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地域だより[2003年9月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2003年9月]

●札幌事務所  ●清水出張所  ●名古屋事務所  ●大阪事務所
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札幌事務所


てん菜優良品種育成・普及推進事業への取り組み
(花粉親処理機・種子親収穫用刈取機等の実証試験)

 てん菜については、耐病性のある優良品種の育成及びこの優良品種を農家へ普及させるためには、多くの優良種子を採種できる新たな採種法の確立が求められている。
 このため、事業団の助成事業である「てん菜優良品種育成・普及推進事業」の中の高品質種子大規模増殖用機械開発事業として、採種作業の効率化、迅速化のための機械の開発・改良事業を行っている。
 平成15年8月5日(火)、久しぶりの晴天に恵まれた女満別町郊外のほ場では、(財)甘味資源振興会の主催で、花粉親処理機・種子親収穫用刈取機・種子茎乾燥用反転機の実証試験が行われ、てん菜採種作業省力化推進事業検討委員及び関係者20名が参加した。
 翌日の6日は、前日の実証試験をもとに、てん菜採種作業省力化推進事業検討会が行われた。

(1) 花粉親処理機実証試験
 前年度の結果を踏まえ、花粉親押え装置と鋤込み部を改造した試作機で、花粉親と種子親の枝のかき分け作業、鋤込み作業状況等をテストしたところほぼ満足の行く結果が得られた。
 これにより、従来の手作業では、(1) 花粉親と種子親の枝をかき分けての花粉親の抜き取り作業、(2) 抜き取った花粉親の撤去及び整地とに分けて行っていた。しかし、今回の機械の導入により、(1) (2) の作業が一度にでき、しかも、手作業では1haあたり約35時間を要していた作業時間が、約10分の1に短縮され、大幅な作業時間の短縮につながると思われる。
スクリュー回転方式の枝かき分け機構(オーガー)による花粉親と
種子親の枝のかき分け、花粉親を倒して後方で鋤き込んでいる状況

(2) 種子親収穫用刈取機実証試験
 前年度の結果を踏まえ、試作機の両サイドに、掻き上げデバイダーを増設した掻き上げ方式とし、また、畦合わせ対策とし、畦ずれセンサーを取り付けた試作機で、刈取種子親茎の下枝の刈り残しの有無、刈取り株へ刈取られた種子親茎の上乗り状況及び畦合わせ状況等をテストした。
 結果は、刈取りの高さが35cmほどでも、刈り残しロスはほとんど無く、刈り取られた種子親も刈取り株の上に乗っており、これにより通気性が確保され、ほぼ満足の行く結果が得られた。
種子親刈取試作機
種子親刈取試作機(全景)
種子親茎の上乗り状態
刈取り株へ刈取られた種子親茎の上乗り状態

(3) 種子茎乾燥用反転機実証試験
 種子親の乾燥の促進を図るため、種子親刈取機が刈株の上に置いた種子親の刈取枝を持ち上げて、置き直す方法を採用した。初めてのテストであるが、ほぼ満足の行く結果が得られた。今後は、今回のようにトラクタに横付して動かす方式をとるのか、種子親刈取機のように本体の後方に付けて動かす方式をとるのか等、開発がまたれる。
種子茎乾燥用反転機の試作機
種子茎乾燥用反転機の試作機(全景)
置き直された様子
置き直された様子
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清水出張所


