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地域だより[2003年5月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2003年5月]

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札幌事務所


地域情報交換会の開催 〜札幌市〜

 当事務所は、2月21日(金)札幌市内で、地域情報交換会を開催した。同交換会は、行政関係者、糖業関係者、消費者(地域情報モニター等)が一堂に会して、お互いに情報交換を行うことによって、砂糖に対する一層の理解と地域における砂糖、砂糖制度等についての理解を深めてもらうために、12年度から開催している。
 同交換会は、今年度も消費者との情報交換を重点に、「砂糖・甘味資源作物をめぐる事情」(農林水産省)、「てん菜の生産状況等について」(北海道農政部)、「食品の表示制度について」((独)農林水産消費技術センター小樽センター)、「てん菜から砂糖のできるまで」(糖業者)、「事業団の情報業務等について」(当事業団)、「家庭料理と砂糖について」(坂井管理栄養士)等について、最近の話題も含めて話題提供が行なわれたのち、意見交換が実施された。
 意見交換は、話題提供を中心に消費者等から出された意見、質問等を行政関係者、糖業関係者が回答する形で進められた。
 消費者等から出された主な意見、質問等及び回答は以下のとおりである。
Q: 砂糖の自給率は30%程度とお聞きしたが、砂糖はどこの国から輸入されているのか。
A: タイ、オーストラリア、南アフリカで90%を占めており、輸入は全てサトウキビを原料とした砂糖である。てん菜から作られる砂糖は、ヨーロッパや日本など先進国で生産されている。
Q: 砂糖についても品質表示の話しがあった。砂糖はしばらく置くと固くなってしまうが、賞味期限はどのくらいか。
A: 砂糖は匂いがうつりやすいので、容器に入れて保存すればよい。グラニュー糖はほとんど固まらないが上白糖は水分が多いので固まりやすい。砂糖は賞味期限の表示義務はないが、99.9%がショ糖の結晶なので1年くらいたっても品質には全く問題がない。
Q: てん菜とサトウキビの砂糖は成分的に全く同じであるのか。また、スーパーでは “きび砂糖” や “和三盆” などいろいろな砂糖が売られているが、成分はどのように違うのか。
A: 原料が違っても成分は同じショ糖である。黒砂糖はショ糖の他にいろいろな成分が混ざっており、グラニュー糖はショ糖の純度を限りなく100%に近づけたものである。
Q: 塩は “博多の塩” などと地名を表示して売られているが、砂糖も地名を表示して売る考えはないのか。例えば十勝はクリーンなイメージがあるので、包装を工夫して 「十勝の砂糖」 と表示して売ればよいのではないかと思うがいかがか。 また、輸入される砂糖と国産の砂糖は混ぜて売っているのか。砂糖については原産地表示義務がなく原産地が表示されていないので、どこで作られた砂糖か分からない。
A: 輸入糖と国産糖は基本的に混ざっていると理解してもらってよい。本州などにある精製糖メーカーは輸入糖と国産糖を7対3で混ぜている。北海道で作られている砂糖は100%てん菜から作られた国産である。砂糖はどこの国で作られたものでも成分は同じショ糖なので原産地表示の意味は薄く、要はイメージの問題と思う。
食品衛生法及びJAS法においては、砂糖の原料の原産地表示は義務づけられていない。
(注:砂糖の表示については、「お砂糖豆知識」を参考にして下さい)

