[2004年5月]
札幌事務所
「体にいいお砂糖クッキング」
〜砂糖と食文化講座を札幌市で開催〜
講演中の山本氏 |
平成16年3月16日(火)、札幌市の北ガスクッキングスクールにおいて、当事務所は、平成15年度第3回目の「砂糖と食文化講座」を開催した。同講座には、一般消費者24名が参加した。
全道で栽培されているてん菜の重要性を知ってもらうために、北海道糖業(株)札幌営業部の山本部長から「てん菜から砂糖のできるまで」について説明が行われた。質疑応答では、「カロリーひかえめの甘味料と砂糖の違いについて教えて下さい」の問いに対しては「カロリーひかえめ甘味料は、砂糖(4Kcal/g)より、カロリーを少なくして製造しているものです」との説明がなされた。この他にも多くの質問が参加者から寄せられた。
次に、当事務所からパンフレット『砂糖のあれこれ〜お砂糖Q&A〜』等を使って砂糖の効用、砂糖の価格調整制度及び国内における砂糖の生産量・消費量等についての説明が行われ、参加者の理解を求めた。
引き続き行なわれた料理教室では、参加者は同クッキングスクールの坂井美恵子主任講師による「大阪寿し」、「大根と豚肉の和風煮込み」、「かすべの煮こごり」の実演を聴講した後、5班に分かれて、同講師の指導のもと料理作りを行った。同講師は、実演・指導中においても料理作りの技術的なことはもとより、料理作りに欠かせない砂糖の必要性・役割等についても熱心に説明をされた。
特に「大根と豚肉の和風煮込み」の作り方では、同講師の砂糖を使った「裏技」が披露された。それは、大根と豚肉を煮込む前に、鍋にサラダ油と上白糖を入れカラメルを作り、一度火を止めて、大根を入れてかきまぜ、その後に豚肉等を加えて煮込む作り方である。この作り方だと短時間にできると同時に色合もよくなるため、参加者にはとても好評であった。
また、ラップを利用した寿司の巻き方や市販の甘すぎる伊達巻ではなく手作りで砂糖の甘さを自然に出した伊達巻には、参加者も感激していた。
講演終了後のアンケート調査結果では、「砂糖に関しての知識が得られた」、「砂糖が漂白されていると思って今まで買わなかったが、今後は買おうかなと思った」、「砂糖の製造過程を詳しく教えていただけたのは初めてだったので、とても興味深かった」など砂糖に関する事項について初めて知ったという方が多く、本講座が少なからず砂糖の誤解を払拭できたものと考えられる。
指導中の坂井講師 |
裏技で作った大根と豚肉の和風煮込み |
「春休み体験テスト講座」
〜甘い世界を探検しよう!〜
平成16年4月2日(火)、札幌市消費者センターは同センター体験テスト室おいて、小学生(新3年生以上)を対象に、「春休み体験テスト講座〜甘い世界を探検しよう!」を開催した。この講座は同センターの人気講座で、定員20名のところ26名の子供たち(父母を含むと約50名)が参加した。今回のテーマは、子供たちの大好きなジュースやお菓子などの甘い世界を直接、自分たちで見て、舌で感じて、楽しい実験を通じて多くの疑問を考えることである。
同講座の講師は、同センターテスト室の高谷氏が務めた。最初のジュースの甘さを比べる実験では、種類の異なる3種類(青色のラベルの紙コップ:酸味と炭酸が無いもの、黄色のラベルの紙コップ:炭酸入りのもの、赤色のラベルの紙コップ:天然果汁100%のもの(酸味が含まれている))のジュースが用意され、子供たちが味見をし、甘く感じた順番に並べてもらった後、それぞれのジュースを自分たちで糖度計を使って調べた。
ジュースの糖度を糖度計で測定している様子 |
味見をした結果、甘い順を青色、黄色、赤色とした子供たちが多かったが、糖度計で測定した結果、糖度が高かったのは黄色、赤色、青色の順番であり、味覚と糖度計の測定値とは異なることに不思議な様子であった。また、ペットボトル1本に入っている砂糖の量を糖度計で調べた結果、意外に砂糖が多く含まれているのが分かると子供だけでなく、父母たちも驚いていた。その後、当機構のブックレット「シュガー博士の研究所」を使い、「甘いものを食べても、その後よく歯を磨けば虫歯になりにくい」、「砂糖は人間の脳のエネルギー源で、すぐに吸収される」、「砂糖を摂りすぎても、運動をすれば太る心配はない」ことなどを学んだ。