「砂糖と食文化講座」の開催
〜静岡市清水〜

会場の様子
会場の様子
 平成15年7月29日(火)、当出張所は静岡市役所(清水消費生活センター)と共催により、「砂糖と食文化講座」を静岡市清水社会福祉会館(はーとぴあ清水)で開催した。今回の講座は、消費者の方々に砂糖の基礎的知識と食生活について正しく理解してもらうため、東京農業大学農学部助教授飯樋洋二氏を講師に招いて行われた。会場には清水の9つの消費者グループをはじめとする一般消費者56名が参加した。
 講演に先立ち静岡市役所清水市民サービス事務所長の飯沼氏から「昨今、消費者の方々の間には様々な情報が溢れており、トラブルに巻き込まれるケースが多々ある。消費者の皆さんは、正しく幅広い知識を身に付け対処することが大切だ」と挨拶があった。
 次に、事業団が作成した砂糖の基礎的な知識を紹介したビデオ「不思議な魅力砂糖」を上映した後、飯樋氏が「砂糖の消費と食生活」と題して講演を行った。
 飯樋氏は「今日はお砂糖の話であるが、結論から先に言うと、一つの食べ物で、良い悪いの価値判断は出来ない。世の中に絶対的な食品は無く、食事をバランス良く取ることが一番重要なことである。」と述べ、各種統計・資料を用いて以下の4点について講演を行った。
食料需給表
 食料需給表の概略を説明した後、日本人1人・1日あたりの供給熱量の推移について述べ、食物の構成割合は変化しているが、総供給熱量は昭和45年頃から、ほとんど変化はないと説明された。
 砂糖の供給量については、日本の摂取量は世界121ケ国中で80番目であり、むしろ砂糖を食べていないことを説明した。
 また摂取エネルギーにおけるタンパク質、脂肪、炭水化物の比率を検討すると、現在の日本人の比率は望ましい水準にあるが、最近の調査によると日本の若い世代の血液中の脂肪量は、アメリカを追い越したという調査結果があり、若い世代は食生活に留意する必要があると述べた。
国民栄養調査
 厚生労働省国民栄養調査についての解説が行われ、調査方法及びデータの精度などについて説明された。
 食料需給表が食料の総供給量であるのに対して、国民栄養調査は実際に消費した数量である。その中でタンパク質、脂肪、炭水化物のトータルエネルギーは廃棄された量や統計誤差等を勘案すると、昭和21年から、ほとんど変化がないこと等を説明された。
砂糖と健康
 砂糖を食べると肥満になるというまことしやかな誤った情報について、ヨーロッパやアメリカ、日本のデータを基に、砂糖の摂取と肥満との相反する関係を示した。
 太っている人は糖尿病になりやすい傾向にあることを述べ、糖尿病の大きな原因として、現代の人は全体的に運動不足であることを指摘した。
 また砂糖を食べたら太る、糖尿病になるという情報はWHO、FAOでも実験的に確たる証拠がないと述べた。虫歯については口腔衛生の重要性を唱え、砂糖が直接虫歯の原因ではないと述べた。
食生活について
 飯樋氏のゼミで行った「児童生徒の健康に関する課題の把握」という調査結果から肥満、欠食、偏食、生活習慣病の問題点を食生活の面から指摘した。特に欠食の多い児童ほど健康不調を訴える事例が多く、その原因がカルシウムや鉄分の不足によることや欠食をすると児童の頃は目立たないが、将来健康の不調や生活習慣病などが顕在化する恐れがあると述べた。
 さらに外食の多い人は無機質やビタミン類が充足されない傾向にあることから、家庭食(家庭の構成員が自分で食材を購入し、料理をしたもので、食べる場所は問わないことから弁当等も家庭食といえる。)の見直しとその重要性を説いた。
講演中の飯樋氏
講演中の飯樋(いいとい)氏
 最後に飯樋氏は、食生活と健康を考えるにあたって、どのような種類の食品を選んで、どのくらいの量を、どういう食べ方をするかが重要であり、それによって健康に大きな影響を与えると結んだ。
 講演後の質疑応答では、「脳のエネルギーはブドウ糖であることについて詳しく知りたい」の問いに対して飯樋氏は「脳のエネルギーはブドウ糖だけであり、脳にブドウ糖が不足すると、様々な障害が起こる。ブドウ糖は砂糖だけでなく、でんぷんやいろいろな食品から取り入れられており、通常の食べ方をしていれば、ブドウ糖の摂り過ぎで脳機能に障害をあたえる事はない」と説明した。
 また「砂糖とアレルギーの関係について因果関係はあるのか」の問いに対して飯樋氏は「アレルギーに関しては、データが足りない事や個人差があることなどから、分からないとしながらも、経験的にアレルギーを起こす食物は除去していくしかない」とアドバイスをした。
 他に砂糖だけでなく代替甘味料や健康飲料等についての様々な質問が参加者の方々からあり、消費者の「食と健康」に関する強い関心が窺える講座であった。
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名古屋事務所