また、司会者から出席したモニターに、1年間モニターを勤めたことに対しての意見や感想を求めたところ以下の答えが返ってきた。
1)  主婦の中にも砂糖は漂白していると思っている人が多い。私の友人は、色が付いた値段の高い砂糖を使っていたが、私が砂糖は漂白していないことを伝えたところ、安い白砂糖を使うようになった。
 モニターは、事業団制作のビデオやパンフレットなどを見せていただいているが、一般の主婦が見られるようには出来ないものか。砂糖について、いろいろなことが紹介されているので主婦が見れば参考になると思う。
2)  小学生・中学生の子供がいるが、最近の子供はクッキーなどの菓子をよく作るので、学校の図書館などにクッキーの作り方や砂糖を紹介する本を置けば、砂糖についての知識が子供のときから身に付くと思うがいかがか。砂糖についてはPR不足だと思う。
3)  砂糖の製造工程を収録し、ビデオ等で紹介してはどうか。
4)  白砂糖は漂白していると誤解されているが、誤解を解くためには、率直に何度も漂白されていないことを言った方がわかりやすい。回りくどいことをするのではなく、漂白されていないことをテレビ・ラジオ等で、何度も流すことがよいと思う。
5)  幼稚園や小学校には、母親会があるので出張講演を行ってはどうか。(同交換会に出席されたモニターから後日意見をいただいた)
この情報交換会を通じて、日ごろ接する機会の少ない消費者の砂糖に対する意識や事業団の広報活動に対する意見等を収集することができ、今後の事業団情報業務の取り組みに役立てていきたい。
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砂糖の特性によって活かされる和菓子
〜東京・横浜地域情報交換会より〜

 当事業団では、関係機関等との間で砂糖類に関する情報提供及び意見交換を行うことを目的とし、地域情報交換会を平成12年度より開催している。第3回目となった3月5日(水)の東京・横浜交換会では、ユーザー側の砂糖類に対する考え・認識を伺おうと企画し、全国和菓子協会専務理事の藪氏に、和菓子業界の現状、和菓子における砂糖消費量の推移、砂糖の特性と和菓子の関係等についてご講演頂いたので、その要旨を紹介する。

演 題
「砂糖の特性によって活かされる和菓子」

藪氏
講演中の藪氏
 菓子業界は3兆円規模の産業であり、その中で和菓子は洋菓子を押さえて17〜18%のシェアを持っている。また、和菓子の砂糖消費量は国内総需要の7%程度である。
 和菓子と砂糖の関係を一言で言えば、砂糖がなければ成り立たないものが和菓子である。
 まず味の点から見ても、使用する砂糖の種類によって和菓子の味は異なってくる。これは黒糖と白糖では味が違うといったレベルではなく、グラニュ糖と氷砂糖で違いが出るということである。本格的な和菓子店で餡を練るのに一番多く使われるのは氷砂糖で、次が白ザラ糖、それからグラニュ糖である。現実問題として氷砂糖を溶かして餡を練るのは、コスト高であるし手間もかかる。しかし、「風味」 を大切にする和菓子の世界では、菓子のほのかな香りを妨げない原料の質までもが要求される。このことは、お茶席ではお茶の香りと共存できる和菓子が好まれる所以であり、繊細な味覚・嗅覚を有する日本人の生活文化の中で和菓子が生き続けてきた大きな理由の1つであろう。
 次に和菓子にとって一番大事な砂糖の特性は保水性である。この保水性を上手に活用することにより、日本の餡は中国や台湾のものとは似て非なるものとなり、特に 「漉し餡」 ではその違いが顕著に現れる。餡は小豆の中の 「餡粒子」 という組織が砂糖によって包み込まれることによりでん粉の流出が防がれ成立する。この作用がないと、餡はベタベタになってしまう。さらにこの保水性は、原材料の米粉や葛粉が固くなること(でん粉の老化)を防いでくれると同時に、水分活性も抑えるため腐敗とかカビ発生の防止となり、和菓子を日持ちのする食品としている。
 その他の砂糖の特性との係わりでは、メイラード反応(焼き色効果)や粘性効果と関係が深く、これらは和菓子の持つ視覚効果や造形性の源となっている。
 話は変わるが、日頃砂糖類について感じていることを述べると、昨今 「甘味離れ」 と言う言葉をよく耳にするが甘味料の総量ということではあまり変ってはいないと考えている。第2次世界大戦末期から戦後暫くは砂糖が物理的になかった時代があり、その反動か?、1970年頃までは急激に消費量は増えるが、その後落ち着いてきて、現在が戦前の水準まで戻っただけのことであり、今後はこのまま推移していくのではないだろうか。また、砂糖に対する誤解という点についても、本来、食品の持っている作用というものは色々な効用があるわけだから、一部分だけをとらえて議論すること自体がおかしいと感じている。
 菓子業界は砂糖類の恩恵を大いに受けて成り立っている業界なので、国内の砂糖類メーカーにはこれからも良い商品を作り続けて頂くようお願いしたい。

