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地域だより[2003年7月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2003年7月]

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札幌事務所


札幌ポトフの会と砂糖に関する勉強会を開催

 平成15年6月6日(金)、当事務所において、「地域情報交換会」 及び 「砂糖と食文化講座」 を通じて交流のある「札幌ポトフの会」より砂糖について学びたいとの依頼を受け、当事務所内で 「砂糖に関する勉強会」 を開催した。
 同会は、(社) 札幌消費者協会(会員数2,300名)に属する研究グループで、「食」 の研究・調理実習の指導・講習会等を目的として、平成元年6月に発足した研究会である。
 主な活動としては、同会の各メンバーが講師となり、協会員のほか、一般市民も対象として、食材の活かし方、食文化の伝承、健康志向・自然志向等の 「食」 をめぐるニーズに応える活動を行っている。
勉強会の様子
勉強会の様子
 勉強会は、10名の参加者から 「市販されている砂糖の種類について」、「コーヒー用のブラウンシュガーの色について」、「麦芽糖のカロリーについて」、「角砂糖の結着方法について」 の質問に対し、当事務所職員が答える形式で始まった。
 次に、当事業団が作成したビデオ 「北の大地の贈り物〜てん菜糖〜」 の上映や当事業団作成のパンフレットを使って、砂糖や砂糖の制度について説明を行った。また、砂糖の原料となるてん菜及びさとうきびの実物大の模型を紹介したところ、参加者たちは一様に興味を示していた。
 てん菜のビデオの他にも、昨年度事業団が作成した栄養士向けビデオ 「栄養指導に活きる砂糖の正しい知識〜食の喜びを提案するために〜」 を上映し、砂糖と健康についての理解を深めてもらった。
 ビデオを観た後の参加者の感想は、「栄養士向けに作成したビデオと聞いていたので、もっと難しいと思って観ていたがとても解りやすかった」、「砂糖に対する誤解を払拭しようとする意図はしっかりと伝わってきた」、「女性は、甘い物が好きな人が多いので、砂糖については理解しているつもりでも、今日のビデオで再確認できた」、「GI(血糖上昇反応指数)について認識を新たにした」 等であった。
 当事務所としては、今後も要請があればこのような勉強会を開催していきたいと考えている。
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東京事務所


特別展示『もっと知ろう!食品添加物』が
農林水産省「消費者の部屋」で開催

 平成15年6月2日(月)〜6日(金) の5日間、農林水産省本館1階 「消費者の部屋」 において、「食品添加物の素顔に迫る」 をテーマに、日本食品添加物協会による特別展示が開催された。
 食品添加物は、現代人の食生活と密接な関係にあるにもかかわらず、その実像がよく知られていないことから、一般消費者の不安の対象ともなっている。そこで、今回の催しでは、来場者に食品添加物に対する正しい知識をわかりやすく理解してもらうため、法律上の定義、安全性及び表示方法を解説したパネルやサンプルの展示等が行われていた。
 概ね食品は、生鮮食品と加工・調理された加工食品に大別される。そのうちの加工食品において、製造や保存その他の目的で使用されるのが食品添加物である。食品衛生法上、食品添加物は 「食品の製造過程において又は食品の加工もしくは保存の目的で食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの」 と定義付けられ、指定添加物(340品目)、既存添加物(489品目)、天然香料(約600品目)、一般飲食物添加物(約100品目)の4種類に分類されている。また、その役割としては、(1) 品質の保持(保存料・酸化防止剤等)、(2) 嗜好性の向上(香料・着色料等)、(3) 製造又は加工時の使用(膨張剤・ろ過助剤等)、(4) 栄養価の補填・強化(ビタミン・アミノ酸等)があげられる。更にその安全性の確保についても、食品安全基本法並びに食品衛生法に基づき、食品安全委員会(7月・内閣府に設置予定)、厚生労働省、農林水産省が連携して安全性評価試験等のリスク分析を行い、食品添加物の安全性評価や指定、使用基準の設定、消費者等との意見交換を行なっている。国際的にも、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会)、コーデックス委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)により安全確保のシステムが構築されており、国産品のみならず諸外国からの輸入品に対しても厳しい監視の目は行き届いている。
会場の様子
会場の様子
 ここで甘味料について見てみると、まず砂糖及び異性化糖(果糖ぶどう糖)は食品の品質の保持や嗜好性の向上の役割は持つが、加工食品であるので、食品添加物には該当しない。一方、アスパルテームやキシリトール、ステビアなど新甘味料の多くは食品添加物である。ただし、三温糖等を製造する際、カラメルを着色目的で使用した場合は、食品添加物としての「カラメル色素」の表示が必要である。
 最後に商品の成分表示上の基本を一つだけ記すと、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)の加工食品品質表示基準では 「一括表示の原材料欄には食品原料と食品添加物とを区分して量の多い順に記載する」 とされており、また、食品原料と食品添加物はどちらを先に記載しても良いことになっている。
 近年、なにかと話題にのぼる食品添加物であるが、まだまだ知らないことがたくさんありそうなので、今後も更に着目して行きたいと感じさせられた催しであった。
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横浜事務所


