[2005年4月]
札幌事務所
平成16年度「高品質てん菜づくり講習会」の開催
社団法人北海道てん菜協会は、平成17年2月3日(木)〜8日(火)の土日を除く4日間、平成17年産てん菜の高品質かつ安定的な生産および栽培技術の向上を目的に、池田町、女満別町、美瑛町、虻田町の4会場において、「高品質てん菜づくり講習会」を開催した。同講習会には、てん菜生産者、糖業関係者、JAおよび行政関係者が参加し、4会場において直播栽培の収益性、導入ポイントおよびてん菜畑の物理性改良などを学んだ。
網走地区の女満別町の会場では、農林水産省特産振興課から「最近の砂糖・甘味資源作物をめぐる事情」、北海道農業協同組合中央会から「てん菜糖需給安定化対策について」、道立十勝農業試験場から「平成16年産てん菜生産実績とてん菜の安定生産に向けて」「直播栽培の収益性と導入のポイント」などの講演がそれぞれ行われた。この中で、北海道立十勝農業試験場の平石氏は、直播栽培における農家の所得増につなげるポイントして、[1] 十勝地域では、てん菜およびバレイショの作付けを平行して拡大させ、小麦への依存を強めないこと [2] 網走地域では、てん菜の作付けを拡大させるとともに、その労働負担を抑えることなどを挙げた。
女満別町会場における優良事例紹介では、30代の若い経営者から [1] 春先のたまねぎの移植作業が繁忙であることから、てん菜の栽培面積の半分以上を移植から直播に切り替えたことにより、たまねぎ栽培への労働力確保を可能とした直播栽培の長所について [2] 麦桿(むぎわら)との交換により、たい肥の6割を確保し、従来よりたい肥を多く投入した土づくりなど積極的な土づくりの推進 [3] 農薬の適期散布などの肥培管理の徹底(4)減量散布などによる農薬費の節減および機械の共同利用による経費削減の推進などを柱とした意欲的な取り組み事例が紹介された。
千葉出張所
第30回国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN 2005)が千葉市で開催
平成17年3月8日(火)〜11日(金)の4日間、千葉市において、「第30回国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN 2005)が開催された。今回は『“食”の楽しさ新発見 From Japan to the World, From the World to Japan!(日本から世界へ)』をテーマに国内外の企業2,300社が参加するとともに、世界75ヵ国の食品および飲料が一堂に集められ、特に日本市場へ進出しようとしているアジア、アフリカおよび南米の企業からの出展が目立った。
同展示会には精製糖企業が独自の製造方法を確立し、売上を伸ばすための取り組みとして、従来製造されている砂糖に付加価値をつけた商品開発などを行っていることから、同展示会へ出展していた精製糖企業の展示概要などを紹介する。
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[1] |
大東製糖株式会社では各種砂糖のほかに、奄美諸島産さとうきびを原料とした黒砂糖や、同社が独自に商品開発を行った素焚(すだき)糖がメインとして出展された。
これらの含みつ糖は、原料調達から貯蔵、製造工程を経て出荷するまで一貫した管理体制が構築されているため、ユーザーに対して安心かつ良質な製品の提供が行われている。また、グラニュー糖や上白糖より高価であるにもかかわらず、老舗の和菓子屋、製パン屋などの「味」にこだわるユーザーからの発注が多く、最近では製パン業界からの引き合いも増加している。
さらに、同社は製品の包装形態について、通常の小袋やインスタントコーヒーのような容器の実用化などを現在検討しており、消費者ニーズを的確にとらえた商品開発を行っていきたいとしている。
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[2] |
上野砂糖株式会社では、小袋および業務用大袋の各種黒砂糖が展示されるとともに、黒砂糖の特性や「加工焚黒糖」「中国黒糖」「有機黒糖」を解説したパネルの展示が行われた。中でも有機黒糖(ブラジル産)は、わが国初のJAS認証を取得したほかに米国、EUおよびドイツの有機認証取得をした黒糖である。なお、同製品は圃場から生産・流通まで全ての過程が追跡可能なトレサビリィティー制度が確立されている。
また、同社は沖縄県産黒糖を主原料に中国産黒糖と輸入原料糖をブレンドした「加工焚黒糖」や和三盆に似た味と香りを持ち、鹿児島県徳之島産さとうきびを原料とする「和砂糖」などユーザーへの安定的な供給体制の確保を目指している。
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[3] |
