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地域だより[2004年11月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[2004年11月]

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札幌事務所


砂糖市民シンポジウムが札幌で開催される

 平成16年9月21日(火)、札幌市内において、(社)糖業協会、精糖工業会、砂糖を科学する会の主催により「砂糖シンポジウム〜砂糖は笑顔のエネルギー〜」が開催された。
講演中の鈴木氏
講演中の鈴木氏
 今年度のシンポジウムは、「砂糖の安全性」「食育における砂糖の役割」「運動を通じた健康増進と砂糖の効用」をテーマに一般消費者を対象に情報提供の一環として全国主要都市において3回開催されるものである。当日の講師に浜松医科大学名誉教授の高田明和氏と早稲田大学スポーツ科学部教授で農学博士の鈴木正成氏を迎えた。
 はじめに、高田氏が糖質を中心とした栄養の誤解をテーマに「糖質と健康」と題した講演が行われた。高田氏は、砂糖は安全な自然食品であることなど基本的な知識を説明された他に、最近の日本人に多く見られる傾向について触れ、健康への関心が高いものの、テレビ・新聞・雑誌等のマスコミで取り上げられる情報を鵜呑みにしがちであることを指摘された。この対処方法として、消費者一人ひとりが誤った情報に惑わされず、正しい情報を見分けていかなければならないと訴えた。また、日本人とコレステロールの関係やセロトニンと鬱(うつ)病の関係について、砂糖摂取の話題をまじえてわかりやすく説明されるとともに「20世紀にもてはやされている身体のダイエットは精神の健康をないがしろにしている」とノーベル医学・生理学賞を受賞したワトソン・クリック氏の言葉を引用し、現代の誤った知識に流される風潮に警鐘を鳴らした。
会場の様子
会場の様子
 次に、鈴木氏が「筋肉づくりのための砂糖の食べ方」をテーマに講演を行った。鈴木氏は、ダンベル体操のような軽いウェイトトレーニングでよい筋肉を身につけることによってダイエットに成功した実例だけでなく、身体の基礎代謝が活発になり、肥満や生活習慣病になりにくい身体になることや高齢者の寝たきり防止に成功した実例を紹介した。さらに、砂糖は栄養的に大きな役割を果たしていることや筋肉づくり、運動のエネルギー補給にも最適であることや上手な砂糖の摂り方を説明された。
 講演後の質疑応答では、「砂糖は1日何グラム摂ればいいのですか」、「講演では白糖の方がよいと言っておられましたが、黒砂糖は悪いのですか」などの質問が参加者からあった。
 最後に、橋本氏が「日本で生産されている砂糖の原料作物の大半が北海道で作られている。この機会に改めて砂糖のことにつ いて考えてみてはいかがでしょうか」と締めくくった。





講演会「医食同源による健康生活」が函館市で開催される
〜健康を保全する循環型地域社会を目指して〜

 平成16年9月28日(火)、函館市内において、北里大学大学院教授の養老孟司氏を講師に迎えて市民公開型講演会が開催された。
講演中の養老氏
講演中の養老氏
 これは、全国大学附属農場協議会秋季全国協議会の一環として企画されたものであり、「医食同源による健康生活」をテーマに、全国大学附属農場協議会、北里大学獣医畜産学部の主催、当機構の共催により開催されたものである。
 同講演会には、協議会会員だけでなく、初めて一般市民が参加できる形式がとられた。
 講演の中で養老氏は「人間は自然とは対立しない。対立するのは人工的なものを作る人間の意識そのものである。人間と自然は対立させるものではなく、人間と自然は一致しているものである」と位置づけた。また、人間の体は緻密な循環の組み合わせで作られていることをクレブス(クエン酸)回路を例に挙げ、「生物には精緻な循環装置がいくつもあり、それぞれが関係し合っている。循環型社会のモデルは生き物である」と解説した。さらに「自然と対峙するものは都会であり、人間は都会と原始林の間に存在していると言えることから、都会に在住している人は1年のうち1ヵ月間くらい田舎で暮らすことが望ましい。このような暮らし方をヨーロッパではバカンスと呼んでおり、田舎と都会を行き来するd参勤交代eは、社会の活性化につながる。」と持論を展開した。養老氏は身近な話題についても触れ、コンビニエンスストアで販売されているいわゆる“コンビニ弁当”を取り上げ、販売されている弁当の6割が実際に購入した人の口に入るが、4割は売れ残り、その売れ残りを堆肥作りに回されていることを紹介し、このような現実が果たして正しいのかどうか私たち一人ひとりが考えるべき問題であると指摘した。