食の安全を考えるシンポジウムの紹介

 平成15年5月26日(月)、横浜市教育文化ホールに於いて横浜市の主催による「食の安全を考えるシンポジウム」が開催された。
 横浜市は、近年、食品にかかる不祥事が相次いだことから、食の安全に対する消費者の不安や不信が高まっていると捉え、市民に安心してもらえるように食品の安全確保及び食品衛生業務を充実させるため、これらの課題を市民と共有するためのシンポジウムを開催することとした。
 シンポジウムは、主催者の挨拶に続いて、厚生労働省東京検疫所長の森田邦雄氏による講演および参加者によるシンポジウムにより進められた。
 森田氏は、「食品の安全性と消費者」〜リスクアナリシスを主体として〜と題して、消費者が食品に求めるものの変遷を、食品の安全性に関わる主な出来事をとおしてリスクアナリシスの概念を説明し、生産から消費に至る段階のそれぞれの者が新たな取り組みを行い、豊かな食生活を目指すべきであると訴えた。
森田氏
講演中の森田氏
 始めに、消費者の求める安全衛生と安心をどのようにすればよいのかを考えたとき、「消費者の4つの権利」(注)をもう一度考えるべきではないかと述べた。
 続いて、東京都の消費生活モニターのアンケート調査及び国民生活モニター調査等、民間を含め7団体の調査結果を紹介し、その結果は一つの方向性を示していて、多くの消費者は食品の安全性に関しての不安を感じており、食品に対して安全性を強く求めていることと、国産の食品が持つ強い信頼性をアンケート結果から説明した。アンケートによれば、半数の消費者は、価格差が半分にならなければ輸入食品は購入したくないと考えていることを紹介した。
 また、食品の正確で詳しい情報を表示してほしいという要望も多く、そのための有効な手段を打つことが行政の方向に向けられていることもアンケートから明らかにされた。
 講演の最後に、リスクアナリシスとは正当な評価、管理、コミュニケーションから成り、国民を含む関係者全員で正面から傷害に立ち向かい、傷害を未然に防いでいく手段のことであるとした上で、「信頼される情報の発信源、わかりやすい説明、そして全ての人に理解してもらう努力がリスクコミュニケーションの最も重要な点であり、生活を豊かで安全なものにしていくための取り組みがリスクアナリシスである」と結んだ。
 講演終了後には、参加者の質疑応答が進められ、「産地の場所については加工地ではなく生産地を記載してもらいたい」、「改正食品衛生法では努力目標であって罰則がないと思うがどうか」等の質問が多く寄せられ、食の安全に対する消費者の関心の高さが伺えた。

(注)消費者の4つの権利:1962年にアメリカ大統領ケネディが「消費者保護に関する特別教書」の中で発表したもので、消費者は、「安全を求める権利」、「知らされる権利」、「選ぶ権利」、「意見を聞いてもらう権利」があるとした。
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名古屋事務所


