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地域だより[2004年10月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2004年10月]

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札幌事務所


てん菜そう根病抵抗性品種検定試験並びに同予備試験の現地調査

 平成16年9月2日(木)〜3日(金)、社団法人北海道てん菜協会の主催により、てん菜そう根病抵抗性品種検定ならびに同予備試験の現地調査が、道立北見農業試験場、日本甜菜製糖 (帯広市)、ホクレン農業協同組合連合会 (斜里町)、北海道糖業 (浦幌町、置戸町) の各試験ほ場において、行政、研究機関、てん菜糖業者などの参加のもと実施された。
試験ほ場
そう根病抵抗性予備試験ほ場
(道立北見農業試験場)
 今回の現地調査は、前記の5ヵ所のほ場における栽培品種の抵抗性を肉眼で判断する調査である。いずれのほ場にも抵抗性品種の判断を容易にするため、モノミドリ(現在一般のほ場では栽培されていない)のように抵抗性が弱い品種などが栽培されているので、肉眼で比較しやすくなっている。
そう根病は、下等なカビの一種であるポリミキサ菌の寄生によって媒介されるウイルス病である。この菌は長期間地中に生存(10年以上)可能なため、根絶させることが困難であるとともに発病すると根重および根中糖分が著しく低下する病害である。
 症状としては、地上部が日中晴天時に茎葉の萎れや葉全体に黄化が多く見られる。症状が進行すると、カリ、マグネシウムなどの要素欠乏似症状による壊死斑点の発生が見られ、末期状態になると壊死部分が拡大し、枯死することもある。一般に、地上部のみを肉眼で判断する場合には、葉の葉緑素濃度に着目する。緑が濃いほど健全であるが、黄色味部分が多ければ多いほど症状は進行していると言える。しかし、近年品種改良技術が向上し、品種によっては肉眼で判別しづらいこともある。根部においてはそう叢生化(根部が細化し、異常に多くなること)や先端部からの腐敗進行による繊維状化、維管束の褐変が見られる。
 発病の要因としては、pH値が6.5以上の土壌、20〜25度の地温、高い土壌水分、短期輪作などが挙げられる。その対策としては、現在有効な防除手段がないことから、てん菜品種のそう根病に対する抵抗性の開発が重要な課題とされ、品種育成のため各関係者による検定試験が実施されている。
 同試験は、そう根病抵抗性品種登録の際に必要とされている。その過程は、各糖業者の試験ほ場において予備試験が行われ、選抜された後、道立北見農業試験場において、検定試験が実施される。なお、同試験は、そう根病汚染ほ場 (隔離ほ場) で独立した試験として実施されることとなっている。
 今年は例年にない干ばつにより、てん菜の葉裏にハダニ類(注)が発生し、黄色味がかって見えたため、発病と見誤ることもあった。特に斜里町における干ばつ被害は大きく、畑にハダニ類の発生が多く見られた。
 今後、各試験ほ場において、抵抗性品種の調査を通じて根重などのデータを元に優秀品種が選別され、そう根病への抵抗性が強く、かつ、高糖度および多収量の品種が開発されることを期待したい。
ユキヒノデ モノミドリ
左:抵抗性品種のユキヒノデ  右:罹病性品種のモノミドリ
(注)ハダニ類
ハダニ類は、葉裏に寄生して葉汁を吸う極小さな虫で、葉の表面から見ると、吸われた部分の葉緑素が抜けて、針先でつついたような白い小斑点を生じる。
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東京事務所