新三井製糖株式会社、台糖株式会社、株式会社ケイ・エスの3社は平成17年4月1日に合併し、「三井製糖株式会社」となることから、共同企画による出展を行い、スプーン印の製品の展示や新会社のパンフレットを配布していた。
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名古屋事務所
「第5回みえの地産地消フォーラム」が三重県鳥羽市で開催
平成17年2月12日(土)、三重県鳥羽市内において、当機構は地産地消ネットワークみえおよび三重県などとの共催により「第5回みえの地産地消フォーラム」を開催した。
これは、三重県民が地域の食材とこれを生み出す農林水産業の素晴らしさを認識するとともに、これまで地産地消運動に積極的に参加したことがない消費者などを主な対象として、地産地消や食育の大切さを理解してもらうことを目的に開催されたものである。
同フォーラムではまず、鳥羽国際ホテル今井恒彦総料理長が「地域の素材を生かした食の提供について」と題しての講演を行い、[1] 地元の食材を生かした料理づくりを行っていること [2] 食材の価格も重要なことから、旬の素材を活かすことで、いいものを安く提供していること [3] 実際に食材の生産現場に出向き、自分の目で確かめた上で食材を買い付けていることなど自らが実践している地産地消の取り組みについて述べた。
次に、「農・林・漁業の生産現場から伝えたい、消費者への想い」をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。コーディネーターは百五経済研究所主任研究員中畑裕之氏が務め、パネリストは森田農園森田英治氏、吉田本家山林部吉田正木氏などが務めた。
森田氏は、近所のスーパーマーケットやレストランに自分の畑で朝収穫した野菜をその日のうちに卸している体験から、地産地消のメリットは鮮度とおいしさであり、これを消費者に知ってもらうため、自身のホームページや講演などを通じて理解してもらえるために、情報発信を行っていると述べた。また、吉田氏は、林業においても地産地消の考え方は必要であり、同運動の進め方を検討中であるとした上で、製材に利用できない部分を活用しての小物作りや山林の見学会などを通して消費者との関係づくりを図ることにより、今後につなげていきたいと述べた。
大阪事務所
関西砂糖特約店協同組合が研修セミナーを開催
平成17年2月24日(木)、関西砂糖特約店協同組合は、大阪市において同組合員を対象としたセミナーを開催した。
講演中の橋本氏 |
今回のセミナーは、組合員が砂糖の効用や健康に関わる諸問題について、さらなる理解を深めるとともに、それらを踏まえて積極的にユーザーにアピールできるようになることを目的としたものである。講師には、砂糖を科学する会副代表の橋本仁氏を招き「砂糖と健康」と題した講演が行われた。当日は組合員以外の国産糖企業および精製糖企業からも参加者があった。
以下、講演のポイントを紹介する。
(1)砂糖に対する誤解など
過去8年間の講演会などのアンケート調査結果をまとめてみると、砂糖が肥満や糖尿病の原因と考えている人が約4割いる。肥満について、日本人の摂取カロリーは厚生労働省の栄養調査から1982年を100とすると、2002年現在で92となっている。また日本人の脂肪摂取量は増えていることや、たんぱく質、糖質摂取量が減少しているにもかかわらず、肥満の割合が増えているのは消費エネルギーが減っていることや、身体活動の不足が原因と考えられる。また、糖尿病についても、消費エネルギーよりも摂取エネルギーの過多などにより引き起こされるほかに運動不足、ストレスによる血糖異常もあり、砂糖や甘いものが直接的な原因でないことはWHO/FAOも言及している。「糖尿病」という名称についても関係各界に働きかけ、変更してもらえるような取り組みを展開しているところである。
さらに、未だに砂糖は化学物質などによって漂白され、摂取後体内が酸性状態になるため、ビタミンやミネラルが奪われるなどといった科学的根拠に欠ける誤った知識を広めているセミナーが開催されていることから、われわれはそのような誤解を払拭するために関係者一体となった取組を行っていく必要があると考えている。
(2)砂糖消費が減少した理由
会場の様子 |
外食の増加、半調理食品の利用増加などの食生活の変化およびコールドチェーンなどの流通システムの発達などによる食品の保存方法の変化などが挙げられるが、やはり日本人の常識となっている感のある「砂糖に対する健康上の誤解」が大きいことを再認識すべきである。
(3)砂糖の効用
砂糖の摂取には、以下の効用および効果があるとされている。
[1] 砂糖は脳の唯一のエネルギー源