みんなで楽しく梅シロップづくり
〜愛知消費者協会名古屋支部の取り組み〜

一生懸命に取り組む参加者
一生懸命に一生懸命に取り組む参加者
 5〜6月頃は青梅の収穫シーズンである。今年の青梅の収穫量は昨年に比べて減少する見込みであるが、梅酒や梅シロップづくりに欠かせない氷砂糖は1年を通してこの時期が出荷の最盛期となる。
 平成15年6月13日(金)、伏見ライフプラザにおいて愛知消費者協会名古屋支部の参加者38名が梅シロップづくりに取り組んだ。
 同協会は消費活動の一環として、例年会員向けに生活に密接に関わる商品について工場見学や研修会などを実施しており、会員の知識高揚を図っている。名古屋支部では今後実習として、豆腐づくりや豚肉を使った料理教室を開催する予定であるという。
 今回、中日本氷糖(株)の協力を得て行われ、同社の西尾勝正氏を講師として進められた。梅シロップづくりは、昨年同支部が中日本氷糖(株) 南濃工場を見学した際に果実酒づくりの講習を受けたこともあり、参加者の関心は高いようだ。
 材料は同社が所有する南濃梅園で収穫した梅1kg、ロック氷砂糖1kg、食酢200ccである。
青梅と氷砂糖は交互に!
青梅と氷砂糖は交互に!
 梅シロップは、梅のエキスを最大限引き出すために貯蔵ビンに梅と氷砂糖を交互に投入していく。食酢を200cc投入した後に蓋を閉め、食酢がまんべんなく梅に接するようにビンを転がして梅を濡らすのがポイントである。これを2〜3日ごとに行うと梅のエキスがさらに抽出されるため、より一層おいしい梅シロップが出来上がるという。ここで気を付けなければならないのは、(1) 一旦蓋を閉めたら飲み頃になるまで決して開けないこと、(2) 発酵を防止するために、梅は流水できれいに洗ってタオルなどで十分水気を取り、空気中の雑菌に触れさせないこと、(3) 冷所暗所に保存し、高い温度のところにはおかないことである。
 梅酒や梅シロップづくりに氷砂糖が果たす役割など、講師の説明に参加者はメモを取るなど熱心さがうかがえる中にも、楽しんでいる様子であった。
 同支部の若松支部長は、昨年地域情報モニターとして活動していたことから、砂糖について正しい情報を地域の人々に広めていきたいと考えており、また、今回梅シロップづくりに参加した人々にも砂糖の正しい知識を一般の人々に広めてほしいと話していた。
 このような消費者団体の活動を通じて一般消費者に砂糖に関する正しい知識が広まり、氷砂糖を含めた砂糖の需要拡大につながることを願ってやまない。
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神戸事務所


授業で学ぶシュガークラフト
〜兵庫県立山崎高等学校〜

基本技術の説明
横谷講師による基本技術の説明
 兵庫県宍粟郡山崎町の兵庫県立山崎高等学校家政科では、社会人講師による講演や現場見学実習等を授業の一部に取り入れているが、その一環として、シュガークラフトについての講演(製作実習)が実施されたので、その模様を紹介する。
 この授業は科目名を「私たちの生活と産業」と言い、山崎町周辺の自然や生活文化を調べたり、地元の生活関連産業の就労現場における体験学習や、周辺で活躍する社会人講師による講演などを通じ、各生徒が
(1) 地元の生活関連産業について理解を深めること
(2) 就労観を身につけること
(3) 卒業後の進路選択について意識を高めること
等をねらいとして平成13年度から実施されている。
 具体的にはスーパーマーケット、クリーニング店などの見学、病院における看護士の体験実習、外部の講師によるマナーについての講習など多様な講座が組まれており、生徒たちも、普段とはまた違った視点で受ける授業に興味を持って取り組んでいる様子だという。
 シュガークラフトについての講演は、こうした社会人講師による授業の一つとして、「砂糖で作る芸術」と題し実施された。講師には、兵庫県相生市在住で、パン・ケーキ教室主宰者の横谷ひろみ氏が招かれた。同氏はシュガークラフトの国内コンテスト優勝やインターナショナルコンテスト出場の経験を持ち、昨年この科目における講演(スポンジケーキ)を担当した縁で今年も指導を行った。
 授業はまずシュガークラフトの歴史、現代における各国のシュガークラフト事情などが紹介された後、基本技術(しぼり袋の作り方、シュガーペーストのこね方など)の解説が行われ、続いてこの日の課題であるベビーシューズの製作に入った。
出来上がった作品
出来上がった作品(ベビーシューズ)
 作業は、予め準備されたシュガーペーストをこね、餃子の皮のように薄く延ばしたものから台や部品を型抜きし、それを曲げたり組み合わせたりして靴の基本的な形を作り、これにリボンやアイシング(粉砂糖と卵白などを混ぜ合わせたもの)などによる細かい装飾を加えていくというものであった。
 各生徒とも、ペーストがすぐに乾いてしまうなどシューズの組み立てには苦心していたが、細かい飾り付けの段階になると、思い思いに工夫を凝らし、個性あふれる飾り付けを施して愛らしいベビーシューズを作り上げていた。
 製作作業終了後、この授業について生徒たちに聞いたところ、「自分の好きなように細工ができるし、その結果が『作品』となって残るので楽しい」といった感想が多かった。また、「砂糖を使ってこのような工芸ができることを初めて知った」といった回答も多く、砂糖の新たな面に触れる体験となったようであった。
 同校の関係者によれば、「『私たちの生活と産業』は、家政科が現在の1年生から生活創造科に改編されていることに伴い、生活創造科としての科目へ発展的に移行していく予定で、本校としては、今後もこの種の科目を通じ、広い視野を持って積極的に外部から学ぶ姿勢を維持していきたい。」とのことであった。
 このような学習が、若い世代の砂糖に対する関心を高める機会となることを期待したい。
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福岡事務所