仙台市で食料・農業・農村政策審議会企画部会地方公聴会を開催

 現在、新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向け、食料・農業・農村政策審議会企画部会において審議が進められており、平成16年8月30日(月)に、同企画部会の地方公聴会が仙台市仙台第一合同庁舎で開催された。
 農林水産大臣から「食料・農業・農村基本計画」の変更について諮問を受けた食料・農業・農村政策審議会は、食料・農業・農村が直面している課題や施策の方向などについて、同企画部会において本年1月以降、議論を重ねてきたが、8月10日に中間論点についての整理を取りまとめた。この中間論点整理では、これまでの企画部会における議論を踏まえ、農政改革に当たっての基本的な考え方、主要課題についての施策の在り方、今後さらに詰めるべき論点などが整理されている。今回の公聴会は中間論点整理について広く国民から意見を聞くために開催された。
公聴会の模様
公聴会の模様
 仙台市の公聴会は、同企画部会委員10人が出席し、農業関係者、一般の方など約250人が集まった。最初に生源寺眞一企画部会長が中間論点整理の概要について説明し、東北、北海道の有識者、農家、消費者ら7人が意見陳述人として中間論点整理についての意見を述べた。その後、委員と意見陳述人との間で意見交換が行われた。
 公聴会で交わされた意見の概要を中間論点整理で示された担い手、経営対策、農地制度、農業環境・資源保全の4つの柱に添って紹介する。担い手対策については、「担い手の対象が限定的ではないか。地域農業は多様な担い手の存在により成り立っている」、経営対策については、「担い手を対象とした経営安定対策は農業の競争力強化に必要である」「担い手のみ対象とした場合、小規模農家の切り捨てになるのではないか」、農地制度については、「株式会社への農地貸付などを積極的に展開すべきである」「投機を目的とした一般の株式会社の農地取得は反対である」「いかにして優良な農地を守り、維持していくか真剣に考えるべき問題である」、農業環境・資源保全については、「農業環境・資源保全対策は早急に手を打たないと深刻な事態になる」「地域の農業環境・資源保全は担い手農家だけでできるものではない。兼業農家などの位置付けを明確にすべき」などの意見が出された。また、農政改革全般については、「中間論点整理では構造改革の加速化をうたっているが、急激な改革は食料自給率の低下と生産現場の混乱が憂慮される」「地方の農業の現実にあった施策を望む」「有機農業を農政の柱とすることが消費者の信頼の拠りどころとなる」「暮らしと農政がどうつながるのかわかりにくいため、農政が近い距離に感じられる取り組みを期待する」などの意見・要望が出された。
 食料・農業・農村政策審議会企画部会は9月16日から議論を再開し、同審議会は平成17年3月までに「食料・農業・農村基本計画」の変更について農林水産大臣に答申する予定となっている。
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横浜事務所


神奈川県食の安全・安心推進会議が「かながわ食の安全・安心シンポジウム」を開催

  平成16年8月10日(火)、神奈川県藤沢市の藤沢市民会館において、「かながわ食の安全・安心シンポジウム」が開催された。神奈川県では昨年11月、食の安全・安心の確保に関する施策を総合的に推進し、かつ飲食に起因する健康被害などの緊急事態に迅速に対処するために、県庁内の関係部局の横断的組織として「神奈川県食の安全・安心推進会議」(県副知事座長)を設置した。今回行なわれた同シンポジウムは、同会議が主催するリスクコミュニケーションを目的とした第1回目のシンポジウムである。
 同シンポジウムは、各業界代表の現状と課題の報告および会場参加者からの質疑応答の2部構成で行われ、コーディネーターとして丸山務氏(神奈川県食の安全・安心県民会議座長)、パネリストとして加藤一良氏(神奈川県衛生部生活衛生課長)、坂本元子氏(内閣府食品安全委員会委員)、服部孝子氏(神奈川県消費者団体連絡会幹事)、安沢和明氏(相鉄ローゼン(株)顧客サービス部長)、秋本敏夫氏(よこすか葉山農業協同組合営農経済センター長)の5名が参加し、国や県の行政施策、農業生産、食品流通・小売、消費者団体の取り組みについて紹介し、参加者への理解を求めた。

神奈川県の取り組みについて(加藤一良氏)
 食の安全・安心の確保に関する推進体制として、県庁内に同会議を設置し、その下に企画立案を行う幹事会、さらにその下にBSE対策や食品表示などの6つの専門部会を置いている。また、県民とのリスクコミュニケーションの場として、神奈川県食の安全・安心県民会議(消費者・学識経験者などを交え年1回開催)、かながわ食の安全・安心シンポジウム(本報告のシンポジウム−年1回開催)、HP・リーフレットなど各種媒体による情報提供、食の安全・安心に関する相談窓口の設置(TEL 045-210-5188(専用ダイヤル))を通じ、県民に迅速な情報提供を図っていきたいと考えている。