北海道でてん菜糖の製造が始まる

てん菜の収穫風景
てん菜の収穫風景
 平成16年10月5日(火)の日本甜菜製糖(株)美幌製糖所における製糖開始を皮切りに、平成16年産てん菜糖の製糖が開始された。本年産は、生育期間を通じて天候に恵まれたこと、特に初期生育が良好であったことや、農家が適時防除に努めた効果もあって褐斑病、葉腐病、根腐病などの病害虫の発生が少なかったことにより、昨年の収穫量を上回ることが見込まれ、収穫開始時期も平年より早くなった。それに伴い、てん菜糖企業3社はいずれも製糖開始時期を例年に比べて早期に開始することとしているが、これは、収穫終盤における原料の糖度の低下を最小限に防ぎたいとの意向があるためである。また、その他各製糖工場の原料受け入れ開始日は、日本甜菜製糖(株)士別製糖所は10月10日(日)、芽室製糖所は12日(火)、ホクレン農業共同組合連合会中斜里製糖工場は11日(月)、清水製糖工場は13日(水)、北海道糖業(株)北見製糖所は12日(火)、道南製糖所は13日(水)、本別製糖所は14日(木)となっている。
 今後は各社とも24時間体制で製糖ラインを稼動させ、操業期間については、早い工場では2月中旬、遅い工場では6月中旬まで製糖が行われる予定となっている。
てん菜の集荷場所
てん菜の集荷場所
てん菜糖工場
てん菜糖工場
札幌事務所千葉出張所横浜事務所那覇事務所

千葉出張所


「砂糖と健康セミナー」が千葉市で開催される

 平成16年9月30日(木)、千葉市内において、砂糖を科学する会が主催する「砂糖と健康セミナー」が開催された。
橋本氏
講演中の橋本氏
 これは、砂糖に関する誤解を払拭し、砂糖の正しい知識の普及を図るとともに食全般や食生活における砂糖の役割や重要性を再認識してもらうことを目的に、今年度から一般消費者を対象に50名程度の少人数で行われているものであり、今回の開催を含めて全国で6回開催される予定となっている。
 講師の前横浜国際バイオ研究所会長で農学博士の橋本仁氏は、まず「人間はなぜ毎日ご飯を食べなくてはならないのか?」という問いかけから講演を始められた。参加者の「エネルギーを得るために食べる」という答えに対し、「わたしたち人間は、全ての活動にエネルギーを必要とする。エネルギーを自分で作り出せるのは植物だけであり、人間は植物の作り出すエネルギー(糖)を肉や魚、野菜などの食物を食べることによってエネルギーを得て、生きることができる。」と説明された。
講演中の様子
講演中の様子
 続いて我が国の砂糖消費量と供給源および一人当たりの消費量、消費量の減少要因、砂糖摂取に関する俗説への見解、BMI値による適性体重の把握方法、国際機関の砂糖に関する見解などについて説明され、我が国の砂糖を取り巻く現状のみならず、健康に関する話題も紹介された。橋本氏のわかりやすくて楽しい講演内容に、参加者も砂糖への理解を深めた様子であった。
 講演後に参加者から「砂糖とはちみつはどちらが体にいいか」、「脳にブドウ糖に足りているかどうか調べ方があるのか」、「白砂糖と黒砂糖では、黒砂糖を使っていたが、製法に違いはあるのか」、「ボケの防止に砂糖は有効か」などの質問が相次いで出され、参加者の砂糖と健康における関心の高さがうかがえた。
 最後に橋本氏は「甘い」の英訳である“sweet”という言葉と日本語の「甘い」という言葉の持つ意味の違いについて触れ、英語の“sweet”は「やさしい」「もてなしの心」が感じられるなどイメージの良い言葉として受けとめられており、これからは甘いものを無理に控えようとせず、甘いものを食べて豊かな気持ちになっていただきたいと述べられた。
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横浜事務所


