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地域だより[2004年4月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[2004年4月]

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札幌事務所


平成15年度「高品質てん菜づくり講習会」を開催

 平成16年2月3日(火)〜6日(金)の4日間、社団法人北海道てん菜協会は、平成16年産てん菜の高品質で安定的な生産と一層の栽培技術の向上を目的に、虻田町、鹿追町、端野町及び中富良野町の4会場において「高品質てん菜づくり講習会」を開催した。
 4会場で行われた講習会には、てん菜生産者、糖業関係者、JA、行政関係者約900名が参加し、砂糖・甘味資源作物をめぐる事情や平成16年産てん菜の作付指標、直播栽培方法及びてん菜の肥培管理などを学んだ。
 中富良野町会場では、てん菜協会の渕澤専務理事が「天候にも恵まれたが、生産者の適切な肥培管理や品種改良など関係者の努力が実を結び、平成15年産のてん菜生産実績は非常に良い成績であった」と前置きしながらも、「現在の砂糖情勢からみると、この豊作により、てん菜原料糖の持ち越し在庫が史上最高となることが予想され、また色々な面で砂糖の販売環境が厳しくなっていることから、その解決策として砂糖の内外価格差を縮小するために国産糖のコスト低減を図ることが大きな課題であるとともに、生産者の仕事はてん菜を作る者、砂糖の需要拡大は糖業者に任せるものと考えるのではなく、生産者と糖業者が一体となって砂糖の需要拡大に取り組む必要がある」と述べ、参加者に理解を求めた。
 農林水産省特産振興課からは、最近の砂糖の需給動向、糖価調整制度、てん菜などの国内生産、来年3月に向けた新しい食料・農業・農村計画の取り組み状況などを解説した「砂糖・甘味資源作物をめぐる事情」の説明が行われ、北海道農業協同組合中央会からは、「平成16年産てん菜の作付指標について」の講演が行われた。
 道立十勝農業試験場からは、「平成15年産てん菜生産実績」と畑作経営の規模が拡大する一方、労働力不足と高齢化が進んでいる畑作経営において、省力化・低コスト化や所得向上が期待される直播栽培のポイントなどを解説した「直播栽培方法について」やてん菜栽培管理に参考となるライムケーキの施用効果、直播きにおける有効な施肥方法などを解説した「てん菜の肥培管理」のなどの講演が行われた。
 最後に、富良野市のてん菜栽培優良事例紹介では、基本技術をしっかり守り、糖分安定と多収量を実現し、TVドラマ「北の国から」の舞台にもなった麓郷の生産者が紹介された。
有田研究職員
講演中の道立十勝農業試験場の有田研究職員
会場内の様子
会場内の様子
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「心身の健康と食べ物」
〜砂糖科学会議を東京都港区で開催〜

 平成16年2月17日(火)、東京都港区の虎ノ門パストラルにおいて、社団法人糖業協会、精糖工業会、砂糖を科学する会の主催により糖業関係者等約30名が出席し、砂糖科学会議が開催された。
 主催者を代表し、砂糖を科学する会副代表の橋本仁氏が「本日は、人間にとって最も大切な脳並びに昨今世間で注目されている血栓症と砂糖の関係について考えてみたい」と挨拶を行った。
 はじめに、浜松医科大学名誉教授の高田明和氏が「脳の栄養について」と題して講演を行い、最近よく言われる食肉・砂糖の摂取が脳梗塞等の生活習慣病を助長しているとの考え方は間違っていると語り、逆に食肉に含まれる必須アミノ酸、脂肪酸、コレステロールの3要素の摂取は、精神の安定や至福感の充実、さらには痴呆予防に重要な役割を果たしていると、最新の脳内生理学に基づいて論じた。また、記憶力の向上には、必須アミノ酸を脳内へ多く取り込むことが重要であり、これにはブドウ糖が必要となるため、その方法として砂糖の摂取が最も有効であるとの持論を紹介し、「脳を無視した食の指針は、脳の栄養失調を生み、近年のうつ病などの増加をもたらしていると考えられる」と締めくくった。
カッカー氏
講演中のカッカー氏
 続いて、ロンドン大学教授のカッカー氏(Ph.D.Ajay.K.Kakkar)が「血栓症、食べ物を考える(Thrombosis ; Food for Thought)」と題した研究発表を行った。カッカー氏は、まず血栓症には動脈血栓症(心筋梗塞や脳梗塞の原因となるもの)と静脈血栓症(エコノミー症候群(長旅により足にできた血栓が肺梗塞を起こす)等)の2種類があることを説明し、欧米圏を中心に行なった最近の研究データを示しながら、血栓症発生の危険因子として、喫煙・高血圧・運動不足・肥満・長期入院等があげられること、その死亡率は癌よりも高くなっていること、血栓症を予防するためには、野菜を多く摂り入れた食生活が有効であることがわかってきたが、血栓症と各食材との具体的な全ての関係は解明されていないことなどを説明した。ただし、カッカー氏自身は砂糖と血栓症には直接的な因果関係はないとの見解を持っていると申し添え、最後に「血栓症は人類の健康にとって最大の脅威である」と述べて発表を終了した。
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第29回国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN 2004)の開催