 以上が、藪氏の講演内容である。
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名古屋事務所


地域情報交換会の開催 〜愛知県名古屋市〜

 2月27日(木)に名古屋市中区において地域情報交換会を開催した。この会議は行政関係者、砂糖・異性化糖製造事業者、流通関係者、ユーザー、栄養士、消費者団体、消費者らが一堂に会し、砂糖に関する出席者相互の理解を深めるため、平成12年度から行われており、今回で3回目となる。
 参加したメンバーのうち農林水産省からは甘味資源作物に関する現状について、東海農政局から東海地区の食品産業について発表がなされた後、今回のテーマである 「消費者が砂糖に対してどのような認識を持っているか」 を中心に話題を進めた。
 当事業団で設置している全国の地域情報モニターからのアンケート結果や、滋賀大学名誉教授岡部氏の取りまとめた学生やその母親に対して行った砂糖のアンケート結果等を紹介しながら、消費者の抱いている砂糖の意識がどのようなものだったか検証した後、意見交換に移った。
意見交換の様子
意見交換の様子
 意見交換では消費者の立場として、当事業団で依頼している地域情報モニターの方々から様々な意見や質問が出され、特にモニターになって改めて砂糖の知識が身についたことなどが紹介された。さらに本会議で配布されたパンフレット類も好評で当事業団制作の 「シュガー博士の研究所」 は子供たちに是非読ませたいといった意見のほか、育児を行ううえで役立つ本が身近にあるとありがたいとの要望があった。
 また、砂糖ユーザーとして菓子製造関係者からは、現代人の嗜好の変化から菓子に含まれる砂糖の含有量が減少してきており、味とともに劣化が早くなっていることを憂いた。例えば餡では小豆の風味を生かすためには最低限の糖度(砂糖)は必要であるとの認識を示し、砂糖の本来持っている効用を十分に生かす必要性を訴えた。
 消費者代表からは、知り得た情報を多くの人に伝えていく責任があると考えており、このような会議や講演会などで一部分の人だけが勉強するのではなく、そこで学んだことをより多くの人たちにどのように伝えていくかが今後の大きな課題となるであろうとの認識を示した。
 今回のテーマで消費者の立場から様々な意見が出されたが、砂糖に対する認識が深まったとの意見が多く聞かれたことは、食文化講座をはじめとした様々な活動により、砂糖に関する知識の普及に一定の効果があったものと考えられる。