「なぜ和菓子は健康的なのか」
〜第13回西日本食品総合機械展から〜

 製菓・製パン機材を始めとする食品機械から厨房用設備機器までを集めた 「第13回西日本食品総合機械展・2003西日本厨房機器展」(日刊工業新聞社主催)が平成15年5月21日(水) から23日(金) の3日間、福岡市のマリンメッセ福岡で開催された。併せて期間中に各種セミナー・イベント・特別展示などが開催され、その中で福岡市菓子協同組合(田中治雄理事長)の主催による 「なぜ和菓子は健康的なのか」 と題したセミナーが行われ、菓子業界関係者が多数参加した。講師は和菓子に造詣の深い全国和菓子協会専務理事の藪光生氏で、和菓子の餡が栄養に満ちた豆類と砂糖から作られている話題や、菓子業界に対する提言もあり、関係者にとって有意義な内容であった。その講演の概要を紹介する。
 
「なぜ和菓子は健康的なのか」
 和菓子が健康的なのは、原材料に農産物が多く使われているからである。米、穀類、でん粉、小豆、いんげん豆、芋、胡麻、砂糖など植物性原材料が中心で動物性のものをほとんど含まない。その中でも和菓子の命ともいうべき「餡」の主原料である豆類と砂糖についてお話しする。
 豆類は (1) たんぱく質、(2) 炭水化物、(3) ビタミン、(4) ミネラル類とポリフェノール、(5) 食物繊維を含んでいる。たんぱく質については特に良質のたんぱくを含み、必須アミノ酸の組成量を示すアミノ酸スコアで表示すると小豆は82であり、豚肉・卵の100には及ばないものの米の65を上回る。米と小豆から作る 「おはぎ」 は良質なたんぱく質摂取に最も良いと言える。ビタミンはB1、B2、E、B6などが含まれており、B1は小豆、いんげん豆に豊富に含まれている。ビタミンEは老化を防ぎ、B6は不足すると貧血の原因となる。また、ミネラル類は穀類の中では豆類から摂るのが最も効率が良く、身体にとって大切なカリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、サポニンなどが摂取できる。食物繊維には不溶性と可溶性のものがあり、その何れもが豆類に多く含まれている。不溶性食物繊維は消化されにくいので、腸の働きを活発にし、可溶性食物繊維は水に溶け粘性が出るので、余分の栄養を包んで排出する作用がある。ポリフェノールは何かと話題になる活性酸素を除去する働きがあり、ポリフェノールの仲間であるアントシアン、フラボノイドなどが小豆にたくさん含まれている。このように豆類は生活習慣病の予防にたいへん役立つ食べ物であり、それは豆そのものが種子であり、生命力に満ちているからである。
 砂糖については、いろいろ言われているが、FDA(米国食品医薬品局)の報告で砂糖の害は明確に否定されている。虫歯についても砂糖だけが原因ではない。虫歯は食べ物全てが原因である。1人当たりの砂糖の消費量は米国が日本の1.7倍、豪州が日本の2.6倍であるが、虫歯の発生率は米国が日本の50%、豪州が日本の40%である。虫歯は基本的に手入れ(歯磨き)と躾(しつけ)の問題である。子供達がキレる原因は砂糖の摂りすぎであるという説があるが、全く誤った見解である。記憶力の回復と増進、睡眠の改善など砂糖はむしろ脳に良い影響を与える。脳は体重の2%の重さしかないが、消費するエネルギー量は全身の18%〜20%を占め、脳のエネルギー源となるのは砂糖だけである。肥満の原因に砂糖があげられるが、砂糖の消費量が減っても肥満が増加している。グラニュー糖100gは387kcalであり、同量の米やパスタとカロリーはほとんど変わらない。砂糖だけが高カロリーではない。砂糖は炭水化物であり、お腹に入れば他の炭水化物と一緒であり、吸収が早いので疲労回復などに即効性がある。