砂糖をもっと知って!
〜東海農政局「移動消費者の部屋」で砂糖のコーナーを出展〜

会場の様子
会場の様子
 東海農政局は平成15年7月23日(水)〜25日(金)、名古屋市中区の金山総合駅連絡橋において「View東海 食の安全・安心プラザ〜想い出作ろう!!元気でおいしい夏休み〜」と題した「移動消費者の部屋」を開設した。当団名古屋事務所も同部屋に参加して、消費者に対し砂糖の正しい知識のPRを行った。
 「移動消費者の部屋」は東海地域の消費者等に対し、農林水産行政一般について情報提供・啓発を行うとともに、消費者に軸足をおいた農林水産行政の推進を図ることを目的に行われたもので、今回で2回目の開催となった。
 同局では従来から約1ヵ月ごとにテーマを変えた、「消費者の部屋」を開催しているが、一般の消費者が来場する機会が少ないため、人の往来が多い都市部の繁華街で実施することとなったという。
 今回は新しい食品安全行政に的確に対応していくための指針として「食の安全・安心のための政策大綱」が取りまとめられたことに伴い、「消費者の視点に立った安全・安心な食料の安定供給」、国民の安心と「信頼」を確保するための施策への消費者・生産者などの参画を期するための展示等を中心に行い、トレーサビリティー、食育、リスク管理などについて情報提供を行うとともに、地域の畜産物・野菜・豆・米麦等、農産物の消費拡大、都市と農村の交流等についてのPR等が行われた。会場では、食品表示に関するアンケート調査、食生活相談コーナー、トレーサビリティーシステムによる食の安心体験コーナー等も設けられ、期間中多数の来訪者があった。
 当団名古屋事務所は一角にコーナーを設け、砂糖の正しい知識を消費者に伝えるため、てん菜やさとうきびの実物大模型、グラニュー糖や上白糖等の砂糖の展示をはじめ、パンフレットやリーフレットを配布した。コーナーに立ち寄った消費者には漂白して白い砂糖を作っていると思っている人が依然多く、立ち寄った人に、砂糖の製造工程表を用いながら不純物を取り除いただけの、自然から出来たものであることを説明すると、自分が誤解していたことに気づいたようでしきりに感心していた。また、さとうきびやてん菜の実物大模型には足を止めて見物する人もあり、特にさとうきびの模型を見ながら子供の頃の思い出を懐かしく話す中高年の人が多かったのが印象的であった。
 このように、消費者は砂糖について誤った認識を持っている人が依然として多いことから、今後とも消費者に対して砂糖の正しい知識を普及させる必要があるものと思われる。
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大阪事務所


関西砂糖特約店協同組合が第4回研修セミナーを開催

 平成15年7月24日(木)、大阪市中央区のハートンホテル南船場において、関西砂糖特約店協同組合による第4回研修セミナーが、関西地区の特約店、代理店、精製糖企業等から83名が参加して開催された。
 このセミナーは、関西砂糖特約店協同組合が、傘下の特約店等の販売実務に携わる営業職を主な対象者として、砂糖に関する知識向上を図ることを目的に平成14年7月から実施している。通算で第4回目となる今回のセミナーでは、宝酒造株式会社 伏見工場 工場長の平松順一氏による「アルコールと健康について」、三井物産株式会社 関西支社 リスクマネジメント部 第一室長の中村正孝氏による「キャッシュフロー分析」、という2つのテーマで講演が行われた。
 まず、平松氏による講演「アルコールと健康について」では、酒類の分類と消費量、アルコールの代謝、悪酔い防止法、酒類への身体への効能、等について説明が行われた。なかでも、アルコールと砂糖は、双方とも人間の身体にとって必要不可欠なエネルギー源となるブドウ糖を供給する等、共通する面がある一方、肥満などの原因ではないかといった、決して正しいとは言えない批判があることも否定できず、正しい知識・摂取方法について消費者への理解を深めることが必要ではないか、との話が印象に残った。
 次いで行われた中村氏による講演「キャッシュフロー分析」では、海外を中心に審査部門を歴任された同氏の豊富な経験に基づき、与信管理の考え方として、審査部門の者も営業職の者とと一緒に取引先を回る現場主義が大事であること、これからは、貸借対照表・損益計算書を中心とした従来型の企業分析からキャッシュフローに注目した分析が必要であること等、具体的事例でもって詳細な説明が行われた。
 いずれの講演も、両氏の豊富な経験に基づく大変分かりやすい講演であり、参加者各位の今後の実務において大いに参考になるべきものであったと推察される。
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神戸事務所


