[2004年2月]
札幌事務所
「うれしい手作りケーキ」
〜砂糖と食文化講座を札幌市で開催〜
前田氏の説明に聞き入る参加者 |
平成15年12月2日(火)、札幌市の北ガスクッキングスクールにおいて、当事務所は、(財)札幌消費者協会との共催により「砂糖と食文化講座」を開催した。同講座には、一般消費者30名が参加した。
まず、砂糖と北海道の輪作体系に組み込まれているてん菜の重要性を理解してもらうために、日本甜菜製糖(株)販売部札幌営業所の前田所長代理による「てん菜から砂糖のできるまで」についての説明が行われた。次に、当機構の横浦札幌事務所長がパンフレット『砂糖のあれこれ〜お砂糖Q&A〜』を使って砂糖の効用、砂糖の価格調整制度及び国内における砂糖の生産量・消費量等について説明を行い、参加者の理解を求めた。
引き続き行なわれたお菓子作り教室では、参加者は同クッキングスクールの坂井美恵子主任講師による「紅茶のケーキオレンジ風味」の実演を聴講した後、同講師の指導のもとケーキ作りを行った。さらに、二品目の「ごま風味のプリンアングレーズソース仕立て」も同様に行った。
坂井講師による実演指導 |
同講師は、実演・指導中においてもケーキやプリン作りの技術的なことはもとより、お菓子作りに欠かせない砂糖の必要性・役割等についても熱心に説明をされた。
試食中に、参加者が「これからはお菓子を店で買うことをやめて自分で作って子供に食べさせたい」、「砂糖に対する認識が変わった」と感想を語りあっていたのが印象的であった。
講演終了後のアンケート調査結果では、「脳のエネルギー源は砂糖等に含まれるブドウ糖だけである」、「砂糖は糖尿病の直接の原因ではない」などの事項について初めて知ったという参加者が多く、本講座が少なからず砂糖の誤解を払拭できたものと考えられる。その他には「菓子作りでのお砂糖の使い方、役割が勉強になった」という声もあった。
この講座を受講したことによって、参加者が砂糖に対する誤解を改め、砂糖を今まで以上にお菓子作り等に使ってもらうことを望みたい。
横浜事務所
「砂糖と健康」
〜砂糖と食文化講座を横浜市磯子区で開催〜
講師の橋本仁氏 |
平成15年12月12日(金)、当事務所と磯子区役所及び磯子区消費生活推進委員との共催により、砂糖と食文化講座を開催した。
今回の講座は、横浜市から委嘱を受けた磯子区消費生活推進員が、地域消費者に対して生活に関する衣・食・住その他に関する話題提供を行なう「くらしのセミナー」の一環として実施され、当日は一般消費者83名が参加した。
講師には、横浜国際バイオ研究所会長橋本仁氏を招き、「砂糖と健康」と題した講演を行った。橋本氏は、プロジェクターやさとうきび及びてん菜の模型を使い、参加者との対話を交えながら講演をすすめられた。
はじめに、「食品を総合的に考える上で最大の問題は、栄養学と医学の教育が分離されていることである。体に一番良いといわれる食品はなく、バランス良く食品を摂取するのが望ましい」とし、砂糖の正しい知識、国内の生産地及び生産量の紹介や砂糖の種類とその特徴を紹介された。
砂糖の消費量が減少する要因としては、食生活の変化(冷凍食品、外食等の増加)、流通システムの発達(スーパー、コンビニの増加)が考えられ、砂糖を摂取すると太る、体のカルシウムが溶ける等の砂糖への誤解が大きな要因であると述べた。
会場の様子 |
橋本氏は厚生労働省の統計数値を引用し、20年前と現在の食事を比較すると、脂肪の摂取が増加し、タンパク質や米・砂糖などの炭水化物の摂取が減少していることをわかりやすく説明された。砂糖と肥満及び糖尿病については、砂糖摂取が肥満や糖尿病の原因といった科学的根拠のない俗説であると前置きした上で、糖尿病とは、主に食べ過ぎ、運動不足、ストレスによる血糖異常から引き起こされるもので、砂糖や甘いものの摂取が直接の原因でないことを説明された。さらに、国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)、米国連邦食品医薬局(FDA)の国際機関も砂糖の摂取と肥満、糖尿病、高血圧、異常行動、心臓病とは直接の因果関係はないとしていることも併せて紹介された。
次に砂糖の効用を説明され、「脳の唯一の供給エネルギーはブドウ糖で、脳のブドウ糖消費エネルギーは体全体の20%を占めており、貯えることが出来ない。」と砂糖の摂取の重要性について述べ、砂糖は脳をリラックスさせる働きがあることも付け加えた。
講演後の質疑応答では、「はちみつは砂糖と同じカロリーか」、「砂糖に摂取基準量はあるのか」、「白砂糖より黒砂糖のほうがいいのか」、「脳に必要なブドウ糖の1日あたりの量は」、「砂糖に賞味期限はあるか」、と多くの質問が寄せられた。