食の安全性をめぐる現状と取り組みについて(坂本元子氏)
 食品安全委員会の第一義的な役割は、科学的な知見に基づいて客観的かつ中立公正なリスク評価(食品健康影響評価)を行うことであり、この結果に基づいて必要がある場合には厚生労働省や農林水産省などの行政機関に勧告を行うことができる。また、リスクコミュニケーションの実施や緊急事態の対応(国の内外からの情報収集を行い、関係各省への迅速な対応の要請などを行う)などが役割である。食品健康影響評価の例として残留農薬を例に挙げると、動物実験などを用い様々な毒性試験の結果から有害な作用を示さない最大量を得て、一日許容摂取量(ADI)を設定している。ADIとは人が生涯にわたって毎日摂取することができる体重1kg あたりの量である。この結果を踏まえ、行政側が想定される摂取量がADIを超えないように使用基準を設定している(例:アセキノシル(殺虫剤)の残留基準はナスの場合1ppm)。

食の安全・安心情報を考える(服部孝子氏)
 「食」の不安が蔓延している昨今、身近なところでは、自身が関係している保育園の児童がO-157を発症したり、インターネットで調べたところによると、県内でアマメシバの粉末などの摂取による被害(食品安全委員会により長期摂取による閉塞性細気管支炎発症との因果関係が否定できないとの結果を受け、平成15年9月、厚生労働省はアマメシバの粉末などの販売・流通を禁止している)にあった人がいたと知って驚いている。食というのは命に関わることなので、これからも推進会議や県民会議は情報提供をはじめ、危機に対して常に対応できるシステムであって欲しいと考えている。

食品スーパーにおける取り組みについて(安沢和明氏)
 食品を主に扱っている1スーパーの例を紹介すると、2年ほど前に品質管理グループという組織を立ち上げ、年2回、各店舗の衛生・販売状況を点検し、問題があれば改善を求め、さらに結果を検証している。具体的には消費期限や賞味期限より短い販売期限が守られているか、定められた温度帯での冷蔵ケース販売が行われているか、食品加工室での手洗いが完全に行われているかなどのチェックが行われている。さらにお客様からのご意見やご要望をいただく手段として、フリーダイヤル、Eメール、店舗で店長以下が直接承るという方法を採っており、Eメールに関してはどのような内容でも24時間以内に回答することとしている。今後は牛トレーサビリティや衛生調査の更なる改善などに取り組んでいきたいと考えている。

自然に恵まれた横須賀・三浦野菜(秋本敏夫氏)
 三浦半島の生産地は横須賀を代表とした都市部と農業振興地区のある西部地区(主に相模湾側)に2極分化している。主な農産物としては、冬から春のキャベツ、ダイコンを中心に、夏にはカボチャ、メロン、スイカなどが生産されており、これらの野菜は「三浦野菜」としてブランドを確立している。厳寒期の三浦半島産のキャベツや大根は希少価値が高いことから東日本全域に流通しているものの県内における流通の割合が高くないことから、地産地消の観点からも県内流通を増やしたいと考えている。長年の生産経験から培った野菜の栽培基準や施肥基準、防除基準も定め公表するとともに生産履歴を記録し、産地情報が消費者に正しく伝わるように努め安全な野菜を消費者に提供していきたいと考えている。

質疑応答
・質問: 推進会議に法的な強制力はあるのか。
 回答: 推進会議は行政サービスを主目的に設置されたもので、法的に設置されたものではない。また、法的強制力は有さないが、推進会議を構成している庁内の各部局においては所管法令などに基づく権限を有している。
・質問: 輸入食品の検査体制は県としてどのように行うのか。
 回答: 基本的には厚生労働省検疫所で検査を行っているが、まれに国内に流通してしまうものもあるため、抜き打ち検査を随時行っていることから安全に関してはある程度は担保されていると考えている。
・質問: 遺伝子組換え食品と放射線照射食品に対する不安感が拭えない。
 回答: 一市民として不安は拭えないという気持ちは理解できるものの、行政としてはリスク評価の結果、安全基準や使用基準が定められており、これに則った形での使用であれば問題ないと答えざるを得ないが、今後リスク評価を行う上で、パブリックコメントなどでご意見をうかがいながら検討を重ねていきたいと考えている。
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神戸事務所