甘味の不思議を探検しよう
〜賢明女子学院短期大学オープンキャンパス〜

体験コーナーの模様
体験コーナーの模様
 賢明女子短期大学生活学科(兵庫県姫路市)では、平成15年8月2日シに、学外の人たちの理解を深めてもらうためのオープンキャンパスを実施したが、その中で糖類に関連するイベントが行われたので紹介する。
 この企画は、「甘味の不思議を探検しよう」と題し、砂糖を中心とした様々な甘味料に関する展示や実験を通じて、同学科で開講している食物学、栄養学に対する若い世代の興味を呼び起こしたいというねらいで行われたもので、当日は高校生やその保護者など約80名が会場を訪れた。
 会場には業務用を含め各種類の砂糖の見本、事業団が製作したてん菜・さとうきびの模型のほか、新甘味料の見本等も展示された。また、甘味料に関する様々な性質についての解説が掲示され、それに関連して、来場者の体験コーナーも設置された。
 体験コーナーでは、冷やした砂糖水・果糖水とあたたかい砂糖水・果糖水を飲み比べて、温度による甘味度の変化を実感したり、砂糖溶液を加熱し、泡立ってきたところでピーナツを加え、冷やして砂糖の衣を絡めた豆菓子を作って、砂糖の温度による形状の変化を観察する実験が行われた。
 来場者は興味深そうに各実験に見入り、実際に実験を行った高校生は、紹介している砂糖の性質などについて、「初めて知り、面白かった」「砂糖の種類がいっぱいあって驚いた」「砂糖は奥深いなと思った」などの感想を述べていた。また、甘味資源作物の模型についても多くの来場者が関心を示していたが、特にてん菜については「砂糖の原料であることを知らなかった」という人も多く、新鮮な体験となったようである。
 同学科の関係者によれば、「今回の展示に対しては、多くの来場者が興味を持って接してもらえたと思っており、来年度についても、今回を基本として糖類に関する展示を行うことを検討していきたい。」とのことであった。
 今後もこの種の企画を通じ、科学的な知識に裏付けされた砂糖などの甘味料についての正しい理解が、若い世代に広まることを期待したい。
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平成14/15年期のさとうきびの低収要因と対策
〜第38回さとうきび試験成績検討会から〜

シンポジウムの模様
シンポジウムの模様
 鹿児島県南西諸島の平成14/15年期におけるさとうきび生産については、収穫面積は、「新さとうきび・糖業再活性化計画」に基づき、各島の糖業関係者が一体となった積極的な取り組みにより、9,876ha、前年比5.3%増となったものの、相次ぐ台風や長期干ばつなどの気象災害の影響を強く受けた結果、生産量は516,264トンと、前年産に比べて、122,029トン(19.1%)減少し、糖価安定制度が始まった1965年以降、過去最低の生産量となった。
 こうした中、平成15年7月29日(火)から30日(水)までの2日間、第38回さとうきび試験成績検討会(社団法人鹿児島県糖業振興協会主催)が、鹿児島市の鹿児島県農業共済会館において開催され、その中で「平成14/15年期のさとうきびの低収要因と対策」と題したシンポジウムが行われたので、その内容を紹介する。なお、同検討会はさとうきびの育種・品種、土壌肥料、病害虫及び農業機械等に関する最新の試験研究の成績を発表・検討し、その成果について、関係者に広く周知することを目的に毎年実施されており、当日は、学識経験者、鹿児島県、市町、試験研究機関、農業改良普及センター、甘しゃ糖企業、関係団体、農協などの代表者103名が参加した。
 同シンポジウムは、瀬戸口脩鹿児島県農業試験場副場長の司会進行のもと、(1) 當好二南西糖業株式会社農務部長から「平成14/15年期の低収要因と今後の対応」、(2) 早崎東内鹿児島県沖永良部農業改良普及センター所長から「さとうきび増産に向けた現地での取り組み状況」、(3) 神門達也鹿児島県農業試験場徳之島支場作物研究室長から「低収要因別(栽培、土壌等)対策技術」をテーマに、各々話題提供があり、その後、参加者による総合討議が行われた。