講演後のアンケート結果によると、今回の講座に参加して砂糖について初めて知った事項としては、「脳のエネルギー源は砂糖等に含まれるブドウ糖だけである」、「砂糖=肥満ではない」、「体のカルシウムを溶かすものではない」が特に多かった。「砂糖に関する講座にまた参加したい」と回答した参加者が8割以上で、一般消費者の食に対する関心の高さが伺えたと同時に、今後も砂糖への誤解を払拭していく活動を継続していく必要があると感じた。
大阪事務所
「砂糖科学会議」が大阪で開催
会場の模様 |
平成15年12月4日(木)、社団法人糖業協会・精糖工業会・砂糖を科学する会主催、大阪府栄養士会後援による「砂糖科学会議」が大阪市中央区の大阪産業創造館において開催された。
今回の会議には、大阪府下在住の栄養士が多数参加し、講師に株式会社横浜国際バイオ研究所会長で農学博士である橋本仁氏を招き、「健康と砂糖、食育」と題して講演が行われた。
橋本氏は、演題前半の「健康と砂糖」では、日本において1人当たりの砂糖の消費量が減少傾向にあるなかで、肥満や糖尿病患者が増加していることについて、肥満に関しては、砂糖はごはんやそばと同じ炭水化物であり、カロリーも同じ(1グラム=4キロカロリー)であることを述べたうえで、肥満にはライフスタイルの変化による現代人の運動不足が大きく関係しているのではないかと指摘した。糖尿病に関しては、砂糖の摂取過多が原因ではないとしたうえで、糖尿病の英語での呼名は「Diabetes Mellitus」(=体の中のものが溶け出す)であり、日本語での病名表記が誤解の一因となっていることを指摘し、糖尿病の原因は、生まれつきの体質、高カロリー・高脂肪食などの食習慣、運動不足、ストレスなどが考えられると述べた。
また、脳と砂糖の関係については、脳の体重に占める重量の割合は2パーセントに過ぎないが、消費エネルギーの割合では18パーセントを占め、そのエネルギー源としてはブドウ糖が唯一のものであり、脳へのブドウ糖の供給源として消化吸収に速効性のある砂糖の果たす役割の大きさについて説明した。
演題後半の「食育」については、体や脳が求める栄養素を摂取する食生活そのものが豊かでなければならないとし、今後の子供達へのフードチョイス(選食教育)など健全な食生活のトレーニングの重要性について言及した。
質疑応答・意見交換では、「砂糖が骨を溶かすといったことが誤解であることは理解しているが、上手に説明するのが難しい」、「最近、栄養相談において糖尿病になることを恐れている糖尿病予備軍のような人が大変多い。このような人は大抵、砂糖摂取=糖尿病といったイメージにとりつかれており、砂糖と糖尿病の関係をどう説明したらいいのか頭を悩ませている。」、「糖尿病患者の砂糖の利用方法を教えてほしい」、「食事のカロリーと砂糖との関係について教えてほしい」といった栄養士ならではの意見・質問が数多く出された。
福岡事務所
平成15年産甘しゃ糖の生産が始まる
製糖工場に搬入されるさとうきび
(徳之島にて平成15年12月22日撮影) |
鹿児島県南西諸島における甘しゃ糖の生産は、例年12月から4月にかけて、6社7製糖工場で行われている。平成15年産は、種子島の新光糖業株式会社による平成15年12月16日からの製糖開始を皮切りに、奄美地域では、徳之島の南西糖業株式会社及び沖永良部島の南栄糖業株式会社が同年12月22日から、また、奄美大島の富国製糖株式会社、喜界島の生和糖業株式会社及び与論島の南島開発株式会社は、平成16年1月からの操業となっている。
平成15年産甘しゃ糖の生産については、南西諸島全域において度重なる大型台風と長期間の干ばつの影響を強く受けたことから、原料であるさとうきびの生産量が55万トン程度に留まることが予想されており、日本甘蔗糖工業会(太田正孝会長)が取りまとめた鹿児島県産甘しゃ糖製造見込み(平成15年12月16日現在)による産糖量は、6万7千トンと2年連続で7万トン割れの厳しい操業見通しとなっている。
なお、各島の製糖工場は製糖期間中に操業を一時休止し、地元関係機関・団体と連携して春植の推進等により来期のさとうきび増産に向けた取り組みを実施する予定(下表各社コメント参照)である。
この時期、さとうきび生産農家をはじめ、製糖工場、地元関係機関にとって年間を通じて最も忙しい日々を送っているが、今期の操業が、計画的かつ安全な収穫・搬入作業のもとに無事故で無事、製糖終了を迎えることを願いたい。
表 平成15/16年期 鹿児島県産甘しゃ糖製造見込み(平成15年12月16日現在) |
(単位:トン、%) |
項目 |
各社からのコメント |
製造予定期間 |
15/16年期(見込み) |
会社名 |
工場名 |
開始年月日 |
終了年月日 |
日 数 |
原料処理量 |
歩 留 |
産糖量 |
新光糖業 |
中種子 |