「有機農業フォーラムinひょうご〜有機農業による食育のすすめ〜」の開催

 近年、食への関心が高まる中で、有機農産物などの安全・安心な農産物が求められる一方、それらの農産物の適正な価格評価や生産の維持発展のためには生産者と消費者の相互理解を一層深める取り組みが必要となっている。このような観点から、食にこだわった健康的な暮らしづくりを目指すとともに有機農業を通じて生産者と消費者に対する「食育」を推進するため、平成16年8月20日(金)に兵庫県主催、兵庫県農業協同組合中央会、兵庫県農業会館および神戸新聞社ほかの後援により、「有機農業フォーラムinひょうご〜有機農業による食育のすすめ〜」が神戸市長田区のピフレホールにて開催された。
 主催者の挨拶後、農政ジャーナリストの榊田みどり氏による「安ければそれでいいのか!?〜命を育む食へのこだわり〜」と題した基調講演が行われた。
 同氏は、農業とのかかわりについて環境に対する関心から有機農業を行っている方々を訪問しはじめたことがきっかけになったことを紹介し、「輸入食品の増加により、我が国の耕作放棄地が増加することに関連し、廃棄物処理場および不法投棄も増加の一途をたどっている」と問題提起を行なった。また、「消費者は食品の安全、安心だけに関心を寄せる傾向にあるが、食を切り口にして住まい、生活環境を改善していかなければいけない。『安全だから、安いから』を追求していくだけでは環境を悪くする」と述べ、「農業は自然環境を守る役割を果たしていることから、その農産物を私たち消費者が買うことにより私たちひとりひとりが生活環境を守っていかなくてはならない」と主張した。
 基調講演に続き、「有機農業による食育のすすめ」と題してパネルディスカッションが行われた。コーディネーターは兵庫大学経済学部教授の池本廣希氏、パネリストは基調講演を行った榊田氏に加えて、社会福祉法人おさなご保育園園長徳永満理氏およびNPO法人いちじま丹波太郎副理事長の荒木武夫氏が務めた。
 まず徳永氏は、自身の「保育」に対する考え方について、日本の農業と子供を守るために「保育」に「食育」を取り入れた形で行っていることを紹介するとともに、「1980年代にアレルギー体質の子が保育園に約半数いたが、和食中心の食事にした結果、現在はいなくなった」と述べた。さらに、「幸い当保育園の近くから新鮮な野菜が入手できることから、その野菜を野菜が苦手な子供に与えたところ食べられるようになった」との例を紹介するとともに、「子供には『食べさせられる』のではなく『自らすすんで食べる』という認識を持たせるように取り組むことが重要であり、子供の視点に立つことが大切である」とし、食育の具体的な例として食材を実際に子供たちに手でさわってもらい、においをかいでもらったりしていることや料理教室などにより作って食べる楽しさを学ぶことを挙げた。また「食育を通じ、健康な体をはぐくむことは当然のことだが、こころを育てることも重要」であることを強調した。
 次に生産者の立場として荒木氏は、「市島町(兵庫県氷上郡)は有機農業の先進地である」と前置きした上で、法人の活動内容として (1) 町内農家の新鮮かつ安全・安心な野菜の提供並びにそれら野菜の宅配事業 (2) 野菜直売所の設置 (3) 町内の生産者を講師とする有機農業学校の開校(アイガモ農法田の田植え、ジャガイモ掘り、ソバの収穫・手打ちづくり、味噌づくりなどさまざまな体験が可能) (4) 新規就農者・研修生支援の実施など、有機農業を通じた食育の取り組みの一端を紹介した。
 最後にパネリストとの意見交換および参加者との質疑応答がなされ、「安全な食が欲しいのは当然のことであるが、食を通じて農地を考えるとともに農業を理解していくことが必要だ」「人間の都合によって自然を変えることに警鐘を鳴らすべきだ」「有機農業は単に農薬を使わないだけではなく、土づくりを行うとともに生態系を守り、有機物を循環させる役割を果たしている」などの意見があった。
 今回のフォーラムは、有機農業および食育の重要性を再認識できたものとなり、これを機に生産者および消費者の相互理解が深まることを期待したい。