婚礼の一大イベント、饅頭撒き 〜福井県大野市〜

 「大野市で饅頭撒きがあるそうです。」 と福井県菓子工業組合青年部会の前会長の岡嵜幸誠さん(御菓子司 「栄太楼」)から連絡が入った。以前、同組合を訪ねたときに福井では婚礼において饅頭撒きの風習があると教えられ、かねてからその情報提供を依頼していた。この饅頭撒きは場所もさりながら、いつ行われるかがはっきりと分からないので、現場に立ち会うのが難しいことから、同部会にネットワークを張ってもらい、今回饅頭を婚家へ納めることになった大野市の山内浩一さん(奥越菓庵 「やまうち」)から情報をいただき、取材を行うことができた。
饅頭箱
家の前に並べられた饅頭箱
 饅頭撒きが行われたのは大野市にある春日神社宮司の藤本家の婚礼で、長女で禰宜(ねぎ)注1 を務める久美子さんが新婦で、この婚礼は新郎の誠さんの婿入りということであった。
 婚礼当日の朝、家の前には朱色の漆塗りでできた饅頭箱がいくつも並べられ、この家で婚礼が行われることが外から一目で分かる。1階部分の屋根には滑り止めのための丸太が括り付けられ、筵(むしろ)が瓦の上に敷かれている。
 辻の角々には、近所の奥さんたちが数人集まり、饅頭撒きが始まるのを待っている様子で、話を聞いてみると 「ご近所の婚礼をお祝いしたい。大野の町中では饅頭撒きをよくやっている。農村部では饅頭を撒くことはしないが、集まった人たちに手渡している。今日の饅頭撒きは12時半から始まると聞いているので楽しみだ。」 ということだった。
 遠巻きにしていた近所の人たちが婚家の前に集まり始め、 婚家の両親とお嫁さんが集まった人たちに挨拶をしながら玄関の前に並んでお婿さんを迎える。
花嫁
お婿さんを迎える花嫁
お婿さんの一行
婚家へ向かうお婿さんの一行
 大勢の人が見守る中、お婿さんの一行が町内を歩いて婚家に到着する。すると玄関で 「パリン」 と音が聞こえたが、これはお婿さんが玄関で 「一生水」(いっしょうみず)を飲み、その杯(かわらけ)を土間に落として叩き割ったからだという。
 今回の婚礼は婿入りであるので、新婦が新郎を迎える形になっているが、一般的な嫁入りの場合は逆に新郎が家の中で待ち、新婦は集まった人たちの祝福を受けながら家に向かい、玄関で一生水を飲んで家に入り、それから饅頭撒きが始まるという。また、一生水を飲んで杯を割るのは、これからは嫁いだ先の水を一生飲むという決意を表している儀礼だという。
饅頭撒きのはじまり
饅頭撒きのはじまり
 お嫁さん、お婿さん一同が家の中に入ると同時に親族の男の人たち7、8人が屋根の上に出て、朱塗りのお重に入った饅頭を集まった人たちに向けて一斉に手掴みで撒きだした。いよいよ饅頭撒きの始まりである。「壽」 の焼印のある紅白の饅頭の他にどら焼きや袋菓子も撒かれた。
 撒く人たちの息が切れて途中に休憩を取るほど撒きに撒いたという感じで、集まった人たちの懐や用意してきたビニール袋は饅頭でいっぱいになっていた。饅頭撒きに集まった人たちがたくさんの饅頭を手にして帰っていった後、春日神社の神前での結婚式、披露宴などが行われるという。
 新婦のお母さんの育子(やすこ)さんに饅頭撒きについて聞いたところ、「この辺りの風習なので、饅頭撒きをやります。いつの頃から始まったかは知りませんが、自分が嫁入りしたときにも饅頭撒きをやりました。」 と話してくれた。
息切れ気味
撒く方も息切れ気味
饅頭を取ろうとする人達
饅頭を取ろうとする人達
 県の嶺北注2 を中心として行われる饅頭撒きは、福井市、大野市、武生市では饅頭を撒くが、福井市のすぐ隣の鯖江市では饅頭を手渡している。また、嶺北北部の中でも丸岡町、三国町では饅頭を撒き、坂井町、金津町、芦原町では手渡しが行われるというように、地域によって撒くところとそうでないところがある。なお、手渡しといってもお嫁さんを見ようと集まった人に誰彼となく渡すので、用意する饅頭はかなりの数になるという。
 いつから饅頭撒きが行われるようになったかはっきりしないということであるが、福井市の橋南地区で大正2年に盛大に撒かれたという記録があり、明治後期の頃から福井の婚礼のイベントとして行われていたようである。
福井では、菓子の 「まんじゅう」 を短く 「まんじゅ」 と言って、めでたい 「万寿」 という字を書くこともあるという。
 岡嵜さんは 「福井市内でも式場等での結婚式や簡易な結婚式をする人が増え、昔ながらの自宅で行う婚礼が減ったため、饅頭撒きもなかなか見られなくなっている。福井の伝統文化である婚礼における饅頭撒きの行事を残していきたいので、青年部会として饅頭撒きのデモンストレーションを行うなど、県民や全国に向けて饅頭撒きの普及、PRに取り組んでいる。」 と語る。
 また、最近、饅頭撒きを巡って異なる動きが見られ、この饅頭撒きの賑やかさと集客効果をねらって、地区や商店街、大学などで開催する祭やイベントで饅頭撒きが行われるのだという。
 当事業団が実施した消費者に対するアンケート結果では、甘いお菓子は疲れをとり、気持ちをゆったりさせると回答する人が多いが、白い雪を抱いた山々に囲まれた城下町の大野市で見ることができた饅頭撒きは、集まった大勢の人たちが近所で行われる婚礼を祝福し、撒かれた饅頭をもらって喜んで帰るという心豊かな行事であり、そこに菓子の饅頭が大事な役目を果たしていた。「饅頭撒きという伝統行事を見直すと同時に生活や季節と密接に関わってきた和菓子に目を向けて欲しい。」 という青年部会の方々の思いがさらにかなえられるよう祈りたい。
注1禰宜: 神主の下、祝(はふり)の上に位する神職。宮司の命を受け祭祀に奉仕し、事務をつかさどった。広辞苑から
注2嶺北: 福井県は、敦賀と今庄の間の山稜によって嶺北地区と嶺南地区(若狭)に分かれる。嶺北に含まれるが、大野市などの内陸部は奥越という。
参考文献: 福井市史資料編13「民俗」
福井県大百科事典
福井県の冠婚葬祭
日本の食生活全集18「聞書き福井の食事」
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地域情報交換会の開催 〜大阪市〜