「平成14/15年期の低収要因と今後の対応」
(當好二南西糖業株式会社農務部長)

 徳之島における平成14/15年期のさとうきび生産は、過去3番目に低い単収となった。同社の生育調査(150筆平均・平成14年11月1日現在)による茎長及び茎数は、平年値と比較し12%程度下回った水準で推移したが、生産実績は、それよりも悪く25%程度下回った。これは単に気象要因だけではないことが考察され、植付け・肥培管理時期との関係を見ると、春植えの植付け時期や管理作業の遅れたほ場では、干ばつや台風による生育の停滞が多く見受けられ、被害が著しかった。振り返ると、特に平成14/15年期春植え面積のうち25%の263ha(前期:131ha)が5月に植付け(適期は2月〜3月頃)が行われたことなどが被害を大きくしたと考えられる。
 また、品種の関係では、NiF8は茎の折損や根こそぎの倒伏が多く、台風に対する弱点が顕著に表れた。一方、RK91-1004(鹿児島県新奨励品種)は台風による被害が少なく耐風性が実証された。このように、気象要因だけでなく、植付け時期や肥培管理の不徹底、品種構成等も低収要因の一つと考えられ、今後は、従前にも増して、徳之島各町や徳之島さとうきび生産対策本部の一員として地域一体となり、栽培技術講習会(農談会、キバラディ講座)の開催や全さとうきび生産農家に啓発ポスター(機械化ごよみ、栽培管理ごよみ等)を作成・配布し、気象災害を軽減できるよう、春植えの早期植付けや早期肥培管理作業の確実な実施に向けた取り組みを推進して参りたいと述べた。

「さとうきび増産に向けた現地での取り組み状況」
(早崎東内鹿児島県沖永良部農業改良普及センター所長)

 沖永良部農業にとって、さとうきびは地域経済を支える大変重要な作物である。地元甘しゃ糖工場の安定操業を考えると6万トンが必要だと言われているが、残念ながら、平成12年から平成14年にかけて3年連続で工場の採算ラインとされる5万3千トンを割り込んでいる。
 さとうきびの増産に何が必要なのかを考えたときに、(1) 面積の拡大、(2) 単収の向上に尽きると言っていいのではないか。(1) については、集落単位に推進目標面積を設定し、集落推進員や沖永良部さとうきび生産対策本部の指導員を中心に関係機関が連携し、面積確保を推進しているところである。(2) が最大の課題であるが、「さとうきび通信」の発行(本誌平成15年6月号で紹介)や集落別座談会の実施等を通じて、さとうきび生産農家に直接、栽培基本技術の励行を呼びかけているところである。面積拡大や単収向上をより一層推進するためには、さとうきび増産に向けた生産体制づくりを従前にも増して強固にすることが、非常に重要であることから、大規模さとうきび生産志向農家(沖糖会)やハーベスタ利用組合の組織化、受託者組織を中心とした交流会を積極的に実施している。
 また、今後の課題だが、適期・適正作業を実施するためには、農業従事者の高齢化に伴う労働力不足の中で、さとうきびの収穫作業と春植え、他作物と労働力が競合する等を考慮すれば、受託者組織の育成・機能強化に向けた取り組みが大変重要であると述べた。

「低収要因別(栽培、土壌等)対策技術」
(神門達也鹿児島県農業試験場徳之島支場作物研究室長)