次に、最初の実験で味見したジュースの甘さと糖度計の測定値がなぜ異なっていたかを確かめるための実験を行った。(1) 水にクエン酸(酸味)とオレンジエッセンスを加えて作ったもの、(2) (1)に炭酸水素ナトリウムを加えたもの、(3) (2)に氷を加えたものをそれぞれ味見をした。このように同じ砂糖水でも別なものを加えたり、温度を変えたりすると違った甘さになることが分かった。
最後に、子供たちは顕微鏡を使って上白糖とグラニュ糖を観察し、初めて見る砂糖の結晶に驚いていた。
同センターテスト室では、普段の食生活で自分自身がどういうものを実際に食べているのかを理解してもらい、これからの食生活に役立ててほしいとのことであった。
東京事務所
WTO・FTA交渉に関する意見交換会が開催される
〜さいたま市〜
WTO・FTA交渉に関しては、メキシコとのFTA交渉が大筋合意に達し、WTO交渉については2005年1月1日の交渉期限を目途に引き続き交渉が行われている状況にある。そのような中、農林水産省はWTO・FTA交渉に関する意見交換会を全国各地域で開催している。
平成16年3月17日(水)、さいたま新都心合同庁舎において関東農政局の主催により、関東ブロックの農業関係者等を対象とする意見交換会が開催された。
説明者は、FTAをめぐる情勢については豊田育郎農林水産省国際部国際調整課長、WTOをめぐる情勢については實重重実農林水産省国際部国際経済課長であり、説明と意見交換会の概要は以下のとおりである。
FTAをめぐる情勢
意見交換会の直前に大筋合意した日・メキシコFTAの合意内容と現在交渉が進行中のアジア各国との交渉の進捗状況について説明がなされた。メキシコとの交渉については、鉱工業品分野については日本側の望むものがほぼ取れた。農産物については、豚肉、牛肉、鶏肉、オレンジ生果等の主要5品目については一定の特恵輸入枠または市場開拓枠の設定等、すでに低税率の品目については関税の撤廃等を行った。今後の作業としては、数ヶ月かけて合意文書の詰めを行い、その後の国会承認を経て、条約発効(最も早い場合には来年1月1日の発効もあり得る)の段取りとなる。
交渉中には、「農産物の交渉がネックとなって自動車や鉄鋼等の鉱工業品分野の交渉がうまく進まない」という意見が一部にあったが、実際は、メキシコ国内の鉄鋼業界や自動車業界が自動車等の関税撤廃に強く反発していたことから、メキシコ政府は農業分野で過大な要求を日本側に行い、日本側の農産物のアクセスへの対応が悪いために交渉が進展できないと説明した方が、メキシコ側に都合がよかったという背景があったのではないか。
いずれにしても、今回の交渉では、日本の農産物が悪者になったかのような印象を与えたことは反省すべき点であった。FTAは、農業以外にサービス、投資や人の移動等、非常に多くの分野を包括的に交渉を行うものであり、農業以外の論点も多く時間を要するものである。
一方、アジア諸国とのFTAについては、韓国、タイ、マレーシア、フィリピンと交渉を行っている。日・韓国FTAについては、韓国がWTOでの米の特例措置の交渉を控えていること等から、速やかに合意できるか否かは不透明な状況にある。タイとの交渉については、タクシン首相は今年中に交渉を終結させたいとの意向を持っていたが、最近は来年の早い時期にとりまとめたいとの意向に変わってきている模様である。
WTOをめぐる情勢
今回のドーハラウンドは、2005年1月1日が交渉期限となっているが、UR交渉と異なり、開発途上国が貧困削減や経済発展等の観点から、「農業」に強い関心を有しており、特に先進国の輸出補助金や貿易歪曲的な国内補助金と高関税への風当たりが強い。このため、意見調整は依然として楽観できない状況にある。今年の夏までに、農業と非農産品分野の枠組み合意を目指しているが、非農産品については農業よりも交渉が遅れぎみであり、農業で合意された関税削減方式を非農産品に適用してはどうかとの意見があるほどである。