 当事務所と神戸事務所は2月28日(金)に大阪市内で地域情報交換会を共同開催した。会議は 「消費者が持つ砂糖類に関する認識等について」 をメインテーマのもと、農林水産省生産局特産振興課、農林水産省近畿農政局、神戸市市民局消費生活課、砂糖類関連業界、菓子製造企業、消費者団体、生活協同組合、大阪・神戸両事務所の地域情報モニターなどが参加して行われた。
地域情報交換会の様子
地域情報交換会の様子
 主催者である当事業団理事の挨拶の後、農林水産省生産局特産振興課による 「砂糖・甘味資源作物をめぐる事情」、農林水産省近畿農政局による 「普及し始めた米粉(こめこ)パン」、当事業団による 「事業団の情報業務等について」 の順で話題提供が行われ、最後に株式会社たねや(菓子製造企業・管理栄養士の職員が出席)から 「ユーザーからみた砂糖の特質について〜和菓子の栄養学〜」 について話題が提供された。
その後に行われた上記メインテーマについての意見交換の概要を以下に紹介する。

【当事業団地域情報モニター】
「上白糖に比べ三温糖の方がミネラルが多く、栄養が豊富であるというイメージを持っているが、それで正しいのか。また、三温糖の原材料表示には着色料にカラメルという記載があるがこの理由は何か。」
「グラニュ糖と上白糖では甘味に差があるように思うが、成分の違い等はあるのか。」

【精製糖企業】
「三温糖に含まれるミネラルが上白糖に比べて多いのは事実であるが、適切な栄養バランスという観点からは、緑黄色野菜等、他の食品から摂取されてはどうか。三温糖は、生産時に微妙に色調に差が生じるため、それを調整する目的で微量のカラメルを添加している。」
「グラニュ糖と上白糖の味の差については、グラニュ糖がほぼ純粋なショ糖であるのに対し、上白糖は製造過程で転化糖を加えることによるものと思われる。」

【菓子製造企業・管理栄養士】
「人間の味覚には閾値(いきち)(注) というものがあって、純粋な物質であるほど甘味を感じず、不純物が多く含まれているほど甘味を強く感じる傾向がある。グラニュ糖は100%に近いショ糖の結晶であるため、他の糖種よりも甘味が弱く感じられることになる。」

【神戸市】
「砂糖については、各メーカーとも製品の品質は同じであるという話があるが、それでは消費者の目を引きつけることは難しいのではないか。塩などのように商品の差別化を行い、消費者に向けて付加価値を提案していくべきではないか。また、消費者に対する情報提供の媒体として、パンフレット類だけでなく小袋などの製品を直接利用することも考えてみてはどうか。」

【関西砂糖特約店協同組合】
「砂糖業界としても、小袋に砂糖に関する情報を印刷することは検討してきた。今後は付加価値も含め、消費者に対し具体的かつ上手にアピールしていくことを考えていきたい。」