 早期植付け・早期管理の重要性を中心に説明が行われた。さとうきびの収量と気象要因を考えた場合、奄美地域では、伸長を阻害する等のマイナス要因として、夏場の干ばつや最大瞬間風速40メートル以上の強い夏台風、また、中規模でも晩期の台風は品質低下の方向に作用する。逆に、恵みの雨をもたらし、伸長を促すプラス要因の弱い夏台風や夏期の雨、秋の高温等の条件が揃うと収量に貢献することとなる。このような気象が毎年繰り返し発生することにより、生産量が不安定になることが解明されつつある。一方、さとうきびの分けつ期における気象条件、即ち、春期の雨や高温、梅雨時の雨がさとうきびの生育にとって非常に大切であり、近年の温暖化もプラスに作用している。
 これらの事柄を念頭におきながら、過去の奄美地域の気象データをひも解き、細かく分析してみると、確実に得られる気象は、春期の雨や高温であり、不確実な気象は台風の勢力等の予想である。同室長は、当てにできる春期の雨や高温を活用した早期植付け・早期管理が重要であると述べ、気象感応試験(注)の成績結果等を用いながら、(1) 夏植えについては、9月10日までに植付け、年内に充分な分けつを確保すること、(2) 春植えについては、3月10日までに植付け、春先、早く芽を出して、早く管理すること、(3) 株出しについては、特に、収穫直後の株出し管理作業の重要性を説明した上で、これまで、収穫作業と競合することから株出し管理作業が遅れる傾向にあり、このことが単収低下の要因のひとつであったが、現在、同支場で開発中の「株出管理一工程機」(株揃え、根切、排土、施肥、除草剤施用を同時に行う作業機)が普及すれば、同作業の早期管理が可能となり単収向上が期待される等の紹介を交えながら、梅雨明けまでにさとうきびを十分大きくすることが重要であると発表した。

「総合討議」
 その後、参加者による総合討議が行われ、太田正孝日本甘蔗糖工業会会長から「沖永良部島においては、農業改良普及センターをはじめ地元関係者のご努力により、明るい兆しも見られるようであるが、これまで行ってきた様々な普及啓発活動の中で、さとうきび生産農家の生産意欲の向上に一番効果的だったのはどのような活動か。」との質問に、同所長は、「実績が上がっていない中で回答しづらいが、農家のさとうきびに対する意識も徐々に良い方向に変化していると感じている。関係機関では増産に向けた打合せ会議も多く、島でのさとうきび増産を推進する上での問題点、改善点等について、関係者間の意志統一は図られているものの、いかに、さとうきび生産農家に、その考え方や栽培技術を定着させることができるかが重要で、そのためには、地道に、さとうきび通信の発行や集落別座談会の実施が大事だと考えている。」との質疑応答や、和泉勝一鹿児島県農業試験場徳之島支場長は「早期の植付けや早期の管理作業を実施することにより、どれだけ単収がアップし増収につながるんだということを基本に置き、いずれにしろ、個々のさとうきび生産農家が理解して栽培してもらわなければ意味がなく、今後とも、関係機関と連携を取りながら実証して参りたい。」との意見があった。
 最後に、司会の瀬戸口脩鹿児島県農業試験場副場長より「さとうきびの低収要因は、単に気象要因だけでなく栽培技術等の定着といった所に、今回、時間を費やして討議をして頂いたが、逆に言えば、基本技術をおろそかにしていたと言えないだろうか。本シンポジウムの開催が同技術をもう一度見つめ直すきっかけとなれば幸いである。」と締めくくり、閉会となった。このような試験研究成果や各種普及啓発活動がさとうきび生産農家に浸透・定着し、平成15/16年期は豊作の年であるように期待したい。

(注)気象感応試験(さとうきび)とは、毎年一定の栽培基準(植付時期や肥培管理)に基づき栽培した際の茎長及び茎数と気象の経過との関係を把握・分析し、その結果を、生産性の安定と向上に役立てている。





JA佐賀市のらくがん作り
〜手作りの楽しさ、美しさ〜

らくがん作りの模様
らくがん作りの模様
 「らくがん菓子講習会」が、佐賀市農業協同組合(JA佐賀市)の各支所で毎年夏に行われている。同JAは米(糯米)の消費拡大の一環として、女性部の活動の中でらくがん作りに取り組んでいる。お盆にらくがんを供えることから講習会は毎年この時期に行っており、今年も7月中旬から8月上旬までの間、同JAの11支所で開催された。講習会は同JA女性部担当者と地区の女性部農産加工グループのリーダーの指導のもと行われ、参加者は各支所の女性部を中心とした組合員である。佐賀市高木瀬町の小里公民館で行われた高木瀬地区の組合員を対象とした講習会の模様を取材したので紹介する。