「近畿市民フォーラム〜食の安全・安心の確保」の開催

 平成16年9月1日(水)、大阪市中央区のドーンセンター(大阪府立女性総合センター)において、「近畿市民フォーラム〜食の安全・安心の確保」が近畿地域農林水産・食品バイオテクノロジー等先端技術研究推進会議および (社) 農林水産先端技術産業振興センター(略称:STAFF)の主催、農林水産省近畿農政局の協賛により開催された。
総合質疑の模様
総合質疑の模様
 今回のフォーラムでは遺伝子組換え農作物・食品、トレーサビリティおよび鳥インフルエンザなど食の安全・安心に関する話題について、専門家と消費者が日頃の疑問を話し合う場を提供することを目的に展示、講演、総合質疑の構成で行われた。
 展示は講演会場横のロビーにおいて、遺伝子組換え農作物・食品の安全性に関する展示、組換え大豆を使った納豆の試食、組換え食品の識別実験などが行われ、多くの来場者がそれぞれの展示スペースにおいてスタッフの説明に熱心に耳を傾けていた。
 以下講演と総合質疑の概要を紹介する。

講演
「食品の安全性確保の仕組みと取組みについて」 (内閣府食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官 西郷正道氏)
 「リスク評価」、「リスクコミュニケーションの実施」など食品安全委員会の活動状況などを紹介しながら、日本において、食品の安全性がどのような仕組みで確保されているかについての説明が行われた。
「遺伝子組換え農作物・食品の安全性」 ((独) 農業生物資源研究所遺伝子組換え研究推進室長 田部井豊氏)
 遺伝子組換え農作物の利用およびその安全性評価について現在の状況を示すとともに、遺伝子組換え作物が社会的に受容されるための課題や非組換え作物と組換え作物の共存を図るために今後目指すべき方向性についての説明も行われた。
「食品の安全性向上のためのトレーサビリティ構築」 (サントリー(株) 品質保証部長 渡邉健介氏)
 世界と日本におけるトレーサビリティをめぐる動きやトレーサビリティの意義・目的を説明するとともに、同社におけるトレーサビリティ構築のための活動およびトレーサビリティに関する同社の課題と目指すべき方向性が紹介された。
「高病原性鳥インフルエンザ」 ((独) 動物衛生研究所病原ウイルス研究室長 塚本健司氏)
 高病原性鳥インフルエンザウイルスの特徴や世界および日本における発生状況が紹介され、蔓延を防止するための対策について説明があった。

総合質疑
 司会に生活協同組合コープこうべ理事の伊藤潤子氏、パネリストに講演を行った上記4人を迎え、講演聴講後に参加者から提出してもらった質問に対し、各パネリストが回答する形式で行われた。質問は遺伝子組換えに関連する質問が大半を占め、この問題に対する参加者の関心の高さをうかがわせた。
 わかりやすい例として、遺伝子組換え食品(GM食品)の安全性に関する質問と田部井氏の回答を挙げると、
Q: GM食品を食べたとき、食品内の遺伝子は体内でどのように消化・吸収されるのか。
A: 摂取されたGM食品に含まれるDNAは体内でリン、炭素などに分解されるため、体内では遺伝子として機能することはない。したがって、組換えによって新たに生じたGM食品内の遺伝子が体内に蓄積されることはないというのが現在の一般的な認識となっている。
Q: GM食品を食べたとき、人体(特に子供)への影響が心配である。
A: 上記の理由により、現在認可されているGM食品が人体に影響することは科学的に考えにくい。
などであった。
 最後に伊藤氏から「食の安全・安心という問題について、関係者・消費者の間に少しずつでもコンセンサスを築き上げていくために、関係者の方々には今後も是非前向きな議論をお願いしたい」との挨拶があり、フォーラムは終了した。
 各パネリストとも、それぞれの分野における食の安全・安心の確保のための取り組みについてわかりやすく紹介されたため、多くの参加者にとってこのフォーラムは有意義なものとなったと思われる。
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与論島で「愛糖会」が設立される
〜耕畜連携で単収8トン以上を目指す〜