限られた時間ではあったが、会議中の話題提供、質疑応答及び意見交換等を踏まえて、今後の事業団の情報業務に反映させていきたいと改めて認識した。
(注)生体では感覚受容器の興奮をおこさせるのに必要な最少の刺激量。限界値





「かしこく食べる」 〜砂糖と食文化講座を堺市で開催〜

池田氏
講演中の池田氏
 3月25日(火)、当事務所と堺市立消費生活センターの共同開催による 「砂糖と食文化講座」 を、堺市立消費生活センターにおいて開催した。
 当事務所としては平成14年度は2回目の開催となる今回の講座は、堺市立消費生活センターの消費生活モニター及び在宅相談員を参加者として、神戸学院大学栄養学部助教授で奈良女子大学学術博士の池田小夜子氏を講師に招き、「かしこく食べる」 と題して講演を行った。
 池田氏は、毎日の食事では、「脂肪は控え目にし、穀類を毎食とって糖質からのエネルギー摂取を適正に保つこと」、「自分自身の適性体重を知って、日々の活動に見合った食事量をとること」、「主食(ごはん・パン・麺)、主菜(主なおかず)と付け合わせ、副菜(おかず)、汁物などによるバランスの良い食事を心掛けることが大事であること」、などについて詳しく説明を行った。
 また、砂糖の働きについては、「即効性のあるエネルギー源であること」、「精神の安定を促進すること」、「砂糖の摂取が直接肥満の原因とはならないこと」、「糖尿病の原因ではないこと」、「料理に使用した時に防腐効果やでん粉の老化防止の効果があること」 について説明を行った。
 講演終了後に行ったアンケートでは、「栄養のバランスと適正体重の話が参考になった」、「バランスのとれた食生活の重要性を痛感した」、「砂糖をずっと控えていたが、砂糖が肥満の直接の原因でないと知り、今日から安心してとることができる」、「自分は今まで砂糖のことを間違って考えていた」 などの意見があった。
 また、今後砂糖に関する講座で取り上げてもらいたいテーマとしては、「煮物などでの砂糖の使用方法について」、「実際の食品から摂取される砂糖の量について」 など食生活における砂糖の役割について、さらに掘り下げた内容での講座を望む声があったこともここに紹介しておきたい。
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日本の心、四季の味を和菓子にこめて
〜神戸市生菓子経営研究会の活動〜

 和菓子は季節を味わう食べ物として古くから親しまれてきた。現代においても、ひな祭り、端午の節句、彼岸など数多くの年中行事と深い関わりを持っている。こうした和菓子と四季の行事との結びつきを通じ、日本文化の伝承と和菓子の振興を目標に活動を行っている神戸市内の団体を紹介する。
 この団体は、神戸市生菓子経営研究会といい、市内の和菓子店・製菓材料等関連会社34企業が加盟している。設立は昭和37年で、兵庫県菓子工業組合内の組織である神戸市生菓子協会の若手メンバーが中心となって発足した。数年前までは会員相互の親睦など内部での行事が活動の中心であったが、最近では和菓子についての啓蒙活動など、外部へのはたらきかけを積極的に行うようになったという。
 同研究会の理念は 「日本の心、四季の味、大切に伝えたい」 というもので、単なる販売促進活動だけを行うのではなく、消費者に本質的な和菓子の良さを知ってもらったうえで和菓子を味わってもらいたいという思いが込められている。さらに各季節の行事とそれにまつわる和菓子に親しむことにより、各行事の意味や風習を理解し、日本文化として伝承していくとともに和菓子の振興も図っていきたいという。
和菓子教室
中学校で和菓子教室を開催
 同研究会の具体的な事業としては、
(1) 消費者向け和菓子教室
(2) 同研究会加盟店統一規格の和菓子の共同開発、販売
(3) 和菓子技術等に関する内部での勉強会
(4) 会員相互の親睦行事
などがある。
 このうち (1) については、プロの和菓子職人6名程度を講師に、30名程度の受講生が和菓子づくりの実習を行う形の講習会が、平成14年11月からこれまでに4回実施された。会場には幼稚園、小学校、中学校、老人会と様々な場所を設定し、幅広い年齢層の参加者を対象に教室を開催してきている。
 和菓子は洋菓子に比べてこの種の講習会が開かれる機会が少ないこともあって、参加者には毎回好評を得ているという。
 また、(2) については、平成13年に同研究会設立40周年を記念して、国内外の人々からの阪神大震災復興支援に対する感謝の気持ちを表わすために、「文小枝」(ふみこえだ)(震災がもたらした色々な障害を 「踏み越えた」 という意味に掛けたネーミング)という和菓子を開発、販売した他、先月には神戸市仏教連合会から4月8日に行われる仏教の祝典である 「花まつり」 をもっと知ってもらいたいとの依頼を受け、これにちなんだまんじゅう(「花まんじゅう」)を開発、販売した。
 今後の活動について、同研究会の林伸哉会長((名)杵屋製菓代表)は、「任意団体であるため予算には限りがあるが、和菓子教室などを通じ、季節を反映する和菓子の文化的な魅力を外部に対しもっと積極的にアピールしていきたい。この種の活動はすぐに成果の出る性質のものではないが、少しずつでも継続していくことに意味があると考えている。」 と話していた。
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徳之島からパンダに贈り物