脳の重量は体重の2%しかないものの、消費エネルギーは18%であることから、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖の摂取は、速効性のある供給源である。
[2] うつ病の予防および治療効果
うつ病の原因は、セロトニンという神経伝達物質の欠乏によって起こることが医学的に解明されている。セロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンから作られるが、これが脳に取り込まれるときにブドウ糖が重要な役割を果たしていると考えられている。
[3] アルツハイマー病患者の記憶力の改善
サッカリンをはじめとする人口甘味料に比べブドウ糖の投与の方が、文章記憶力や単語記憶力などに優れているとの研究報告がある。
[4] 過食の抑制
過食の原因は、怒りや不安などのストレスが原因であることから、その抑制に効果があるとされている。
[5] アルコール性肝障害の予防
飲酒前に甘いものを食べるとγ-GTPの活性化が低下することが試験結果により明らかとなっている。
これらのほかに、記憶力の向上や情緒の安定化が挙げられる。
砂糖業界は価格競争や販売数量のことだけでなく、砂糖の特性について理解を深めることにより、商品知識を豊富にするとともに今後一般消費者に対し正しい知識のさらなる普及に努めていくことを期待したい。
岡山出張所
中国四国農政局「消費者の部屋」で「砂糖の展示」を開催
〜知っていますか?砂糖の正しい知識〜
平成17年2月1日(火)から2月28日(月)の間、中国四国農政局(岡山市)の「消費者の部屋」において、「知っていますか?砂糖の正しい知識」をテーマにした「砂糖の展示」が開催された。
同農政局の「消費者の部屋」は、中国四国地域における消費者と農林水産行政との対話や交流を図るための場として設置されたものであり、砂糖に関する展示は今回で4回目の開催となった。同農政局では、「消費者の部屋」の円滑かつ効果的な管理運営を行うことを目的に「消費者の部屋」管理運営委員会(委員長は同農政局次長)を設置し、農林水産関係機関などと随時運営方法などの検討を行い、協力体制の推進を図っている。
同展示の企画立案は、同農政局消費・安全部消費生活課と当機構が協力して行い、会場には、各種砂糖の現物や砂糖の生産工程などのパネルを展示し、中央にはビデオ放映コーナーや当機構および精糖工業会などが製作したパンフレットの配布コーナーを設けた。
また、一般消費者の間で地産地消の意識が高まりつつあることから、砂糖を原料として製造された地域特産物(倉敷市の和菓子、勝央町のぜんざいなど)や岡山県内で栽培された「さとうきび」の実物(砂糖類情報3月号で紹介)の展示を行い、来場者には大変好評であった。
開催期間中にアンケートを実施し、「今回砂糖について知ったこと」に対しては「砂糖の摂取だけでは糖尿病にはならないことがわかった」との回答が多く、「今後砂糖についてどのような事が知りたいですか?」に対しては、「砂糖と健康との関係について」「砂糖を使用した料理法」などの意見が多く寄せられ、消費者の「食と健康」に対する関心の高さがうかがえた。
「消費者の部屋」展示場 |
地域特産物の紹介 |
福岡事務所
「食と農・むなかた地域フォーラム」が宗像市で開催
平成17年2月15日(火)、福岡県宗像市において第7回「食と農・むなかた地域フォーラム」が開催された。
同フォーラムはJAむなかた、JAむなかた管内の学校関係者、生産者、行政などが中心となり平成15年2月に発足し、地元の農家が先生を務める同市内小中学校での出前授業や農業体験学習により、「食と農」の大切さを地域の子どもたちに伝えていく取り組みなどを行ってきた。
今回のフォーラムは、「食と農の大切さや素晴らしさを伝えよう!」をテーマとして同フォーラムの主催により開催されたもので、同市内小学生による農業体験学習のリレートーク、宮城教育大学常勤講師で民族研究家の結城登美雄氏による「食の地元学」と題した基調講演、「むなかたの食と農の素晴らしさを地域ぐるみで伝えていくには」をテーマとしたパネルディスカッションが行われ、同市内学校関係者、栄養士、生産者などが参加した。
農業体験学習のリレートークでは、同市立玄海小学校の生徒による大豆・味噌作りの取り組みと同市立日の里東小学校の生徒による大根・白菜作りの取り組みについて、それぞれ収穫作業の大変さや喜びなどが語られた。
結城氏による基調講演では、食に関して豊かで、良い地域になるために必要な条件として、「良い仕事の場」、「良い居住環境」、「良い文化の場」、「良い学びの場」、「良い友達・仲間」、「良い自然・風土」、「良い行政」を挙げるとともに、これらの条件が整っており地産地消、食育といった観点から望ましい環境にある地域として、宮城県宮崎町と北上町を実例とした説明を行った。