 鹿児島県鹿児島市から南西へ約590km離れた洋上にある与論島は、鹿児島県の最南端に位置し、沖縄本島を望むことができる隆起珊瑚礁の美しい島である。同島は総面積2,049haで、比較的平坦な形状をしており、島の51.2%が農耕地となっているとともに四季を通じた温暖な気候を活かし、さとうきびを基幹作物に、石川さといもなどの輸送野菜およびソリダゴやキクなどの花き並びに肉用牛(子牛生産)を組み合わせた複合経営が定着している。
 同島でさとうきび生産の維持・増大を目指し、意欲あるさとうきび農家が集まり、生産者組織「愛糖会」が本年6月に設立された。
永井弘氏
愛糖会会長永井弘氏
 今月号では、同会初代会長に就任された永井弘氏(54歳)を取材したので紹介する。

「愛糖会」の概要
 近年、農業従事者の高齢化に伴う労働力不足、肉用牛の増頭に伴う飼料畑の増加などにより、平成4年産のさとうきびの収穫面積は、それまで維持してきた800ha台を割り込み778haとなった。さらに、ここ6〜7年も減少傾向で推移し、平成9年産から600haを割り込むなど歯止めがかかっていない状況となっている。このように収穫面積の減少に伴う原料不足により、島で唯一の製糖工場も厳しい経営が続いており、この状況を打開しなければ、今後の操業に重大な支障を来たすことも懸念されることから昨年、与論町糖業振興会(会長・南政吾町長)により春植えの推進などさとうきびの増産に向けた各種取り組みが行われた。こうした中、同町にはこれまで集落単位での生産者組織が東区にあったものの、全島規模の生産者組織は存在しなかった。このため、同町役場産業課が呼び掛けを行い、地元関係機関・団体の連携、支援により「愛糖会」が結成された。
 同会の設立目的は、会員のさとうきび栽培面積の拡大、単収の向上を進め、さとうきび専作農家およびさとうきびを経営の柱とする大規模さとうきび農家の育成を図ることである。具体的には、「会員一人当たり、2ha以上の収穫面積、8t/10a以上の単収を達成すること」を目標に掲げている。現在の会員数は16名だが、将来的には20名程度までは増やしたいとしている。今年度の主な活動内容は、(1) 設立総会に併せて開催した単収向上検討会、(2) 南三島さとうきび生産者組織研修・交流会「第1回南風きび会」への参加(本誌平成16年9月号で紹介)、(3) さとうきびの収穫後に行う株出管理作業の技術向上を図るための検討会を平成17年3月に予定している。

耕畜連携で単収向上を目指す
 同島の肉用牛は、豊富な草資源を活用し、昭和59年はわずか1,377頭だったものが、平成11年には4,000頭を突破している。また、大島郡は県内でも曽於郡、肝属郡に次ぐ3番目に大きな子牛生産地となっている。現在でも増産意欲が高く、今後も同県の重要な子牛生産基地として期待されている。一方、飼料畑の増加がさとうきび収穫面積の減少の一因となっているが、特徴的なのは畜産農家がさとうきび栽培の重要性を十分認識していることにある。これは、11月から翌年2月の約4カ月間、自給飼料が不足する冬場にさとうきびの梢頭部が粗飼料として利用されているからである。しかしながら、収穫後の梢頭部がさとうきび畑にまとめて置かれていないケースも多く、今後、さとうきび農家側は、梢頭部を畑の隅にまとめて置くなど畜産農家が利用しやすいように協力し、さらに梢頭部の利用割合を高め、一方、畜産農家からは良質なたい肥の還元を受けるなど耕畜連携の仕組みを早期に確立することにより、単収の向上につなげていきたいとしている。