 甘味離れと言われるが、砂糖、異性化糖、加糖調製品を加えた甘味料全体の消費量は減っていない。その中で砂糖の消費量は確かに減っているが、それをもって甘味離れと言うのは誤解がある。戦後、暫くは砂糖が入手できない時代があり、その反動から1970年頃まで急激に甘味の消費量が増えたのである。現在は落ち着いて、戦前の水準に戻っただけのことである。私は甘味離れではなく原点回帰であると分析している。
 最近の和菓子業界は、不景気だから売れないと言って見かけばかり良くして、中身を疎かにしてないだろうか。奇をてらうことなく、本質的に良いものを提供する姿勢が大切ではないだろうか。和菓子を作って売ることは何が目的か考えていただきたい。それは、お客さまに喜んでいただける和菓子を作ることではないだろうか。価格というのは消費者との信頼関係で生まれるものである。和菓子は単に食欲を満たすだけではなく、人の心に安らぎと安定を与える付加価値の高い食品である。お客さまに本当に満足してもらっているかを考えて、和菓子作りに取り組んでいただきたい。
 また、売り場の中に「跡継ぎの菓子」というコーナーを設けて、毎月1回、新しい創作菓子を置くことを勧める。そうすることで、(1) 客に歴史がある店という印象を与え、(2) 跡継ぎがいることを客にアピールし、(3) 客の反応により客の好みがわかることで、(4) 跡継ぎに菓子作りに対する意欲がでるなどといった効果が期待できる。実施している店はまだ少ないが、お店の存在感を示すためにも是非取り組んでみていただきたい。
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「砂糖の認識を見直そう」
〜延岡市民生活展から〜

会場の様子
会場の様子
 平成15年5月10日(土) から11日(日) までの2日間、延岡市及び市民生活展実行委員会が主催する 「第33回延岡市民生活展」 がカルチャープラザのべおかで開催された。同生活展は昭和42年からほぼ毎年1回開催されており、消費生活に関わる活動をしている市内の民間団体、行政、教育機関等が日頃の研究した成果を展示、発表している。会場には消費生活に関する相談窓口や環境問題に関する展示、視聴覚補助器具体験コーナーや折り紙遊び場等大人から子供まで楽しめる各種コーナーが設けられ、期間中約1,000名の市民で賑わった。
 同生活展で地元延岡市の聖心ウルスラ学園短期大学食物栄養学科は、砂糖に関する展示コーナーを設けた。「砂糖の認識を見直そう」 をテーマに、糖尿病患者数の増加に反比例して砂糖消費が少なくなっていることを示したグラフや砂糖の優れた特性を紹介したパネル等の展示を行なった他、日頃一般消費者が目にすることが少ないさとうきびやてん菜の模型や原産地別の原料糖を展示した。当事業団と精糖工業会、第一糖業株式会社が協力してパネルや砂糖製品等の提供を行なった。
 「蕪みたいな作物(てん菜)から砂糖ができるのですか?」 「砂糖は漂白していると思っていました」 「原料糖は原産地によって色が違うのですね」 など来場者から様々な意見があったことを受け、同大学の担当者は 「この展示を見に来た一般の方々が砂糖を身近に感じ、砂糖に対する認識を見直すきっかけになったのではないか」 と語った。
 その一方で 「『白いもの=体によくないもの』といった誤った認識をもっている人がまだ多くいるので、これからもこのような活動を行い、砂糖の効用を正しく理解してもらうことが大切ではないでしょうか」 と感想を述べた。事業団としても、このような展示会で砂糖について取り上げてもらい、消費者の砂糖に対する誤解を解いていきたいと考えている。
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