 鹿児島県大島郡徳之島町の山(さん)地区は、徳之島の北に位置し、天城岳を背に海に面した豊かな自然に恵まれ、基幹作物であるさとうきびの他にばれいしょ、さといも、果樹栽培などの農業が盛んである。この地にある徳之島町立山(さん)小学校(福留潤一校長)は畦(あぜ)、港川(みなとかわ)、内千川(うちがわ)、里(さと)、金見(かなみ)の五つの集落を校区とする児童数48人の小さな学校である。1897年(明治30年)に開校、徳之島初の鉄筋校舎が作られるなど歴史は古く、校庭には栴檀(せんだん)の大きな木が空に向かって伸び、美しい花壇が並んでいる。
刈り取り教室
刈り取り作業の様子
 同校ではさとうきびをパンダに食べさせたいという児童達の声がきっかけとなり、毎年2月に東京上野動物園のパンダへさとうきびをプレゼントしている。平成元年から絶えることなく続けられ、今年で15年目となる。
 今年も2月中旬にさとうきびの収穫がPTAの協力のもと行われ、児童達が校庭の 「パンダ園」 に植え付け、1年がかりで育てたさとうきびを刈り取った。パンダが食べやすいように葉やはかまを切り落とし、70センチの長さに揃え、きれいに洗って束ねられた。小学校で収穫したさとうきび200kgに加え、前PTA会長の武元直和さんから100kgが寄贈され、合わせて300kgが上野動物園に贈られた。輸送は徳之島に空路を持つ航空会社が無償で協力している。さとうきびの種類は、現在はほとんど栽培されていない太茎種(たいけいしゅ)と呼ばれる品種で、太くて柔らかいのが特徴である。教頭の愛島一さんは 「パンダに喜んで食べてもらいたいので地元の方々の協力を得てこのさとうきびを作り続けています」、上野動物園の飼育調整係の中島紀雄さんは 「毎年、山小の皆さんから贈られてくるさとうきびは質も良く、ほんとうに素晴らしいプレゼントです。パンダのリンリンは1月末に繁殖のためメキシコに行き、4月末に帰国の予定です。さとうきびはリンリンが戻るまで、大切に冷凍庫に保存しておきます」 と話している。
 パンダへ贈るさとうきびには 「パンダさん、いっぱいさとうきびおくるね」 「びょうきになっちゃだめだよ、ちゃんとたべるんだよ」 「ぞうさんにもわけてあげてね」 「みんなとなかよくしてながいきしてね」 など児童達の手紙が添えられている。動物園からは、お礼として毎年パンダの写真などが贈られている。
 山小学校では、今年も3月初めに来年収穫するためのさとうきびの苗が植え付けられた。
リンリン
夏の暑い時期、氷に挿したさとうきびを食べるリンリン
(財)東京動物園協会提供
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