このような中、我が国としては、「日本は世界最大の食料輸入国であり、その輸入の45%は途上国からの輸入であり、途上国の発展に大いに貢献している。一方、国内では米について大幅な生産調整を行い、また真剣な農政改革を行っている。」旨を繰り返し主張している。日本がグループとして参加しているG10は、上限関税と関税割当枠の義務的拡大に反対するという主張により連携している。国内支持に関しては、日本が主張する「AMSの55%削減」では負担が大きすぎるとする国(ノルウェー、スイス)があるので、国内支持についての共通の方針を打ち出してはいない。
先進国同士で立場が一致しているのは、「先進国と途上国の二重規律は避けるべきである」ということである。関税削減方式については、日本としては、UR方式と同等の効果を有する範囲でブレンド方式(UR方式とスイス方式を組み合わせた方式)を受け入れうるという立場である(スイス方式は一律削減だが低関税品目には有利)。
質疑、意見交換
・質問:WTO交渉における農業分野のウェートいかん。
回答:WTOでは、農業以外に6分野の委員会で議論されているが、途上国の関心が高い農業のウェートは最も重要な分野とみなされている。すなわち、農業がブレークスルーすれば、ドーハラウンドは加速するとみている国が多い。
・意見:農業分野を含むWTOやFTA交渉全体の進捗状況についても情報公開をもっと進める必要がある。
回答:今後ともできる限り交渉過程を情報公開したい。これまでも、農政局等の協力を経て本日のような意見交換会等を1000回にわたり全国で開催してきており、マスコミへの情報提供にも努めているところである。
・意見:交渉というとすぐにモノとカネの利害の対立となるが、相互の国が発展するよう友好的に交渉を進めるべきではないか。
回答:我が国は農業交渉において「多様な農業の共存」を主張している。世界の潮流として、グローバリゼーションや市場原理主義が進展している一方で、地球資源には有限性があり、人口、食料、環境、貧困といった問題の解決が重要となっている。米国などは前者の考え方を重視しており、日本や欧州諸国は後者の考え方を重視している。
・意見:WTOやFTAにより貿易の自由化が進む中で、農業者はどのようにしていけば良いのか。
回答:農業の果たしている食料安全保障、国土保全等の機能を確保することが必要であるが、一方で、農業者の高齢化等が進んでいるので、農業の構造改革を進め、担い手を育成していくことが必要。これを通じて過度に国境措置に依存しない体質の強い農業を作っていくことが重要である。これに対する行政の支援は必要であり、その施策のあり方について、現在、基本計画の見直しの中で議論しているところである。皆様からのご意見をいただきたい。
大阪事務所
WTO・FTAに関する意見交換会が開催される
〜大阪府〜
WTO交渉については、2005年1月1日の交渉期限を目途に引き続き交渉が行われているが、メキシコとのFTA交渉は大筋合意に達した。そのような中、農林水産省は、WTO農業交渉・FTAに関する意見交換会を全国各地で開催している。
近畿地区では、平成16年3月22日(月)、大阪の合同庁舎において近畿農政局の主催により意見交換会が開催され、約200名の関係者の出席があった。
説明は、WTOをめぐる情勢については内田博文農林水産省大臣官房国際部国際経済課課長補佐から、FTAをめぐる情勢については梶島達也同部調整課地域調整室長から、それぞれなされた。
WTOをめぐる情勢
まず、昨年9月のカンクンでの閣僚会議までの交渉経緯が説明された。
2001年11月のドーハにおける閣僚会議(ドーハ・ラウンドの立ち上げ)、第1ステップとして各国からの交渉案の提示、第2ステップとして各国提案の明確化がなされ、第3ステップとして先般のカンクンでの閣僚会議にて、議長案によるモダリティの確立がなされるはずであった。しかしながら、シンガポール・イシュー(投資・競争)を契機に、ブラジル等の途上国グループ20カ国(G20)と先進諸国との立場の違いが埋まらず、合意に至らなかったことが報告された。これまでWTO交渉のあり方に強い不満を持っていたG20が、開発途上国への配慮(S&D)の実行強化、輸出補助金等貿易の歪曲的な措置の大幅削減等を要求している状況にある。
次に、このような状況を踏まえて、日本の立場の説明がなされた。