 平成16年3月9日(火)から12日(金)までの4日間、千葉市の幕張メッセにおいて社団法人日本能率協会等の主催により第29回国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN 2004)が開催された。
 1976年から毎年開催されている同展示会は、食品及び飲料の専門展示会として、フードサービス、流通、小売業界向けのけ“食に関する最新の情報を提供し、出展者、来場者の双方のビジネス拡大に絶好のイベントとして開催ごとに関係者から高い評価を受けている。今年は国内外併せて2,465社が出展し、来場者数は10万人を突破した。
 集中展示では、現在の食品業界関係者に関心の高いトピック、テーマに関わる製品群のブースを集中的に集め「惣菜・中食PLAZA」「TEA&COFFEE PLAZA」「ORGANIC&NATURAL PLAZA」「HEALTH PLAZA」「日本の味全国食品博」などのコーナーごとに展示内容を分類するなど、来場者に分かりやすいように工夫が凝らされていた。今年の特徴は、国内出展ゾーンでは「国産」「天然素材」「安心・安全」「自然」「こだわり」といったキーワードの製品の出展が数多く見受けられた。そのキーワードと関連して、流通関係者向けブースでは、食の安心・安全の観点から改正JAS法の内容について多くの来場者に理解してもらうために、50インチプラズマディスプレイにクイズが出され、来場者が答えるという形式をとっており、JAS法を身近に感じてもらおうと努めていた。またパネルの展示では、実際の表示の実例が詳しく解説されており、多くの来場者が足をとめていた。
 精製糖企業からは、三井物産株式会社のブースに新三井製糖株式会社、台糖株式会社が出展し、三井物産株式会社との共同企画によるスプーンブランドのPRを全面に打出し、製品を展示していた。その中でも厚生労働省から特定保健用食品の認可を受けた製品で、97%の砂糖にL−アラビノース(アラビノ)(注)を3%加えた特殊な製法によって作られた顆粒状の新甘味料が注目を集めていた。この製品は、食後の急激な血糖値の上昇を抑制する効果がある。大東製糖株式会社は様々な製品を展示していたが、国内産のさとうきびのみを原料とした含蜜糖をメインに展示していた。その含蜜糖は、さとうきびが持つミネラルと風味を生かすために丁寧に焚き上げる独自の製法により製造されており、「上白糖よりも三温糖、三温糖より黒砂糖を使いたいけれども、黒砂糖よりも香りを抑えたものが欲しい」という消費者ニーズに応え、独自の製法でさとうきびのミネラルを閉じ込め、なおかつきびの香りを抑え、やわらかい甘みを持つことから、三温糖のように料理にも使えるように商品開発された。さらに、黒砂糖製造工場としては日本で始めてISO9001を認定取得している上野砂糖株式会社からは、JASオーガニック認定黒砂糖等を展示し、黒砂糖は安全な食品であることや黒砂糖の持つ特徴をアピールしていた。中でも「加工焚黒糖」は、沖縄県産黒糖を主原料に中国産黒糖と輸入原料糖をブレンドし、年間を通じて品質及び製造量を安定的に供給できるようにしているとのことであった。
 各社とも、独自の製法を開発し、通常の砂糖に付加価値をつけた製品をメインに出展していたことや昨今の健康ブームにより、展示会に出展している企業は全て黒砂糖等の含蜜糖を扱っており、改めて黒砂糖は健康食品としても人気のある製品だという認識を持った。
(注) アラビノ(L―アラビノース)は、トウモロコシや米、麦などの穀物やサトウダイコン、リンゴなどの食物繊維質を構成している。特性は腸内での砂糖の分解吸収を邪魔する作用がある。
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「砂糖のあれこれ」
〜砂糖と食文化講座を泉佐野市(関西製糖)で開催〜