「らくがんの作り方」
(1) 主な材料は、上白糖とらくがん粉(糯米の粉)、ネキ水と呼ばれる水飴を溶かして冷ましたもの、色を付ける為の食紅などである。特殊な道具として花や野菜、果物の形を彫り込んだ木型が必要となる。
(2) ボールで上白糖を振るっておき、食紅で色を付ける。ネキ水を少々加え、同量のらくがん粉を混ぜあわせ、ムラが出来ないように擦りつけるようにしてしっかり混ぜ、ふるいにかける。色付きの粉はピンク、紫、青、緑等、着色していない無地の粉はたくさん作っておく。
(3) 木型に彫られた模様に添って最初に色付きの粉を詰め込み、その上からしっかりと無地の粉を押えて詰め込む。
(4) 詰め終わったら、下からトントンと叩き、型を抜いたら出来上がり。
(52) 出来上がったらくがんをラップに包んでおくと固くならず、型崩れしない。

出来上がった「らくがん」
出来上がった「らくがん」
「講習会の模様」
 参加者は15人で、毎年参加されている方が多く、JA担当者の指導のもと和やかに談笑しながら手際よくらくがん作りが進んでいった。2時間程で色とりどりのらくがん10種類が約100個出来上がった。作り方のポイントは型に粉をしっかり押し込んで詰めることであり、押し込みが不十分だと崩れてしまうことがある。初めての参加者は「きれいに出来て嬉しい」「こんなに簡単にできるなんて」と手に粉を付け喜び、毎年参加している方は「家に持ち帰り、お供え物にしたり孫に食べてもらう」と目を細めていた。講習会に立ち会った同JA経済部生活課の中島審査役は、「らくがん作りは手作りの美味しさ、色がソフトできれいなことが参加者に喜ばれています。また、材料の約半分は砂糖であり、これが防腐剤として重要な役目を果たし、ラップをして保存すれば1年経過しても食べれます。」と語っていた。
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石垣島におけるライシメーターを活用した研究について

 石垣島にある独立行政法人国際農林水産業研究センター沖縄支所では、この度、島嶼環境技術開発棟(ライシメーター)が完成し、見学する機会があったので紹介する。  ライシメーターとは、大型のコンクリート枠に土壌を自然状態を模して充填し、土壌水分の蒸散・浸透、養分の移動などを正確に測定することによって、作物と土壌養水分との関係を明らかにするための施設である。
 熱帯・亜熱帯島嶼特有の自然環境としては、海洋に隔離された小陸域、急峻な地形、礁湖由来の浅い土壌、浸透の遅い土壌とその下には浸透の速い石灰岩基盤などがあり、また、気象的には、夜の気温が高く、大粒の雨が降り、湿度が高く、水資源に恵まれない、などがある。
 このような自然環境のもとで、大規模農地開発等が行われることによって土壌流失が発生するとともに、防風林の減少よる風の被害や耕作の機械化で耕盤(注)が発達することによる干ばつの被害が発生する。また、化学肥料の多用による地下水汚染を引き起こすことにもなる。これらの被害は、生産性の低下や河川・海洋汚染を引き起こすもととなる。
 このことから、同支所ではライシメーターや関連施設を活用して、次の研究を進めることとしており、今後の研究成果に期待したい。
(1) 様々な土壌・作物管理条件下で、雨による水・土・施肥成分の流出量を傾斜度が異なる3種類のほ場において正確に測定することで、土壌流失を軽減する経済的な土壌管理技術の開発。
(2) 降水や潅漑水により土壌に浸透した水や肥料がどのように浸透し、貯留されるのかを測定することで、肥料成分浸透で地下水を汚染しない土壌・肥料管理技術の開発。さらに蒸発散や作物の吸水・吸肥を測定することで、貯留水、潅漑水の有効利用により干ばつ害を軽減し、生産性を高める栽培技術の開発。
(3) 河川、地下水で土壌と肥料成分の流出量を継続測定し、土壌・水質を保全する土地利用法の評価。

(注)耕盤とは、農業機械で畑の同じところを踏みつけることにより、深さ30〜40センチのところにできる2〜3センチの硬い層で、水や作物の根が通りにくくなる。
丸や四角のコンクリートの枠の
内側がライシメーターである
その地下にこのような各種観測装置が入っており、
研究棟でコンピュータにより管理されている
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