日本は、先進輸入10カ国(G10)として足並みをそろえ、関税の削減方式については、基本的には議長案に賛成であるが、関税上限の設定及び国内における品目別支持上限設定に反対している。また、輸出補助金等の輸出規律では、その規律の強化を主張している。
今後の動きとしては、依然として楽観できないものの、今夏までに枠組みの合意を目指している。
FTAをめぐる情勢
まず、FTAに対するわが国のポジションの説明がなされた。
WTO体制下では、いずれの国とも同等の条件で通商を行う等の無差別適用が原則であり、一方、FTAは特定国等との通商の自由化であり、WTOの原則を乱す恐れがあることから、FTAは、WTO上一定の条件を課して例外的、補完的に認められるものとして位置づけられている。これまでわが国は、WTOでの貿易交渉を基本とし、どちらかというとFTAに消極的であった。しかし、FTAが、世界的に著しく進行している一方、WTO交渉がはかばかしくない状況を踏まえ、わが国もFTAに積極的に対応することとなった。
次に、世界におけるFTAの進捗状況、わが国のFTAの取り組みについて説明がなされた。世界的には、NAFTA(北米自由貿易協定)、MERCOSUR(南米南部共同市場)等、他の地域で著しく進行し、2003年末までに139件の協定が締結されており、協定外の国(第3国)は協定締結国との通商で劣位に立たされることになる。わが国は、シンガポールとFTAを締結し、メキシコと大筋合意したところであり、現在6カ国とFTA交渉中及び検討中である。メキシコとの協定では、豚肉等の農産物が不利であるが、自動車等について便益が得られ、韓国との交渉では、韓国側の鉱工業がその影響を懸念している。
質疑、意見交換
・質問:WTOにおいて同じグループにある韓国とのFTA交渉は矛盾しないか。
回答:韓国とは、わが国と農業事情が似通っているので、互いに相手の立場を尊重しつつFTA交渉を進めたい。
・質問:FTA協定対象外諸国、特に開発途上国へ配慮すべきで、その影響のアセスメントの必要があるのではないか。
回答:アセスメントについては、当事者国については検討会の中でも評価しているが、第三国に対しては難しい。
・質問:WTOによる国内農業の影響については、生産者を指導する立場として、いつもつらい思いをしている。今後のWTO、FTAによりわが国の米の生産に対して何年後にどうなるのかといった具体的なことを示すことはできないのか。
回答:決まったことは、農水省のホームページ等で情報開示できるが、何年後にどうなるというシナリオの提示は難しい。
岡山出張所
中国四国農政局「消費者の部屋」で『砂糖の週』を開催
〜知って得する砂糖の効用〜
平成16年3月1日(月)から3月31日(水)の間、中国四国農政局(岡山市)の「消費者の部屋」において、「知って得する砂糖の効用〜自然から作られた砂糖の紹介〜」をテーマにした『砂糖の週』が開催された。
「消費者の部屋」は、中国四国地域における消費者と農林水産行政との対話、交流を図るための場として設置されたものであり、『砂糖の週』は今回で3回目の開催となった。
企画立案は、同農政局消費・安全部消費生活課と当機構が協力して行い、会場には、各種砂糖の現物や甘味資源作物の模型、パネルを展示し、中央にはビデオ放映コーナーや当機構及び精糖工業会が製作したパンフレットの配布コーナーも設けた。
また、視覚的な観点から砂糖を紹介することを目的として、色とりどりの和三盆や雛人形を模った工芸菓子の展示も行った。
会場では、パネル等の展示物を見ながら熱心にメモを取る来場者も見受けられ、パンフレットの配布部数も予想を上回る数となった。
開催期間中、消費者の部屋に来場した一般参加者に対しアンケート調査を実施した。調査結果の一部によると、「今回の展示で初めて知ったことは?」に対し、「砂糖の摂取=肥満ではない」、「砂糖には食品の防腐効果がある」、「砂糖は漂白していない」等の回答が多く寄せられた。また、「砂糖に対する偏見がなくなった」、「ビデオ放映を見て、砂糖の事を理解できた」、「さとうきびを栽培したい」等の意見が寄せられ、一般消費者へ砂糖に関する正しい知識の提供ができたものと考えられるとともに、消費者の砂糖に対する関心の高さがうかがえた。
パネル等の展示物を熱心に見る入場者の様子 |
工芸菓子といろいろな砂糖を展示した様子 |