単位:台、(%) )
年度 地域 |
9年度 |
10年度 |
11年度 |
12年度 |
13年度 |
種子島
奄 美
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44 (40)
109 (23)
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49 (44)
126 (23)
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51 (48)
132 (31)
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56 (54)
139 (36)
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55 (52)
156 (41)
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鹿児島県計 |
153 (27) |
175 (33) |
183 (35) |
195 (41) |
211 (44) |
鹿児島県農政部農産課「さとうきび及び甘しゃ糖生産実績」より
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こうした中、製糖シーズンスタートを控えた平成14年12月16日(月)、喜界町営農支援センターにおいて、平成14年度ハーベスタオペレーター研修会(鹿児島県大島農業改良普及センター、大島本島生産対策本部、喜界町糖業振興会主催)が開催され、大島郡笠利町、龍郷町及び喜界町のハーベスタオペレーター、機械メーカー、JA、行政機関等の関係者約60名が参集した。
ほ場にて安全基本操作の実習 |
研修に当たり大島農業改良普及センター神宮司恒幸次長から 「14年産の生産見込みにおける収穫面積は、関係者の努力により増加したが、相次ぐ台風や干ばつ被害により単収が低下し、大島本島、喜界島ともに減産見込みであり、今後は、様々な角度から今回の減収要因を把握・分析するとともに、適期植え付け・適期管理、基本的な栽培技術の励行及び土作りを心掛けて、更なる収穫面積の増加に向けてがんばっていただきたい。」 と激励の挨拶があった。
研修会は2部構成で、午前は室内研修、午後は現地ほ場での実地研修となっており、室内研修では (1) ハーベスタでの収穫作業の安全対策、(2) ハーベスタ収穫に適した栽培技術、(3) 国庫補助事業を導入した場合の組合活動について、県の担当職員が説明を行った。
県経営技術課白澤繁清専門技術員からは 「ハーベスタでの収穫作業は、オペレーターと補助作業員の複数人で行われており、関係者間で、当日の作業内容を確認し合うことが肝要。従って、朝のミーティング等を活用し、危険予知訓練の実施をお願いしたい。」 と、事故防止を呼びかけるとともに、ハーベスタの基本構造等について説明を行った。
ハーベスタ収穫後の畦間心土耕作業の実演 |
また、県経営技術課田代一美専門技術員は、ハーベスタでの収穫や栽培のポイントについて、調査データに基づき、(1) ハーベスタ収穫時の刈り取り深さは、株出を考慮すると0〜5cmが望ましい、(2) ハーベスタ収穫時の株踏圧は、株出萌芽に悪影響を及ぼすため、株出予定ほ場での株踏圧はできるだけ避けるべき、(3) 下層土を柔らかくし根の伸長を促すため、収穫後直ちにサブソイラ等を利用し、深さ40cm程度の心土破砕を行うことなど、パソコンを活用し、わかり易くアドバイスをした。
県大島支庁農林課山口裕二主事からは、国庫補助事業によりハーベスタを導入した場合の組合活動のあり方について説明が行われ、室内研修を終了した。
その後、現地の研修ほ場に移動し、2社の小型ケーンハーベスタを用いて、機械メーカーの担当者から、機種毎の保守点検方法について説明を受けた後、参加者が試乗し、安全基本操作について実習を行った。さらに、ハーベスタ収穫後の畦間心土耕作業に用いるプラソイラの実演等があり、研修会の全日程を終了した。
過去にはハーベスタ作業中に、悲しい事故も発生しており、再発防止を強く願う関係者により地域毎に毎年実施されている研修会であり、今製糖期も中盤を迎える中、是非、研修会で学んだ安全操作技術等の励行をお願いするとともに、計画的な収穫作業のもとに無事故で無事、今製糖期が終了することを祈念したい。
◆補助員の確認事項 |
(1) 作業前に十分な打合せを行う(危険予知訓練)。
(2) 補助作業員、オペレーターはヘルメットを着用する。
(3) ハーベスタ後方よりオイル漏れ等を目視と臭いで確認。
(4) ハーベスタが作業する範囲の障害物を確認してオペレーターに連絡。
(5) 収納袋のかけ忘れ、はずれを確認。
(6) 畦畔の強度確認(くずれやもろさなど)。
(7) ハーベスタのマフラー付近でのハカマの発火などの確認。
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平成14年度ハーベスタオペレーター研修会資料より
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宮崎出張所
小学生がさとうきび栽培、黒砂糖作りに挑戦
〜〜宮崎県都農町立都農小学校4年生〜
宮崎県都農町立都農小学校4年生(2クラス=55人)の児童が、今年度から始まった 「総合的な学習の時間」 の課題として、さとうきび栽培と黒砂糖作りに挑戦した。都農町は沖縄県糸満市と姉妹都市の関係にあり、糸満市の主要農産物であるさとうきびを課題としてとりあげた。沖縄県とは気候の違う都農町でさとうきびを育て収穫したり、さとうきびから砂糖を作ったりする経験を通して、地域の自然環境に対する関心を高めるのがねらいである。
さとうきびの植え付けは昨年の5月に行い、育っていく様子の記録、草取り、肥料の散布など全ての世話を児童が行った。栽培するだけではなく、グループに分かれてさとうきびの歴史、原産地、育ち方、砂糖になるまでの工程等を調べ、その成果を発表してさとうきびの知識を深めていった。
植え付けから半年以上経った昨年の12月には、小学校に隣接する約50m2の畑は、高さ2mを越える立派に育ったさとうきびが生え揃い、4年生全員と児童の保護者で刈り取りを行った。最初、児童は鎌を持つ手も危なく、1本切るのがやっとという感じだったが、慣れてくると大人と変わらないペースで刈り取るようになっていた。刈取りと葉を落とす作業を交代で行い、1時間ぐらいで全ての作業が終了した。
刈取りから数日後、黒砂糖作りを行った。校庭において児童が借りてきた圧搾機を使い、交代でレバーを廻してさとうきびを搾った。搾り汁はボールに集められ、児童の手で少し離れた家庭科室までこぼさないようにゆっくりと運ばれ、綿布でこして石灰を加えながら3時間ほど煮詰めた。菜箸でかき混ぜたり、アクを取り除いたりする作業も児童が交代で行った。煮詰まった汁を型に流し込み、固まったら完成。「おいしい」 「ちょっと苦いね」 と自分達が作った黒砂糖を食べて、うれしそうに話していた。
児童は、今回のさとうきび栽培、黒砂糖作りから、砂糖の甘さは自然から作られたものであることを肌で感じることができた。