 平成16年3月12日(金)、当事務所主催・大阪府消費者団体連絡協議会の後援による「砂糖と食文化講座」を大阪府泉佐野市の関西製糖株式会社において開催した。
 大阪府消費者団体連絡協議会傘下の各団体から募ったメンバー及び当事務所の消費者モニターを参加対象とした今回の講座は、関西製糖株式会社の協力を得て実現したもので、同社の生産技術部長である伊藤達行氏による「砂糖のあれこれ」と題した講演の後、同社の工場見学を行った。
 関西製糖株式会社の大庭龍夫代表取締役社長から同社の概要等の説明があった後、伊藤氏による講演では、砂糖の生産、特性等をまとめたビデオ上映の後に、原料糖(粗糖)から砂糖を生産する各工程の説明及び上白糖・グラニュ糖・三温糖といった糖種ごとの特性の違い、用途について具体的に説明が行われた。
 工場見学では、原料糖倉庫、洗糖、結晶化、分蜜、包装の各工程を4班に分かれて担当者から説明を受けた。
 工場見学終了後には、「タイやオーストラリアといった原産地によって砂糖の甘さに違いはあるのか」、「心の豊かさの象徴としての砂糖の重要性を理解できた」といった質問、意見等があったが、なかでも「砂糖が白く見えるのは、漂白されているからではないことが理解できた」という意見が数多く聞かれた。
伊藤氏
講演中の伊藤氏
講演会の様子
講演会の様子
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鹿児島県甘味資源作物生産振興審議会の開催

 鹿児島県甘味資源作物生産振興審議会(会長・林満鹿児島大名誉教授)が平成16年2月10日(火)に鹿児島市で開催され、県が諮問した平成16年さとうきび生産振興計画(案)について審議し、原案のとおり答申を行った。
 同審議会は、甘味資源特別措置法に基づき設置され、県知事の諮問に応じてさとうきびの生産振興に関する重要事項を調査審議するものである。
 今回審議された同計画(案)によれば、平成16年度からは「さとうきび・糖業安定生産促進緊急対策事業」(新規事業)が2ヶ年の期間で始まることから、さとうきびの担い手の育成や生産性・品質の向上、安定生産、並びに甘しゃ糖企業のコスト低減を図るための「新たな計画」を作成するとともに、高品質のさとうきびを安定して生産できる体制づくりに努め、さとうきび生産農家の経営安定と製糖企業の健全な運営を促進することを基本方針としている。その為の重点施策として (1) 大規模経営体等担い手の育成と複合経営の推進、(2) 生産の安定と品質向上対策の推進、(3) 効率的な生産・集荷体制の確立を柱として掲げ、関係機関・団体が一体となった取組みを推進することとしている。特に (1) は担い手の育成を重点的に、株出管理機の導入、脱葉施設・梢頭部回収機の普及に向けた検討、(2) は気象災害に負けない安定した生産体制の確立のため、収穫後の早期株出管理作業の推進など基本技術の励行による単収・品質の向上を重要課題として、更に台風に強い優良品種の早期普及に取り組むものである。
 このようなさとうきびに関する諸施策を効率的かつ総合的に推進することにより、同県における平成16年のさとうきび生産は、収穫面積9,883ヘクタール、10アール当り収量6,563キログラム、生産量648,626トンの計画である。
 審議の中で県側から新規事業はこれまで実施されている「さとうきび・糖業再活性化対策」の後継事業であり、同事業は (1) 担い手対策、(2) 生産の安定・品質向上対策の2点に力を置いて取り組むことが説明された。委員からは新規事業の取り組みに期待し、平成16年さとうきび生産振興計画(案)に賛成する旨の意見が出された。
同計画(案)は同審議会の答申後、県が農林水産省と協議し、同省の承認を経て決定される。
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