パネルディスカッションでは、リレートークを行った同市立玄海小学校の片岡由美教諭から「農業体験学習は五感を使った授業で、ほかには変えがたいものであり、大豆・味噌作りの体験を通じて児童の家庭での会話へと発展していった。」との報告や、給食を食育の場としてとらえ、実践している同市立南郷小学校の栄養職員亀石ひとみ氏から「農作業体験により児童の食べ残しが驚くほど減った。」との紹介があった。
パネルディスカッションの模様 |
リレートークによる農業体験学習の発表 |
宮崎出張所
「門川・入郷地産地消フェスタ」が日向市で開催
平成17年2月20日(日)、日向市幸脇の幹線道路沿いの道の駅「日向」において、美鈴地区女性起業グループ連絡会の主催により「門川・入郷地産地消フェスタ」が開催された。同フェスタには、東臼杵南部地区から農村女性を中心とした6農産加工グループが参加した。
これは、門川・入郷地域の普及および女性起業による積極的な地産地消運動の取り組みを理解してもらうことを目的に開催されたものである。参加した加工グループは、東臼杵南部農業改良普及センター支援の下、町村や商工会などとの連携により販売促進力や地域特産品の認知度の向上に取り組んでいるが、各地域の加工グループが協力して1つのイベントを開催するのは今回が初めてとなった。
道の駅「日向」物産館では地産地消の一環として同地域の会員となっている農家の方に販売場所を提供しており、常時、収穫されたばかりの新鮮な野菜が館内に所狭とならんでいる。同フェスタには、各加工グループが持ち寄った自慢の特産品が紹介されるコーナーのほかに、体験ドラ焼きコーナーや里の味コーナーが設置された。アンケートに協力してくれた人には無料で手作りまんじゅうが配られるとともに振舞い甘酒が提供されていた。
体験ドラ焼きコーナー |
「体験ドラ焼きコーナー」では、たっぷりの砂糖(上白糖)が使われた手作りの芋あんと小豆あんや、地元で採れたいちごを使ったジャムなどが用意され、訪れた子供たちが楽しそうにドラ焼きの生地を焼き上げていた。「里の味コ−ナー」では、砂糖、酒、醤油などの調味料でほどよく味付けしたしいたけをネタにした「しいたけ寿司」や、レタス、きゅうり、大根、トマトなどのサラダにきんかんベースのドレッシングをかけた「きんかんサラダ」、「いたどりの油炒め」、「竹の子きんぴら」などの郷土料理が展示されるとともにレシピなどの配布コーナーも設けられていた。
今後、各加工グループでは、若い担い手の育成とともに各地域の直売所において受身的な販売ではなく、販売所を提供してくれる場所へ積極的に赴いて特産品などの普及に努めることにより、特産品の認知度を高め、地域の活性化につなげたいとしている。
また、同普及センターによれば、同フェスタで行ったアンケート結果などを踏まえ、最低でも年2回はこのような催しを行えるよう努力していきたいとのことであった。
那覇事務所
「農林水産フェアおきなわ2005」が宜野湾市で開催
試食もできる島別黒糖紹介コーナー |
平成17年2月12日(土)、13日(日)の2日間、宜野湾市において沖縄県などの主催により「農林水産フェアおきなわ2005」が開催された。今回は「安全・安心・上等やっさ〜、うちなーむん!(優れているさ〜、沖縄県産品!)」をテーマに、県内産農水産物などの消費拡大の推進および生産振興を図ることを目的として実施された。会場にはゴーヤーなど新鮮な野菜や果物をはじめ、モズクなどの水産物加工品、ハーブや植木、フラワーバスケットなどの展示即売や品評会、県内ホテルのシェフによる沖縄伝統料理の試食など、多彩なイベントが催された。畜産物コーナーでは「ま〜さん祭」と題して、鶏卵や県産食肉、加工品の即売、試食コーナーなど多くの人でにぎわった。(※「ま〜さん」とは沖縄方言で「うまい、おいしい」の意味。)
また、県糖業農産課などが中心となり「さとうきびは地域経済の活力源です!」と題して、砂糖の原料作物であるさとうきびや糖業、黒砂糖に関するコーナーが設けられた。同コーナーでは、さとうきびのさまざまな品種や北海道から取り寄せたてん菜、代表的な砂糖の種類、さとうきびの繊維を織り込んだかりゆしウェア、当機構が製作したパネルやビデオの展示やパンフレットの配布を行い、多くの来場者が足を止めて興味深く見入っていた。
来場者からは「砂糖にもたくさんの種類があることがわかった。これからは料理ごとに使い分けていきたい。」「本物のてん菜を初めて見ました。」「沖縄県内のさとうきび生産向上にもっと取り組んで欲しい。」などの意見があった。また、島別の黒砂糖や原料糖も試食用に展示され、小さな子どもからお年寄りまで幅広い来場者から好評を得た。
屋外の黒砂糖コーナーでは、その場で製造実演した黒砂糖の試食や、さとうきびを搾って煮詰めた暖かいジュース「さーたー湯」が無料で提供され、開催当日は冷え込んだため多くの来場者に喜ばれた。