16年2月下旬に4日間の休搾日を設定し、春植適期植付け・株出適期管理の重点推進キャンペーン(広報車、チラシ配布等)を実施し、来期の単収upにつなげる予定 |
H15.12.16 |
H16.4.19 |
126 |
164,800 |
11.52 |
18,986 |
富国製糖 |
奄美 |
16年2、3月中旬に各6日間、工場を休止し、春植適期植付け・株出適期管理を推進(全農家にチラシ配布等)するとともに、F177から台風に強い優良品種へ更新 |
H16.1.11 |
H16.3.30 |
80 |
27,000 |
12.22 |
3,300 |
生和糖業 |
喜界 |
16年2月下旬に3日間、さとうきび増産推進デーを設定し、春植・株出面積の拡大のため推進キャンペーン(広報車等)を実施し、収穫面積の増大につなげる予定 |
H16.1.7 |
H16.4.15 |
100 |
70,000 |
13.30 |
9,310 |
南西糖業 |
伊仙 |
16年3月上旬の5日間、「さとうきびの日」を設定し、春植適期植付け・株出早期肥培管理を推進(全農家にチラシ配布等)し、さとうきびの増産につなげる予定 |
H15.12.22 |
H16.4.10 |
111 |
100,656 |
12.50 |
12,580 |
徳和瀬 |
H15.12.22 |
H16.4.10 |
111 |
95,915 |
12.50 |
11,991 |
計 |
|
196,571 |
12.50 |
24,571 |
南栄糖業 |
和泊 |
更なる収穫面積の増大に向けて植付目標面積を春植200ha、株出300haに設定し、関係機関・団体一体となって、重点的に広報活動等を展開し、目標達成に努力 |
H15.12.22 |
H16.3.26 |
96 |
56,388 |
12.40 |
6,992 |
南島開発 |
与論 |
春植の適期植付けを推進するため、農作業受託組織とタイアップし、ほ場の準備を実施するとともに、約50%を占めるF177から台風に強い優良品種へ更新 |
H16.1.7 |
H16.4.11 |
96 |
34,000 |
12.25 |
4,165 |
合 計 |
|
548,759 |
12.27 |
67,324 |
|
(注) 1.製造予定期間及び15/16年期(見込み)は、日本甘蔗糖工業会がとりまとめた数値等に基づく。
(注) 2.各社からのコメントは、平成15年12月末に寄せていただいたものであり、予定である。
|
宮崎出張所
シュガーアートでクリスマス飾りを作ろう!!
〜 のべおか子どもセンター 体験活動 〜
平成15年12月20日(土)、宮崎県延岡市にある聖心ウルスラ学園短期大学において、のべおか子どもセンター(伊東幸子 センター長)主催のシュガーアート教室が開催され、幼稚園児及び小学生の児童約40名が参加した。
のべおか子どもセンターは、延岡市、延岡市教育委員会、聖心ウルスラ学園短期大学が完全学校週5日制に対応し、地域における子どもの体験活動を促進し、青少年の健全育成に寄与するために平成14年度から同短大内に設置されたものであり、月に一回、同短大を地域の子どもたちに開放して各種イベントを開催したり情報誌の発行を行っている。平成15年度の主な活動実績は、ジャガイモやサツマイモの植付け、収穫体験、折り紙教室、ジャンボシャボン玉作り等であったが、今回はクリスマスにあわせて、ツリーに飾るオーナメントをシュガーアートで作成する教室を開いた。
講師は同大学食物栄養学科の川瀬千恵子助教授と学生の方々が務め、事前に宮崎市でシュガーフラワー教室を主宰している立川芳子氏(同氏の作品は本誌02年2月号の地域だよりに掲載)からシュガーアート作りについて指導していただいた。
児童達は、最初に講師が作ったサンプルを見ながら、砂糖で出来ている星やハートなど色々な形をしたシュガークラフト用の土台から自分の好きなものを選び、様々な色のアイシング(粉砂糖、卵白、着色料等を混ぜたもの)を使って、個性あふれる装飾を加えていった。土台はもろいため途中で割ってしまう児童もいたが、難しい部分は講師に手伝ってもらいながら、4つ、5つとたくさん作る児童もいた。こうして出来上がったシュガーアートをリースに取り付けると完成であり、お互いに自分の作ったオーナメントを見せ合いながら、学生の方々と一緒に作って焼いたクッキーを食べ、楽しいひとときを過ごした。
砂糖は調味料だけではなく、食用以外でもこのような工芸の材料として用いられており、児童達にとって砂糖の新たな面に触れる貴重な体験となった。シュガーアートは市販されている材料で誰でも簡単に作成できるので、今後もこうした教室を開催する機会が増えることを期待したい。
(1) アイシング作成 |
(2) アイシングで彩をつける |
(3) リースに取り付ける |
(4) オーナメント完成 |