今後の取り組み
 同島の耕地面積は1,050ha、農家戸数939戸で、1戸あたりの平均耕地面積は111.8aで比較的小規模な経営が行われており、規模拡大が思うように進展していないのが実情である。これは、限られた耕地面積の中、「土地は先祖からの預かり物」という意識が根強く、農地の流動化が難しいことや高齢の農家の方も収穫の手助けさえあれば、さとうきび作りを続けたいという生産意欲が高いことなどが理由である。池田一彌南島開発株式会社与論事業所長は、「小さい島は小さいなりに小さいものを大事にしないといけない。大きいものだけを育てて小さいものを切り捨ててしまえば与論島のさとうきび作りは難しい。10本の指に例えれば、小指は小指なりの役目があるし、薬指もしかりである。皆がそれぞれの役割を果たし、大規模、小規模の農家が共存できるよう調和のとれたさとうきび作ができるように、機械化の推進や仲間作りをしなければと考えている」という。また、今後の抱負として永井会長は「町内に9つある集落に、愛糖会の会員が中心となり、必ずひとつは受託組織を設立し、自分たちの集落のことは自分たちで行うという自立型のさとうきび農業を実現し、さとうきび生産の維持・増大を目指したい」としている。
 平成16/17年期のさとうきび生産も相次ぐ台風や干ばつなどの気象災害により、大変厳しい生育状況となっているが、同島の「愛糖会」をはじめとする関係者一体となった取り組みが実を結び、高品質のさとうきびを安定して生産できる体制を確立されるとともにさとうきび生産農家の経営安定と製糖企業の健全な運営が図られることを期待したい。
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さとうきびの繊維を混紡した「かりゆしウェア」が誕生

 沖縄県内では、夏場(5〜10月)に沖縄県特産の衣料「かりゆしウェア」を着用している人を多く見かける。この「かりゆしウェア」とは、沖縄で縫製され、沖縄らしさを表現する柄の色やデザインを特徴としており、見た目にも涼しげで南国らしさを感じる。代表的なものに、半袖開襟シャツが挙げられる。「かりゆし」とは、「縁起がよい」「めでたい」を意味する沖縄の言葉である。
 このかりゆしウェアの前身は、1970年頃に販売開始されたが、実際にはそれほど普及しなかった。しかし、2000年の九州・沖縄サミットで各国首脳が着用したことや柄を伝統的な沖縄のものだけではなく、沖縄らしさを表現したものと改めたことから多彩な柄が開発されるとともに、従来より価格が下がったため、「かりゆしウェア」は県民の間に普及していった。例えば沖縄県庁では、県産品の普及を推進するため県知事をはじめ多くの県議会議員や県庁職員が夏用スーツに代わるものとして着用しており、一部の銀行や観光関連会社など広く県民に愛用されている。
 「かりゆしウェア」は通常、綿などで作られているが、平成16年8月に沖縄県が進めている「さとうきび総合利用対策事業」を活用し、さとうきびの繊維を混紡したかりゆしウェアが製造されている。同事業では、さとうきびを甘味資源として利用するほか、製紙原料、飼料原料、健康飲料原料として総合的に利用され、新たな商品・産業の開発を通じて沖縄県経済の振興に寄与するとともに、さとうきびの生産振興などを図ることを目的に平成15年度に粟国島においてケーンセパレーションシステムが設置された。このシステムは、通常の製糖工場で使われているさとうきびを直接圧搾する方式(ミル方式)とは異なり、さとうきびを内部繊維部分(ピス)、表皮繊維部分(ラインド)および表皮(ワックスを含有)の3層に分離した後、砂糖用原料のほか、それぞれの部分を有効活用できるようにするものである。砂糖用原料は含みつ糖向けに、内部繊維部分は飼料向けなどとなり、表皮部分のワックスは機能性食品に利用され、表皮繊維部分は紙、建材向けなどの中間製品として活用される。
 このシステムを利用して、世界で初めてさとうきびの表皮繊維部分を衣料用繊維に紡績する特殊な技術が開発され、さとうきび繊維の混紡糸が完成し、かりゆしウェアに使用されている。この繊維には顕著な抗菌防臭性があることが確認されている。
 「かりゆしウェア」は、綿92%にさとうきび繊維8%を混紡して製造されている。デザインは、さとうきびをモチーフに柄を配置し、ボタンにはエクアドル産の椰子の実を加工して使用され、天然素材にこだわって仕上げられている。今後、さとうきびの繊維を混紡した繊維は、「かりゆしウェア」に加えて、Tシャツ、ジーンズ、カジュアルなどの衣料のほか、インテリアや寝装関係用途にも広げていく予定である。
 今後、さとうきびの繊維を混紡したかりゆしウェアの売上が伸びるとともに、さとうきびを総合的に利用する技術のさらなる向上により、さとうきびの生産振興につながることを期待したい。
かりゆしウェア
かりゆしウェア
ケーンセパレーター
粟国島に設置されているケーンセパレーター
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