「平成16年度やまなし食の安全・安心推進大会」が開催される

 平成16年9月13日(月)、山梨県は、甲府市内において「平成16年度やまなし食の安全・安心推進大会」を開催した。
 これは、同県において、平成15年9月に策定された「やまなし食の安全・安心の基本方針」に基づき、生産から消費に至るまでの総合的な食の安全・安心に係る活動を推進するための具体的な取り組みなどを明らかにした「やまなし食の安全・安心行動計画」が平成16年3月に策定されたところであり、同計画に基づき開催されたものである。
表彰式の模様
表彰式の模様
 大会の中で山本栄彦山梨県知事から、模範的かつ推進活動の取り組みが優良と認められた団体の表彰および同団体の取り組み事例の発表などが行われた。
 以下、優良3団体の活動概要などを紹介する。
JA梨北高根支部中玉トマト部会(代表者 細田静雄部会長)
 中玉トマトの生産および販売を行っており、消費者に安全な中玉トマトを提供するために、栽培における肥培管理などについて独自の基準を定めるとともに同部会農家への指導などを行っている。具体的には、減農薬・減化学肥料栽培の実践を通じ、残留農薬検査の実施や生産履歴の情報提供など、生産情報の信頼性確保に努めており、県内初の「全農安心システム」の認証を取得するなどの活動が功績として認められた。
北富士養鶏組合(代表者 田辺達組合長)
 養鶏業者の資質向上活動および衛生対策指導などを行っている。具体的な事例としては、鶏卵の安全確保対策として場内における合成抗菌剤の残留検査や細菌検査を実施、結果については情報開示を行うなど畜産物の安全性に対する信頼回復に努めている。さらに、情報交換会、研修会の実施や鶏糞の共同処理、一斉消毒による害虫駆除の徹底など、地域住民や消費者の理解を得ながら、安全・安心な畜産物を生産・供給する取り組みの推進などの活動が功績として認められた。
小淵沢町食と健康を考える会(代表者 伊藤いつ子会長)
 食文化についての調査・研究、食と健康についての意識の啓発が主な活動内容である。また、郷土の伝統的な食文化の伝承などを通じ、安全・安心な食生活の推進活動も展開している。具体的には、地域の農産物をより安全で健康的な食材として活用するため、会員を対象に土づくりの指導や減農薬栽培を推進するとともに特産品の開発に取り組んでいる。また、同地域の気候風土に適した郷土食の大切さを再認識し、伝承していくための体験教室、啓発冊子の作成、学校教育への協力を行うなど「食育」についての活動も行っており、これらの活動が功績として認められた。
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那覇事務所


第31回サトウキビ試験成績発表会の開催

 平成16年9月10日(金)、産官学が参加する沖縄蔗作研究協会主催による第31回サトウキビ試験成績発表会が那覇市内で開催された。
 前半では、さとうきび奨励新品種候補系統「KF92T-519」の紹介、圃場からの赤土流出防止技術の実証、小型ハーベスタと小型機械化体系など17件の研究成果が報告され、後半は「高品質さとうきび増産のための具体的取り組みと今後の取り組み方向」と題したシンポジウムが行われ、活発な議論が展開された。
 シンポジウムの中で、沖縄県糖業農産課大城良計係長は、[1] 沖縄県におけるさとうきび生産量は平成7年度の101万3千トンを最後に、平成8年から100万トン台を割り込みはじめ、平成15年度は82万9千トンとなっていること [2] 平成7年度の収穫面積14,694ha、単収6.9トンに対し、平成15年度はそれぞれ13,959ha、5.9トンと比較し、収穫面積は平成11年頃から減少傾向に歯止めがかかり、横ばいで推移していること [3] 今後収穫面積が変化しないことを条件に100万トン台を回復するためには、単収を7.1トンとする必要があり、その改善策として、土作り、水の確保、栽培面積の規模拡大、優良品種の育成、栽培管理の徹底が重要であることなどを説明した。
 沖縄県糖業振興協会の島袋正樹氏は、生産性向上について [1] 簡易な溜め池の増設や防風林の整備 [2] 12月〜3月までの農繁期における収穫作業(方法)の工夫による株出管理および春植の徹底ならびに夏植の適切な肥培管理を訴えた。収穫作業については、機械収穫委託および全茎無脱葉収穫作業委託を推進するとともに、安定多収については、収穫後の株出の施肥・管理、春植の拡大を図ることなどが最も重要であると指摘した。
 また、県内において生産対策に意欲的な取り組みを行っている石垣島について、石垣島製糖の保里直樹氏から報告があり、石垣島において品種・作型バランスの見直しおよび春植推進による株出面積の増加、低糖度地域対策、栽培技術指導の強化などにより品質の向上および生産性に改善が見られ、安定生産が定着しつつあると述べた。
 最後に沖縄蔗作研究協会村山会長から、行政と生産現場が一体となり、さとうきび生産量100万トン以上の回復を目指していこうと締めくくった。
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